大阪の救急医療、崩壊寸前 受け入れ制限で2日待機も
新型コロナウイルスの感染拡大で大阪府内の救急医療が崩壊寸前に追い込まれている。重篤な患者向けの集中治療室(ICU)はコロナ患者で埋まり、受け入れを制限する病院が続出。救急隊の出動から搬送先が決まるまで2日近く待たされる事例も発生し、救えるはずの命が救えない危機が目前に迫っている。
「救急救命の対応力が低下している。通常のけがや病気も対応できなくなる医療崩壊は何とか防ぎたい」。大阪市の松井一郎市長は23日の対策本部会議でこう訴え、感染拡大防止に加え、重大な交通事故などを抑制するためにも外出を控えるよう呼び掛けた。
市消防局によると、19~25日の救急搬送約2600件のうち、受け入れ先の病院が見つからず6時間以上待機したのは47件と前週から倍増。12時間以上も18件に上った。最も時間がかかったのは自宅療養中に症状が悪化したコロナ患者の搬送で46時間53分を要した。救急隊員は交代で患者に付き添い、酸素マスク用に追加のボンベも運んだ。
搬送先の調整は府の「入院フォローアップセンター」が担うが、隊員らも独自に近くの病院に受け入れを打診する。「現場は傷病者の命のために精いっぱい頑張っているが、それでも見つからない」と消防局の前田達也(まえだ・たつや)救急課長は唇をかむ。
搬送先が見つからないのは、病院側が病床逼迫(ひっぱく)で受け入れを制限しているのが一因だ。府内に約500床あるICUのうち、26日時点で約300床をコロナの重症患者が使っており、新規患者が入る余裕はない。特に重篤な患者を診る「3次救急」の指定医療機関では、三つの病院が新生児やごく一部の疾病を除いて受け入れを停止した。
府健康医療部は、重症患者数のピークは大型連休の後半で最大427人に上ると試算した。だが新規感染者は府の想定を超える千人前後で高止まりしており、状況はさらに悪化する可能性もある。府幹部は取材に「大型連休は医療機関の体制も薄くなる。この期間を乗り切れるかが重要だ」と語った。
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