大橋社労士の気まま日記

仕事上のエピソードや日常の出来事、日頃興味を持ったことなどを随時ご紹介していきます。

「就業規則」のイロハ

2024-05-22 08:07:35 | Weblog
今回は月に一度の「ためになる話シリーズ」です。

先日、知り合いの会社の担当者さんから「就業規則って何のために作るの?」という実に素朴な質問を投げかけられまして、改めて考えて整理してみました。
ということで、今回は就業規則のそもそも論、今一度基本的な事柄等について述べてみたいと思います。

まずは、どういう会社が就業規則を作らなきゃいけないかです。日本の法律(労働基準法)では「労働者が10人以上いる事業所」となっています。なので、逆に、10人未満の会社等は作っても作らなくてもどっちでもかまいません。(職業柄、後述の理由で、どんな会社等でも作ることをお勧めしてはいますが。)
そして、どういった内容を盛り込まなきゃいけないかについても法律で決まっています。具体的には「始業および終業の時刻」「休憩時間・休日・休暇」「賃金の決定・計算および支払の方法・賃金の締切りおよび支払の時期」「昇給に関する事項」「退職に関する事項」などです。
他にも(法律用語ですと「相対的必要記載事項」といいますが)その会社が定めをする場合には記載しなければならない事項もあります。具体的には、退職金や賞与、安全衛生、災害補償や表彰・制裁に関わることなどです。
あと、最近は本当に色々ありますから、個人情報・会社情報の保護に関することや、SNSをはじめとしたネット媒体等の取扱いについても盛り込んでおくことをお勧めしています。

さて、その上で、どうして就業規則を作るのか・・です。もちろん色々な考え方があるので、あくまでも私の思う所という話ですが、まずは「会社のルールブック」という役割が多分にあります。社員さんの様々な権利に始まり、一組織として守ってもらいたいことなどを明確にしておくということですね。
特に最近は、個の尊重もさることながら、様々なトラブルも起こりやすいご時世です。そんな時に就業規則がいわゆる「拠り所」となってくれるわけです。
そして、個人的にはこちらを強調したいのですが、「経営者(社長)の思いを社員に伝えることで会社が期待する社員像を明確にし、毎日気分よく働いてもらうため」でしょうか。
 「こんな会社にしたい」「こんなサービスを提供したい」「こんな社員の集まる会社にしたい」という経営者の気持ちが、就業規則を通じて一人でも多くの社員の方々に伝わるのが理想です。最近は色々な雇用形態がありますが、日常生活の大部分を会社で過ごすことが多いわけですから、会社が社員に何を期待しているかをはっきりさせないといけませんし、何よりも毎日気分よく活き活きと働いてもらわなければ「いい仕事」はできません。そこを伝達する役割を就業規則が担っているわけです。
具体的には、就業規則の前文や第1条などに「経営理念」や「会社の目指す方向性」を入れたり、前述の記載すべき内容を淡々と並べるのではなく、一つ一つの条文の中に会社の考えや思いを落とし込んでいくのがよいかと思います。
そうするためには、まず堅苦しい表現や上から目線的な文体は避け、どこの誰が読んでもわかりやすい文章であることが必要です。専門用語はなるべく使わず、短く簡潔な文章で読みやすい構成にし、適正なボリュームで作る方がいいですよね。就業規則は社員のみなさんのためのものですから、上手く伝わらなければ何の意味もないのかなと思っています。



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