若女将の修行日記

『写真館の若女将・成長記録』のはずが、いつのまにか『若女将のおとぼけな記録』になっていました。

400円

2010-06-30 10:54:38 | マツモト写真
いま私の目の前に100円玉4個と1600円のレシートがあります。それを眺める度にクスっとハッピーになります。

父がマツモト写真の看板カメラマンだった頃からのお客様は沢山いらっしゃいますが、特にMさんは古いお客様。とっても高価な、とってもいいフィルムカメラを所有していらっしゃいます。が、そのカメラは使い方が非常に難解だそうで、なかなかMさんが狙った写真を写してきてはくれません(要するにピンボケだということです)。

最初のうちは、ご自分ではフィルムも入れられないような(当然私もそのカメラには触れない)難しいカメラではなくて、普通のオートフォーカスの一眼レフを使えば、綺麗な写真がたくさん撮れるのに……と思っていましたが、最近少し分かってきました。

Mさんが「バカみたいだと思うだろー。ココの息子(二代目のこと)みたいにうまく撮れればいいけどなー。でもこんなことが楽しくてなー。笑われっちゃうよなー」といつも私に仰るのを聞いている内に、気付いたのです。Mさんは多分、綺麗な作品を残すことよりも、この気位の高いカメラと一緒に旅に出ることが好きなんだなぁ、と。忙しいのに仕事場から出てきて、そのカメラにフィルムを入れたり、レンズを綺麗にしたりする二代目の目がそのカメラを愛おしそうに眺めるのを見ると、あぁ、Mさんも二代目もおんなじカメラを愛する人たちなんだ、と。

前回の旅の写真代1600円をお支払いいただき、お釣りの400円をどうしても受け取らないMさんが「アイスクリームでも買ってくれ。お母ちゃんにもちゃんとやるんだぞぉ。いつもこの店には感謝してんだよぉ。」とお帰りになりました。

ね、この400円見たら、疲れも吹っ飛んじゃうの、分かるでしょ?

最新の画像もっと見る