徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

黄菊の香り 寄り添えて

2022-11-27 19:16:56 | 日本文化
 そろそろ紅葉の見ごろも終わりかなと思い細川刑部邸に行ってみた。10日ほど前に訪れた時よりも紅葉が進んだ木の一方、既にほとんど落葉した木もありちょっぴり寂しさも感じた。
 長屋門前の肥後菊花壇で、先日はまだあまり開いていなかった「春興殿」という名の黄色い菊が目についた。京都御所の中に「春興殿」という殿舎があるらしいがこの花名の由来がそれなのかどうかは知らない。
 長唄「菊」の「御守殿」の段の一節「黄菊の香り 寄り添えて」という詞章が妙に耳に残っている。肥後菊「春興殿」を眺めているとなぜかその詞章が浮かんできた。「御守殿」というのはもともと徳川将軍家の娘が御三家などに嫁入りした時の呼び名らしいが、この長唄では、武家に行儀見習いに行った大店の娘たちのことを歌っているらしい。可憐な中にも気品を感じさせる「春興殿」はその詞章にピッタリなのかもしれない。


肥後菊「春興殿」