ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

機関紙BEATNIK(Vol.21・23)その4

2016-06-21 10:47:14 | 日記
甲斐さんいわく…今思うと【東京の一夜】っていうのは
歌って、俺なりにめちゃくちゃに良かったって気がしてますね
あれが一番最初に選んでやりたかったという…

ノスタルジックに曲を再現するだけっていうんだったら、NOだよね
今の時代にフィットする部分が非常に濃厚にあるという
ニュアンスがある古い歌だったら良いと思う
そういう部分の余裕っていうのは
何年か長くバンドをやってないと生まれてこないんだよね

ただ、俺たちはあれ以後、ある種「あれはあれ」っていう気ではやってた
そうしないと、色んな街に行く時、観客に失礼だしさ
だけど、3万人近く集めたあのイベントの照り返しっていうのを
身体に持ってやろうとしたし、やりましたよね

ちなみに…甲斐さんは、BIGGIG後すぐに休みを取られたものの
「結局、ライブ(音源と映像)の編集が差し迫ってたから
電話で呼び寄せられる羽目に陥ったけどね
明るい母子家庭よ、ホントにウチは(笑)」と話され(笑)

8月末から始まったツアーでは
まず「BIGGIGは終わりました」とおっしゃったらしい

また、別のインタビューでは…
去年くらいまでかな、ツアーはエンジョイ出来たけど
レコーディングに関して、非常にエンジョイ出来にくい状態になってたわけ
やっぱり10年近くやってると、そういう部分も出て来るのね

リスナーの期待が、ミュージシャンにとってはプレッシャーになるじゃない?
オリジナルLPを作っていくことに対して
プレッシャーを感じる時もあるんだよ

自転車操業みたいにやってけばいいってものじゃないし
やっぱり、ある種の影響を与えたい
このロックシーンに貢献もしたい
自分の満足するスタイルで、しかも時代に準じて変わっていきたい
その辺のプレッシャーが、発散されることなく膨らんでいくとね

甲斐バンドの場合、そんなにシニカルにはなってなかったんだけどさ
気づいたらエンジョイ出来なくなっていたっていうのがあったのね

長いことやってると、どこのバンドだって同じだろうけど
アップの時、ダウンの時って、やっぱりあるからね
だから、本能を大切にしてる
自分たちのありのままの本能を信じて、それに従うことで
色んな困難とか危機を乗り越えられると信じてるし
実際にそれで乗り越えて来てるからさ

今年はBIGGIGをやって、その勢いでツアーに出ちゃうってことだから
いっぱい集まったのを知って、色んな街で待ってるだろうし
エンジョイして美しくやりたいですね

そして、BIGGIGについて
甲斐さんが、もうひとつよく口になさってるのが「ロケーション」で…

「近代建築物というのは、この世の中で一番すごいものだ」という
ロバート・B・パーカーというハードボイルド作家の言葉がありますが
スペンサーっていう私立探偵の男に言わせてるんですけどね

何かこう、BIGGIGもね、高層ビル街の中で
2万人集まる空間っていうのがあった訳でしょ
そこに2万人の人間の熱が吹き出す空間なんだっていう意味合いも含めてね

そんな「THE BIG GIG」っていうものは、俺の目から見て
「近代建築イコールBIGGIG」
あの近代建築物こそが、BIGGIGの最大の長所であり、最大の風景だった
そして、最大の照明だったような気がしますね
この時代のこの社会の中で、ひとつの「明かり」となる
パワーがあったんだというように考えてるんだよね

田家秀樹さんによると…
甲斐さんが3年前から「新宿でやりたい」と思っておられたのは

「どうあがいても、アスファルトの上で生きていくしかないなら
最も近代的な場所でやりたいという
甲斐バンドが東京に出て来た時から持ち続けていたテーマ
[都会の若者の挫折と夢の物語]を描こうとした」からではないかと…

甲斐さんご自身も「僕らの音楽には、今の時代
このアスファルトの上で生まれた恋や愛の歌を
率直に歌ったものが多いでしょう
だから、その都会の中で、その瞬間を呼吸しながら歌いたかったんだ
それがあのイベントだった」

「都会との遭遇戦」と呼ばれた「ガラスの動物園」から
【東京の一夜】を選ばれたのもナットクです♪

「近代建築物が、あれだけ絵になるんだと改めて思い知らされたよね
後ろに大理石みたいなので出来た
でっかい高層ビルがバンと一発あって
周りにいくつか並んでる訳じゃない

それだけで、もう何にも要らないんだもんね
例えば、ストーンズみたいに両サイドに絵を描くとか
そういうのって、全く必要ない訳じゃない?

そこにステージを作っただけで、一枚の絵になってるしさ
しかも、かなり芸術の域に達してるくらいのね
それは素晴らしいイマジネーションだったよね」

「そりゃ、文句なく燃えましたね
道路の端にタクシーの運転手が車を停めてさ
顔、いや、体ごと乗り出して
商売を忘れて手拍子を打ってる

ダーッて建ち並ぶビルの前で
スモッグと雑踏の大都会を見ながら
ほら、みんなで本当にやってるよって感じ

僕は僕の歌を歌ってさ、みんなはみんなの思いで受けとめてくれる
それぞれの人生の苦衷を噛みしめて
みんなで生きているって感じでしたね
良い時間を過ごせたなと思ってます」

ただ「それは、ロックがストリート・ミュージック的な意味合いに
変化していることと関係あるのか?」との質問には

「そこまでは考えてないよね
良い意味でこじつけて貰ったり、褒めてくれたりするけどね
バンドの性格ってあるじゃない?
1983年の甲斐バンドに似合ってる場所はどこかな?という選び方だしね」

「初めての野外だから楽しくやりたい」とおっしゃった箱根
「最もハードで汗にまみれた場所」として選ばれた花園
そして「都会のど真ん中」でのBIGGIG

それでも「それはそれで済んだこと」として
かつての初武道館ライブのMCのように
また、普通のホールに戻られたごとく
ライブに、ツアーに、レコーディングにと励まれて、早や33年…
野音では、どんな「AGAIN」を見せて下さるんでしょうね?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする