ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

機関紙BEATNIK(Vol.22・23)その1

2016-06-23 02:40:36 | 日記
BIGGIG特集が組まれた21号と
アフターBIGGIGの23号に挟まれた22号には
甲斐バンドの重要なキーワードのひとつである
「ハードボイルド」が取り上げられてます♪

当然の如く(笑)表紙の「シビレる言葉」は、ロバート・B・パーカー
「ただしボクは何も自分のものにすることができなかった」
「できたよ」「なにを?」「人生だ」
…正確には「初秋」のラストに登場するポールとスペンサーの会話です

ちなみに、23号の表紙の言葉も同じく「初秋」から
「自立というのは、自己に頼ることであって
頼る相手を、両親から、オレに替えることではないんだ」という
スペンサーのセリフが掲載されてましたが

その言葉と共に表紙を飾っているのは
BIGGIGの会場を俯瞰で捉えた写真で
当時の奥さんは、この言葉が
甲斐さんから観客へのメッセージなんじゃ?…と受け取ったらしい

ともあれ、甲斐さんが、BIGGIGについて話された際に
「近代建築物」云々のパーカーの言葉を引用なさってたり
【冷血】の歌詞の前にも、やはりパーカーの言葉をクレジットされたり

レコーディングのためNYに滞在されている間
スペンサー御用達(笑)のビール「アムステル」を愛飲なさってたりと
かなり刺激や影響を受けておられたようですが

この特集の冒頭で、亀和田武さんも
「サウンド・ストリートの中で何度か甲斐よしひろが
このアメリカのハードボイルド作家の名前を口にしている
しかし、俺はハードボイルドには
まったくと言っていいほど無関心だったので
本屋でパーカーの作品を手に取ることはなかった」

「[虜]のミックスダウンの時、パワー・ステーションのロビーで
甲斐よしひろが[約束の地]を読んでいるのを見た
すでに日本で何度か読み返していて
いま読んでいるのは3回目か4回目だと言っていた
3回も4回も読み返すというのは尋常ではない
そんなに面白いのだろうか?」

まあこれは、この本に限らず
甲斐さんはお好きな本を「暗記するくらい何度も」読まれる方ですもんね(笑)

「しかし、日本に帰ってからも、俺はパーカーを手に取らなかった
そして、ある時、俺の周囲がパーカーの愛読者で
というよりは、スペンサーのファンで包囲されていることに気がついた

佐藤剛は絶版になっている[失投]を
東海ラジオの○○さんから借りて来て
これでパーカーの全作品を読み終えましたと呟いてからニヤッとして見せた

古くからの友人である北上次郎は[初秋]のあとがきに
ポールがスペンサーのコーチで徐々に逞しくなっていく描写に
不覚にも目頭を熱くした…などと書く始末である」

「俺の友人たちがこれほどまでに夢中になるパーカーというのは
一体どんな小説を書くのだろうという好奇心が
ハードボイルドに全く無関心な男の心に芽生えたのである」と書かれていて

[初秋]を手にされてからは
「読むのが遅い俺が1日1冊のペースで読み進んだ
こうして、俺たちがパーカー、パーカーというのを耳にして
1年に3冊しか読まない田家秀樹も
ついに[初秋]を手に取ることになった」そうです(笑)

その田家さんも「甲斐バンドの変化をはっきり感じたのは
[破れたハート…]の時だった
サウンドの変化という言い方で、それなりの納得の仕方をしていたのだが
[虜]の詩を見た時から、明らかに言葉の変化が起きているような気がした
それは、情緒的な言葉をどう物語として表現するか
…という方法論の変化のように思われた」

「[虜]でNYに行く時、彼は[郵便配達は二度ベルを鳴らす]と
[約束の地][エデンの東]を今愛読している本として挙げ
ハードボイルドという言葉を繰り返していた」

「まだ売り出す前の作家、矢作俊彦が
ハードボイルドというのは、卑しい街路を行く
トレンチコートを着た一人ぼっちの軍隊のきびしいスタイルのことなんだ
…と言っていたことを思い出した

甲斐バンドとハードボイルド
今、このテーマを語ってみるのにふさわしいように思う
ハードボイルドは[軟弱]の対極だからだ」と書かれてます

そして再び、亀和田さんによると…「確かに、俺や田家秀樹は
フラフラと流行りモノに手を出したお調子者には違いないが
今までハードボイルド小説に無縁だった2人の男が期せずして
[面白いね]と感想を洩らしたのには
やはり何かの必然性があると考えた方が面白い」

「アレッという発見もあった
[銃撃の森]の原題は[Wilderness]
そう[荒野をくだって]の英語題名は、パーカー作品に由来していたのだ
そして[銃撃の森]の官能的と言っていいほどの生々しい暴力描写は
甲斐バンドのいくつかの最近曲の世界と明らかに重なっている」

「ハードボイルド小説とは
都市でしか生きて行けない男を描いた物語である…というのが俺の感想である

栗本慎一郎という学者は、ムラが生産や秩序や文化の場であって
都市は反文化の場だと言っている
[都市は、ムラに象徴される秩序の世界から押し出され
落ちこぼれた人間が流れつき、ほっと胸を撫で下ろし
肩で息をつく場所なのだ]」そうだ

ハードボイルドに関しては、以前にご紹介しておりますので
興味がおありの方には、そちらを参照して頂くとして

奥さんから「これだけは読んでみて」と勧められても
ナカナカ手を出さなかったボクでさえ[初秋]を読了(笑)
その後、スペンサー・シリーズを中心にパーカー作品を読み漁ることに…(笑)

スペンサーは、ボクがそれまでイメージしていた
いわゆる「ハードボイルド」な主人公とは少し…
イヤ、かなり違っていたけど…(笑)

ボクのイメージでは、こういう小説に登場する「探偵」は
時にキザなセリフを口にするものの
基本的に寡黙で、酒と煙草をたしなみ
不健康で不規則な生活を送っている…というような
いわば「アウトロー」的な男性…

一方、スペンサーはといえば
依頼人には「気のきいたこと」を言って怒らせるし(笑)
恋人のスーザンを始め、友人達とも大いに語り合う「おしゃべり」ぶりで

煙草は吸わず、ジョギングやジムで身体を鍛え
「コーヒーに入れる砂糖とミルクの量」を気にしたり
「ビールを飲んだら甘いものは食べない」などとルールを作ったり(笑)
料理もするし、スポーツ観戦や読書も好きらしい

…全くもって「健全」な一般社会人(笑)といった男性なんですが
ちょっと甲斐さんに似てませんか?(笑)
スーザンと二人で犬も飼ってるし…(笑)
少なくも、奥さんが甲斐さんを重ねて読んでいることは間違いないんじゃないかと…(笑)
コメント
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