ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

箸休め10

2016-03-06 08:23:56 | 日記
「萩尾望都、甲斐よしひろの歌を描く」という
ミステリアス・ミュージカル「完全犯罪 フェアリー」を読み返しました(笑)

初めてこのコミックを読んだ時は
【冷血】の歌詞そのままの光景から始まるストーリーに
甲斐さんの曲がふんだんに散りばめられていて

登場人物のセリフや背景の画を目で追わなきゃと思っても
その場面に使われてる曲の歌詞に目を奪われ(笑)
メロディをつけて口ずさんでしまったりするもんだから
内容があまりアタマに入って来なかった記憶があったもので…(苦笑)

まあ、甲斐さんも巻末の萩尾さんとの「スペシャル・トーク・ライブ」で
「あそこまで沢山の歌が出て来て、びっくりした」と話され
「自分が作ったものが、漫画の脇にいちいち載ってるから
気忙しくて仕様がない訳ね(笑)
ちっとも客観的になれないんだよね」とおっしゃってましたけど…(笑)

萩尾さんによると「アルバムの歌詞カードを並べて、テーマ別に分けて
ドラマの展開と合うものを合わせたり
または、使いたい歌詞に合わせてドラマを構成」なさったそうですが
「殺人現場」にどの曲を使うか?(笑)
お二人が話されてる様子がオモシロイと奥さん(笑)

萩尾さんが「【荒野をくだって】が好きだから使いたいんだけど難しくて…
場面が陰惨な上に音楽が静かなもんでねぇ
スゴイんだぜぇー(笑)」とおっしゃると

甲斐さんは「死体があるとこで【マッスル】というのもスゴイですよ(笑)
2番の♪街を歩いてきなよ その笑顔で♪」とブラックに返され(笑)

「どんな風に殺してるんですか?
【アンタッチャブル】のロバート・デ・ニーロが
バットで殺ってるような感じなんですか?」と質問なさると
「ブロンズ像で頭を殴って…」
「ああ、なるほどねえ」…というくだりに
「焼き鳥は塩で食べるか?タレにするか?って感じで喋ってる(笑)」と爆笑(笑)

「キラー・ストリートのマックって男(笑)が
好きな女に逃げられたって話をする」というシーンで
【無法者の愛】か【ダニーボーイに…】か【Try】かと
どれにしようか?迷っておられる萩尾さんに
甲斐さんいわく…【無法者の愛】いいよォ
絶対好きだもん。自分で大好き(笑)

ちなみに…【荒野をくだって】は、別のシーンに使われ
「殺人現場」では【夜にもつれて】が流れてたけど
マックさんのシーンは、上記のいずれでもなく
【奴(ギャンブラー)】になってました(笑)

萩尾さんが「ひとつの曲から彷彿させるイメージは普通ひとつなのに
【思春期】は三つのオムニバスになっていて面白い」とおっしゃると
「カメラを切り替えたっていうんじゃなくて
人が何人かいるような感じでしょ?」と甲斐さん

「あの曲、あの当時好きだったけど
シリーズになりそうにないパターンで
ヤバイなあと思いながら作った」
「ストレート・ライフ」に
「【思春期】っぽいなあって思ったのがあった」ことが「気恥ずかしい」と…(笑)

「聴いてる人はそうでもないのね。でも、作る側はキツイ
【レイン】はストーリーテリングっぽくなってるから、バレてないんけど
なんかこう、引いて見てるような」視点で書かれてるらしい

【レイン】は当時も今もお気に入りみたいですが
「誰も褒めてくれない【モダン・ラブ】も好き(笑)」と甲斐さん(笑)

「ソロになったら、絶対ああいうのやろうと思ってた
もうモダン・ポップとかって罵られてもいい、私は(笑)私はやるんだから(笑)
あの何でもない歌詞、意味も毒もないっていう
あれが大事だなあって…」と話されてるんだけど

アマチュア時代に作られた【思春期】も
「ストレート・ライフ」のこの2曲も
甲斐さんの「ソロ」ならではのテイストということでしょうし
甲斐バンドの時には「シリーズ」にならなかったパターンが
解散後に現れて来たのが興味深いなあと…

それはさておき…
萩尾さんが、この「ミュージカル漫画」をやろうと思いつかれたのは
「甲斐さんの曲がドラマチックで
【冷血】みたいに、そのままサスペンス・ドラマになりそうな歌が多い」ことと

「日本にミュージカル映画っていうのはないし
ミュージカルの舞台でも、一人の作家がトータル的に
全部の曲を作ったのってあんまりないから
漫画でやってみようと思ってね(笑)」と説明なさってますが

ミュージカルはもとより、バレエや
宝塚歌劇もよくご覧になるとお聴きになって
甲斐さんいわく…僕、宝塚がダメなんですよ(笑)
萩尾さんに「まあ、そう言わず(笑)」と言われても
「ここはね、まず相いれないと思うんですよ
僕はたぶん好きになれない」とおっしゃってます(笑)

でも、萩尾さんが段田安則さんの出演なさっていた舞台に
1週間に2度も足を運ばれたことについて
「感動を再確認したいのと、その感動の原因を掴みたくて
作家根性で行ったりするんですよ」と話されると

「ちっちゃい頃に親が、何で同じものを
何回も見たり、読んだりするんだって叱るじゃないですか
親って、絶対に言うでしょ?何で他のにしないの?って(笑)」

「だって、他のモノを見てハズレかも知れないじゃん
ハズレより絶対アタリの方が良い
そのシンプルさが子供はスゴイんだって、タランティーノが言ってたんですよ
僕、そういう子供だったんですよ(笑)」と甲斐さん(笑)

でも、その反復志向(嗜好?)は
「ずっと。いまだにそうですよ」だそうで(笑)
「他のモノをわざわざ見なくても、これ面白いに決まってるじゃん
飽きるまで見ればいいんだもん」と子供のような口調で語られてます(笑)

「【ER】のすごいフレーズを覚えるまで見てる」とか
「(好きな本も)しつこいくらい読んでるもん、ほんとに
だって、順番に回してるだけなんだ
読み始めたら、風呂の中もトイレの中も延々、持って歩く人だから」とか

「そういう読み方って、すごい自分で好きですけどね(笑)
完全に覚えるっていう意識ね
ギターも歌も一番上手くなる方法って
同化することなんだよね
歌ってる奴と同じ意識に入ればいいんだもん」と話されてますが

ものすごぉ~く似た見方、読み方をする人が我が家にも約一名(笑)
洋画なら字幕スーパーが要らなくなるほど見倒すし(笑)
好きな文章やセリフは、今でもスラスラ言えるし
甲斐バンドのレコードだって、何枚聴き潰してることやら…(笑)

ともあれ…「萩尾さんの漫画には、完全に音があるよね」と甲斐さん
「散文詩みたいなシーンがあるでしょ
あれが完全に歌になってる
ああいう手法って、みんなやってないよね」

「ポーの一族を読み始めた時、いきなり最初から入っちゃったから
ずうーっと読めるもんね。怖いよ、ああいうのって…
自分がそういう性格だから、そういう人が好きなんじゃないかって
自分勝手に思ったりしたもんね」

「だから、ひょっとしたら、こんな風にみんなが
俺のことを好きになってくれてるんじゃないかと思ったら
怖い気がしたもんね。わあーマズイって(笑)」とおっしゃってるんだけど

我が家の「そういう人」は、生来の性格にも
そういう部分があったんでしょうが(笑)
甲斐さんに影響を受けて、さらに増進したことは間違いないんじゃないかと…(笑)
コメント (1)
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