『産経新聞』(29.5.23)に“”「サラ川」が 世相を詠んだ30年―累計110万句突破”という記事が出ていました。
サラリーマンの悲哀を風刺した、第一生命保険の「サラリーマン川柳コンクール」が今一年で30周年を迎えたという記事で、川柳に時代が詠みこまれているというものです。
2017年は次のようにあります。第一生命ホームページより転載
2017年5月22日(月)、第30回「サラリーマン川柳」のベスト10が発表されました。
1位/ゆとりでしょ? そう言うあなたは バブルでしょ?(なおまる御前)/5,822票
2位/久しぶり! 聞くに聞けない 君の名は(健忘賞)/4,570票
3位/ありのまま すっぴんみせたら 君の名は?(もうすぐ花嫁)/3,472票
4位/同窓会 みんなニコニコ 名前出ず(まぁちゃん)/2,715票
5位/「パパお風呂」入れじゃなくて 掃除しろ(家内関白)/2,664票
6位/君の名は ゆとり世代の 名が読めず(くまねこもも)/2,473票
7位/病院で サミットしている 爺7(アキちゃん)/2,381票
8位/ばあちゃんが オシャレにキメる 通院日(ベラ)/2,298票
9位/オレのボス ヤフーでググれと 無理を言う(田舎出身自衛官)/2,242票
10位/職場でも 家でもおれは ペコ太郎(北の勝)/2,157票
今年、1位となった句について第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは、「新社会人になった時期の社会環境が価値観に影響を与え、それが川柳に脉まれたことは興味深い」と指摘する。
第一生命経済研究所は節目の今年、昭和62年に始まったサラ川の30年を5つの時代に分けて、応募作品の傾向を分析した。
1980年代後半~90年代前半
ブランドは見るもの聞くもの貰うもの(平成2年)
日経平均株価が4万円に迫るなど「バルブ景気」に沸いた時期。「『オヤジギャル』など、元気な女性を取り上げた句もあった」(藤代氏)
90年代前半
御取り引きバブルはじけてお引き取り(平成5年)
日本は「バブル崩壊」に突入。「投資の失敗や不景気を嘆く句が多く、後悔、諦め、自虐がにじむ傾向をがあった」(藤代氏)
90年代後半~90年代初頭
接待費 削られ上司健康に(平成14年)
外食や流通業界で「価格破壊」が起きた「デフレ経済」の時代。消費税率5%への引き上げなどで日本経済は苦境に立だされた。携帯電話とパソコンが仕事に欠かせないようになり、業務効率化に向け
「IT革命への期待も高まった」(藤代氏)。
2000何代半ば~12年
「デフレなの」小遣い減らし 妻ニヤリ(平成21年)
リーマン・ショックの余波で日本は再び景気後退に入る。「サラリーマンの開き直りを感じる句が多かった」(藤代氏)
2013年以降
小遣いの異次元緩和 末だなし(平成26年)
第2次安倍晋三政権による「アベノミクス」の時代。企業業績は過去最高水準に達し、失業率は低下するなど、日本経済の復活か意識されるようになった。「給与や小遣いが追いつかず、不安や嘆きが多く詠まれた」(藤代氏)
この30年でサラリーマンの悩みはどう変わった?
バブル景気
一戸建 手が出る土地は 熊も出る
ビジネスマン 24時間 寝てみたい
ブランドは 見るもの聞くもの 貰うもの
バブル崩壊
夢さめて 株式欄を 避けて読む
御取引き バブルはじけて お引き取り
十二支が 「ねーリスト」に 聞こえたり
デフレ経済
ビックバン 俺の財布の 割れる音?
接待費 削られ上司 健康に
ナー残業 お持ち帰りで フル残業
金融危機前後
一〇〇年に 一度の不況が 五年毎
「デフレなの」 小遣い減らし 妻ニヤリ
オレの指 スマホも部下も 動かせず
アベノミクス
オレの部下 半沢みたいな 奴ばかり
小遣いの 異次元緩和 今だなし
退職金 もらった瞬間 妻ドローン