父親は剣道をやっていた、ソバによると電気が走った、そして、独特の美意識があり、外国人がきらいで毛唐(けとう)と呼んでいた、
「あいつらが 日本をダメにした」
しかし、高度経済成長の頃から、
「結局 人生はおカネだな」
すっかり変わってしまった、張り詰めていた気がほどけたのであろうか、
あの禅宗の老僧にも同じような時期があり、大黒(だいこく)さんがこっそりと、
「あれでも自信をなくした時期があったんですよ」
しかし、こちら禅宗の方は、持ち直し、
「それゆけ やれゆけ ホラフキ どんどん」
最後まで、あんなチョーシ、
「オレは世界だ オレは宇宙だ」
「空即是色・色即是色 それそれっ 真空妙有 それ行け やれ行け ホラフキ どんどん ホラフキ どんどん」
三島由紀夫が、剣技が進み、心境が深まると、
「剣尖に なにかが見えてくる」
父親、
「そんなもん 見えやしないね」
「剣尖が 走らなければいけない」
のたうち回るようにして生き、出家、あの戦後を生き抜いた法華の行者と大寺でエリートとして育ちカリスマ性を欲しい侭にし、悟りを楽しんだ禅僧、
「どちらが ホントウだったのか」
ちょっと、おそすぎたかな。