感覚は分からない、特に、味覚は、あのトアルコ・トラジャはうまかったのか、今出ているのは、見るもアワレ、
「 ♪ むかしの名前で 出ています」
吉原の名花が尾羽を打ち枯らし、ボロをまとった卒塔婆小町(そとばこま)、
「こんなことなら いっそのこと・・・」
KEYコーヒーは、一体、何をしたんだろう、トラジャの豆は、現在、100gで1080円ぐらい、その味は、このぐらいのものならいくらでもある、だから、あれは思い過ごしか、ところが渋谷のコーヒー店の店員が、
「いいえ あの頃は ホントーにすばらしかったんですよ」
「・・・」
「わたしが この道に入ったのは あのコーヒーに出会ったからなんです」
私の味覚はマチガイではなかった、貴婦人がすっと立っているようなイメージがある、おろそかには飲めなかった、
「今のトラジャ どうなったんですか」
すると、
「たしかに 今のトラジャ 変わってしまいました」
「・・・」
「しかし わたしたちも変わったのかもしれませんよ」
久しぶりにときめいた、これが、都会生活の醍醐味かもしれない。