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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

魔法の家

2008-07-17 10:15:47 | Weblog
 一週間前に亡き姑宅の荷物の整理に出かけた。『ご近所の底力

 特に急いでやらなければならないことでもないので、のんびり整理すればいいと考えていた私たちだったが、思いがけずにご近所の方々の協力を得、舅・姑の愛用品や生活用品などの数多くを処分することが出来た。
しかし家の中にはまだまだモノが溢れている。
ここから先は私の仕事。
資源となるモノは福祉施設に寄付し、後は廃品回収業者に依頼しようと算段しながら姑宅に出向いた。
すると.......

  なんにもない!

  


 家の中は、きれいさっぱりがらんどうだった。
本棚も食器棚も物置も、箪笥や引き出しや押し入れの中も、そこにモノが存在していたという気配すらなく、私はクラクラと卒倒しそうになった。

 確かにSさん(ご近所の70代後半のおじちゃん)に家の鍵を預けた。
「後はよろしくお願いします。」
とも......言った。
しかしそれは、一週間前に出た大量のゴミをゴミの日に出してもらうことだった。
ここまでやってくれとお願いした訳ではない。
それに、家に持ち帰りたかった遺品もまだ幾つかあったのだから......。

 Sさんが得意満面な顔でやってきた。
「食器は何カ所かに分けてゴミに出した。本は全部廃品回収に出して自治会の資金にさせてもらった。感謝状とか賞状とか写真や手紙類は燃やした。
古い家具などは壊して薪にした。どうしても処分できないモノは庭にまとめてある。業者に電話してあるけれど、これでいいか?
それからここを借りたいと言っている人がいるけれど、畳と襖だけでも取り替えたらどうだろう?」

 再度卒倒しそうになったが、こらえて丁寧にお礼を述べた。
もし「余計なお世話だ」なんて言ったらトラブルになることは目に見えているし、二度とこの近辺に足を踏み入れることは出来なくなる。
何よりも、Sさんは善意でやってくれたことだし、Sさんの性格を把握していなかった私たちにも責任がある。

 仕事帰りに立ち寄った夫も目を白黒させていたが、自分たちがやるべきことをSさんがみんなやってくれたのだから、ありがたく感謝しようということになった。

 何もしなかったのに、目の前からすべてのモノがきれいに消えた。
魔法にかかったようだった。

 

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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
わはは。 (士別)
2008-07-17 10:59:52
喜んでいいのか、怒っていいのか?さてどっち。
寂しいよね。「こんなものあったんだね」「これこれ、見てみて」そんなふうな楽しみもちょっぴり欲しかったりして。年代なんでしょうか?どうでもいいような物が、捨てられなかったりするから、やっぱり良かったのかな。お隣の爺さまにやっぱ、感謝かな?
先輩達の仕事の速さもたいしたもんだね。
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感謝、感謝、感謝 (燃える闘魂)
2008-07-17 11:13:06
いや、これはまったく100%、感謝だけをすべき問題だと思います。

もし明確に「ゴミ出しだけお願いします」とか、「これとこれは触らないで」という指定をしてあったのなら話は別ですが、前回の記事でお聞きしている内容と今回の補足説明とを併せ聞く限り、たしかに「予想外」かつ「予想以上(良い意味でも悪い意味でも)」ではありましょうが、それは予想するこちら(私でも同じ範囲の予想までしかしないとは思いますが)の問題であり、先方に非は無いと思います。

「もっとうまく、もっと完璧に細心に繊細に」やる方法は潜在的に存在したろうけれども、他人に、簡潔な指示の下(もと)で、無償でやってもらえることの結果としては99点だと思います。

ここはまず、田舎と世話好き老人のパワーに驚きつつ、スッキリ感謝しようではありませんか!
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すっからかんになってるね。 (京こまめ)
2008-07-17 13:44:34
おばちゃんパワーよりも、何倍も凄い物をしかと見せて頂きました。
一週間でねぇ・・やろうと思えばできるのねぇ(感心してる場面じゃないね)
気持ち的に”おいおい、そこまでやっちゃったの?!”・・ですよね。
しかし、以前のおじいさんとのやりとりを読んだ限りではこうなってても
仕方のないことで、一応感謝ですね。
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士別さんへ (nihao)
2008-07-17 14:57:22
なんらかの感慨にも郷愁にふける暇もなく、ただ忽然と姿を消した婆婆家の中身。
私もダンナもなんにも手を汚さなかったけれど、はたしてこれでよかったの?
はい.......しまった!と思う気持ちの奥で、ああよかった!と安堵している嫁がいますよ。
でも爺さまったら、次の住人まで勝手に探してくるなんてあんまりです。
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燃える闘魂さんへ (nihao)
2008-07-17 15:15:43
そうですね。闘魂さん流論法でいくと、あちらさまに非はないです。
私も前回の記事を読み直してみたら、ボーッとしていてなんとも曖昧。
細かな指示をすることなど全く考えも及びませんでした。
舅の絵とか、姑の留め袖とか.....後でゆっくり探して持ってこようと思っていたのですが.....悔しいけれど仕方ありませんね。
すっきり感謝という心境にはちょっと至りませんが、じわっとした安堵感はあります。
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こまめさんへ (nihao)
2008-07-17 15:33:53
この爺さまには、姑が生前から身の回りの力仕事を頼んでいました。
最後の仕事と思って、張りきってやってくれたんですね、きっと。
半世紀以上にわたる家族の持ち物って、本当にものすごい量なんですよ。
それらをすべて処分してくれるなんて、感謝しても感謝しきれないことかもしれませんが......。
それにしても嫁のメンツはどうなる?
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Unknown (風の又三郎)
2008-07-17 18:36:26
nihaoさんのブログは『婆婆と夫の介護日記』の
ころにくらべるとほんとに明るく、そして
さらに面白さを増してきたと思います(^^)

当時nihaoさんの記事でトイレの中で訳もなくこみ上げてくる
悲しみを堪えきれず、声を出して大泣きしたら
さっぱりしたと書いてあったのが家族の介護という重い
荷物を背負った方々のご苦労を象徴するようで大変に
印象的だったことを思い出しました

でも、そんな心の澱みのようなものがすっかりなくなり
想像ですが、突然、自分の時間を取り戻した直後は
どうしていいのか解からなかったけれど、きっと
年金と一緒に(^^)捧げた時間がゆっくりと戻って
きているのではないかと想像します

介護から開放された安堵感のあとに、逆に襲ってくる
寂しさみたいなものも節々に感じますが、本当に
婆婆様はご家族に愛されて幸せだったのですね

『婆婆と夫の介護日記』のクローズの一節にあったように
婆婆が亡くなったあと、もっと優しく穏やかに
接してあげるべきだったとか、もっと話し相手に
なって楽しいことをたくさんしてあげればよかったと
思うような気持ちが書かれていましたが、それがきっと
「家に持ち帰りたかった遺品もまだ幾つかあったのだから・・・」と名残を惜しんだことでしょう

ところで、引越しの荷物を纏める作業にかかるときに
いつも思うのですが「よし!この機会に思い切って
捨てて物を減らすんだ」と固く誓って、整理が始まると・・・

「あ、こんなところにあったんだ」
「うわ~懐かしいな」なんて言いながら
立ち読みしてるうちにそのうち座り込んで、じっくり
読み入ってしまい、結局、捨てられなくて、もとの
木阿弥でまた仕舞い込んでしまい荷物がいっこうに
減らない。なんてことに普通はなるんですけど

無機質な爺さまに(^^)お願いしたことで躊躇が
なくなり、思い切り処分することが出来たのでしょうね
きっと、思い出を捨ててしまったようなちょっと寂しい
気持ちにもなるでしょうが、おそらく婆婆様は
nihaoさんとご主人の心の中で、いつも優しく微笑んで
おいででしょうから、良しとされてはいかがでしょうね
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Unknown (HUZU)
2008-07-17 19:43:42
ヒャービックリ!!他人に鍵を預ける心配が此処まで綺麗さっぱりしてもらうと、「豪い!」としか言うしかないですね。見事な仕事引受人でしたね。ちょっと早すぎた気もしますが、いずれはこうなる事でしょうから、良かった事にしましょう。
あとは、その後ですね。おじさんが業者を入れてリフォームして、おじさんの口利きで次の借り手を決め、金額交渉までしたら今度は大変になりませんか?
一旦、鍵を返してもらって、ある程度の線引きをしたほうがいいように思います。
あくまで私個人の意見ですがね。
それにしても、本当に魔法の家だわ。すんません・・
他人事だと笑ってしまいます。
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目がテン (ギズモ。)
2008-07-17 20:16:01
すごいですね~~
表現は悪いけど
ハイエナみたい・・・

HUZUさんのおっしゃるように
今後のことは
nihao家でするということで
一旦線引きをなさったほうがいいですねえ~~

がんばって!!
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又三郎さんへ (nihao)
2008-07-17 21:25:50
心優しきコメントに昔のことを思い出し、じわ~っと汗が....じゃなかった涙が滲んでしまいました。
介護日記は自己矛盾を抱えた自己との闘いだったので、記事がどうしても暗くなっていましたね。
私は今でもまだ、あの介護日記を読み返す気にはなれません。
現在は負担がかからないように出来るだけ軽く書いて、長続きさせていきたいと思っています。
面白いと言って下さることが一番嬉しいことです。

>年金と一緒に捧げた時間がゆっくりと戻って
いや、それは困る。年金は早く!
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