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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

赤ちゃん取り違え事件

2013-11-28 21:52:00 | 読書
 
                 


 最近のお昼寝読書は角田光代の『ひそやかな花園
就寝前読書も同じく角田光代の『八日目の蝉
11月は角田光代月間でした。
角田光代さん、「恋愛してへこむので強くなりたい」という理由で、輪島功一さんのボクシングジムに通っているそうですが、体育会系を感じさせない緻密な作風の作家です。

 それぞれの時間や場所で複数の異なる本を読むことを並行読書と言うそうです。
バッグの中には病院などの待ち時間用文庫本も入っているので、私は常時3冊の並行読みをしています。
時々筋書きや登場人物などが混線することがありますが、いつでもどんな時でも読書を楽しむことが出来ます。
並行読書は、忙しい現代人の読書生活のための裏技のひとつと言えるでしょう。

 『ひそやかな花園』は、自分の出生が精子バンクであったという衝撃の事実を知った7人の男女の心の軌跡と苦悩を描いた作品です。読み始めたら止まらない魔力のある物語です。
八日目の蝉』は、前半は誘拐犯の女と誘拐された少女の逃亡劇で後半はその後の二人の運命を描いた作品です。映画化された名作です。
どちらの作品も出生・親子・家族の意味を根源から問いかけている力作でした。
凡庸ではないというか、ちょっとゆがんだ家族の関係を描いた作品というのはテーマが重すぎて、読んでいてもやりきれなくなってくるのですが・・・

 追い打ちをかけるかのように本日のワイドショーを賑わしていたのが
60年目に発覚した赤ちゃん取り違え事件
13分差で産声をあげたふたりの赤ちゃんの人生が入れ替わったという衝撃的な事件です。
本来と異なる人生を余儀なくされたとして産院側に賠償を求めた訴訟では3800万円の賠償命令は出たものの、実の両親はすでに他界していました。
渦中の男性は「生まれた日に時間を戻してほしい。両親に会いたかった」と複雑な胸のうちをあかしていました。
決して交わることのなかったふたつの家族ですが、それぞれが違和感を感じて暮らしていた様子とか、兄弟たちが真実に至る道筋は、まさに「血は水よりも濃い」を証明するもので、奇跡としか言いようのないものだと感心いたしました。
 
 是枝裕和監督の赤ちゃん取り違え事件を扱った『そして父になる』がカンヌ映画祭審査員特別賞を受賞して話題になったのも最近のことでした。
さしずめこちらは『そして兄になる?』

 生後6年で真実を知ることと60年経ってから知ることのどちらが果たして幸せなのでしょうか?
または6年で真実を知らされることと60年で知らされることのどちらが不幸せなのでしょうか?
家族の絆とは血縁を優先すべきものなのでしょうか?
それとも共に築き上げた時間を優先すべきものなのでしょうか?

 この種の悲劇は自分の身に置き換えて考えるのが一番分りやすいのですが、本気になって考えれば考えるほど分らなくなります。
子どもの頃、親に叱られた後は必ず「いつか優しくてお金持ちの本当のお父さん、お母さんが私を迎えにきてくれるの」みたいな仮想遊びをやりましたが、これだってまごうことなき現実の家族の存在という強力な後ろ盾があってこその遊びでありました。
しかし小説よりも奇なる事実に身を置く当事者にしてみたらどんなに辛いことか計り知れません。
この事件の解明がすべての兄弟たちにとって最善のことであったかどうかは不明です。
もし本当に喜ばしいことであったら、もう一方の取り違えられた被害者も同席して感謝の言葉を口にする筈でしょうから。

 それにしてもこの60歳の男性の落ち着いた会見を聞いている限りでは、自分の数奇な運命を受け入れて自己解決されていける方のような印象を受けました。
60年目に知った真実を、不幸せではなく幸せな出来事であると受け止めていただければと思います。
失われた時間を取り戻すことは出来ませんが、せめて残された時間が有意義なものとなりますようにと祈るばかりであります。











ふざけんなよ奥さん!詐欺

2013-11-19 14:47:00 | おすすめ記事
 自宅固定電話に設定していた非通知拒否機能が何かの拍子に外れてしまったらしく、最近ひんぱんに非通知電話がかかってくる。
かなりしつこい。
高齢者夫婦宅と知った上でかけてくる架空請求詐欺とか還付金詐欺の電話ではないだろうか?
それとも「母さん、助けて詐欺か?

 0120 で始まる番号のセールス電話も非常に多い。
私は慎重な性格だから(?)騙されることはないが、うまい話にすぐ乗るオットーが電話を受けたら大変なことになる。
電話機の説明書を引っ張りだし、非通知拒否設定をし直し、あらたに0120番号の拒否設定も行った。
すると何と言うことだろう! どこからも電話がかかってこなくなった。
高齢者宅の固定電話はかくも狙われているということだ。


 昨日午前10時頃かかってきた電話は、見知らぬ番号の携帯電話からだった。

もしもし、オットーさんのお宅ですか?」感じのよい若者の声。「そうです
実は僕、財布を落として困っていたところ、オットーさんが拾ってくれたんですよ」 
いつのことですか?」「たった今です」 「あらっ、どこで?」 「中尊寺です

 いかにも怪しい。
だいたいオットーは今、自分の部屋でテレビを見ているはず・・・あっ、そう言えばさっき
ちょっと出かけてくる」と言って慌てて車を出す音がした。
だけど100キロも離れている中尊寺にいるって? 私を差し置いてひとりで世界遺産巡りする?
(もしこれがホントのことならば私は別の件を心配しなければならないであろう)

 どうやら我が家にも話題の詐欺軍団がやってきたらしい。
「僕の落とした財布をお宅のご主人が拾って届けてくれました。ありがとうございます。」から始まって
最後は「何言ってやがる!」と脅されて大金をむしり取られるという新手の『ふざけんなよ奥さん!詐欺』(注1)が。
この会話、録音して警察に提出しなければならないと思ったが、はて、録音の仕方が分らない。

オットーさんが届けてくれた財布、実は万札が2枚抜き取られていたんですよ、奥さん。
何を仰るのですか!ウチのオットーは、そんなこそ泥のような真似は絶対にいたしません!
おや、あんな旦那のこと信じているの、奥さん?
しょ・・・証拠が何にもないじゃないですか!
あはっ、こっそり隠し撮りしたビデオがあるんですよ、奥さん。なんならこのビデオ、R大学の教授会にばらまいてもいいんですよ。

 なんと詐欺軍団はオットーのことを徹底的にリサーチしている模様だ。
確かに今春からオットーはR大学教授に任命された(注2)ばかり。教授会や学生たちに迷惑はかけられない。
それにしても親切が仇になって返るとは実に理不尽極まりない話ではないか。

奥さん、3千万で手を打ちませんか?明日頂戴しにあがります。
そ、そんな大金、ウチにはありません!
ふざけんなよ奥さん!一体いくらなら払えるって言うんだよ!
さ、さ、三万円くらいなら

 ってな妄想が一瞬のうちに駆け巡ったのだけれど・・・
幸いなことに電話をかけてきた青年は感謝の言葉を繰り返すのみで詐欺グループの一味ではなかったのでほっと胸を撫で下ろした。

 しかしお金を拾った場合、拾った人が5~20%貰える法律があるのだが、「いいから、いいから」と自分の名前や電話番号もなかなか言いたがらなかったというオットー。
何でそんなに善い人ぶるのか? 
それとも、ああ、何か他の理由があるのだろうか???




(注1)「ふざけんなよ奥さん!詐欺
 nihaoの造語。そのような詐欺はありませんが、今後出現するかもしれないのでご注意ください。
(注2)「R大学教授会
 オットーの造語。R大学は老人大学のこと。教授会とはお世話係によるイベントなどの打ち合わせ会議のことです。










長いタイトル

2013-11-12 21:26:00 | 読書
          

 忘れた頃にやってくるもの。それは天災ばかりではありません。
図書館に予約していた村上春樹の最新作『色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年
待ち本も忘れた頃にやってきます。四ヶ月待たされましたが早い方だと思います。
本に賞味期限はないとは言え、ニュースにもなった話題作なので今さらのブックレビューはちょっと恥ずかしい。

 村上作品は、平易な名文で入り口(とっかかり)は簡単ですが、読み進むにつれ難度が増し出口を見失うことがよくあります。
しかしこの作品は、迷うことなく最後までたどり着ける作品でした。
現実世界に焦点を置いた自己の喪失から再生に至る物語です。

 ご承知のようにタイトルが長い。
その昔「主なる登場人物」のページから、その作品のあらすじを推理するゲームが流行りました。
いえ、流行ったと言ったってnihaoのひとり遊び。私ひとりがハマっていただけのことですが。
しかしこの作品なら、タイトルからあらすじを推理することができそうです。
問題は「色彩を持たない」の解釈だけです。

 ・・・ある日突然、自分という存在の輝きを見失った(色彩を持たない)田崎つくるが、1年かけて自分探しの旅(巡礼の年)に出る物語・・・こんな感じ?

 私の予想はさほどずれてはいませんでしたが「色彩を持たない」の本当の意味を知ってギャフン。
正解は・・・田崎つくるを取り巻く友人たちが、松、海、根、埜、田のように皆色彩を持っている名前なのに、彼の名前だけが色彩を持っていないということです。
そのことにどれほど重要な意味が隠されているのか、私の頭では最後まで理解することは出来ませんでした。

 改めて簡単にあらすじを述べると
・・・かって親友であった色彩を持つ名前の友人たちから、一方的に友情関係を絶たれた田崎つくるが、その本当の理由を知るために友人たちのもとを尋ねる物語・・・です。

 巡礼とは、自らの「色」を取り戻すための田崎つくるの旅(闘い)のことなのでしょう。
いろいろな読み方が出来る作品ですが、悩み多き若い読者にはセラピー効果があると思います。
私は村上作品の、言葉が紡ぐ音楽と非日常的なメタファーの世界を楽しむために読みます。


 ところで歌野晶午さんも『ジェシカが駆け抜けた七年間について』や『葉桜の季節に君を想うということ』など、タイトルの長い作品が多い作家です。
これらは長いけれども予測のつかない謎に満ちていて、しかもそこはかとなく美しい日本語の余韻を感じさせます。
歌野晶午さんはnihaoの中ではタイトル名人です。もちろん作品もタイトル以上に面白い。

 世界で一番長いタイトルとして有名な小説は、イギリスの作家デフォーの『ロビンソン・クルーソー』です。
正式なタイトルは
自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述

 タイトルが作品のダイジェストを兼ねているので、読まなくても読んだような気分にさせてくれます。

 そう言えば最近AKB48のなが~い新曲のタイトルが話題になりました。
鈴懸(すずかけ)の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの

 ここまでくると奇をてらっているのか話題作りかのどちらかなのでしょう。
この何か意味ありそうで全くないラノベ風のもったいぶったタイトル、私はくすぐったいような違和感しか感じません。









孫にも衣装

2013-11-01 11:00:00 | 手仕事
  孫にも衣装? いや『馬子にも衣装』であることは言わずもがなです。

 無形民族文化材の『チャグチャグ馬コ』の里に住んでいる私は、1年に一度は馬をひく馬子の姿を見かけるので馴染みがないわけではありません。
しかし時代からは、完全に馬子(馬をひいて人や荷物を運ぶことを職業としている人)という存在は忘れさられております。

 現代であるなら『孫にも衣装』であるのが必然的文化(このパロディはおよよさんのパクリです)
孫と言っても孫正義ソフトバンク社長のことではありませんよ。
・・・どんな孫でもきれいに着飾れば可愛く見える・・・
だから私は、我が孫・男前の女の子ともしびちゃんが可愛く見える衣装作りに余念がありません。

 最近ともしびちゃんのお母さんが言うことには、nihaoの作った子供服が、ママ友たちの間で絶賛を博しているらしいのです。

 「まぁ、可愛いお洋服。どちらのブランド?

  「あ、あっ、い、いいえ、ただの婆ちゃん作です。」

 「まぁ、なんてセンスのよい婆ちゃ…いえ、お母様なんでしょ!

 と言ったような会話が何度かあったらしく、それを聞いたnihaoは嬉しくてますますやる気満々です。

   
           


 最近のお気に入りは、和風古典柄で作るワンピース↓です。


           


 レトロな布が面白い雰囲気を出すのではと実験的に作ってみておずおずと差し出したら、意外にもともしびちゃんのお母さんが
ゴスロリみたい! 超かっこいい!
と大喜びしたのです。
ゴスロリって・・・得体のしれない不安感を抱かせる言葉です。それは一体何なのでしょう?


                 


 ともしびちゃんが着るとこんな感じ↑になります。
童女のあどけなさと無垢な感じがよく表現されたお洋服だと思うのですが、ああ、もしかしたらそれがゴスロリということなのでしょうか???


 ミシンを踏んでいる時、私はいつも思います。
19の春深く考えずに文学の勉強なんぞ選択し、結局何にも身につかず、あの時もしデザインや洋裁の道に行っていたら・・・今頃毎日楽しい上に、お金になる仕事にありついていたんじゃないかなぁ・・・などと長い来し方を振り返ってはため息ついたりしています。

 でもまぁ「お婆ちゃんの作る洋服は嫌い!」と言われる日まで、ともしびちゃんの専属デザイナー兼お針子であることを喜びとして生きていくことにいたします。