北海道から高校時代の友人S嬢が、今年退職したばかりのご主人との『みちのく桜巡り』の旅の最後に盛岡に立ち寄った。
盛岡駅前のホテルに一泊して帰途につくと言うので、忙しそうな旅程ではあったが夜八時を過ぎた頃訪ねていった。
静かなホテルのレストランで、懐かしさのあまり(半年前に会ったばかりだが)大声でおしゃべりに興じるおばさんふたり。
それにしても私たちの会話は
「ほら、あれよあれ!」「それ!それよ!それって何だったっけ?」
イメージは共有しているのだが固有名詞が出てこないもどかしさ.......
やたらと指示代名詞ばかりの会話になっている。
彼女からのお土産の牡丹色の薄手のプルオーバー。
彼女は時々、思いやりのこもった衣類のプレゼントをしてくれる。
母親が亡くなってからは、誰からも洋服なんて買って貰うことなんかないのですごく嬉しい。
「くすんだ色合いのものばかり着ていては駄目よ!」
と言いながら手渡してくれたが、そう言う彼女自身の服装は結構地味でくすんでいた。
40数年前のS嬢は、色白でほっそりと儚げな美少女だった。
きっちりと三つ編みにした長い髪、セーラー服がとてもよく似合っていて、いつも静かに本を読んでいた。
だから私の中の彼女のイメージは夢二!......ではなくこれ↓
なぜ金閣寺かと言うと.......
当時彼女が、高校の文芸誌に寄せた三島由紀夫の『金閣寺をめぐって』という文芸評論がとても強く印象に残っているから。
高校生とは思えない優れた見解と文章で、今読んでも感心する出来栄えだ。
三島文学の代表作『金閣寺』は、昭和25年、実在する青年僧による金閣寺放火事件を題材にした長編小説。
S嬢は、つてを頼ってこの青年僧が親しくしていた学友に手紙を書き、青年僧が、何故金閣寺を放火する心境と経緯に至ったかの解明を、書簡のスタイルで書き上げた。
この彼女の着眼点と実行力には驚かせられた。
私は今でも時々、この40年前の文芸誌を取り出して読むことがあるが、はたして彼女は覚えているだろうか?
ちなみに私は大江健三郎の『個人的な体験』の感想文を寄せている。
当時の田舎の女子高生たちは、なかなか頑張っていたのである。
そして現在、元文学少女たちの話題の中心は......
夫の退職金の運用方法を熱く語る彼女と、真剣に耳を傾ける私。
なんだか彼女がすごくお金持ちに見えてきて........やっぱり金閣寺のイメージにぴったりだ!
盛岡駅前のホテルに一泊して帰途につくと言うので、忙しそうな旅程ではあったが夜八時を過ぎた頃訪ねていった。
静かなホテルのレストランで、懐かしさのあまり(半年前に会ったばかりだが)大声でおしゃべりに興じるおばさんふたり。
それにしても私たちの会話は
「ほら、あれよあれ!」「それ!それよ!それって何だったっけ?」
イメージは共有しているのだが固有名詞が出てこないもどかしさ.......
やたらと指示代名詞ばかりの会話になっている。
彼女からのお土産の牡丹色の薄手のプルオーバー。
彼女は時々、思いやりのこもった衣類のプレゼントをしてくれる。
母親が亡くなってからは、誰からも洋服なんて買って貰うことなんかないのですごく嬉しい。
「くすんだ色合いのものばかり着ていては駄目よ!」
と言いながら手渡してくれたが、そう言う彼女自身の服装は結構地味でくすんでいた。
40数年前のS嬢は、色白でほっそりと儚げな美少女だった。
きっちりと三つ編みにした長い髪、セーラー服がとてもよく似合っていて、いつも静かに本を読んでいた。
だから私の中の彼女のイメージは夢二!......ではなくこれ↓
なぜ金閣寺かと言うと.......
当時彼女が、高校の文芸誌に寄せた三島由紀夫の『金閣寺をめぐって』という文芸評論がとても強く印象に残っているから。
高校生とは思えない優れた見解と文章で、今読んでも感心する出来栄えだ。
三島文学の代表作『金閣寺』は、昭和25年、実在する青年僧による金閣寺放火事件を題材にした長編小説。
S嬢は、つてを頼ってこの青年僧が親しくしていた学友に手紙を書き、青年僧が、何故金閣寺を放火する心境と経緯に至ったかの解明を、書簡のスタイルで書き上げた。
この彼女の着眼点と実行力には驚かせられた。
私は今でも時々、この40年前の文芸誌を取り出して読むことがあるが、はたして彼女は覚えているだろうか?
ちなみに私は大江健三郎の『個人的な体験』の感想文を寄せている。
当時の田舎の女子高生たちは、なかなか頑張っていたのである。
そして現在、元文学少女たちの話題の中心は......
夫の退職金の運用方法を熱く語る彼女と、真剣に耳を傾ける私。
なんだか彼女がすごくお金持ちに見えてきて........やっぱり金閣寺のイメージにぴったりだ!