私が利用している図書館では、貸し出した図書を印字してくれるようになった。
この紙片を日付順にノートに貼り、簡単な感想などをメモしておけば自分用の読書ノートが作成できる。
読書ノートまでは作らないにしても読んだ本のタイトルなどが一目瞭然なので、忘れっぽい私にとっては大変便利だ。
著者名の印字がされていない点が少々不満だが。
最近はブックレビューを怠っているが、実はたくさん読んでいる。
5月27日から8月23日までの約3ヶ月間で計50冊借りているから、2日で1冊以上のペースで読んでいることになる。
6日間で5冊読んだ週もあって自分でも驚く。
猛暑の夏を家でじっと読書しながら乗り切っていたんだなと思うと...
誰のためにもならない非生産的な時間を過ごしていたものだと恥ずかしくなる。
しかもほとんどがミステリーかホラー小説だから、おどろおどろしい澱(おり)のようなものが溜まる一方だ。
しかし全く無意味だった訳ではなく、【桜庭一樹】さんや【柳広司】さんという個性溢れる新進作家との出会いは衝撃的な読書体験だった。
さて、私が読み終わった最新の作品は↓
『霧の塔の殺人』 大村友喜美 角川書店 H21・9・30 (写真下段)
大村友喜美さんは第27回横溝正史ミステリ大賞受賞作家。
お見かけしたことはないが実はご近所に住んでいらっしゃるので、私は熱烈な応援団のひとりだと自認している →【辛口ですが】
受賞作と受賞後第一作は書店で買い求めたが、既に第三作が刊行されていたことは知らなかった。
一年に一作のペースで、丁寧に練り上げた作品を世に出されていることは嬉しい。
『霧の塔の殺人』は、前二作とは趣を変え社会派風ミステリーとなっていた。
緻密な描写と伏線の多さが際だつ作風で、さらに日本社会が抱える今日的問題や東北の寒村の厳しい現実を浮かび上がらせている。
今回は全く異なった二つの事件が交錯しているが、映画やTVドラマにしたら面白くなりそうな作品だと思った。
大村作品は最後まで読まないと真犯人が判らないようになっているが、実は最初の犯人登場からなんとなくピンとくるものがあった。
この予兆を感じさせる雰囲気作りが映像的であると感ずる次第だ。
大村作品のシリーズには、藤田警部補と一方井記者という名探偵役が登場する。
ぜひ彼らが日本ミステリー界で確固たる市民権を得て、金田一耕助や十津川警部のような人気者になってほしいと願う。
ところで、もし私が図書館長だったら......
(1)図書館に大村友喜美コーナーを作る。
なぜなら、この横溝正史賞受賞作家のことを地元民は知らなすぎるから。
(2)大村作品を地元民への課題図書に指定し、作者を招いて一大読書会を催す。
(3)同じくご当地作家の【高橋克彦さん】と大村友喜美さんのお二人を招き『ミステリーの夕べ』を催し、ミステリー誕生までの秘話などを話していただく。
参加者全員でミステリークイズ大会を行う。
だって今年は『国民読書年』!!
図書館には、なにかワクワクすることを考えて欲しいものだ。