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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

妻の退職金

2012-07-10 10:00:00 | Weblog

  

           『秋田県大館市 日景温泉』



 マダムSは私の古くからの友人だ。
話題豊富で知性に溢れた面白い女性だ。
横浜在住なので、子どもたちの所に出かけた際には彼女に会うのも楽しみのひとつだ。

 最近彼女に告白されたのだが、高校時代、躾に厳しい両親の目をごまかして外出する時
あろうことか、品行方正な私(?)の名前を度々利用していたという。
nihaoちゃんの家に遊びに行ってくる!
ご両親は安心して外出を許可してくれたそうだ。
それにしても彼女、一体どこで何をしていたのだろう?
 
 彼女はすごく背が高い。
並んで歩くと大層疲れる。
必死で彼女を見上げながらお喋りしていると、大木にしがみついてミンミン鳴き騒いでいるセミになったような気分になる。

 その上彼女ったら驚くほどいっぱい食べるのにすごく痩せている。
腰の位置が日本人離れした高さで、いくつになっても年齢を感じさせない若々しいプロポーションなのだ。

 「私、基礎代謝の検査をしたら驚異的に高い数字が出たのよ!

 要するに彼女は、いくら食べても太らない恵まれた体質なのだと自慢げにのたまう。
我ら中高年の摂取したエネルギーは、脂肪に変換され蓄えられて太っていくだけ。
それが定めと諦観しているnihaoだが、彼女のような稀有な体質の人間も存在するのだ。
何たる不公平、恐るべき格差! ホント、イヤになっちゃうよね。


 [代謝]に恵まれている彼女、実は[退社]にも恵まれていて...
と言っても専業主婦なので、ご主人の[退社]というつまらない言葉遊びなのだけど。

 この春無事退社した夫君Mr.S、なんと退職金の半分を彼女にプレゼントした。
これは夫から妻への感謝の気持ちと労働の対価への報酬である。
夫は専業主婦としての妻の能力を認め、正当な評価をしたのである。
なんと理知的、なんと度量の広い男性だろう。こんな男性が本当にいたとは!
夫婦でこのようなうるわしい関係を築き上げてきたこともまた驚きである。

ありがたく頂いて早速私の名義にしたわ」と彼女。
オットーに聞かせてあげなくっちゃ!」と私。
 
 妻のサポートに感謝はしても、退職金の半分が妻のものだと考える夫は少ない。
もし妻の方から半分欲しいと所望しても、多くの夫たちは聞く耳を持たない。
夫婦の共有財産なのだから無理して分けあう意味はないという考えもある。
「退職金ぐらい自由に使わせてよ」と言う夫もいるだろう。
よしんば「すべて奥さんのご自由に」と言う夫がいても、名義変更まではしてくれないだろう。
そもそも法律的には夫の退職金は全部夫のもので妻に分け与える義務などはない。
分けると当然ながら贈与税もかかってくる。
私も夫の退職金を半分欲しいと思ったことなど一度もない(半分ではなく全部欲しい

 この話をオットーにしたら、予想通りの答が返ってきた。
Mr.Sよりオレの方がずっと太っ腹だな。ウチはみんなお前のものだから!

 「お前のもの」と言われても、私はただ預かっているだけで頂いた訳ではない。
単に面倒な金銭の管理を放棄しているだけなのに、この偉そうな態度は何だ!!







豆腐嫌い

2012-07-03 12:33:00 | おすすめ記事




 最近巷の噂では......
豆腐に塩麹をまぶして4・5日放置すると、モッツァレラチーズ風味になるという。
う、うっそ~ 豆腐がチーズになる錬金術? 半信半疑ながらも実験開始。
う~ん、確かに味は変化したが、モッツァレラチーズというよりは、豆腐味がより濃厚になった感じ。
豆腐好きにはたまらないかもしれないが、私は駄目だ。

 
 私は豆腐が嫌いである。あの匂い、味、食感のすべてが苦手だ。
いかようにも変化する無味無臭の万能食材ではないかと人は言うが、私にとっては強烈な個性を隠し持ったイヤな奴に他ならない。
絶対に食べられないという訳ではないが、間違って口に入れると、みるみるテンションが低くなる。
泣きたいような寂しい心持ちになる。
 
 生前、義父母に用事があって夕飯時に訪ねたら、食卓には一丁の豆腐の半分をみそ汁に、半分を冷や奴にしたものが並んでいた。
一緒に食事をしようと誘われたらなんと言って断ろうかと焦った。
これほどどうでもよいことを30年経ってもありありと思い出すほど、私にとってはショックを受けた出来事だった。

 その昔、渡辺淳一だったか立原正秋だったかの、いわゆる大人の恋愛小説を読んでいたら...
久しぶりの逢瀬を喜ぶ恋人たち。
男性は食事場所をいろいろ考慮した末に格式ある豆腐料理専門店に女性を連れて行くことにした。
なんでここで豆腐料理なのよ? 途端に具合が悪くなって本を閉じた。
もし私がその女性だったら?
妄想マダムnihaoは、口の中いっぱいに豆腐味が広がってどうにも我慢がならなかった。


 岩手県は全国一豆腐の消費量が多い県であるが、私は岩手県一豆腐を買わない主婦かもしれない。

 我が家の食卓には、豆腐のみそ汁は存在しない。
湯豆腐、冷や奴はありえないメニュー。
すき焼き、キムチ鍋、芋の子汁、ゴーヤチャンプルにも豆腐は入らない。
豆腐でかさましが出来ない分、料理を作るのには人知れぬ苦労をしてきた。
困ったのは毎日のみそ汁の具。
我が家のみそ汁は通年大根かじゃが芋で、懐にゆとりがある日は浅蜊だった。
子どもたちは学校給食で毎日豆腐を食べていたし、夫も外出先で食べているはずだから、栄養的には何も問題はなかったはずだ。

 私の豆腐嫌いは、長い間家族に知られることはなかった。
お母さんはお豆腐が駄目なのよ!
このような余計な情報を聞かされたら、むしろ家族は、より強く豆腐を意識して求めてくることになるだろう。
眠っている子どもたちをあえて起こす必要はないのだ。
私は我が家の食卓から静かにさりげなく豆腐の存在を抹消していたのである。

 最近になって徐々に私の豆腐嫌いが表面化している。

 秘湯巡りとともに各地の産直に立ち寄ることが多くなった私たちだが、その土地独特の豆腐作りをして販売している産直が多い。
オットーが欲しがるので買い求めるが、食卓ではオットーの前にしか並ばない。
豆腐に手を出さない私のことを、どうやら不思議に感じ始めているらしい。

 娘もなにやら気がつき始めた様子だ。
ふたり仲良くすき焼き鍋を囲んでいたら、婿殿から
えっ!どうして豆腐が入っていないの
とビックリされたそうだ。

お母さん、すき焼きには豆腐が入るの?
我が家の常識が世間の非常識と知らずに嫁いだあわれな娘。
しまったと冷や汗が流れた。