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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

東北六魂祭 in 盛岡

2012-05-28 13:30:00 | Weblog
              


 盛岡駅から市内中心部に行くためには必ず通らなければならない『開運橋』
この橋は別名「二度泣き橋」とも呼ばれている。
首都圏からの転勤族が、初めて盛岡へ訪れ開運橋を渡る際「遠く離れた所まで来てしまった」と泣き、転勤期間を終えて盛岡を去る時再びこの橋の上で、離れるのが辛くて泣くという。
今日は泣いている人は一人もいない。 みんなにこにこ笑顔、笑顔。


 5月26・27日、盛岡市中央通りにおいて【東北六魂祭(とうほくろっこんさい)】が開催された。
東北六魂祭は、東北6県の各県庁所在地の代表的な6つの夏祭りを一同に集めた祭りで、2011年3月11日に発生した東日本大震災の鎮魂と復興を願って、昨年宮城県仙台市で初開催された。
第二回の盛岡開催は、好天に恵まれ約24万人の人手で賑わった。




       『青森ねぶた祭り』               『福島わらじ祭り

              

        『秋田竿灯祭り』             『盛岡さんさ踊り』



 東北の六大祭りとは『青森ねぶた祭り』『秋田竿灯(かんとう)祭り』『山形花笠祭り』『仙台七夕祭り』『福島わらじ祭り』『盛岡さんさ踊り

 昨年の仙台開催は、収容力を遙かに超える見物人が押し寄せ大変な騒ぎになり警備の不備が露呈した。
安全を考慮して一部イベントが中止になったりしたので、今回の盛岡開催の成功が『東北六魂祭』継続の鍵となる筈だ。


 それにしても六県を代表する祭りが一堂に会するとは、なんともゴージャスなイベントではないか!
いくら近隣の地域に住んでいても、これら全部の祭りを見に行くのはなかなか難しい。
物見高いウチのオットーは「これを見逃す手はない!」と、一ヶ月も前からそわそわしていた。
しかしオットーが熱くなるとなぜか冷え始めるnihao。
私は混雑している場所が大の苦手なので、今回は留守番をしていると言ったのだが、オットーは全然聞き入れてくれない。
数日前から「行く!」「行かない!」で険悪な雰囲気になっていた。
オットーは夫唱婦随を当然のことと捉えているが、私にだって譲ることの出来ない夫唱不随(夫が唱えても随わない)の信念がある。

 「あのね、トルストイの『戦争と平和』をダイジェスト版で読んで、登場人物の名前や歴史や内容を覚えても、ダイジェスト版はダイジェスト版でしかないのよ!
たとえ何度読んだって本物を読んだことにはならないし、絶対に自慢はできないでしょ?
東北六魂祭も、いわば東北の祭りのダイジェスト版みたいなもの。
ねぶたの山車をひとつだけ見たからと言って、本物の『ねぶた祭り』を見たことになる?ならないでしょ?!
私は行かない。ダイジェストではなく、いつか本当のお祭りの方に連れて行って!!」

 考え抜いた屁理屈を並べて居残りを主張したが

おまえ、何言ってるの? 馬ッ鹿じゃないの?

 即座に否定され無視された。
おそらく私の反論はレベルが高すぎて(?)理解されなかった。
行きたくなかった訳ではない。すごく面倒だっただけなのだが...
今回も賢い妻の方が身を引いた。私はいつも負けている。

 
 お祭は、仙台での反省をふまえ、過去最大規模の警戒態勢の中で開催されたので大きなトラブルはなかった。
各県の出演者たちに寄せる沿道の観客たちの応援や声援の温かさが感動的だった。

 まだ私は『福島わらじ祭り』と『山形花笠祭り』を見たことがない。
ダイジェスト版ではなく本編の方をぜひ見に行こうと思った。










ランドルト環

2012-05-22 14:00:00 | おすすめ記事
 昨日は、太平洋側を中心とした広範囲の地域で金環日食が見られるというので、朝からお祭騒ぎだった。
岩手は部分日食だったが晴れていたので、はっきりと観察できた。

 世紀の天体ショーを見るために、私も日食グラスを求めてあちこち走り回った。
ホームセンター、文房具店、薬局、ローソン、ファミリーマート。
セブンイレブンで、幸運にも最後の1個(500円)のグラスを手にした。
他のコンビニでは扱っていなかったから、セブンイレブンはいち早くこの日食ビジネスに参画していたのだろう。
かなりの慧眼だと思った。


 全国各地からの金環日食や部分日食の映像を見ているうちに、私の頭の中に突如浮かんだイメージ画像がある。
 これだ↓


                 

                    『ランドルト環』


 これはフランスの眼科医ランドルト先生が考案した視力検査のための視標。
輪っかの空いている方向を上下左右で答えてください
誰もがお世話になったことがあるお馴染みのデザインだ。
この図、大小さまざまな部分日食が並んでいるように見えないか?
実はこの『ランドルト環』には、忘れられない体験をさせてもらった。
言うまでもなく超恥ずかしい思い出だ。

                 ※

                 ※
 
 前々回の運転免許の更新の時の話だから、私は今よりも確実に若く、もっと溌剌としていた。
それでも初老まっしぐらの身には、視力検査とか聴力検査とか、あと...最重要課題である免許証の「写真写り」とかの心配事項があるので、無意識のうちに緊張していたかもしれない。

 視力検査はもちろん何度もやったことがあるし、不安感など何もなかった。

 ところが係官は、何の説明もないままに、いきなり「さて、これは?」と質問してきた。
そしてなぜかこの質問が、ワンダーゾーン突入へのスイッチとなった。
私は一瞬どのように答えたらよいのかまったく見当がつかなくなった。

 いや、誰からも共感されないことは分かっている。
自分でもどうしてこうなってしまうのか全然分からないのだもの。

 とにかく私は、一体どのような答を要求されているのか、係官の意図が理解出来なかった。
すると突然私のボス(大脳)が「アルファベットを読み込め!」と命令してきたのだ。
そうだったのか。私は迷うことなく「しー(C)です。」と答えた。

 係官は不思議そうな顔をしたものの黙って次の問題を提示してきた。
上の方が少し空いている。ちょっと不自然な形ではあるがこれしかない。
ゆー(U)です。

 次の問題は下の方が空いている。
えっ、そんなアルファベットはない! 何だこれは?

 普通ならここで、何かおかしいと気がついてもよいはずなのだが、私のボスは絶対に立ち止まることはしない。
もっと知恵を働かせろ!突撃!」と命令してきた。
だから必死で考えて答えた。
ゆー(U)が逆さまになりました。

 ここで初めて異常事態に気がついた係官。大笑いしながら
あのね、アルファベットを読む検査ではないからね。空いているのはどっち?

 私の後ろで順番を待っていた人たちも爆笑した。
どんだけアホなおばさんだと思われたことだろう。
恥ずかしくて恥ずかしくて消えてしまいたかった。


 世紀の金環日食を眺めながら、こんなに悲しいことを思い出してしまった。
これが本当のことであるとは、自分でも信じたくない。

 





 

不思議マダムX

2012-05-10 21:01:00 | おすすめ記事

             

              ローズマリー&バジル


 ♪Are you going to Scarborough Fair?
  Parsley, sage, rosemary and thyme♪

 サイモン&ガーファンクル『スカボロー・フェア』の有名すぎる冒頭部分。
歌詞の中では呪文のように何度も「パセリ・セージ・ローズマリー・タイム」と繰り返される。
ハーブ栽培初心者にとっては、実にありがたい指南書のような歌だ。
私もこの春、これらのハーブにバジルを加えた五種類の苗を買ってきた。
パセリとセージとタイムは裏庭に植えた。早く大きくなるといいな...


             ★  ★  ★


 今日はご近所に住む不思議マダムXのお話。
10年来のおつきあいだが話をしたことはない。
年齢どころか名前も知らないのでマダムXと呼ぶことにする。
私と同世代の娘さんと二人で暮らしているので、80歳は優に超えていると思う。

 マダムXを年齢不詳にさせているのはそのファッションだ。
一般の80代女性とは異なるセンスなので「お洒落なマダムね」と評する人もいないではない。

 編み込みセーターにチェックのスカート、黒のベレー帽に黒のロングコート。
独特の雰囲気を醸し出してはいるが、衣類はすべてものすごく古い。
私の目には、大昔のワードローブ(持ち衣装)だけで着回ししている「時間の止まったお婆さん」のように映る。
あるいは生活感のない「老女流詩人」。「魔女」のイメージもちょっとある。
なぜか気になる不思議マダムなので、自分のことしか興味のないあのオットーですら密かに関心を持っているみたいなのだ。

 不思議マダムXは、毎日決まった時間にバスに乗ってどこかに出かけ、決まった時間に帰ってくる。
タクシーに乗って帰って来ることも時々ある。
私は・・・きっと彼女はパチンコが大好きで、ゲームに勝った日だけタクシーに乗って帰ってくるのだろうと想像していた。
しかし先日マダムXの娘さんと立ち話をする機会があり、長年の謎に決着がついた。

 「ウチのお婆さん、ちょっと変わっているんですよ。

 なんとマダムXは某バーガーショップに日参し、ひとり静かにコーヒーを飲みハンバーガーを頂きながら数時間を過ごすことを無上の喜びとしているという。
その習慣がすでに20年...えっ、20年! 俄には信じられない話だった。

 なぜ彼女は、カフェという現代の冷たく孤独な空間に自分の居場所を見いだしたのだろう?
もしかしたら自分らしく生きるために、カフェの空間が必要だったのだろうか?
そこで何を見聞きし何を感じながら、ひとりの時間を積み重ねてきたのだろうか?

 毎日我が家の前を飄々と歩いてバス停に向かうマダムX。
パチンコではなくカフェ通いと知ってからは、すごくかっこよく見える。
私の中で突然、彼女への興味が今まで以上に膨らんだ。
来る人去る人のあわただしいカフェでは、おそらくマダムXは、ひとり異彩を放つ有名人であったことだろう。

 この話をオットーにしたら「まさか!」と言ったきり絶句した。
オットーも何かしら心に強く感じたものがあったようだ。
その後例のバーガーショップの傍を通った時
おい!本当にあの婆さんがいるかどうか確かめてきてくれ!
と突然真顔で頼まれた。
もちろん私も興味があったので、バーガーショップの扉を開け二階への階段を上がって彼女を捜した。

 いた! マダムXは本当にいた。

 ひとり窓側の席に座り、行儀よく背筋を伸ばしてコーヒーを飲みながらじっと戸外の景色を眺めていた。
その彼女の少し緊張しているかのような後ろ姿が、とても若々しくて美しいと思った。