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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

文豪麻雀

2010-03-10 10:50:00 | おすすめ記事
  白内障の手術をして、スッキリクッキリのデジタル・アイになったM嬢から
「快気祝いの麻雀大会をしてよ!」と連日矢のような催促メールが届く。
せっかく視力回復したのだから温和しく静養していればよいものを......
食事は私が用意するわ!
あらそれならばと、仕方ないからつき合ってあげることにした。

 メンバーはM嬢、K君、我ら夫婦のいつもの四人だが
本日はちょっと趣向を変え、虚々実々取り混ぜてその時の様子を再現してみる。
文中のメンバーと文豪の関係、またいくつかの初級・文学ジャンルのパロディを
苦労して挿入してみたが(あまり面白くはないが10個はあります)
さて、あなたはいくつわかるかな?


              ☆


【第一回・文豪麻雀
 
日時 平成22年・弥生吉日
場所 斜陽御殿
面子 太宰治ことださい治    石川啄木こと石川豚木
   樋口一葉こと樋口一応   林芙美子ことお囃子芙美子


         



[ださい] みなさ~ん、こんにちは。
     遅れてきてすみません
   

[お囃子] ださい君!あなたまた遅刻よ!遅刻よ!遅刻よ!
     あなたは時間を守ったことが一度もないわね。
     昨夜も若い女の子を追いかけていたでしょ!この走れエロス
    少しは恥をお知りなさいな。
   

[ださい] やっ、ま、また見られていた?恥多き人生です
     麻雀に遅れるとは雀士失格、まことに面目ない。
     ところで豚木君、先に用立てた金、今日は返してもらえるだろうね?

[一応]  私が貸したお金も返してね。
     最近病院通いが多いから治療費がかさんで苦しいのよ。

[お囃子] (...ふたりとも馬鹿ね。私は豚木には絶対に貸さないわ...)

[豚木]  き、きみたち、着く早々金の話をするなんて下品だよ。
     僕から金を取り返そうとするのはきみたちぐらいのもんだ。
     今、金田一君に無心の手紙を書いているところだから
     もうちょっと待ってくれたまえ。

    
     ......ゲーム開始...... 


[一応]  ツモ! あら~ん、ごめんあそばせ。
     また泥(ドラ)まみれのにごりえでハネてしまったわ。

[お囃子] ちょっと一応さん、私の親の時ばかり狙うのはやめてよ!
     も~う全く友達甲斐のない女、遠慮を知らない図々しい女ね。
     はあ~っ、親の命は短くて苦しきことのみ多かりき...

[一応]  そんな言いがかりをつけて困らせないでよ。
     我も女、汝も女。たまにはサービスしてくれてもいいじゃないの。

[豚木]  まあまあ、芙美子さん。
     負けがこむと言いがかりをつけるのはあんたの悪い癖だよ!
     そんなことじゃお囃子芙美子の麻雀放浪記に傷がつくぞ。

[一応]  ロン! 豚木さん、あなた私に振り込んだわよ。
    
[豚木]  じゃじゃ~っ、やられた。
     いのちなき牌のかなしさよ
     さらさらと
     握れば指のあひだより落つ

[ださい] 豚木君、我は麻雀の天才であると豪語するわりには
     君もたいしたことはないね。あはは。


               ☆


 こんな調子ではいつまで経っても終わらない。以下割愛。

 
    


ドライトマト入り食パン

2009-09-19 10:30:00 | おすすめ記事
 いにしえより人々の飽くなき夢として探究されてきた錬金術
鉄や銅・亜鉛から金・銀の貴金属を作ろうとしたのはもとより、不老不死の薬の発明に試行錯誤を重ねた学問だが、成功した例がなかったので今ではニセ科学などと言われている。
しかし本当に荒唐無稽なお話だったのだろうか?

 ドラゴンクエストシリーズⅧに初めて練金釜というアイテムが登場した時は、年甲斐もなくドキドキワクワクしたものだ。
旅の途中で手に入れた道具をこの練金釜に放り込むだけで、ほどなくチンという音色と共に、ランク上の道具や武具にその姿を見事に変える。
もし現実の世界に練金釜があれば

 ガラスの欠片でダイヤモンド、庭の落ち葉で一万円札、ももちゃんの抜け毛でカシミアのセーター、大豆と水で痩せ薬が......ああ!

                 ※

 ナイショの話だが、実は練金釜を持っている。
24・5年前に手に入れた。


          


 小麦粉と水を投入すれば、なんと4時間で食パンに姿を変える。
不調なのか一途なのか、今のところその他のモノには姿を変えないので、またの名を自動食パン製造器(ホームベーカリー)とも言う。
ナショナルが世界に先駆けて作った夢の家電だが、発想も構造も全く練金釜そっくりだ。


              


 キッチンの戸棚を整理していたらドライトマトを見つけた。
賞味期限が三ヶ月過ぎているが特に問題はないだろう(私の友人は賞味期限五ヶ月切れのカニかまを食べたと自慢していた)
久しぶりにドライトマト入り食パンでも作ってみようか。
材料はこれら↑と水とドライイーストをセットするだけだ。


               


 あらっ?本当はこの倍は膨らむのだけれど......
初代ホームベーカリーなので、そろそろお疲れになったかもしれない。
ちっとも美味しそうに見えないのが残念だが、しかし外側はカリカリ、内はふんわりで、仄かなドライトマトの香りが部屋中に漂って食欲を刺激する。

 それにしてもこのホームベーカリーはもう使える代物ではないな。
パン屋も近所に開店したし、新製品を購入するかどうか悩むところだ。
いや、粉を練り混ぜ発酵させた段階で取り上げて自分で成形したら、オリジナルのパンやピッツァや中華まんを作ることはまだまだ可能だ!

 練金釜の効力は失ったが、練粉釜としてはまだまだ価値がありそうだ。





招かれざる珍客

2009-07-30 09:30:00 | おすすめ記事
 このところ雨だれの音で目が覚める。
毎日毎日雨降り、もしくはどんよりとした曇り空。
窓を開けると湿った朝の空気とともに、近所の子どもが吹いている調子はずれのリコーダーの音色が聞こえてくる。
ああ、学校はもう夏休みに入ったのか。盛岡さんさ祭りも間もなく始まる。
早く真夏のギラギラ太陽が現れて、子どもたちが元気に遊ぶ声を聞いてみたい。

           ※

           ※

           ※

 ところで........これ、何だろう?





 我が家の二階、廊下の窓の網戸に逆さまになって張り付いていた。
遠くから見たときは黒い折り紙のように見えたが、近寄ってみたら生き物のような.......大きさは10㎝くらい。じっとして全然動かない。

 しかも、これ、網戸の内側だから家の中なのだ。
初めて見た生き物だ。
気持ち悪いなあ。突然襲ってきたらどうしよう?
本当は怖くて卒倒しそうだったのだが、そっと階下に戻ってデジカメを持ってきた。
でもカメラを持つ手がぶるぶる震える。
足がすくんで近くに寄ることもできない。
正体を明らかにするためには、とにかくこの生物の顔を撮らなければと思い直し望遠レンズを使って撮影したが........
とその時、この生き物は音もなくスーッと数㎝横に移動した。

 「ぎゃ~~!!!!

 何事が起きたのかと驚いて二階に駈け上がってきた夫と入れ替わりに、階段を転げ落ちるように階下に避難した私。
私はこの家で、ゴキブリはおろかネズミすらまだ見たことはない。
生まれてからずっとどさ回りの人生だったが、あんな珍妙な姿の生物を間近で見たことなど一度もない。

 長い棒を使ってなにやら苦労して外に追い出した夫は、しきりに自分の武勇伝を話したがるが、そんな話、私は聞きたくもない。
それにしてもこの写真、実物よりも何倍も気味悪く、慌てて撮ったわりにはよく撮れている。
頭部上方の楕円形の部位、これは目だろうか?耳だろうか?
逃げる時、大きな羽を広げて飛んでいったらしいのだが.......

 もしかしたらあれは........モモンガのモモちゃん? 
それとも.......ムササビのムサシ君か?
はたまた.......鳥なき里のコウモリ男爵なのだろうか?
 
 長雨が続いて雨宿りしていただけならよいが、二階のどこかに彼らの隠れ家があったらどうしよう?
一夜明けても私のドキドキはまだおさまらない。




元祖・弁当男子

2009-07-05 09:20:00 | おすすめ記事
 最近、職場に手作りのお弁当を持参する弁当男子の話題をよく耳にする。
小遣いの節約や健康管理のためには望ましい現象だ。
自分の弁当を写真入りで紹介する弁当男子のブログもたくさんあるから、日本の男子もずいぶん変わったものだと驚く。

 我が夫も今年から弁当男子となった。
母親や妻の手による弁当持参者も、男子弁当部の準会員扱いぐらいにはしてくれるらしい。
バス通勤なので手荷物は持ちたくない、でもカロリー過多になる外食は避けたいというので、小さめのおにぎり弁当にしているが自家製の梅干しが大活躍だ。


 私は学校給食の恩恵を全く受けることなく小中学校時代を過ごした。
その頃既に児童・生徒の健全な発達と食生活の改善を目的とした学校給食法が制定され全国に広がっていたが、我が辺境の生地にまではなかなか浸透しなかった。
残念ながら脱脂粉乳を飲んだ経験もない。

 当時はみんな貧しかったし、母親たちも生活に追われて多忙だった。
冷蔵庫がないから食品のストックもなく、毎日おざなりの弁当を持たされていたので、お昼の時間が待ち遠しくてたまらないということはあまりなかった。
児童たちはみな粗末な弁当の中味を見られたくない一心で、弁当の蓋で手元を隠して大急ぎで食べていたという哀しい記憶だけがやけに鮮明だ。

 同じクラスにマサカツちゃんという乱暴で嫌われ者の男子がいて、席替えで隣同士になって我が身の不運を呪ったことがある。
マサカツちゃんの弁当は、いつも麦ご飯に醤油をかけただけでおかずが入っていることは決してなかった。
貧しい生活ぶりを窺うには余りある弁当で、子ども心に私の胸は痛んだ。
お昼になると元気がなくなるマサカツちゃん、彼もまた元祖弁当男子だった。
中学卒業後は離ればなれになったが、一度だけ青森駅のプラットホームでばったりと鉢合わせしたことがある。 

              
              ※
              ※
              ※


 夏休み帰省を終えて東京に戻る途中の私。
一目でそれと判る暴力団構成員風の二人の男と同伴の彼。
互いに時間が止まったかのように5・6秒じっと見つめ合った。
当時から彼の将来を予測してはいたが、見事に的中した衝撃と驚愕。
脳裏に醤油かけ弁当が鮮やかによみがえった。
何か言いたそうにしていたが、急に目をそらし背を向けて去った彼。
でも私はマサカツちゃんの声を確かに聞いた。
そして私の祈りも彼の胸に届いたはずだ.......

毎日旨いモンが食えるようになったから心配するな! 
   おい、俺の分までしっかり勉強しろよ!

マ、マサカツちゃん!命を粗末にしては絶対にだめよ!」 
                           
               (by nihao劇場・青春の門)





谷間のすずらん?

2009-05-17 09:00:00 | おすすめ記事
         



 花壇に咲いているすずらんをコーヒーカップに入れて食卓に置く。
可憐なベルの形の純白の小花から仄かな芳香が漂ってくる。

 五月に咲くのでメイフラワーとかメイブロッサムとも呼ばれている。
花が階段状に並んでついているので『天国への階段』とも呼ばれている。
フランスでは5月1日にはすずらんを贈る風習があるという。
愛らしさとは裏腹に毒性が強く、すずらんを活けた水を飲んだだけで死亡した例があると言うから要注意。
牧草地の牛馬たちも決して食べないという。
そうか.....『すずらん殺人』『すずらん心中』もあり得るのか
すずらんが凶器となるミステリーがあってもいいのに......

 すずらんの英名は『lily of the valley』で谷間の百合のことだが、ではフランスの文豪バルザックの名作『谷間の百合』は、百合ではなくすずらんのことを指しているのだろうか?
疑問に思って調べてみたが、諸説あってよく判らなかった。
原作も読んでいないし......。

 当ブログにおいてバルザックの名前など出現することは二度とないと思うから、この機会を利用して私の大好きなフランス映画【小さな中国のお針子】を紹介。

 中国の田舎に住む文盲の少女が、文革の最中に再教育のため山奥にやってきた二人の青年によって、禁断の海外小説を読み聞かせてもらううちに文字を覚え知識を身につけ、やがてひとりの女性として自立していくというストーリー。
この映画の中で重要なキーワードとなるのがバルザック。
ブックオフのCMではないが、やっぱり「人には本がいる!」
人は物語の中から夢や望みをはてなく汲み出し、生きる力を得てゆくものだ。
なんとも優れた映画.....何度見ても私はシビれる。

 ところで我が家のすずらんが咲く頃には、北海道からアスパラガスが届く。すずらんもアスパラガスもユリ科に属する植物だ。
ひと束5・6本しか入っていない高級野菜だから、普段はお財布の中味と相談しなければ買えない。


  
 

 毎日毎日嬉しいアスパラ料理。
ふんだんにあるのでレシピを考えるだけでも楽しい。
でも急いで食べきってしまわなければ........。
ポタージュスープ、アスパラと鶏肉のグラタン、春巻きなどを作ってみた。
春巻きは、茹でたアスパラとベーコンとスライスチーズを並べて巻いて、多目の油で揚げ焼きし、塩を振って食べる。
ビールに最高!




C調なる人生

2009-04-15 09:00:00 | おすすめ記事
 
        

 久しぶりに二階の大掃除をしたワ。
特に自分の部屋は、ベッドや家具を動かして念入りに。
よくもまあ、こんな埃まみれの中で寝ていたものだと驚く。

 きれいに掃除したのには理由があって.......
美しく若きエンジニア・R君を私の部屋に招待していたから♪
秘密にしていたR君との3年にわたる関係も、残念だけれど今日で終わり。
「奥さん、別れても僕とのことは誰にも言わないで!」
と真顔で念を押されたけれど、そんなこと......私、出来ないわ!

 聞いたことあると思うけれど、我が家はC調率家庭なの。
C調って今では死語になってしまったけれど、音楽用語(C調はハ長調のこと)とも、「調子いい」の「ちょうし」を逆にした言葉とも言われていて、要するにいかに軽薄かということに使われている言葉。
軽薄なる人生」 望むところよ!
R君は我が家の三カ所に測定器を設置して、私がいかにC調に暮らしているかを調査・検分に足を運ぶ青年だった。

 C調率家庭はコンピュータでランダムに選ばれるらしいが、当地の場合なら、140万世帯で200人しか選ばれないから確率にすれば0、00014%。
非常に少ない数字だから、皆さんはC調率と言う言葉を知っていても、身近にC調率家庭に選ばれた知り合いなんていないでしょ?

 C調率を調査するのは、現代日本の文化水準や社会の動静、人気や流行のトレンドを分析する上でも重要な数字らしいけれど、私がその調査の一翼を担っていたという訳。
例えば.......『紅白歌合戦』は年々C調率が下がっているとか
例えば.......『侍ジャパン』決勝戦のC調率は瞬間最高56%だったとか

 ソファに寝っ転がってテレビを見ながらC調に明け暮れていれば世の中のお役に立つのだから、こんなに楽なミッションはなかったわ。
でも、R君が会う度に「僕達の関係はくれぐれも内密に!」と囁いてくるのには、とてもプレッシャーがかかって困ってしまった。
C調率なんて、そんなだいそれたものかしらね?
確実性、信憑性にも疑問は残るし、C調であればあるほど高C調率になるという国民性にも問題があると思うし。

 ところで私、もう最後の逢瀬だから思い切って告白したの。

 「あの~、実は私、C調率家庭に選ばれたの二度目でした。」
そう.......なぜか私はC調率に魅入られた女。
R君ったら、それはそれは目を丸くしてビックリしていたわ。
「奥さん、あなたは実に運のよい人だ!」ってそんな.......

 私はこれですっかり運を使い果たし、宝くじからも当たり馬券からもさっぱり見放されている始末なのよ!


     (注)本文中のベッドルームの写真はイメージ写真です

         

                   



ドラクエや.........

2009-03-06 10:40:00 | おすすめ記事
 .....明け方の夢はワンダーランド.....

 私は幼い息子の手を引いて、長い行列の後に並んだ。
そして何が始まるのか全く分からないまま、体育館の入り口で参加手続きを済ませた。
中に入ってからやっと『全国親子俳句大会』の会場だと知った。
優勝の賞品は新型のゲーム機。
私を見上げる息子の目が「頑張ってね、お母さん!」と訴えている。

 いきなり壇上に俳人の金子兜太さん登場。
「本日の季題を発表します。季題はふたつ。
 ①家族で食べる春の餅 
 ②家族で食べる冷めた餅 
みなさん、私好みの個性的な俳句を作ってくださ~い!」
金子兜太さんのお顔が途中から実父の顔になってしまったが、夢だもの......さもありなん。

 それにしても十七文字中、なんと十二文字が季題。
たった五文字だけを考えればよいというのは楽だが、ずいぶん安直な俳句大会だ。
季題も非凡なわりには平凡な表現で、金子兜太さんらしくないのが疑問。
でも考えたのは夢の中の私だから、このお粗末さは当然と言えば当然だ。

 「お母さん、早くボクの分作ってよ!」
自力で作る気のない息子に、五文字ぐらい自分で考えろと怒鳴りつけたら、すぐに短冊にすらすらと書き始めた。
 ①スライムが家族で食べる春の餅 
 ②ドラクエや家族で食べる冷めた餅 
 
 う~ん、これは凄い! 
夢の中の私はなぜか息子の才能に感服してしまう。
ゲーム機獲得のために、私も頑張らなければならないと思うのだが、失語症になったかのように五文字の言葉が見つからない。焦る、焦る。

 「お母さん、締め切りの時間だよ。早く、早く!」
息子に急かされてやっとひらめいた。
 ①麻生さん家族で食べる春の餅 
 ②小沢さん家族で食べる冷めた餅
含蓄のある時事俳句だなあと我ながら感動して、優勝は間違いないと確信したが.......発表を前にして目が覚めた。

 冷静になってこの夢を分析してみた。
金子兜太さんの元気なお姿は、先日テレビで拝見したばかり。
ドラクエに関しては、ドラクエⅨの発売が気になっている。
麻生さん、小沢さんの名前がとっさに出たのはここ数日来のニュースの影響。

 そして季題の春の餅に関しては.......昨夜、ワールドベースボールの中継に飽きて、チャンネルを『NHKきょうの料理』に変えたところ、中国料理の『春餅(チュンピン)』の作り方が紹介されていて、メモをとりながら熱心に見てしまった。
いつか作ってみよう。冷めても美味しそうだと思ったのだが......

 明け方に見る夢は、日常の延長線上のワンダーランドだ。



流しの下には.........

2009-02-13 11:00:00 | おすすめ記事
         


 『流しのしたの骨』 江國香織 1996年 マガジンハウス

 毎度古い本のレビューばかりで恐縮だが、ブックオフのご都合読者にしてミステリー志向の私は、江國香織の作品に出会うことなど滅多にない。
江國作品としては、これは『冷静と情熱の間』に次ぐ二冊目になる。

 ちょっと風変わりなおかしな家族の物語。
一般的な感覚で捉えると、家族全員がなんらかの病理を抱えた問題人間のような気がする。
長女の離婚、次女の不倫、ニートの三女、長男の中学校停学事件とか、尋常ではない問題が続出するにもかかわらず、家族間のなかでそれが一向に問題として浮上しないところが面白い。
自分と自分の家族を比較して読むと、ついついため息が出る。

 例えば長女の離婚話。我が家の場合なら.......

「ちょっとぉ!離婚されておめおめ実家に帰ってくるなんて何やってんのよ!せっかくいい旦那見つけたのに......あんたみたく料理下手、金遣いは荒い、旦那の世話もせず好き勝手放題していたらいずれこうなるのは当然よ!馬鹿!しっかり反省して早く次の旦那見つけてきなさい!」
と、絶叫と感嘆符だらけのひと騒動になることは間違いない。

 しかし江國作品は.......

「食事はなごやかにすすんだ。そよちゃんには誰もおめでとうとは言わなかったけれど、そよちゃんがそこにいることを、誰もが喜んでいた。家族が再び揃ったことの、単純な喜びと幸福なあたたかさのようなもの。....(略).....父はワインをおいしそうに飲んでいた......」

 鼻息を荒げず、汗もかかず、恨みや怒りの感情とも無縁で、体臭のようなものが全く感じられない家族たちだが、ひとりひとりの存在感は不思議と強烈で印象深い。
熱狂的なファンがたくさんいる江國作品の世界を、ちょっとだけ垣間見せてもらった。

 ところでタイトルの『流しのしたの骨』が気になる。
流しの下には、なにか得体の知れないものが死んでいたり、湿気と悪臭と暗闇を栄養にした怪物が、静かに育ったりしているのではないだろうか?





 写真は、我が家の『流しの下のじゃが芋
忘れていたのか忘れているふりをしていたのか定かではない。
いやなもの、見たくないものはみんな流しの下に押し込めばいいさ。
でも時々取り出して確認しなければならないという教訓。



駅伝選手

2009-01-09 10:00:00 | おすすめ記事
 隣家の奥様が
「甥っ子が正月休みで遊びにきているから顔を見に来ない?」
と言ってくれた。
嬉しくて一瞬にして顔がほころんでしまった私。

 以前から私は隣家の甥っ子K君の大ファンだ。
私がK君に夢中なことを知っている隣家の奥様は、K君が休日帰省する度になにかと気遣いしてくれる。
夏には.......玄関のチャイムが鳴って扉を開けたら、両手にいっぱいのトウモロコシを抱えてにっこり笑ったK君が顔を出し......嬉しくて幸せいっぱいになったことがある。

 K君は現在、箱根駅伝常連校の陸上部員。
高校時代から駅伝の花形選手として有名だったが、隣家の甥っ子君であることを知ってからはますます応援に拍車がかかった。
高三の冬には、どこの大学に進学するのだろうかと、自分の子どものことのように気がかりだった。

 はたしてK君は入部1年目の箱根駅伝から、スーパールーキーとの鳴り物入りで登場し大いに私を喜ばせてくれた。
しかし彼は......1年目も、そして雪辱を誓った2年目も納得する結果を残すことが出来なかった。
毎日苛酷な練習をこなし、この日のために努力してきただろうと思うと、テレビの前の私も切なくて涙が滲んだ。

 今年も正選手として出場するだろうかと心配しながら、事前発表されたオーダー表で確認したら補欠選手の欄に彼の名を見つけた。
一縷の望みを抱きながら観戦していたが、往路・復路とも彼の登場は適わなかった。
新人の台頭、才能のせめぎ合い、自己との闘い......激しい競争社会の中で自分のポジションを獲得し続けることは並大抵の苦労ではないだろう。
厳しい日々の連続だったろうと想像すると胸が痛む。
 
 さてK君は、隣家の前の道路で元気にウォーミングアップをしていた。
これから近所を走ってくるという。
プレッシャーをかけるような応援は絶対にするまいと思っていたのに
「来年は頑張ってね!」
と、つい余計なことを口走ってしまって自己嫌悪に陥った。

 彼の着ているウインドブレーカーの背中
     【 TOYO・UNIV 】
今年彼の大学は、凄絶な死闘を繰り返し劇的な総合初優勝を遂げた。
K君は白抜きのロゴを一段と眩しく誇らしく左右に揺らしながら、風のように走り去って行った。


恋愛小説

2008-12-25 11:45:07 | おすすめ記事
 
         


 年末年始用の本を例のごとくブックオフで調達してきた。
そんな......本なんか読む暇あるのかよって? ある!
賢夫人(?)は、大掃除や正月の準備などにあたふたしないものである。
慌てる主婦にも慌てない主婦にも等しく新年はやってくる。
どっしりと構えていれば、そのうち難局は過ぎ去るであろう。

 ところでとても悲しいことに、いつも行くブックオフの100円コーナーのミステリー小説が激減している。
私が買い占めてしまったせいか恋愛小説しか残っていない。
来年からは小さい活字の文庫本で我慢しなければならない。

 恋愛小説と言えば、誰にでも忘れられない珠玉の名作があるはず。
古今東西の恋愛小説、ざっと思い出してみよう。
古くは.....シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』、トルストイの『アンナ・カレーニナ』、ツルゲーネフの『初恋』とか
夏目漱石の『それから』、樋口一葉の『たけくらべ』、谷崎潤一郎の『痴人の愛』とか
近年では....R・J・ウォラーの『マディソン郡の橋』、村上春樹の『ノルウェイの森』、江國香織・辻仁成の『冷静と情熱のあいだ』とか
さて、あなたのオススメの恋愛小説は?

 私の至宝の一冊はやっぱりこれ!


             

 原田康子作『挽歌』 
昭和31年12月に初版が出版されている。
題字が伊藤整氏によるお仕事だったことは、今初めて知った。
私の手元にあるのは32年9月125版だから、当時この本がいかに売れていたかよくわかる。
もう茶色く変色しているが、今でも時々手にして読み耽ることがある。

 初めての出会いは中学1年の時。
それまで私の読む本は父親が用意してくれたが、それが壺井栄の小説ばっかり。
世の中には壺井栄の小説しかないのだろうかと訝しんだ私が、初めて自分で図書館に行って出会った衝撃の一冊だった。

戦後10年しか経ていないのに、このおおらかさ、みずみずしい感性と文体!
これからはこのような常識や倫理に囚われない新しい形の恋愛小説を読むことができるのだ!.......と、こんな生意気なことを中1の私が考えたかどうかは定かではないが。

 この不倫小説は親に隠れてこっそり読んだ。
結局は兄に見つかって「このバンカ(馬鹿)モノ!」と叱られたけれど。