日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

星美学園短期大学日伊総合研究所主催公開講演会「イタリアの芸術とフロイトの精神分析」に行ってきました(2016.7.30)@星美学園

2016年08月05日 | イタリア関連の催し
星美学園短期大学日伊総合研究所主催公開講演会「イタリアの芸術とフロイトの精神分析」に行ってきました(2016.7.30)@星美学園



さて今年の日伊総合研究所主催公開講演会はフロイトのお話とあって 先般LCIのイタリア文化セミナーで受けた 氷山のイラストその他でざっとフロイトについて調べてから サークルの会員さんと聞きに行ってきました:

講師は 京都大学大学院教授 岡田温司先生です 今回の講演はご著書「フロイトのイタリア-旅・芸術・精神分析」に基づいているとのことでした

オーストリアのユダヤ人である精神分析学者 ジークムント・フロイト(1856-1939)が 1895年から1900年にかけて度々旅行したイタリア その旅の軌跡を詳しく追いながら 1895年当時まではヒステリー研究等 神経生理学を研究していた彼が 1900年頃からは「夢判断」で知られた精神分析で 精神分析学者として有名になっていった そのきっかけについてお話してくださいました

父親は敬虔なユダヤ教徒でしたが 彼は骨董品収集が好きで 偶像崇拝を禁じたユダヤ教に反しているためか のちにダビデ像の前に立った時にうしろめたさを感じたとのこと

1897年の3度目のイタリア行きで 直前まで行きながらローマには行かずにオルビエートで引き返し のちにローマの遺跡のある他の街を訪れますが これは「代理による願望成就」というのだそうです 

彼はローマで人生を終えたかったにもかかわらず ムッソリーニの台頭によりそれがかなわず 1939年ロンドンでその人生を終えます 

このローマへの逡巡(欲望と恐怖)を 1901年の初のローマ行きを果たして乗り越えた時の喜び これはコンプレックスを克服した旅であること等も ベルリンの医者フリースに宛てた手紙等で詳しく説明してくださいました 
このローマ行きでもって 彼は「夢判断」を完成させた(1901)というわけです
 
また 無意識とその抑圧について エディプス・コンプレックスについて そして最後は ミケランジェロとダ・ヴィンチの作品をフロイトがどう判断したかについて とても興味深い説明をしてくださいました 

ルーブルにあるダ・ヴィンチの「聖アンナと聖母子」 そして「モナリザ」 「洗礼者ヨハネ」この3作品は ダビンチが亡くなるまで手放さずに側に置いていた作品であり 主人公たちの顔は実によく似ています 

これは 息子を捨てた実母への体験がダビンチの無意識の中に残っており 母の面影を追想しているのではないか という解釈とのこと ← そういえばよく似ていますよね...ダ・ヴィンチの自画像とも共通する点がある という研究もありましたしね...

ミケランジェロについては 「モーセ」像(ローマのサン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会)について モーセの右手が なぜこのような形(人差し指でひげの2房めを抑えている)になり また「偶像崇拝するイスラエルの民に激しく怒り 持っていた『十戒』の石板を投げつけて砕いた」というエピソードでの 「どの瞬間」を表した作品であるかについて 詳細で興味深い解説を聞かせていただきました ただ 事実はつきとめようがないとのこと

フロイトについて 大変興味深いお話を聞けて 少し身近になった気がしました 

素晴らしい公開講演会を開催してくださいました 星美学園短期大学日伊総合研究所様に 心よりお礼申し上げます

公開講演会のお知らせは こちら


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他にも色々な公開講座が開かれています 

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コメント (2)
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