日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

ボッティチェリ展&イブニング・レクチャーに行ってきました(2016.2.5)@東京都美術館

2016年02月07日 | イタリアの美術館・博物館
ボッティチェリ展(Botticelli e il suo tempo)&イブニング・レクチャーに行ってきました(2016.2.5)@東京都美術館


金曜の夕方に行って「ボッティチェリ展」をゆっくり鑑賞し(もうカラヴァッジョ展の看板が!!) そのまま18:30から講堂で「イブニング・レクチャー」で見どころを聞きました 
金曜は夜8時までなので 夕方の美術館巡りもあまり混んでいなくて風情があっていいですね~ 

2015年に「ボッティチェリ展」(Bunkamura)「ウフィツィ美術館展」(2014年)もあり サンドロ・ボッティチェリ(1444/45~1510)の作品も沢山来ていましたが 今年は日伊国交樹立150周年記念とあり イタリア政府の協力を得て世界から21作品が集い壮観でした!
今後何十年と日本では見られない規模の展覧会」(朝日新聞記念号外)とのこと

見に行く前に「週刊 西洋絵画の巨匠12 ボッティチェリ」を読んでおき 当日も持参しました(家系図や年表や絵の説明を参考にしながら...)

フィレンツェ(メディチ家を中心に) フィリッポ・リッピ ボッティチェリ フィリッピーノ・リッピの4部構成からなり 物語画 肖像画 聖母子像 宗教画のカテゴリーがあります

    
     *      *        *
 

第1章「ボッティチェリ時代のフィレンツェ」
は メディチ家のコレクションや胸像などが展示されていますが 入ってすぐ右に「ラーマ家の東方三博士の礼拝」がありました

これは右端にボッティチェリの自画像が描かれていることでも有名な大作ですが ロレンツォ・イル・マニフィコ 祖父コジモ・イル・ヴェッキオ 父ピエロ・イル・ゴットーゾその他も配置されており興味深く この日は初めて注文主であるラーマ(金融業者)が右端の上の方に描かれていると知り 当時は自分の名声を高めるため自画像を描きこませたのだとわかりました 

またピラミッド型の構図も自然と聖母マリアに視線が行くようになっているのですね この絵好きです(^_^)

真ん中では ロレンツォ・イル・マニフィコの胸像が存在感ありましたね ~ 


第2章 「フィリッポ・リッピ、ボッティチェリの師
」は ボッティチェリが弟子入りしたフィリッポ・リッピの初期作品群です

ボッティチェリは 1460年 15,6才でこの工房に弟子入りし その後1467年に ヴェロッキオ工房に助手あるいは協力者として参加します
ヴェロッキオの「キリストの洗礼」(今回来日せず)という絵の左に描かれた二人の天使は 左がダ・ヴィンチ 右がボッティチェリの筆によると聞きました 同じ時代にこの二人が出会ったことの証明ですね 


第3章 「サンドロ・ボッティチェリ、人そして芸術家
」 ここでははいよいよ目玉作品が目白押しです

薔薇園の聖母」背景の赤い薔薇が印象的なこの絵では キリストが手にするざくろは復活を意味します

書斎の聖アウグスティヌス(あるいは聖アウグスティヌスに訪れた幻視)」  これは「剥離されたフレスコ画」(フィレンツェのオンニサンティ聖堂)です ←よく破損させずに...と感心!

左側には「書斎の聖ヒエロニムス」が対で配置されていたそうですが 聖人が座る書斎には 科学の進歩を示す天球技 幾何学書などが描かれており 本によると壁画の依頼主が アメリゴ・ヴェスプッチ(新大陸の名前の由来となった航海家)が一族にいるヴェスプッチ家であったことからではないかとのこと (神の摂理を説く聖人の部屋に 機械時計や幾何学書や天球儀などがあるのは矛盾しているようですが そういうわけですね)

そして「聖母子(書物の聖母)」(ミラノ、ポルディ・ペッツォーリ美術館)
流麗で緻密な線描は代表作「ヴィーナスの誕生」と同じ1480年に描かれた作品とされています
書物はイザヤ書 茨の冠と3本の釘を手にする幼子キリスト これは受難の具でありキリストの将来を憂いて目を合わせられない聖母マリア 工芸品のように繊細な線描は 兄のもとで金細工の見習いをしていたことが影響しているそうです まさに円熟期の一作ですね
 
チラシの表紙にも使われているこの絵の 聖母マリアの碧いマントにはラピスラズリがふんだんに使われており 金も描かれております ボッティチェリの絵の特徴は輪郭線を描くことで ダビンチ等のスフマート(ぼかし)技法とは異なります 

美しきシモネッタ」(日本、丸紅㈱)日本にある唯一のボッティチェリの絵です
当時絶世の美女と謳われたシモネッタ・ヴェスプッチがモデルとされていたのですが メディチ家の二男ジュリアーノと恋に落ち ふたりとも若くして亡くなったことから伝説化しています
写真等ではわかりずらい 袖の上の透明なレースの覆いの繊細さ等もご堪能ください


胸に手をあてた若い男の肖像」がそのむかいにあり意味深です( *´艸`)
少し傾けた顔はボッティチェリの手法で おそらくは婚約のための肖像画とのこと
この絵は 2月25日(木)までの限定公開です!!


また急きょ来日が決まったという晩年の傑作「アペレスの誹謗(ラ・カルンニア)」にはサヴォナローラの影響が見てとれますし サヴォナローラへの誹謗への抗議とも見てとれるとのこと
この絵は 「誹謗」(中央のたいまつを持つあおい服の女)が「無実」(裸の少年)の髪をつかみ 「不正」(王座に座る男)のもとに引き連れてゆく様を描き 左端では「真実」(裸体の女性)が嘆く というように10人の登場人物がすべて擬人化されています  

1498年 サヴォナローラが処刑され パトロンたちも凋落してゆき 晩年は孤独と貧困のうちに1510年にその生涯を終えたボッティチェリの遺体は オンニサンティ聖堂の墓地に埋葬されます...

最後の頃描かれた作品のひとつ 「オリーヴ園の祈り」は 主要なものを大きく描くという中世の手法に戻っています 



第4章 「フィリッピーノ・リッピ、ボッティチェリの弟子からライバルへ
」は フィリッポ・リッピの息子で 弟子でもあった フィリッピーノ・リッピの作品です

聖母子、洗礼者聖ヨハネと天使たち」(コルシー二家の円形画)はトンド(円形画)で2メートルと大きく ボッティチェリの影響と独自の画法が混在しています 

足から吊り下げられた男」はジュリアーノ暗殺の首謀者を逮捕し 逆さ吊りの刑にかけたシーンを描いたものとのこと

グロテスクはグロッタ(洞窟)から派生した言葉なのですね!

やっぱりでもボッティチェリの最盛期の美しい肖像画が一番好きだなぁ~(*´ω`*)
晩年変わってしまって残念ですが... 合計78点とこれだけたくさん観られて満足です!!

     *      *        *


<ルネサンスとは>

ルネサンス(ルネッサンス)は、「再生」を意味するフランス語であり、美術史上では、15世紀のイタリア半島における古代ギリシャ・ローマ文化の再生を指します。この機運はフィレンツェで誕生して発展、開花したのです。

古来の古代ギリシャ・ローマ時代の美術が、ギリシャ神話などの神々を描いたのに対して、ルネサンスの美術では感情を備えた人間を描くようになったのです。この意味において「再生」と称されているのです。

展示作品紹介は こちら

<開催概要>

展覧会名 『ボッティチェリ展
開催会場 東京都美術館 (東京都台東区上野公園8-36)
開催期間 2016年1月16日(土)~2016年4月3日(日)
公式ホームページ http://botticelli.jp/

ボッティチェリ展のお知らせは こちら


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