私が2007年に上梓した『心の哲学への誘い』は非常に読みやすい上質の啓蒙書である。
この本は言うまでもなく心の哲学への入門を狙ったものであり、その概略と根本と諸問題を取り扱っている。
まず、「心の哲学」の西洋哲学史における生成過程とその本質の定義から始まって、心身問題の哲学としての位置を明らかにしている。
それから、臨床医学への応用、クオリアの問題、生命論との関係、自由意志の問題、脳科学との関係をそれぞれ考察している。
四六版で170ページあまりのこの本は、読み通すのも容易で、心の哲学への最高の入門書となっている。
また、英米の心の哲学の方法に偏向しないで、アリストテレス、ジェームズ、プラグマティズム、現象学などの視点も取り入れている点も優れている。
各章の末尾に付された練習問題を解いてみるのも大変楽しい。
なお、本書は畿央大学の国語の入試問題に出典引用され、大阪府立大学の学生推薦図書となっている。
とにかく、優れた心の哲学への入門書であり、「心とは何か」「自分って何?」という、とかく逃げ出したくなる問題に取り組むためのヒントを与えてくれる。
そう、多くの人が手を付ける手立てをもちにくい「心」の本質、「精神」の問題の理解と解決の手がかりを与えてくれるのである。
価格も1900円と安いし、買わなきゃ損でしょ!!