(1)イスラエルの自衛権を容認する米バイデン大統領がイスラエルとハマス戦闘で民間人の犠牲が増えていることに懸念を示して、イスラエルに休戦を求めてもネタニヤフ首相は応じる気配もなく避難民の集中するガザ南部のラファ攻撃を開始すると言明している。被害のさらなる拡大が懸念される。
(2)そうしたネタニヤフ首相に業を煮やしたか、米上院民主党トップのシューマー院内総務が上院議場での演説でネタニヤフ首相を非難して新たに総選挙を実施するよう(報道)呼びかけた。米国議会の要人が米議会で他国の政権交代を求める総選挙の実施を呼びかけるなどとは露骨な内政干渉、越権行為であきらかにいきすぎた発言だった。
(3)米国のイスラエルのガザ地区戦闘が思うように収束しない「いらだち」、ジレンマであり、11月の米大統領選を控えて米国民の不満を考えての民主党院内総務の発言だろう。米国が中東から撤退したことによりイスラエルは中東諸国との連携強化、独自の路線を進めて米国と距離を置き始めて両国関係は険悪になり、バイデン大統領の休戦意向にもイスラエルは応じていない。
(4)岸田内閣支持率の低迷が長引き、これまでの自民党であれば「岸田おろし」が始まって政局は慌(あわただ)しくなり政権交代で国民批判をかわすところだが、党内も派閥幹部も含めた90名近い議員の裏金問題で混乱が続いており、岸田首相に代わる政権交代の動きはまったくみられない。
(5)岸田政権は内閣閣僚、党役員、子息秘書などの不祥事が続き、辞任、更迭が相次いで任命責任が問われて支持率10%台もある低迷が続いており、すでに政権維持の危険水域を下回っているともいわれる。最大派閥であった安倍派の首相候補の後継会長が決まらないこともあり、その他有力候補者も内閣、党執行部に取り込まれて動きが自由にとれずに声を上げられない政局だ。
(6)日本こそ、どこかの国から総選挙で政権交代を求められてもおかしくない政治事情だが、岸田首相もやりたい、やりたい解散総選挙だが今の政治状況、政局ではそれもできない封印された状況にあるジレンマだ。
4月の国政3補選も自民党にとっては大苦戦は必至で、岸田首相は4月の国賓待遇での訪米後の解散総選挙も示唆されているが能登地震復旧もありそんな政治、社会状況にはない。このまま9月の自民党総裁選までもつれ込む様相がみえて、岸田首相(総裁)が再選を目指して党内をまとめきれるのかは予断を許さずに政局は流動的とみる。岸田首相のジレンマだ。
(7)現在自民党支持率と立憲支持率が競り合う状況にあり、野党の結集、結束にも注目はある。