こぶとりばばぁの鬼退治日記

ぶっそうな題名でスミマセン。

新田次郎

2010-06-18 20:41:11 | 自己満足
二度も登山鉄道でユングフラウヨッホに行き、途中のクライネシャイデックで新田次郎の記念碑を見たにもかかわらず、全く新田次郎の作品には興味がなかった。いや、興味がなかったんじゃなくて、怖くて読めなかったのよねぇ。高校生のとき、学校で映画『八甲田山死の彷徨』を観させられて、あれ以来山の恐怖がトラウマになってしまい…。だって本当に怖かったもん!

ところが図書館である本を探していたところ、偶然新田次郎の本棚に目が留まった。それでアルプスの山を愛した作家を思い出し、題名が一番怖そうじゃない『アルプスの谷 アルプスの村』を手に取った。50年くらい前に新田次郎が訪れたアルプスの情景が描かれていた。驚いたことに、行ったことのあるモンブラン、マッターホルンやユングフラウヨッホの描写が、映像のように思い出すことが出来るんですよぉ~。と言うことは50年前の情景が現在とさほど変わらないと言うことのなのか?
まぁ、作家だから当たり前っちゃ当たり前なんだけど、描写がやっぱスゴイなぁ~と感動。
アイガーの岩壁を見たときに、
「その巨大な山は地球の骨の露出部分だった。地球の骨格の一部が、太陽と風雪に磨かれて天に向かって呪いをあげているようだった」
と描かれていて、凡人の私は「そう!そう!その通り!」と代弁してもらったようで今さらながら感動してしまった。
さて、この本、なんで『アルプスの山』ではなくて『アルプスの谷 アルプスの村』なんだろう?と思っていたら、アルプスの谷や村の生活が、新田次郎の故郷に似ていることと、山々を支える谷や村に山以上に惹かれたと書かれていたので合点した。また記念碑がフランスでもイタリアでもなくスイスにあったのも、これを読んで納得した。
スイスが自然のままで美しいのではなく、人の手によって美しく保たれているのも、以前何かTVで観たことがあったけど、新田次郎もそのことを50年前に発見している。やはり自然と人が融合した美がスイスにはあるんだと思った。私もそこに惹かれているんだとあらためて実感いたしました。

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