こぶとりばばぁの鬼退治日記

ぶっそうな題名でスミマセン。

再び、外山滋比古

2016-11-17 22:26:57 | ひとりよがり
今日も、外山滋比古の『「人生二毛作」のすすめ』より引用させていただきます!
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もうひとつ、年寄りが得意とする感情の処理方法があります。ものごとの半面だけを見ることをこころえているのです。
 陰と陽があれば、陽のほうを見る。凸凹があれば、凸のほうだけに目を向ける。楽観と悲観があれば、楽観のほうに心を向ける。
 こんな半面的なものの見方に自分につごうよくできるのが、老年ならではの技です。年をとってくれば、世の中、酸いも甘いもある、森羅万象に陰陽あり、人生もあざなえる縄のごとしと、いいもわるいも両面あることを知っています。
 血気盛んな若者はそれを矛盾と考えたり、世の不条理と感じたりします。しかし、おとなはそれが人生だと考えます。だから、自分に都合のいいほうだけを見ておけばよい、と達観できます。
 目を向けない、もう一方の半面をさっさと忘れることができるのは、ご都合主義のたまものです。ご都合主義をうまく身につけると、世の中はおのずと違ってきます。
 あれは、こうだろう。これは、こうなるはずだ。そんな未来形の考えが多くなってくるのです。あのとき、ああすればよかった。なんで、こうなんだ。そんな過去形が陰をはらむのです。
 つまりできるだけ未来形を心がければ、楽観的な人間になれるということにもなります。「過去」と「現在」は捨てるべし、です。

 人生、一喜一憂が当たり前です。老後の技「半面主義」でいえば、「一喜」のほうだけを心にとどめるほうが、たのしい生活になります。
 自分の人生が、幸か不幸か、それをきめる半分は主観です。残りの半分が客観ですが、その客観は、えてしてまわりの思惑だったりします。そんなのもに、自分の視座を置くことはありません。
 主観的に幸福と思えば、それが幸福です。
『「人生二毛作」のすすめ』 外山滋比古