■10月19日の『フォーサイト』に掲載されたジャーナリストの藤田洋毅氏「尖閣問題“燎原の火”を点けた「酒乱船長」の暴走」というルポの最後部になります。
……日本は、1972年の国交回復交渉のときから一貫して「日中に領土問題は存在しない」と主張してきた。だが1978年、小平は来日する直前に100隻以上の、まさに海上民兵を乗せた漁船を尖閣諸島周辺に送り出して領土問題の存在をアピール。福田赳夫首相(当時)との会談で、は「大局を重んじよう」と呼びかけて煙に巻き、その後の記者会見において「我々の世代は知恵が足りない。我々より聡明な次の世代は、みなが受け入れられる解決策を見出し解決してくれるだろう」と述べ、棚上げ論を展開したのだった。「公式の会談で持ち出した話ではない。記者会見での発言にいちいち反論する筋合いもないと、外務省は判断したが……」と先の外務省元高官は述懐した。の時代から、日本の政権が自民党か民主党か、首相が誰かとは関わりなく、中国の立場は一歩も後退していないという事実を見逃してはならないのである。……
■今回の尖閣衝突事件の直後にも、北京政府から「棚上げ論」を再提案する動きがあったようですが、小平の策に乗せられて無為に過ごした30数年間が尖閣周辺と東シナ海の勢力図をどのように変えてしまったのか?またまた「棚上げ論」で手詰まりの日本政府に甘い罠を仕掛けて時間稼ぎをしようとは、よほど北京政府側も困っているのでしょうし、日本は相変わらず舐められ続けているようです。
「もっと大切なのは」と先の中堅幹部は、一段と力を込めた。「事件を通じ日本の“野心”があらわになった以上、我が国も真剣に対日領土政策を見直さなければならないとの議論が党中枢で起きている。焦点は、の棚上げ論の有効期限は過ぎたのではないか、もはや現状維持政策は持続不可能ではないのか――だ」。……実は温家宝首相は2年ほど前から以来の戦略を調整する意向を示し、着々と策を練っている。「釣魚島の領有権では後退しない原則そのものは不動だが、今回の事件を受け新たな戦略に基づく政策を急ぐ可能性が出てきた」というのだ。この中堅幹部や先の国務院幹部ら複数の当局者は「釣魚島領有権に関する温首相の3段階戦略」と称した。「温の指示に基づき」国家発展改革委員会・外交部に加え軍総参謀部が軸となり、具体策を煮詰めているという。……(了)
■胡錦濤国家主席の時代が間も無く終わるので、引退後の身の安全を確かなものにするためにも温家宝首相としては軍部にオベッカを使わねばならないのでしょうが、尖閣諸島を領有化する悪企みに「軍総参謀部」が一枚噛んでいるというのは実に不気味な話であります。一説には急速な経済成長の中で人民解放軍OBの天下り先が無くなって一種の厄介者扱いされているという話があるようですが、尖閣諸島を突破口にして東シナ海の海産資源と地下資源の利権をがっちり固めて軍からの天下り先にしてしまおうと参謀達が切歯扼腕しているとしたら、何とも物騒な話であります。
■今年も残すところ2箇月となりました、とラジオもテレビも年の瀬の口上を一斉に始めた11月1日。年賀葉書も売り出され、今年からはネット画面で作った年賀状を郵便局が配達してくれるという便利なのかまどろっこしいのか分からないサービスが始まるとか……。そんな年の瀬に向かう世情に乗ってか、はたまた秋の日暮れみたいに釣瓶落とし状態の内閣支持率に慌てたからか、すったもんだの末に問題の尖閣衝突事件の編集ビデオが定員30名様に限って国会内で公開されたそうです。何を今更という声が多いのですが……。
……衝突事件のビデオ映像の視聴が、1日午前8時から国会内で行われた。ビデオは海上保安庁の巡視船が撮影したのを、那覇地検が約7分に編集、衆院に提出した。政府関係者を除くビデオの公開は初めて。視聴した国会議員によると、中国漁船が巡視船「よなくに」と「みずき」にそれぞれ衝突してくる様子が映し出されていた。漁船の甲板上では、船長とみられる男ら数人のうちの1人が片手の中指を突き上げるなど、日本側を挑発するような行動をとっていた。
2010年11月1日 産経ニュース
■「其の九」で取り上げた『週刊新潮』10月21日号の内容が真実だったのは目出度いことですが、半月前に分かっている話を今頃になって公表しても後の祭りというものであります。日本の公安から重要資料がファイル交換ソフトに乗ってネット上に漏れ出したそうですから、いっそのこと2時間版の衝突ビデオも事故に便乗して流してしまったら如何でしょう?流出源が特定できないことにして、今度は那覇地検のような可哀想な生贄を作らず、菅アルイミ内閣は間抜けで無能な被害者面をしてしらばっくれていれば良いかも?
……日本は、1972年の国交回復交渉のときから一貫して「日中に領土問題は存在しない」と主張してきた。だが1978年、小平は来日する直前に100隻以上の、まさに海上民兵を乗せた漁船を尖閣諸島周辺に送り出して領土問題の存在をアピール。福田赳夫首相(当時)との会談で、は「大局を重んじよう」と呼びかけて煙に巻き、その後の記者会見において「我々の世代は知恵が足りない。我々より聡明な次の世代は、みなが受け入れられる解決策を見出し解決してくれるだろう」と述べ、棚上げ論を展開したのだった。「公式の会談で持ち出した話ではない。記者会見での発言にいちいち反論する筋合いもないと、外務省は判断したが……」と先の外務省元高官は述懐した。の時代から、日本の政権が自民党か民主党か、首相が誰かとは関わりなく、中国の立場は一歩も後退していないという事実を見逃してはならないのである。……
■今回の尖閣衝突事件の直後にも、北京政府から「棚上げ論」を再提案する動きがあったようですが、小平の策に乗せられて無為に過ごした30数年間が尖閣周辺と東シナ海の勢力図をどのように変えてしまったのか?またまた「棚上げ論」で手詰まりの日本政府に甘い罠を仕掛けて時間稼ぎをしようとは、よほど北京政府側も困っているのでしょうし、日本は相変わらず舐められ続けているようです。
「もっと大切なのは」と先の中堅幹部は、一段と力を込めた。「事件を通じ日本の“野心”があらわになった以上、我が国も真剣に対日領土政策を見直さなければならないとの議論が党中枢で起きている。焦点は、の棚上げ論の有効期限は過ぎたのではないか、もはや現状維持政策は持続不可能ではないのか――だ」。……実は温家宝首相は2年ほど前から以来の戦略を調整する意向を示し、着々と策を練っている。「釣魚島の領有権では後退しない原則そのものは不動だが、今回の事件を受け新たな戦略に基づく政策を急ぐ可能性が出てきた」というのだ。この中堅幹部や先の国務院幹部ら複数の当局者は「釣魚島領有権に関する温首相の3段階戦略」と称した。「温の指示に基づき」国家発展改革委員会・外交部に加え軍総参謀部が軸となり、具体策を煮詰めているという。……(了)
■胡錦濤国家主席の時代が間も無く終わるので、引退後の身の安全を確かなものにするためにも温家宝首相としては軍部にオベッカを使わねばならないのでしょうが、尖閣諸島を領有化する悪企みに「軍総参謀部」が一枚噛んでいるというのは実に不気味な話であります。一説には急速な経済成長の中で人民解放軍OBの天下り先が無くなって一種の厄介者扱いされているという話があるようですが、尖閣諸島を突破口にして東シナ海の海産資源と地下資源の利権をがっちり固めて軍からの天下り先にしてしまおうと参謀達が切歯扼腕しているとしたら、何とも物騒な話であります。
■今年も残すところ2箇月となりました、とラジオもテレビも年の瀬の口上を一斉に始めた11月1日。年賀葉書も売り出され、今年からはネット画面で作った年賀状を郵便局が配達してくれるという便利なのかまどろっこしいのか分からないサービスが始まるとか……。そんな年の瀬に向かう世情に乗ってか、はたまた秋の日暮れみたいに釣瓶落とし状態の内閣支持率に慌てたからか、すったもんだの末に問題の尖閣衝突事件の編集ビデオが定員30名様に限って国会内で公開されたそうです。何を今更という声が多いのですが……。
……衝突事件のビデオ映像の視聴が、1日午前8時から国会内で行われた。ビデオは海上保安庁の巡視船が撮影したのを、那覇地検が約7分に編集、衆院に提出した。政府関係者を除くビデオの公開は初めて。視聴した国会議員によると、中国漁船が巡視船「よなくに」と「みずき」にそれぞれ衝突してくる様子が映し出されていた。漁船の甲板上では、船長とみられる男ら数人のうちの1人が片手の中指を突き上げるなど、日本側を挑発するような行動をとっていた。
2010年11月1日 産経ニュース
■「其の九」で取り上げた『週刊新潮』10月21日号の内容が真実だったのは目出度いことですが、半月前に分かっている話を今頃になって公表しても後の祭りというものであります。日本の公安から重要資料がファイル交換ソフトに乗ってネット上に漏れ出したそうですから、いっそのこと2時間版の衝突ビデオも事故に便乗して流してしまったら如何でしょう?流出源が特定できないことにして、今度は那覇地検のような可哀想な生贄を作らず、菅アルイミ内閣は間抜けで無能な被害者面をしてしらばっくれていれば良いかも?