民主党が新政権に向けて動き始めた31日は、国の各省庁が、来年度予算の「概算要求」を財務省に提出する締め切りと重なった。予算の大幅な組み替えを主張する同党が衆院選で大勝したという現実を前に、官僚たちの間には「新しい大臣は、どんな指示を出すのか」と動揺が広がっている。「これまでは大臣から何か言われても、自民党の族議員の先生が守ってくれた。でも、もはや通用しない」
■政・財・官の鋼鉄のトライアングルを節目節目で組み立てていたのが族議員で、官僚の思惑と財界の注文を聞いて回り、政府を動かして見せれば票とカネが転がり込む仕組みに多くの国民は嫌気がさしています。その嫌悪感と不信感の矛先は厚労省を筆頭に各省に向かってはいますが、官僚中の官僚と自他共に認める旧大蔵省(現財務省)にも、バブル時代からの長い長い恨みが全国から吹き寄せているはずです。財政再建の看板に隠れて税金の無駄遣いを続けて来たからこそ800兆円の大借金と呆れるほど長い不況とデフレが続いているのでありましょうからなあ。
2兆9480億円の概算要求を提出した農林水産省。あるキャリア官僚は「マスコミが民主党の圧勝を予測していたので、選挙結果にはそれほど驚かなかった」と冷静を装いながらも、「どのような影響が出るのか、わからない部分がある」と不安を口にした。例年なら、概算要求の提出前に、自民党農水族に説明して「お墨付き」をもらうのが慣例だったという同省。それが今年は議員が皆、衆院選準備で地元に帰ってしまい、事前の根回し抜きの予算要求になった。ある幹部は「これから自民党に説明していいのかどうかもわからない」と困り果てた表情。
■その農水族の大物が揃って落選しているようですから、説明しようにも相手を探すのが大変なはずです。農林水産業に従事している人達が今回ばかりは自民党を見限って民主党に投票したと伝えられていますから、国民の怒りは族議員を落選させることで議員を楯に使って農政の失敗を認めない役所に向かっているのでしょう。でも、民主党の所得補償制度には強い毒性が認められていますから、新たなバラマキ農政でますます日本の農業が衰退してしまうのが心配です。
概算要求を巡っては、民主党の圧勝が決まった直後のテレビ番組で、同党の菅直人代表代行が31日の要求の提出に触れ、「(各省庁が)『今さら変えるのには時間が足りません』と言ってくるのは目に見えている」と話した。財務省は当初、31日午前には、写真撮影のため報道機関に概算要求の様子を公開する予定だったが、この菅代行の発言を受けて急きょ中止に。例年、予算査定作業がスタートする31日に開いている主計官会議も取りやめになった。
■弱い者には横柄に、強い者には卑屈に接する役人根性が素直に出ているようです。「時間が足り」なくなったのは、麻生コロコロ首相が解散時期を先延ばしし続けたからで、嗅覚が鋭い官僚群は先を読んで人事も予算も滑り込みセーフを狙ったのでしたが……。
国土交通省も6兆9506億円もの概算要求資料の端々に配慮をにじませた。その一つが、国の公共事業費の一部を地方自治体が負担する「直轄事業負担金」。同党はマニフェストで廃止を訴えているが、同省は要求に「直轄事業等に関する検討」という項目を盛り込み、「今後、必要な検討を行い、適切に対応していくこととする」との一文を加えた。しかしダムなどの公共事業については従来通り要求しており、ある幹部は「今のままじゃいけないが、政権が決まらないと、どう変えられるかわからないので」と玉虫色の表現を解説した。
8月31日 読売新聞
■「必要な検討」「適切に対応」などという役人の作文を、これまでに何回、首相の所信表明演説や各大臣の国会答弁で聞かされたことでしょう?政策も原稿も役所に丸投げして政府の統治力を衰えさせてしまったことが自民党が犯した最大の罪ということになりそうです。
■政・財・官の鋼鉄のトライアングルを節目節目で組み立てていたのが族議員で、官僚の思惑と財界の注文を聞いて回り、政府を動かして見せれば票とカネが転がり込む仕組みに多くの国民は嫌気がさしています。その嫌悪感と不信感の矛先は厚労省を筆頭に各省に向かってはいますが、官僚中の官僚と自他共に認める旧大蔵省(現財務省)にも、バブル時代からの長い長い恨みが全国から吹き寄せているはずです。財政再建の看板に隠れて税金の無駄遣いを続けて来たからこそ800兆円の大借金と呆れるほど長い不況とデフレが続いているのでありましょうからなあ。
2兆9480億円の概算要求を提出した農林水産省。あるキャリア官僚は「マスコミが民主党の圧勝を予測していたので、選挙結果にはそれほど驚かなかった」と冷静を装いながらも、「どのような影響が出るのか、わからない部分がある」と不安を口にした。例年なら、概算要求の提出前に、自民党農水族に説明して「お墨付き」をもらうのが慣例だったという同省。それが今年は議員が皆、衆院選準備で地元に帰ってしまい、事前の根回し抜きの予算要求になった。ある幹部は「これから自民党に説明していいのかどうかもわからない」と困り果てた表情。
■その農水族の大物が揃って落選しているようですから、説明しようにも相手を探すのが大変なはずです。農林水産業に従事している人達が今回ばかりは自民党を見限って民主党に投票したと伝えられていますから、国民の怒りは族議員を落選させることで議員を楯に使って農政の失敗を認めない役所に向かっているのでしょう。でも、民主党の所得補償制度には強い毒性が認められていますから、新たなバラマキ農政でますます日本の農業が衰退してしまうのが心配です。
概算要求を巡っては、民主党の圧勝が決まった直後のテレビ番組で、同党の菅直人代表代行が31日の要求の提出に触れ、「(各省庁が)『今さら変えるのには時間が足りません』と言ってくるのは目に見えている」と話した。財務省は当初、31日午前には、写真撮影のため報道機関に概算要求の様子を公開する予定だったが、この菅代行の発言を受けて急きょ中止に。例年、予算査定作業がスタートする31日に開いている主計官会議も取りやめになった。
■弱い者には横柄に、強い者には卑屈に接する役人根性が素直に出ているようです。「時間が足り」なくなったのは、麻生コロコロ首相が解散時期を先延ばしし続けたからで、嗅覚が鋭い官僚群は先を読んで人事も予算も滑り込みセーフを狙ったのでしたが……。
国土交通省も6兆9506億円もの概算要求資料の端々に配慮をにじませた。その一つが、国の公共事業費の一部を地方自治体が負担する「直轄事業負担金」。同党はマニフェストで廃止を訴えているが、同省は要求に「直轄事業等に関する検討」という項目を盛り込み、「今後、必要な検討を行い、適切に対応していくこととする」との一文を加えた。しかしダムなどの公共事業については従来通り要求しており、ある幹部は「今のままじゃいけないが、政権が決まらないと、どう変えられるかわからないので」と玉虫色の表現を解説した。
8月31日 読売新聞
■「必要な検討」「適切に対応」などという役人の作文を、これまでに何回、首相の所信表明演説や各大臣の国会答弁で聞かされたことでしょう?政策も原稿も役所に丸投げして政府の統治力を衰えさせてしまったことが自民党が犯した最大の罪ということになりそうです。