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遺伝子組換えとかゲノム編集とか

2016年01月27日 | 大学でのひとこま
研究科のM1の講義で、生体分子解析学という講義を担当しています。元々この講義は分子生物学を履修してきた学生を対象に組んである応用発展的な技術分野の講義なのですが、今年は社会人入学のまったく専門外の学生さんが2名履修されました。

それで、当初の予定を大幅に変更し、ベーシックな分子生物学をおさらいしたうえで、遺伝子解析技術がどのように社会で利用されているかという話をすることにしました。遺伝子解析技術というのは私たちの生活にもはや欠かせない、避けて通れない技術です。技術の中身について知っていても知らなくても、「要りません、関わり合いはありません」ということはありえません。

ですから、ぜひ大筋だけでも理解してもらいたいと思っています。そのうえで技術の倫理的是非については自分で判断してもらいたいと思います。

先日はゲノム編集の話をしました。
読んでもらう資料も用意しましたが、どう考えても一般の人にこのまま読めではむずかしすぎる。それで、動画を探しました。動画を探していて思ったのは、英語のコンテンツはものすごく充実している。だけど英語がわからない人は?日本人でも研究者なら普通英語は理解しますから、翻訳のニーズはそれほどないんでしょうね。だから、ほとんど日本語翻訳はされていません。

でも一般の人や、小中学生だって今や遺伝子の技術について調べたいんじゃないのかな?
その時、こんなに日本語のコンテンツがなくていいんでしょうかねえ。

日本は国際化をめざしていて、英語くらいできなくちゃ、おいていかれるよ、新しい情報はみんな英語でしょ!と若者を鼓舞するのはいいとして(私も普段大学生にそう言って英語やらせてますから)、でも実際問題、普通の人たちがもっと普通に学べる環境にできないものかなと思います。

少なくとも私が教えている社会人学生の方々は、これまでまったく異分野で仕事してこられ、初めてこういう分野に取り組んでおられるので、わかりやすい動画があるとすごく助かるんですよね。

で、そのゲノム編集の話です。
わたしが大阪にいたころ、一時期阪大微研に博士号を取りに通っていました。その研究室では大腸菌の遺伝子解析で大きな業績を挙げていまして、1987年にこんな論文を発表しています。この時はわからなかったのですが、これがゲノム編集で利用されるCRISPRの最初の報告と言われ、最近再び大きな注目を集めているのです。中田先生のことは以前こんな風に書いています。先日、ノーベル賞の発表が行われるちょっと前、NHKから連絡があり、ゲノム編集について中田先生にインタビューしたいが、ネットで検索したらわたしのこの記事を見つけた。中田先生に連絡してもらえないか、ということがありました。次のノーベル賞はゲノム編集だと言われているそうです。あの頃はこの構造の意味はまだわからなかったのですが、30年近く経てこうして世の中を変えるとまで言われる技術が生まれてきたのです。

上で、日本語コンテンツがなさすぎと嘆きましたが、ゲノム編集のCRISPR-Cas9システムについては、これが参考になります。




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