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コーヒーは毒水じゃ

2007年01月23日 | 大学でのひとこま
私は博士(医学)をもっています。
数年前から医学博士とは言わなくて、博士(医学)とか博士(農学)とかいうようになってるんですが、私はもともと農学部獣医学科出身ですから、農学部でそのまま学位を取れば、博士(農学)になっていたと思います。でも、修士を終わった段階で、就職したかったので、博士課程に進みませんでした。仕事を始めてしばらくたってから、阪大の微生物病研究所の研究生になり、そこで博士の学位を取りました。

私がお世話になった教室の教授は中田篤男先生でした。中田先生は「頑固」で通っている厳しい先生でしたが、私は先生のバックグラウンドにはなかった種類の人間だったようで、いつも意表をついた言動をしてしまうためにあっけにとられているうちにしかるのを忘れる、と言った感じで、けっこうかわいがって頂いたつもりでいます。この中田先生の研究室では、いつもお弁当組は一緒に食事を取りました。それがいつも午後2時前くらい。私は最初おなかがすいて死にそうになりましたが、食事のあとにいつもそろって紅茶を飲むのが習慣で、それも牛乳をたっぷりいれたミルクティだったのを覚えています。

中田先生はコーヒーのことを「毒水」と呼んでいて、「体に悪い」とばっさり切って捨ててました。そういうわけで、あの頃研究室の誰もコーヒーを飲みませんでした。ある時私がお弁当に「大根の煮物」を食べていると、「そんなものよく食えるな。わしはもうそういうものは死ぬまでくわんぞ。戦時中に一生分食った。」などと言われたり、卒業生の女性が「最近あみものをしています」などとはがきに書いてきたら、「編み物するヒマがあったら実験しろ」などというのも中田先生でした。

私はそれまでゆるゆるの研究生活を送っていましたが、中田先生の研究室で、はじめて仕事の進め方を教えて頂きました。今でもコーヒーを飲むと「毒水」という言葉が頭をよぎります。私がその後研究テーマを大きく変えたり、研究の場をあちこち移動したりしてもやってこれたのは、あのとき覚えた「仕事のやり方」があったからです。今朝もコーヒーを飲みながら、そんなことを思いました。
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