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DSSを使った炎症性腸疾患モデルの試験

2015年12月07日 | 仕事・研究
研究の話です。
隣の学科のAくんが最近DSS遊動性の腸炎モデルの解析に悪戦苦闘しています。DSSを投与したサンプルは、通常のやり方ではPCRがうまく走らない、ということに私が気が付いたのは2007年か2008年に初めてこのモデルを使ったときだと思います。よく知られたモデルですから、やってる人はみんな知っていて、対策をとってるはずですが、論文を見てもそんなことはどこにも書いてないので、やってみるまで私も知りませんでした。最初にこのモデルを使ったとき、学会でこのモデルについて発表していたA先生にいろいろと聞きました。わたしはアメリカではTNBSで誘導した腸炎モデルを使っていたので、投与の方法とか、わりと基本的なことから教えてもらって、始めました。が、PCRをかけると全然走りません。そこではじめて「DSSで抑制かかるんじゃ?」と気づき、A先生に聞くと、「ああそうなんですよ」と。

何で最初から教えてくれないのー?とも思いましたが、実験というのがプロトコル通りにやればうまくいく代物じゃないことはよくわかっていますし、コツとかツボとかは普通教えてもらえないものなので、しゃあないなと思って自分でやり方を工夫しました。しかし学生に実験の指導をするときは、やっぱり教えないわけにはいきませんから、RNAを抽出する段階から「これは通常の濃度じゃ阻害かかるからPCRできないからね」と言ってます。しかしそのことの意味がわかりにくいようで、具体的にサンプルの希釈について教えても、わたしの思った通りにはできない場合が多いです。

その理由として、うちの学生が学部生ばかりなので、経験が足りないこともあるでしょうし、濃度計算が苦手な人ばかり、というのもあるでしょう。しかし今回はうちの研究室の学生ではなく、しかも3回くらい聞きに来てそれでもできなかったので、とうとう希釈列の作り方から最終濃度まで書いて渡しました。これでうまくいくといいなあと思います。

2007年当時、DSSのPCR阻害について書いたものがない、と思っていましたが、今調べたら論文が出ていまして、なんだ、これだけで論文になったのか~と驚きましたが、これでPCRプレートを無駄にせずに済んだラボも多いでしょう。

さて、繰り返しになりますが実験のコツとかちょっとした注意ってプロトコルには書いてないんですよ。なのに、学生さんはプロトコル通りにやれば結果が出ると思っている場合が多くて、データが出なくてもそのまま何も変えずに繰り返して泥沼にはまります。プロトコル通りにやったとしても何か理由があってデータが出てないんで、それを考えてほしいなと思います。わたしが最近あきらめの心境に至ってるのはとくに免疫染色です。書いてある濃度に抗体を希釈して、のせて、反応させて洗って、写真出来ました!染まりました!っていうのがたいてい「どこ撮ったの?」「これは非特異反応だよね」というようなのばっかり、、、。切片切るところからセンスが必要だと思うんですが、あんまりなにも考えずに切って何も考えずに書いてある通りに染める。非特異だよね、と言われてまた同じ方法で染める。「書いてある通りにやればいいはず」というところから発想しているからと思いますが、親切に「失敗しそうなツボ」まで書いてあるプロトコルなんかないんですよ。それでも、わたしはあらかじめやらかしそうなところは注意しているんですが、あらかじめの注意は理解しない場合が多いからむずかしいですねえ。

また、最初から最適な条件がわからない場合もあるので、書いてあるものをうのみにしないで、考えながら実験してほしいですね。








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