犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム裁判>日本国憲法二十九条(財産権)の悪文について

2017年04月27日 | 辰巳ダム裁判
 日本国憲法は悪文だとよく言われているが、当方の日本語レベルでも首をひねるところが多い。
「土地収用法」に関連して、その根拠である「日本国憲法第二十九条」について感想を述べる。

 憲法第二十九条は、財産権についてつぎのような文で構成されている。
① 財産権は、これを侵してはならない。
② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。
③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。

 それぞれの一文ごとに“これを”が使われている。あまり見られない表現であるが、これは特別に格調高い文章にするために、使っているのだろうと何となく思っていた。

 普通の表現では、“これを”の“これ”のところに、それぞれの一文の主語である、「財産権」、「財産権の内容」、「私有財産」、が入る。つまり、

① 財産権を侵してはならない。
② 公共の福祉に適合するように、法律で財産権の内容を定める。
③ 正当な補償の下に、私有財産を公共のために用いることができる。

となる。
 現在の憲法の文章で、“これを”と表現するのは何故か、について、憲法の英文が最初にあって日本語に翻訳されたものだと気がついて、英文を確認するとやはりそうだった。

Article 29
The right to own or to hold property is inviolable.
Property rights shall be defined by law, in conformity with the public welfare.
Private property may be taken for public use upon just compensation therefor.

 英文では、それぞれの一文は、「The right to own or to hold property」,「Property right」,「Private property」の主語で始まっている。日本文の翻訳で、それぞれの主語を日本文の最初に持ってくると現在の憲法の文章となる。

 さらに、一文ずつを分析すると、考え方も違っている。
① では、
「The right to own or to hold property」を「財産権」の一言で訳している。「own」は、法律的な手続きを踏んで獲得したモノであり、「hold」は一時的につかみ取って獲得したモノとすれば、アメリカ人の考えからすれば定義をはっきりして両方とも財産(property)だよということだろうが、日本人はそこまで厳格に考えないので、「財産権」の一言でいいのだろう。アメリカ人の考え方からずれば、厳格に考えておかないと暴力的に侵すという、不届きな輩がでてくるから、「侵してはならない」と強調しなければならないのではないか。英文では、「inviolable」とあり、暴力的というニュアンスが込められている。人々の持つ権利を暴力的に侵してならないと、ことさら言う必要はないと日本人なら考えるだろうから、①を日本人が書くとすれば、
 ①は、「(国民は、)財産権を有している。」
 でよいだろう。

 ② では、
「公共の福祉に適合するように」とあるが、公共の福祉というと、社会福祉などと限定される意味があるが、(社会全体の)公共の利益に適合するようにという意味ではないかと思うが、これも英文の翻訳の影響である。「in conformity with the public welfare」とあるから、「welfare」を福祉と訳したのだろうが、福利、繁栄という意味もあるから、公共の利益という風に訳した方が正確だろう。

 ③では、
「正当な補償の下に、私有財産を公共のために用いることができる。」というよりも、「私有財産を公共のために用いる場合は正当な補償をする。」が自然な日本語である。英文では、「upon just compensation」とあるので、英文通りに「正当な補償の下に」と訳したのだろう。

追記
 日本国憲法は日本製ではなくて米製である。敗戦から72年、日本国民はいつまで自らの憲法を持つことができるのだろうか。
安倍首相や小泉首相がアメポチだと非難されるが、日本国民全部がアメポチだな(-_-;)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 辰巳ダム>捏造された洪水、... | トップ | 辰巳ダム>辰巳ダムについて... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

辰巳ダム裁判」カテゴリの最新記事