犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

犀川の河川整備>「浅野川水害相当規模洪水に対する対応についての公開質問状(2)」を石川県へ

2014年10月27日 | 犀川の河川整備
平成26年10月27日
石川県河川課長 殿

犀川の河川整備を考える会 中 登史紀(67歳)
石川県鳳珠郡能登町字中斉ワ部2
080-4251-8190

浅野川水害相当規模洪水に対する対応についての公開質問状(2)
――浅野川と犀川の治水安全の考え方が違うのはなぜか――

 9月30日付けの公開質問「浅野川水害相当洪水に対する対応についての公開質問状――浅野川水害が再来したらどうするのか――」で、平成20年浅野川水害規模の出水がふたたび発生した場合、県が計画した想定洪水を超えて洪水氾濫被害が起きることになるが、一体、県はどう考えているのか、について説明を求めました。

 9月30日付けの公開質問に対して、10月17日に別の公文書公開の際、河川課担当者から、9月30日付けの公開質問に対する回答が口頭でありました。これを当方がまとめた文書は、末尾に付記した【9月30日付けの公開質問に対する石川県回答】です。

 この回答内容を一言でいえば、
「平成20年浅野川水害規模の洪水が襲来しても溢れない」です。
 この回答を踏まえ、あらためて公開質問いたします。

(浅野川と犀川の治水安全に対する対応が違う)
 石川県は、6年前の平成20年7月浅野川洪水の最大流量を洪水痕跡などから推定して天神橋地点で最大流量を650立方メートル毎秒、浅野川放水路から放流した170立方メートル毎秒を合わせて、最大流量820立方メートル毎秒と推定しました。
この洪水を踏まえた上で、石川県は平成23年7月に策定した「河川整備基本方針」において浅野川天神橋基準点の基本高水ピーク流量は710立方メートル毎秒と決めました。従前の計画数値を変えず、平成20年7月洪水の最大洪水量820立方メートル毎秒よりも110立方メートル毎秒も小さい流量です。
 一方、犀川では、過去の最大規模の洪水が900立方メートル毎秒程度にもかかわらず、想定洪水を1750立方メートル毎秒としなければいけないという理由で辰巳ダムが建設され、過去の最大規模の洪水よりも800立方メートル毎秒以上大きい基本高水ピーク流量となっています。
 過去の最大規模の洪水を目安にすると、「浅野川は危険すぎる」のであり、一方「犀川は安全すぎる」のである。あまりにも治水安全に対する対応が違いすぎるのではないかと考えます。

(浅野川と犀川の治水安全の考え方の違いはどうしてか)
 石川県の公開質問に対する前記回答を具体的に述べるとつぎのようです。「浅野川の天神橋基準点の河道の公称の能力である計画高水流量は、460立方メートル毎秒である。この河道に570立方メートル毎秒、高水流量を110立方メートル毎秒超えても溢れないで流れる、つまり、河道の余裕高(1m)に収まり溢れない。」

 一方、犀川の大橋基準点をはさんだ中流部の計画高水流量は、1230立方メートル毎秒です。この区間の余裕高1メートルを加えた堤防高で想定した流下能力は、1700立方メートル毎秒ですが、辰巳ダムが無い場合の最大流量の県の想定は、1460あるいは1540立方メートル毎秒でいずれも流下可能であり、浅野川と同様に、堤防から溢れないことになります。

 現実の洪水(実際に起きている)に対して治水安全を緩く考えている「浅野川」と非現実(いろいろな仮定を入れて推定、起きるかどうかわからない)の洪水に対して治水安全を厳しくして辰巳ダムを造らないと安全度が保てないという「犀川」と比べて、どうしても「犀川」の治水安全を著しく高めないといけないという理由をお答えください。

 文書でご回答ください。

【9月30日付けの公開質問に対する石川県回答】
①(H20浅野川洪水の)天神橋基準点での最大洪水量はどれだけか(その根拠)
 650立方メートル毎秒
根拠は、「二級河川浅野川水防計画検証対策(設計)業務委託(放水路下流検討その1)報 告 書 平成21年3月」(4-11頁)
②(H20浅野川洪水の)浅野川放水路での最大洪水量はどれだけか(その根拠)
 170立方メートル毎秒
 根拠は、「二級河川浅野川水防計画検証対策(設計)業務委託(洪水流量検討)報 告 書 平成21年3月」(I-19頁)」
③(H20浅野川洪水の)天神橋基準点の基本高水ピーク流量に対応するピーク洪水量はどれだけか
 650+170=820立方メートル毎秒(基本高水ピーク流量710を110超過)
④H20浅野川洪水規模に対する対応と考えているか
 天神橋の高水流量は460立方メートル毎秒で、H20浅野川洪水規模では570立方メートル毎秒※ となるが、天神橋地点~常磐橋地点での検討※2 では、400~700流れても堤防を越えない。(筆者注:河道の余裕高の範囲に収まるので溢れないとしている。浅野川の余裕高は1メートル。)
※: H20浅野川洪水規模820に対して、浅野川放水路が全能力を発揮すると250立方メートル毎秒を放流できるので、残りの570立方メートル毎秒が下流の天神橋地点を流れることになる。
※2: 「二級河川浅野川水防計画検証対策(設計)業務委託(放水路下流検討その1)報 告 書 平成21年3月」(4-9頁)
以上。
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