読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

ローレンス・ブロックの『殺し屋』

2018年06月05日 | 読書

◇『殺し屋』(原題:HIT MAN)著者:ローレンス・ブロック(LAWRENCE BLOCK)
                訳者:田口 俊樹  2012.8 二見書房 刊(二見文庫) 

  

  「殺し屋」屋というからには商売である。人を殺すのが仕事。HIT MANとあるから
 銃器を使う殺し屋であろうが、主人公のケリーは拳銃も使うし刃物も使うし事故死も
 装う。臨機応変である。
  仕事は直には受けない。間にトッドとホワイトという仲介人がいる。依頼人の素性
 は知りえないことになっている。しかしなんとなく分かることがある。

  ケラー45歳。独身で独り暮し。マンハッタンのミッドタウンの寝室がひとつのアパ
 ートメントに住んでいる。飼い犬のネルソンが唯一の話し相手。なんでも話せるし黙っ
 て話をよく聞いてくれる。割と常識人で話好きではないが人当りも悪くはない。

  仕事柄よく旅をする。仕事は2・3日のこともあるし、1週間かかることもある。ネル
 ソンの散歩ができないし、水を替えてやることもできないので、犬の世話をする人を
 頼んだ。留守の時は部屋を使っても良いと言ったらその女性はずっといる羽目になっ
 た。ケリーはその子が気に入ったのでそれで構わなかった。<4.犬の散歩と鉢植えの
 世話、引き受けます


 タイミングが悪くてついでに連れの女も殺したことがある。ひとり分の報酬で2人殺し
 て割が合わない仕事だったと思ったりする。また依頼人とターゲットが互いに殺しを
 望んでいるという珍しい偶然もあって、前金は半分しかもらっていないので、どちら
 の仕事をとってもその分が貰い得になってしまう。両方の依頼に応えて双方を殺して
 しまえば一人分の報酬にしかならないと悩んだりする。<7.ケラーの選択>

 殺しのターゲットのパーティーに様子を見に行ったところうっかりプールでおぼれた
 ターゲットの息子を助けてしまって、職業を聞かれたり、お礼に仕事の世話をされた
 りして往生したりする。実は消去法で探っていくとターゲットが依頼人であった。余
 命少ない癌だった。<8.ケラーの責任
 
 短編集で10篇ある。1.名前はソルジャー 2.ケラー、馬に乗る 3.ケラーの治療法
 4.犬の散歩と鉢植えの世話、引き受けます 5.ケラーのカルマ 6.ケラー、光り輝く
 鎧を着る 7.ケラーの選択 8.ケラーの責任 9.ケラーの最後の逃げ場 10.ケラー
 の引退

                         (以上この項終わり)

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