◇ 『アンダー・ザ・ドーム』(2)<原題:UNDER THE DOME>
著者: スティーヴン・キング(Stephen King)
訳者: 白石 朗 2020.2 文芸春秋社 刊(文春文庫)
<ドームをミサイルで>
ついに合衆国軍から通告が出た。
障壁に向けて巡航ミサイルを撃ち込むというのである。西側町境付近の住民
に避難を呼びかけた。
併せて町政委員会の3人宛てにホワイトハウスから手紙が届いた。退役中の
バービー大尉が大佐に昇進したこと、チェスターミルズに戒厳令を布告し、バ
ービー大佐を臨時軍政長官に指名したかったが、本人の申し出で警察と町政に
「助言と同意」をする立場とすることにしたので協力を願いたいというもの。
報道と電話の管制を行うが当面インターネットは規制しないこと。明日の午
後1時に軍事作戦が実行されるというもの。
黒ボスのビッグ・ジムは歯ぎしりするが(残りの町政委員二人はほぼ傀儡で
唯々諾々、警察署長はボスの忠実なポチ)明白な脅迫状と受け取るものの「穏
やかに、落ち着いて」対応しようと覚悟する。
編集長ジュリアは子供らの提案でミサイル撃ち込み作戦の実況中継をパブリ
ック・ビューイングで見てもらうこととし軍に受け入れられた。
<攻撃失敗>
国家安全保障局の「ミサイル作戦Grand Island(大いなる孤島)」はミサイル
を2発撃ち込んだものの失敗に終わった。
ビッグ・ジムらは失敗を見て欣喜雀躍する。
<ジュニアとビッグ・ジムの殺人>
ジュニアはアンディとドディーの2人の女性を殺す。また父親はコギンズ牧師
の意見に逆上し殺害する。ジュニアは死体をアンディらを遺棄したマケイン家
の食糧庫に運ぶ。
ビッグジムらは違法薬物製造のために町庁舎を初め町中からプロパンガスを盗
んでいる。病院のプロパンがなくなっているため医師のラスティとバービーはこ
の不正行為の摘発の調べを進める。
<陵虐を受けたブッシ―>
臨時警官の4人(フランキー、サールズ、カーターと煽り立てたジョージア・ル
ー)に陵虐(レイプ)を受けたブッシ―は、大量出血の怪我で子供のリトル・ウォ
ルターと共に行き倒れ状態になるが、パイパー牧師に助けられ病院に担ぎ込まれる。
パイパー牧師は激高し4人の警官を追い詰めるがかえって暴行を受け怪我をする。
<ミサイルの次は溶解剤で攻撃>
合衆国陸軍のコックス大佐はミサイルの失敗の次にB案として人造のフッ化水素
化合物を使ってドームの腐食を試みる。夜9時に実行された第二段の作戦はまたも
失敗する。何かによって酸が吸収されたらしい。
このドームが何らかの地球外生命体によって作られたという仮説も出てきた。
<天空の異常現象>
町中の子供らはどういうわけか突然ひきつけを起こし、ピンクの星とかハローウ
ィンがらみの話など、訳の分からないことを口走る。当人はこのことを覚えていな
い。
その夜、空は星がピンク色に染まり住民はぽかんと見つめるばかり。洋の東西を
問わず、日食や月蝕、天変地異は人心を混乱に陥れる。ドームも異星人の仕業かと
疑う向きもある。
<非常事態宣言で暴動>
ビッグ・ジムは支配力の顕在化させようと非常事態宣言を行い、スーパーを閉店
させ、食糧配給制度を始めようと図る。スーパーマーケットにわざと若手チンピラ
臨時警官を派遣し、混乱を誘発しようとする。
突然の閉店を怒る客の暴発で怪我人が続出。そして商品の略奪が始まる。この混
乱と略奪の様子がキングらしい几帳面さで克明に描写される。
<元警察署長のファイル>
亡くなった警察署長デュークの妻ブレンダは、夫が残したビッグ・ジムの悪行の
記録を持ってビッグ・ジムを訪れ、悪事を厳しく糾弾する(バービーに、決して一
人で行ってはいけないとくぎを刺されたのに単身で)。
「コピーをある人に預けているのよ」と告げたものの、激昂したビッグ・ジムは
ブレンダの首の骨を折って殺す。死体はまたもマケイン家の食糧庫に運ばれる。
実は件のファイルのコピーは第三町政委員のアンドレアに託してあった。
<バービーの逮捕>
ジュニアはバービーの部屋から彼の軍認識票を盗み、自分らの殺人の罪を着せる。
警察はバービーの身柄を拘束、寄ってたかって暴力を加える。
<子供らが強い放射線を観測>
バービーにガイガーカウンターを託された3人の子供らは密かにドームの根源地
探査に出かけ、川向こうの高台の地で強度の放射能を観測した。
<悪い奴ほどよく眠る>
登場人物のキャラクターはそれぞれに実にビビットに浮かび上がり、関係性もわ
かり易い。それにしても、善玉の主役バービーの動きはいまいちなのに、悪の権化
ビッグ・ジムの方は悪知恵が働き存在感がある。
要するにS・キングの作品は概して悪玉の方が生き生きと描かれているのだ。
以上第2巻終わり。
(以上この項終わり)