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読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

最近読んだ本(4)

2012年02月06日 | 読書

◇『交錯』 著者:堂場瞬一 角川春樹事務所 2010.1刊
                          (ハルキ文庫)

    

  堂場舜一は2000年に『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞してデビューした。
 そして鳴沢了シリーズなど警察もの小説のジャンルでは大関的存在である。
 『交錯』は堂場瞬一の新たな長編警察小説「警視庁追跡捜査係シリーズ」の第1弾。
 (第2作は『策謀』)
  警視庁刑事部捜査第一課に未解決ののままになっている事件の洗い直し捜査を専
 門に行う部署「特命捜査対策室」が設けられたのが2009年11月2日。
 今回の『交錯』は、警視庁捜査1課に「追跡捜査係」という架空の係を設定、同期なが
 らキャラが対照的でしょっちゅうぶつかり合っている二人の刑事西川と沖田が壁に突
 き当たっている事件の洗い直しに当たる。この度の事件はに東京・新宿で起こった無
 差別殺人事件と東京・青山での高級時計店窃盗事件の交錯。西川と沖田が探り当て
 た盗難品と無差別殺人の犯人を刺して男児の命を救った傷害の犯人は意外なところ
 でつながっていた。
  

◇ 『策謀』 著者: 堂場瞬一  角川春樹事務所 2011.1刊
                               (ハルキ文庫)

   


   追跡捜査係の仕事は、真面目にやればやるほど同僚のミスをほじくり返す可能性が
 高い。
  西川と沖田のコンビは、三井さやかという女性刑事をチームの一員に迎えて、二つの
 事件に取り組んでいる。新宿で起きた若い男の殺人事件と同じく新宿の雑居ビル放火
 焼死事件。冷静・堅実で、数々の情報から論理的に事件解明を進める西川と、論理よ
 りも刑事の勘を重視する沖田はそれぞれの捜査手法で事件の真相に迫るが、意外や
 この二つの事件が深部でつながっていた。大阪府警の三輪刑事の助けもあって、政治
 家の土地取引脱税疑惑と雑居ビルの放火で15人の焼死を出した事件が、実はいくつ
 かの偶然によってもたらされた結果だったことが次第に明らかになって行く。
    沖田は前作『交錯』の事件参考人響子といい仲になったが、なかなか会う時間が作
 れず、果たしてこの二人結婚まで行き着けるか人ごとながら不安。

  一時悪事を暴き正義を守る刑事の仕事もいいなと思っていたこともあるが、脚を棒に
 して靴底を減らし、食事をとる時間もろくになく、寝る間を惜しんで捜査に駆けずり回る
 姿を、こうまで克明に明かされると、やはりこの仕事は敬遠した方が賢明かと思ってし
 まう。 
 
                                        (以上この項終わり)