2006年3月のブログ記事一覧-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> アルベルト・ポンセ編
  
 この原稿も随分書かせてもらっとりますが、そうそう特ダネCDなんてあるもんでねえ。だもんでどうも最近は、古いLPレコードの話題になってしまいがちで、ミューズのおいちゃんところで気軽にかけてというわけにはいかんのが、どうも面目ねえ気がしてムニャムニャムニャムニャ・・・。
ところでこの原稿を書かなあかん!と思って、棚の整理をしておると、やっぱりありました。購入してからほとんど聴いたことの無いLPが。

購入した当初、大して上手くもねえのになんだかわけのわからん曲ばっかり入れとるなあというような気がして、その時はぜーんぜんおもしろくなく、その後一回も聴いたことがなかったレコード。
演奏者はアルベルト・ポンセ。ちょっと珍しいべ?
あの有名なパリのエコール・ノルマルでギターを教えていて(現在も教えておられるのかどうかはよく知りませんが)、日本の有名なギタリストのほとんどが、このアルベルト・ポンセさんに習った経験をもっているようで、この前よりこのブログに登場する村治佳織さんも、このポンセさんに習ったんよと言われておりました。
その当のアルベルト・ポンセのレコードを発見し、録音されている曲を見てちょっと驚いた。ほんとかよーてな感じ。

というのは、このレコードに関してのおいちゃんの印象は、さっきも言ったように、なんだかわけのわからねえ現代曲をガチャガチャうるさく弾いとるけども、なんか大したことねえギタリストやなあっちゅうもんだったのに、今録音されている曲を見てみると特別バリバリの現代音楽というわけではないんやなあこれが。
最初に聴いた時になんだかわけのわからん曲やなあと思った曲が、なんとこのところ村治さんの演奏で何回も何回も聴いたディアンスのサウダージ第3番やんか。。
このレコードは20年くらい前に購入しておるんですが、何故だかその時この曲を聴いた最初の感想が、「なんだかわけのわからん曲」だったわけだ。
昨今ディアンスの曲はあっちこっちで聞かれるし、このサウダージ第3番なんか現代曲とはいっても、どう考えても「わけのわからん曲」ではない。
メロディーもかっこいいし、リズムもなかなかノリノリだ。
20年前の自分の「感性」を疑っちまうほどボケッと聞いとったんやろね。
その他はグラナドスのゴヤの美女とエミリオ・プホールの小品が少し、あとはピポーやらアジャーラやら、いまどき現代音楽というほどのもんではないなあ。

では演奏はどうかというと、「なかなかなかなかやるでねえの」っちゅうくらいのもんで、決してただの先生の演奏と言ってほっとけるようなもんではない。
ディアンスのサイダージ第3番なんか、しょっぱなから快速にぶっとばして、なかなか野性味あふれる表現が魅力的。ちょっとだけリズム感に難ありってとこかなあ。
ゴヤの美女はセゴヴィアやアリリオ・ディアス、それにずっと若い頃のオルカー・ギリアなんかがものすごくいい演奏をしておったので、それに比べりゃあ・・・といった感じではありまするが、まあまあなかなかのもんだわね。
でも最後のアジャーラの南米組曲なんかは、おいちゃんはすっきやね。
野性味あふれるちゅうとこが、またまたいい方に作用してなかなか聞かせる。
プホールの小品なんかは、先生直伝なんやろなあ、「こう弾かなあかんよ」といったような、模範的演奏とおぼしきムニュムニュ。

こう書いてくると、どうも皆さんにはあんまり褒めているように聞こえないかもしれませぬが、そんなことはありませぬのであしからず。
20年も前に購入して、あんまし良くないという印象だったレコードが、今聴き返してみると、なかなか良い演奏だったなんて、なんか得したような気分。
こんなギタリストの生の演奏にも触れてみたいという衝動に駆られるかな?という気がするようなしないようなムニャムニャムニャムニャ・・・・。

このアルベルト。ポンセさん、1935年マドリッド生まれっちゅうから、ご健在であればもう70を越えておられまする。
ハイフェッツが70ちょっとで引退しとることを考えると、あかんかなあ。
内生蔵 幹

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いつもハツラツ!小島さん(写真)はちょっと変わったギター歴をお持ちです。
クラシックギターを初めて習ったのは、ほぼ2年前、場所はなんとベルギーのブリュッセル(!)。先生は、ずっとヨーロッパで活躍されている、日本人の(!)先生・・・でした。
ご主人の転勤で数年前ベルギーに行かれました。
小島さんご自身は、コピーライターをやっていたときの経験を生かして、「日本人向け情報誌」の編集に携わっていました。その情報誌で偶然目に留まったのが、その先生の「ギター教えます」の広告でした。直感で、「これは面白いかも」とすぐに電話したそうです。

実はギターとの出会いはずっと前でした。
中学の時、すでにお兄さんがクラシックギターを持ってらっしゃったので、「禁じられた遊び」などにあこがれていたそうです。
ご自身でも、ギターもやりたいな、とは思っていたものの、小中学校とピアノとかトランペットとかやっていたので、お母様の「そんなにいっぱいやるもんじゃない!」の一言に素直にギターをあきらめました。

時は過ぎ、ベルギーに行かれるときは、やっぱりギターではなくチェロをやっていましたが、チェロは持っていくのに大変そうだったので、あきらめて日本においていきました。
そして2年ほど前に、さきの直感で、その日本人の先生のもとでギターを始めることになりました。
この度帰国されて、ミューズのスクール会員になられました。

谷村「どんな感じのレッスンでしたか?」
小島「面白い先生で、音楽の話をいっぱいしてくださいました。またどんなレヴェルでも、そのレヴェルに応じて表現できる音楽はあるということで、いろいろなギター曲を教えてくださいましたし、誰でも一人のギタリストとして扱ってくれたのが嬉しかったです」

谷村「いろいろな楽器をされていますが、ギターのいいところは?」
小島「自己完結できるところ!二重奏とかもできますけど。」

ビラロボスの「プレリュード第1番」を1年計画で始められました。
がんばりましょうっ!

谷村 武彦

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先日3月27日(月)に四国の徳島に行ってきました。

徳島ギター協会会長の川竹道夫さんのお弟子さんで高校2年生(この春3年生)の徳永信一郎君がアランフェス協奏曲をオーケストラバックに演奏すると言うので行ってきました。例の富士通テンのイクリプススピーカーセットを内生蔵さんが持参するので行かないか?とお誘いを受けたので行く事にした次第です。ミューズ音楽館としても既に徳島ギター協会関係者にはイクリプスを3セットもお買上げいただいているし、ご挨拶も兼ねてお邪魔する事にしました。

徳永君は小中学生の頃からいろいろなコンクールに入賞していて、東京国際ギターコンクールにも出場した事がある人物で、メチャうまいと聞いていたので楽しみにしていました。
会場に着くともうオーケストラとのリハが始まろうとしているタイミングで、急いでマイクとスピーカーのセット。普通は小編成のオケでアランフェスを演奏するのですが、フルオケではないですか?エッ!こんなに大勢でやるの?そうなんですね、高校生のオケですから、全員参加なんです。会場は1200名入る大きなホールであまり響かないホールとのこと。普通ならこのくらいのボリュームで大丈夫と言うところまでつまみを回して聞いてみるとギターが小さすぎるんです。ハウリングを起こす直前までボリュームを上げてようやく絶妙なバランスになりました。

この演奏会は徳永君の在籍する城東高校の定期演奏会で、一部は邦楽のアンサンブル、二部がオーケストラの出番で、その中でアランフェスを演奏したんです。私もヤマハ時代から小学生のオーケストラでもコンクールで金賞を取る学校はすごく上手な事を知っていましたが、この城東高校もかなり上手な演奏でした。確かに弦の音や音程に未熟さを感じたり、木管、特にホルンなどの音程に不安はありましたが、まあ立派な演奏でした。徳永君も出足のテンポがリハの時よりやや速かったものの、早いパッセージも見事に弾ききって、これが高校生の演奏かと言うような堂々としたものでした。将来が楽しみな若者です。秋には徳島でリサイタルを開く予定だとのこと、場合によってはミューズでもやっていただく事になるかも知れません。

そして、打上げは川竹先生ご夫妻、会員の田中さん、ギター製作家の井内さんらと料理屋でご馳走になってしまいました。この川竹先生がまた変わった人で、何でも自分で作ってしまうんです。ギターはもちろん、昔のムーグの様なシンセサイザーもご自分で作ったり、木靴にネックをつけた変なヴァイオリン、ポータブル・パイプオルガンなど切がありません。しかも何でも演奏しちゃうんです。昔は尚美学園でギターを教えていたそうで、その時の同僚に村治昇さん(佳織さんのお父様)が居たり、アリリオ・ディアスのマスタークラスで名古屋の吉本光男さんと一緒だったり、ユニオンでは酒井康雄さんと一緒だったりと名古屋のギタリストとも繋がりのある人でした。

そして夜中に田中さん宅にお邪魔してびっくり、奥様がお酒、湯豆腐、おにぎりとしっかり用意して待っていてくれたんです。ついつい3時まで呑み食いが続きました。お話を聞くとボサ・ノヴァの佐藤正美さんが徳島に来ると毎晩、朝7時まで飲み明かすそうです。恐ろしや田中家。

と言う事で楽しい一日でした。川竹さん、田中さん、大変お世話になりました。ありがとうございました。再会できる日を楽しみにしています。

山下 高博


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写真の鈴木さんは、フォルクローレのグループでチャランゴを弾いていらっしゃいます。

フォルクローレというのは、日本では、主に中南米諸国の昔からの音楽のことを言いますね。(「コンドルは飛んでいく」とか「花祭り」とか有名ですね!)
チャランゴはそれには欠かせない楽器です。

もちろんフォルクローレではギターも活躍します。
鈴木さんはギターをきちんと基礎からやりたいということで、今はカルカッシの教本をやっています。

中学の時ギターを始め(「アリス」「オフコース」の頃だそうです・・・大体、年わかりますね)それから、オリジナルのポップスバンドで「ポプコン」(懐かしい!)にチャレンジしていたそうです。この頃の使用楽器はアリアProⅡ!
25歳くらいからフォルクローレをはじめ、ケーナ(笛)をやっていたそうです。

谷村「クラシックギターを習ってみてどうですか?」

鈴木「難しいですっ!・・・聴き慣れていないからかもしれませんが、なかなか雰囲気が出せませんね。」

なるほど、民族的な音楽に比べてクラシック音楽は(特にカルカッシ周辺のエチュードでは)雰囲気というのをつかみにくいかもしれませんね。

でも真面目な鈴木さん、もう二部(スラーとかのところ)に入っています!
フィンガリングがチャランゴとゴッチャになることも少なくなったそうです。
ちなみに鈴木さんのフォルクローレグループは『ドルメン(遺跡の意味)』 と言う名前だそうです。
一度ケーナとかチャランゴでセッションしましょう!

谷村 武彦

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今日は高岡誠さんと恵子夫人による『朗読とギターのひととき』がミューズサロンを満席にしてサロン始まって以来はじめての世界が広がりました。

私自身、お二人の朗読とギターを初めて聴いたのですが、『すばらしい!』の一言でした。ギターの演奏会なのですが、普段聴くものとは違った新しいギター演奏会の空間を創り出していました。朗読とギターなんて昔からあるじゃないかと思われる方も多いかと思いますが、確かに「プラテーロと私」は今までも聴いた事がありますし、他の朗読とギターもテレビでも見た事があります。しかし、ギターをバックに朗読だけではなく、プログラムの全曲を恵子夫人が素晴らしい声と語り口調でナレーションされて、高岡さんがおもむろに楽曲を奏でられるんです。

「そっと目を閉じると、懐かしい幼き日の思い出、今日まで歩んできた人生の小径の、愛すべき断片の数々が、静かに浮かんでは消え、また現れては去ってゆく・・・。本日のプログラムの冒頭に、時折胸に抱くこの深い想いを、ホセ・フェレールの哀しく、おだやかなメロディーに乗せてお聴きいただきましょう。」
と、フェレールの3つのメロディー作品42より、瞑想(沈思)がおもむろにギターの音色にのって聞こえて来るんです。それが素晴らしい雰囲気、空間なんです。そして一部の終わりはプラテーロと私。もう全員が別の世界に引き込まれていました。

私は一部が終わって「今から15分の休憩をいただきます」と言うアナウンスをするのを憚りました。素敵な世界に聴衆が酔いしれているんです。余韻に浸って入るんです。その空気を私が壊してしまうんです。「終演後に打上げも行いますから・・・」と打上げに誘うという野暮な話をするんです。ついつい声が小さくなって申し訳なくアナウンスをさせていただきました。それ程に素敵な空気だったんです。(本当は人の熱気でサロンは蒸し暑く、酸素不足状態だったのに・・・)

そして2部はソルの魔笛、アルベニスのアストリアス、コルドバ、ロドリーゴの祈りと踊りへと盛り上がり、最後は高岡さんの本領を十二分に発揮したホセ・ルイス・メルリンの思い出の組曲で会場は最高潮に達しました。アルゼンチンのフォルクローレのリズムであるチャカレーラやカルナバリート、そしてベネズエラのポロポなどを見事なリズム感で聴かせてくれました。これだけのリズム感を、雰囲気を出せる日本人は少ないですね。ミューズサロンが割れんばかりの拍手に包まれました。

アンコールには同じくアルゼンチンの「コジータ」と2曲目には岐阜の作曲家・後藤千秋さんの「夜想曲」を演奏されたのですが、この曲も恵子夫人の素敵なナレーションで始まりました。
「いつの間にか、日は沈んで、辺りはシンと静まった春の宵。さっきまで遊んでいた、かすみがかった野山も、まるで大きな暗幕をかぶせたかのように、暗く、ひっそりしている。見上げると、・・・中略・・・、夜のとばりが、今日一日の疲れをそっと癒してくれる。星たちにやさしく見守られて、ゆっくり おやすみなさい。」そしてうつくしいトレモロが始まりました。   

山下 高博



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