2006年3月10日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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今日は明日3月11日にミューズサロンで10弦ギターのデュオコンサートを行う中村公樹さんにコンサート企画の背景や思いについて書いていただきました。

初めまして。Pulso a Pulso(プルソ ア プルソ)というのは、たぶん聞いたことのない名前だと思いますが、ギター の弦を一つ一つ爪弾くイメージを表したスペイン語です。この言葉を音楽会のタイトルにしたのは「一つ一つの音を大切にしたい」という思いからです。それは、私たちの共通の師匠であるギタリスト芳志戸幹雄(故人)の教えにさかのぼります。

「百聞は一見にしかず」という諺がありますが、芳志戸幹雄(師匠)の一番大事な教えは言葉では言い表せない「音」そのものの中にありました。レッスンの時に芳志戸幹雄(師匠)自らがギターを取って目の前で示す時、その音に弟子たちは魅了されましたし、私もその一人でした。一回聴いたらその音の記憶が身体の奥に残るような、そんな音と言っていいでしょう。たった一音でも、私にとってそれは至福の一瞬(ひととき)でした。拙い言い方しかできませんが、一度でもレッスンを受けたことのある方なら何となく解って下さるのではないでしょうか。小賢しいテクニックや流行のスタイルを一蹴し、「なんのかんの言う前に、音で勝負しろよ」を地で行った師匠でした。

師匠亡き後、恩師の音世界に一歩一歩近づきたいという願いを込めて、Pulso a Pulsoという会を3人で始めました。以後、歌、チェンバロ、ハーモニカ、ヴァイオリンなど他楽器とのアンサンブルを中心としたコンサートを行ってきました。10弦ギター二重奏は今回が初めてで、名古屋も初公演になります。恩師の音世界への道のりは長くまだまだ途上でありますが、会の名前に恥じないよう「音」を大切に演奏したいと思います。今主流のテクニック中心の演奏とは一味違った、多彩なギターの音をお楽しみ下さい。
中村公樹 拝

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