2008年10月のブログ記事一覧-ミューズの日記
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先日の日曜日に春日井市民会館で中部日本ギター協会主催の『アンサンブルの集い』があり、12団体が出演されました。最後はゲスト演奏と言う事で当協会の会長でもあるギタリストの酒井康雄さんがお弟子さん達と二重奏と四重奏を披露したのですが、その時に酒井さんの音が飛び抜けてよく聴こえて来ました。
終演後の会話でも他の皆さんも同様の感想を漏らしており、『やはり楽器の違いと腕の違いだな』と言う意見で一致しました。

因みに酒井さんの楽器は1968年のホセ・ルビオ。今日もミューズに酒井さんが明後日のコンサートの合わせ(マリンバとの二重奏)で来られたので楽器を見せて頂きましたが、音が凄く絞まっているんですね。並みの弾き手では鳴らし切れないほど硬く密度の高い音質なんです。弾いている手元ではそれ程鳴っていないんですが、ああ言う大きなホールでその威力を発揮するんですね。因みに春日井市民会館は1,145名入る、ギターには大きすぎる会場です。その会場で見事にいい音色で聞こえて来るんです。

早速翌々日の火曜日に酒井さんと一緒に演奏したお弟子さんの一人がロマニロスと国産100万円クラスのギターを弾かせて欲しいとやって来ました。ご自分のギターも持参して弾き比べをしたのですが、やはりロマニロスは絞まった音、密度の高い音でしっかりと聞こえてきます。その時に思い出したのが、私がまだ20代の頃、イエペスのレッスンを受けたときに、マエストロが『もっとDensity(密度)のある音を出しなさい』と言って、私のギターを手に取り、音を出してくれたのですが、これが私のギターかと思う様な凄い音が出たのを思い出しました。
つまり、楽器の違いと腕の違いが音に大きく影響するんですね。

ただし、絞まった音、密度の高い音は一般的には硬い音になるわけで、鳴らすにはしっかりしたタッチが必要になります。従ってアマチュアの愛好家には手ごわい楽器ということになります。勿論、ガチガチに硬くて鳴らない楽器の事ではありません。楽器としての程よい響きもあり、且つ絞まった密度のある音と言うことになります。よく遠達性のある音と言いますが、その音ですね。プロやハイ・アマチュアの会話に『こっちの楽器の方が遠達性がある』とか『こちらの方がホールで通る音だ』などと言う話が出てきます。まさしくその事なのですが、いろんな楽器を数多く試奏する中でその違いが分かるようになってきます。皆さんもミューズに来た時にはいろいろと試奏してみてください。そして『しっかりしたタッチ』とはどういうタッチなのか確認してみてください。

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今日はミューズサロンがアリエル・アッセルボーンの澄んだ声で優しく包まれました。彼の声と音楽は本当に癒されますね。優しく、心に沁みこんで来る音楽です。
名古屋にも彼のファンがいらっしゃる理由がよく分かりました。普段ギターのコンサートでお見受けしない方、初めてミューズにお越しの方々も大勢いらして、普段と違う雰囲気になりました。

歌声、歌い方、ギターの音色、弾き方など音楽全てが繊細で、彼の人柄が素直に出ている感じがしました。フォルクローレがルーツの人ですからもっと明るく大らか、悪く言えば大雑把なところのある人かと思いきや、全く違っていました。開演前には『コンセントレイトしてくるね』と言って控え室で心を落ち着かせると言う場面もあり、意外な一面を垣間見た気がしましたが、彼の歌を聴いて納得してしまいました。

彼のオリジナルの歌を中心に、アルゼンチンの偉大な作曲家、ヒナステラやグアスタビーノの歌も交え、ギターソロもラ・クンパルシータをはじめ、ピアソラの名曲、アディオス・ノニーノ、モレスの軍靴の響きなどタンゴの名曲と彼オリジナルの曲をギターソロでも聴衆を魅了。彼の幅広い才能を披露しました。

皆さんもいつか機会があれば是非一度お聴き下さい。癒されますよ。

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この名前もまだご存じない方が多いかも知れませんが、最近日本ギター界で急浮上してきたギタリスト兼シンガーソングライターです。彼は20才でブエノスアイレス州音楽祭、バラデロ音楽祭にて、歌唱、作曲、グループ部門で優勝し、4年の間、ボリビア系フォルクローレのグループ「ロス・ライカス」にギター、チャランゴ、ボーカルで所属したと言う、フォルクローレをルーツにしたアルゼンチンの音楽家です。独自の繊細さと感性、そして哀愁を帯びた表情と澄んだ歌声で歌い上げ、‘06年、「日立プラズマテレビWooo」、「キャノンDIGICII」(アマポーラ)などのTVCMでは歌とギターが起用されたほか、NHKBS音楽番組「シブヤらいぶ館」に出演するなど日本でも注目を浴びるようになってきた。そして、現代ギター誌10月号にはアルパ奏者上松美香さんとアリエルの対談(4 ページ)と新譜レビューが載りました。

その彼と知り合ったのは彼がこの春に名古屋で公演を行った時、翌日ミューズを訪問してくれたのがきっかけでした。小柄で愛想も良く、好感の持てる人でした。店でギターの演奏を披露してくれましたが、フォルクローレをルーツにしているギタリストとは思えないほど見事なテクニックの持ち主で、歌心タップリにしっかりした演奏を聴かせてくれました。それが縁で今回のミューズサロンでの演奏会(10/25)、セカンド・アルバム発売記念コンサート『大地に眠る歌 Canto subterraneo』が実現することになった次第です。
このアルバムは今月の12日に発売になったばかりで、その中でも彼のオリジナル曲を美しい歌声で聴かせています。25日(土)の本番での生演奏を楽しみにしています。皆さんも如何ですか? 



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殆どの方はRaul Olarte(ラウル・オラルテ)と言う名前は初耳だと思いますが、アルゼンチンのケーナ奏者です。先日の土曜日に彼のコンサートが新栄町にあるラテン・アメリカ料理の店「コンティーゴ」であり、行って来ました。彼とはアルゼンチン時代に知り合い、親しくしている関係で、11月1日の「マリンバで奏でる南米の響き」にも出演していただく事になった人です。

当日は名古屋駅ホームまで迎えに行き、コンサートでは司会と通訳をしました。何せ、日本語を話さない人ですので日本人より若干手がかかります。本番ではコンティーゴのマスター、奥村さんがチャランゴで、友人の矢田さんがギターで伴奏をされました。

フォルクローレのケーナ奏者とは言え、凄い人なんですよ。プロフィルをご紹介しますと、
1957年、アルゼンチンのフフイ州生まれ。
7歳でケーナを始め13歳でコスキン国際民族音楽祭(アルゼンチン、コルドバ州)に参加。
1978年にブエノス・アイレスに移り市立音楽院“マヌエル・デ・ファリャ”で勉強する。
その後チャランゴ奏者“ハイメ・トーレス”のグループに参加、スペイン、ドイツ、スイス、イスラエル等海外ツアーを行う。
1988年以降、アルゼンチンの大作曲家“アリエル・ラミーレス”の誘いで彼の代表作“ミサ・クリオージャ”のシリーズコンサートに参加する。
フォルクローレグループ“カルテット・デ・ロス・アンデス”を編成、カーネギーホール(N.Y.)、サンタ・セシリア(ローマ)、他で出演。
また、ホセ・カレーラスと共に“ミサ・クリオージャ”の演奏でバチカン、パリ、ウィーン、ハンブルグ、サン・フランシスコ、ブラジル、アルゼンチン等のワールドツアーに参加する。
1997年、天皇皇后両陛下がアルゼンチンをご訪問の際、日本大使公邸で御前演奏をする。
1998年、日亜就航100周年記念コンサートとして“ミサ・クリオージャ“の演奏をサントリーホールで行う。
以上のように日本とも縁が深い人で、現在娘さんがなんと一橋大学の4年生なんです。

さて、このコンティーゴではコンサートの後、食事会があったのですが、フォルクローレの好きな人達の集まりなのでそれは賑やかな食事会になりました。腕に覚えのある人が次々と演奏しては楽しんでいるんです。中には恥ずかしがる人もいましたが、指名された殆どの人が演奏しましたね。音楽はこうやって楽しむのがいいですね。上手でなくてもいいんです。楽しむ事が音楽の本来の姿ですからね。この光景を見ていて、ミューズサロンでのコンサート後の打上げや、ワン・コイン・コンサートなどで楽しんでいるクラシックギターの愛好家の姿がダブりました。皆さんも恥ずかしがらずにどんどん弾いては楽しみましょうね。


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ワンコイン・コンサートももう12回目になるんですね。
最初は半年に1回でいいかなと思っていたら、予想以上に反響があり、3ヶ月1回の頻度で実施していましたが、それでもエントリーされる方がどんどん増えて、8月から2ヶ月に1回の割りで実施するようになりました。
今日ももう数回以上の出演をされた方が4人はいらっしゃいました。
そしていつも言うことですが、そういう人達は回数を重ねている方はどんどん上手くなっています。嬉しいことです。

今回は風邪で欠席された方や急遽来られなかった方を除き、ギターソロで出演された方が11名、歌とギターが1組、バロックリュートで出演された方1名でした。歌とギターも素晴らしかったですね。学生時代に声楽を勉強されたと言う方とヘンデルの「涙流れるままに」を演奏されたんですが、ギターもとても音楽的に演奏されましたし、歌の方もいい声で歌われ、この歌の雰囲気がとても良く出ていました。ギターの方はリュートの中川先生の音楽様式講座を受けている人ですが、その効果が出てきていますね。また、ソルの月光を演奏された方もとても音楽的に歌われていていい演奏でした。一般的にギターの愛好家は歌うと言うことが苦手なんですよね。ポンと音を出しては直ぐに減衰していく楽器ですから、声楽、管楽器、ヴァイオリン族のような擦弦楽器より歌いにくいのですが、だからこそ余計に歌うことを勉強しなくてはいけないんです。そこがいい先生にレッスンを受けているか、そうでないかで差がついてきてしまいます。バロック・リュートを演奏した人は、なんとご自分で製作された楽器を演奏されたんですよ。今までに20数本も製作されているとの事でとても素人の作品とは思えない立派な楽器でした。音も素晴らしい音がしていました。
また3・4ヶ月前に桜井パリコンモデルを購入された方が、随分と音もきれいになり、音楽的にも素晴らしく成長されている演奏をされてうれしかったですね。以前の荒らしい音、演奏とは随分違っていました。いい楽器を持つと上手くなるという見本の様でした。

出演者の中に、ヤマハに置いてあったチラシを見て初めてご参加された方もいらして嬉しかったですね。チラシに初心者でも良いと書いてあったので申込みましたという方で、今回初めてミューズにお越し頂きました。その方も楽しんで頂けた様子で、終演後もお茶とお菓子で他の出演者の方たちと暫く歓談されてお帰りになりました。こういう形でギターの友人の輪が広がるといいですね。ある人は仕事柄爪を伸ばせないのですが、同様の方とこのワンコイン・コンサートを通じでお知り合いになり、いろいろとつけ爪のことやら、最小限の長さでの弾き方などの情報交換もされているようです。

また、ある聴衆参加された人がこの様なことも仰ってました。「先生に言われた事も、自分が弾いている時は分からないけど、同じ様なレベルの人の演奏を聴いて、ああ、先生の言ったことはこう言う事なんだと分かります。」これも良く分かりますね。人の振り見て我が振り直せではないですが、人の演奏を聴いて自分の演奏の欠点を実感すると言う事ですよね。今までは演奏参加すると上手くなりますよ、とばかり言ってきましたが、聴衆参加も結構いい勉強になるんだと再認識しました。

更に、こんなメールも頂きました。ご本人のご承諾を得てご紹介させていただきます。
「ワンコイン・コンサートを大いに楽しませていただきました。実際、想像以上の楽しさで、充実した時間をすごせたことを喜びながら帰りの中央線に乗ったところです。いろいろな世代に属する皆さんが真剣に演奏をしている様子を見て、まるで自分もステージに上がっているような気分になるほどでした。山下さんが言われるように初心者、ベテランが同じステージに立って、聴衆と「ワクワク感」を共有することは本当にすばらしいことだと思いました。あのような会にでたのは、これまでありませんでした。
さて、そんな感動にやや圧倒されて(この歳--68歳ーーともなると、あまり感動しなくなる!)、自分もあのステージで演奏したいという気持ちが夕べから"むむく”と沸き立ってきて、今や、ほぼ衝動的にこうしてキーボードに向かっています。~中略~
これまで、人前で弾いたことはありませんが(20代のころ高校の予選会で、古賀メロディーを弾いたことがありますが)、昨日の演奏会に出てみて、たとえ、あがってしまい、間違えてもいいのだという実感をもつことができました。上手な人も初心者も「同好の士」という連帯感で緩やかに繋がるーー自分も遅ればせながら、その仲間に入りたいと思った次第です。70から人生のベクトルが変わるかもしれないという期待感があります。」

これもとてもうれしいメールでした。
皆さんも演奏参加、聴衆参加してみませんか?心がワクワクする様な楽しいことをしましょう。

次回のワンコインは12月7日(日)です。既に現在11名の方がエントリーされています。お早めにエントリーのお申込みをしてくださいね。

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