2006年3月14日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 小原 聖子さん 編

 昨年(2005年)12月1日、東京の四谷区民ホールで行われた日韓芸術交流会2005に出演され、健在ぶりを拝見させていただいた小原 聖子さんのLPがあることを思い出し、今日久しぶりに聴いてみてぶったまげた。(その日、都合で東京に行くことになり、夜現代ギターの江部編集長と一緒にそのコンサートに出かけたのでした)どうぶったまげたのかというと、あまりにも上手いのでぶったまげた。 プロの方のレコードを聴いて上手いからと言ってぶったまげとっては、ちょっと不謹慎かなと思って反省しちまうけども、本当にぶったまげちまった。

 このレコードは1979年の録音で、小原さんが1980年、つまり発売になった直後写真にあるように、自らが「謹呈 内生蔵 幹様」と書いて、わざわざ送ってくださったものです。小原聖子さんはご存知のように、日本のギター界に重要な功績を残された小原 安正さんの娘さんで、ギタルラ社社長青柳さんの奥様です。
当時ご縁あって青柳さんや小原さんとお知り合いになり、お付き合いをさせていただいていた関係で、このレコードを贈られたのですが、その後はほとんど聴いたことがなく、長らく小原さんには大変失礼してしまった次第。
今日じっくり聴かせていただきましたので勘弁してね。

ここでレコードに収録されている曲目をご紹介しましょう。
① ホルヘ・カルドーソ:黒のテーマ
②          :ペルーのワルツ
③ A.バリオス:ワルツ
④       :大聖堂
⑤       :パラグァイ舞曲
⑥ I.サビオ:この道
⑦ F.ソル:魔笛による主題と変奏
⑧ R.サインス・デ・ラ・マーサ:サパテアード
⑨ M.リョベート:聖母の御子
⑩        :アメリアの遺言
⑪ A.ルイス・ピポー:唄と舞曲 第1番
⑫ J.C.メルツ:ハンガリアン幻想曲
以上の12曲
 この演奏がどれをとっても第1級の芸術品なんですなあ。特にホルヘ・カルドーソの2曲、ソル、デ・ラ・マーサ、ピポー、メルツなどは絶品と言ってよい内容。
当然録音もハードディスクに録音するのではなくテープレコーダを使っているので、今のようにコンピュータ上で自由に編集・修正なんてことはできません。録音はあの有名な菅野沖彦さんがディレクター&ミキサーをされており、当時としてはとても素直で良い音が録れておりまする。しかも小原さんの演奏、テクニックは完璧だし、芯のあるしっかりした音色もまた魅力的。

そしてもうひとつ面白いのは、プログラムにあまりセゴヴィアの影響がみられんこと。どちらかというと小原さんはセゴヴィアよりもイエペスやデ・ラ・マーサの方とより親交があったのかもしれん。当時としては、特にカルドーソやメルツなんて選んだ曲がとても珍しく、またユニークです。

 残念なのは、録音に使用したマイクやテープレコーダー、カッティングマシーンといった録音機材のデータは事細かに記載されているにもかかわらず、我々にとって一番興味のある使用された楽器のデータが何も記載されておらんこと。こりゃあちょっと片手落ちだわなあ。

それにしても当時これほどの完成度でこれらの曲を演奏されていたとは、嬉しい驚きでありまする。こりゃあ一度昔に帰って、ミューズでレコードコンサートでもやって、皆さんに聴いてもらわんとあかんなあ。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)
 


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