2009年8月のブログ記事一覧-ミューズの日記
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先週の土日(8/22&8/23)はミューズは大変な賑わいでした。やはりマエストロ福田の人気は凄いですね。普通ならこれだけのギタリストをサロンで聴けるということはありませんので、間近に聴けると言うのも大きな魅力ですしね。
福田先生には定期的にマスタークラス(公開レッスン)をやって頂いているので、お客様も顔馴染みの方が多く、福田先生も親しみを持ってお話しながら演奏を進めて頂き、ミューズサロンならではの雰囲気のコンサートだったと思います。

プログラムは第1部は、タレガ没後100年を記念して7月25日に発売になったアルバム『オダリスクの踊り』から珍しいタレガ作品を含め、名曲を演奏頂き、第2部はレンゴンディ、バークレー、テデスコのこれまた珍しい、しかも難曲を演奏して頂きました。よくぞこれだけの難曲を並べたものだと思います。しかも長年弾き込んだ曲ではありませんから、マエストロと言えど大変だったと思います。

<第1部>
【タレガ作品集~没後100年を記念して】
・ヴェルディ「椿姫」による幻想曲(F.アルカス原曲)
・タールベルグの主題による演奏会用エチュード
・アラビア風奇想曲
・アルハンブラの思い出
・グランホタ(F.アルカス原曲)
<第2部>
・G.レゴンディー:序奏とカプリス Op.23
・L.バークレー:ソナティナ Op.52-No.1
・M.カステルヌオーヴォ=テデスコ:悪魔の奇想曲 “パガニーニへの讃歌”Op.85
そしてアンコールではE.グラナドスの詩的ワルツ集より2曲、タンゴアンスカイなど重かった2部の口直し的曲で楽しませて頂きました。

日曜日は11時から6名が受講されました。
小学5年から50歳代まで幅広い年齢層でしたが、技術的アドバイスから音楽作りのアドバイスまで聴講していてもとても勉強になる一日でした。
受講者と受講曲は下記の通りでした。
・金田栞奈 タランテラ/テデスコ
・中子拓矢 大序曲/マウロ・ジュリアーニ
・鷲見雄史 序奏とロンドOp.2-2/D.アグアド
・長縄広紀 ロンドOp129/M.カステルヌオーヴォ=テデスコ
・伊藤兼治 カヴァティーナ組曲/A.タンスマン
・折戸雅尚 プレリュードとフーガ、アレグロよりアレグロ/J.S.バッハ

この二日間は昼夜共に福田ワールドにどっぷり漬かることが出来、楽しい時間でした。何しろ福田先生は音楽的な知識だけにとどまらず、世界中を飛び回っている人ですから、音楽界の事から、食べ物の事、文化の事など話しのネタは尽きることがありません。引き出しを一杯もっていますから、話をしていても飽きることがないんです。しかも純粋におどけられる人なので小学5年生の栞奈ちゃんも打上げ終了して『あぁ、楽しかった!』と言えるんですから。




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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 今、タレガの時代がやって来た?

 「いつか私の時代がやって来る」と言い残したグスタフ・マーラーとは少し趣が違うかもしれないが、近年やけにタレガの音楽を耳にするようになってきた。「アルハンブラ」のように誰にでも知られた超有名曲の作曲者であり、ギターを持つものならばその作品に触れたことがないというものはいないタレガ。にもかかわらず、今までそのタレガにスポットを当てた録音というものがほとんど見られなかっただけでなく、コンサートにおいても正規のプログラムとして取り上げられることはむしろ少なかったように思える。そんなタレガだが、なぜかこのところその音楽を耳にする機会が増えてきたようだ。
タレガの亡くなった1909年からちょうど100年を経た今年。そろそろタレガの時代がやってきたのだろうか。まだ聴いてはいないが福田進一さんも最新の録音ではタレガ・オンリーのものを出したようだし、いろいろな演奏家達がそのプログラムにタレガを取り上げてきている。そして現代ギター社からは、エミリオ・プホール著作になる「タレガの生涯」の訳本がタイミングよく再版になり、私も初版は購入できなかったので今回早速手に入れ一気に読んでみた。(ところで3・40年ほど前はどの楽譜、書籍を見ても「タルレガ」と表記していたので、最近の「タレガ」、ないしは「ターレガ」という呼び方にはなかなか慣れることができない)
 日本語訳がまったくの直訳調で読みにくいこと夥しいのではあるが、それでも作者であるところの直弟子、E・プホールの師に対する愛情が文章のあちこちに溢れ、タレガの知られざる生涯を知るにつれ、その人となりに自然と親しみを覚えるようになった。少なくともその作品に、楽譜からだけでは得られない「何か」を感じ取ることができるようになった気がする。そして、よくぞその時代に貴方のような芸術家が生まれ、またギターというあまり恵まれているとはいえない楽器に生涯を費やしてくれたものだ、という感謝の念のようなものも湧いてきた。

 ところで、このようにタレガの音楽が、今あたかも再評価され始めたように見えるのは世界的な傾向なんだろうか。それとも海外では昔からタレガの音楽は演奏され続けていて、ここ最近頻繁に演奏するようになってきたのは日本だけなのであろうか。(もちろん没後100年という節目の年であるということも世界的に無視はできないとは思うが)
 タレガは1852年、セゴヴィアが生まれるおよそ約半世紀近く前に生まれており、没年は1909年となっているので、セゴヴィアがギターと出会った幼い頃にはまだ現役で活躍していたことになる。しかしそのセゴヴィアも、生涯を通じてタレガの音楽に関してはごく限られた作品しか録音として残していない。多くのオリジナル作品の他、少ないとはいえない優れた編曲作品があるのにもかかわらず、タレガを中心としたレコードというものがほとんどない。かろうじてLPの裏と表にソルとタレガを収めた白黒ジャケット写真のものがあるのみだったと記憶している。(このレコードは、友人には何度も聴かせてはもらったのだが、残念ながら自分では購入できなかった)もちろんその他の作品についてもセゴヴィアは演奏、録音はしてはいるが、その種類は多いといえるほどの量ではない。
もっともセゴヴィアの時代にはすでにタレガの音楽は過去のものになっていたのかもしれない。タレガの他、ソルやアグアドといった古典も演奏はしているが、それらは一般音楽の世界から見ればあまりにもマイナー過ぎる。セゴヴィアはむしろ当時第一線で活躍する一般音楽の作曲家達に声を掛け、新しい時代の作品を提供してくれるよう働きかけることの方により関心があったようだ。
たしかにそれまで小さいサロンかホールで、しかも少人数の聴衆のみを対象としてきたギターという楽器を、ピアノやヴァイオリンに負けない表現力をもった楽器として一般音楽界に認めさせるためには(言い換えればクラシックの音楽界において大きな成功を手にするためには)、当時誰もが認める一流の作曲家を担ぎ出すのが必須であり、また最も手っ取り早かったのであろう。結果セゴヴィアの目論見は功を奏し、今我々は、独奏・協奏曲を問わず、驚くほど著名な作曲家のオリジナル作品を数多く手にすることとなった。
そこでタレガであるが、私の知っている範囲で言えば、ずっと下って1982年、やっとイエペスが「タレガ作品集」として1枚裏表全てタレガ作品というLPレコードをD.グラモフォンに残している。もちろんその中にはアルハンブラも入っているし、ラグリマやアデリータといった小品のほか「演奏会用大ホタ」というタレガとしては珍しい大曲も入っていた。作曲者がこのように弾いたとはとても思えないほど演奏者の個性が強く前面に出た演奏ではあったが、「さすがイエペス、先見の明あり」といった企画ではある。
その後は1991年マリア・エステル・グスマンというスペインの女性ギタリストが、日本のファンハウスというレーベルから「タレガ讃歌」と題した、やはりタレガばかりを集めたCDを出しているが、こちらの方は「椿姫の主題による幻想曲」のような珍しい大曲のほか、「シューマンの断章による前奏曲」といった短いが(1分ない)技巧的な作品も取り上げられている。このグスマンさんは、充分に個性的な上現代の演奏家には珍しく、古きよき時代のスペインを思い起こさせる演奏をする。しかしひょっとしたらタレガ自身は意外にもっとあっさりとした演奏スタイルだったのではないかというような気がしないでもないが。(ラフマニノフも自作の協奏曲を意外とすっきり弾いている)
その他有名なナクソスですらも、未だタレガにスポットを当てた企画を実行するに至っていない。とにかくタレガの作品ばかりを集めた録音ということになると、それほど少なかったのである。
しかし1822年生まれで1872年まで生きたG.レゴンディの作品はすでにナクソスのほか尾尻さんも大挙してCDに入れているし、村治奏一君もまた自らのレパートリーに取り入れて今年素晴しい演奏を聴かせてくれた。そしてレゴンディと同時代(1832年~1882年)に活躍した大ギタリストJ.アルカスの作品も、ステファノ・グロンドーナがA.トーレスのラ・レオナという名器で録音しているし、タレガの弟子でもあるM.リョベートはナクソスでロレンツォ・ミケーリが紹介しており、リョベートという芸術家の真価がカタロニア民謡の編曲集だけではないことを証明している。さらに今私の手元にはリョベート同様タレガの弟子であったダニエル・フォルテア(1878年~1953年)の作品ばかりを集めたCD(演奏はA.マルーリ。使用楽器は1928年製のD.エステソ)や、エミリオ・プホールの作品のみというCD(演奏はクラウディオ・マルコトゥーリ)もある。(これらのCDについてはまた別の機会にご紹介したい)
それらには、芸術作品としての限界を自ずと露呈してしまうものが多いのはいたし方がないとしても、ソルやジュリアーニといった古典の巨匠達が去り、レニャーニやメルツ、そしてコストなどが活躍したのち、次のセゴヴィアの時代を迎えるまでの間を埋めるものとして、今味わうことができるようになってきたのはまことに喜ばしい。
とにかく「近代ギター音楽の父」とか「ギターの聖フランチェスコ」とまでいわれながら、代表的な「アルハンブラの想い出」以外あまり世に紹介されてこなかったF.タレガの作品が、少しづつ全貌を現しつつある。せっかくのこの夏、その音楽にゆったりと浸ってみることにしよう。
内生蔵 幹


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今日はワンコインコンサートでした。
今回はワンコインでは初めて小学生と中学生が出演されました。二人ともミューズ教室の生徒さんです。
もう一つの特色として、来週の第1回中部日本アマチュア・ギター・コンクールに出場される方たちが大勢出演されていました。丁度いい練習になりますからね。場数を踏む、人前で弾く事に慣れるのに、このワンコインはうってつけですからね。

今日感じたことは、皆さん演奏姿勢がとても良いことです。先生について習っている方が多いからだと思うのですが、「この人の姿勢はチョット・・・。」と言う人は殆ど居ませんでしたね。
姿勢と言うのは演奏に大きく影響しますので大事ですよね。体の緊張を出来るだけ無くして、指の動きを良くし、楽器をうまく鳴らす、響かせるには姿勢がとても重要です。勿論、タッチも大事ですから、姿勢さえ良ければよい音が出せるかと言うとそうではありませんが、姿勢は基本中の基本です。

また、弾きなおす人がいましたが、このクセは直した方がいいですね。練習中に弾きなおすクセをつけると本番でも弾き直してしまいます。ミスをしても知らん顔をして引き続ける練習をした方がいいですね。特にコンクールとなると弾き直しの方が減点が大きくなりますから。一つの音がプツッと出なくても何食わぬ顔をして続ける方が傷は小さく聞こえます。

次回のワンコインは10月11日(日)です。エントリーのお申込は出来るだけお早めにお願いします。また、聴衆参加も必ず申込をお願いします。今日もご予約なしで来られた方でキャパオーバーしてしまいました。うれしいことですが・・・。

さあ、コンクールに出る方のご健闘をお祈りして、明日から夏季休暇に入らせて頂きます。8/10(月)~8/14(金)までお休みさせて頂きます。


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先週の土曜日(8/1)の佐藤正美サロンコンサートは、「バーデン・パウエル特集」と言う事もあってか、いつもより人気が高く、私自身楽しみにしていました。
バーデン本人から「唯一の存在」として認められた佐藤先生は、バーデン奏法を見事に再現できる上、佐藤流のアドリブなども交えて、それは素晴らしい演奏を聴かせてくれます。今までに佐藤先生以上のボサ・ノヴァの生演奏にお目にかかったことがありません。細かなリズムの刻みの中での消音と弾弦の絶妙な技はなかなか真似のできるものではありません。

そしていつもトークがとても楽しいから、あっと言う間に時間が過ぎてしまいます。そして、何と言っても終演後の打上げがまた楽しい。お酒を飲みながら、サロンで楽しい会話と演奏がたまりません。まだ一度も経験の無い方は是非一度ご参加下さい。

因みに当日のプログラムは下記の通りでした。

<第一部>
1.恋に違いない(B.パウエル)
2.ジェット機のサンバ(A.Cジョビン)
3.アペロ(B.パウエル)
4.イパネマの娘(A.Cジョビン)
5.オサーニャの歌(B.パウエル)

<第二部>
1.サンバ・デ・アストロノーツ(B.パウエル) 
2.テンポ・フェリス(B.パウエル)
3.トリステーザ(ハロルド・ロボ)
4.悲しみのサンバ (B.パウエル)
5.ビリンバウ(B.パウエル)



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あれからもう1週間が経ってしまいましたが、先週の日曜日はミューズでも初めての19世紀ギターでのリサイタルでした。西垣先生とは今回が初めてでしたが、浜松とミューズサロンでのコンサートの二日間をご一緒させて頂きました。
一口に言って西垣先生はこだわりの人ですね。音に対しても、楽器に対しても、音楽に対しても、全てにおいてこだわりを持った人です。

昔はゲルマニウム・ラジオ少年だったとの事ですが、機械や理数系にお強いらしく、何年か前にヤング音律に基づいたフレッチングの計算をするコンピュータプログラムをご自身で組まれたそうです。そしてご自身のギターにはその計算に基づいた「グニャグニャフレット」が打ち込まれていました。ヤング音律の正確な説明は出来ませんが、簡単に説明しますと12平均律では濁る和音(長3度が一番濁ります)の濁りを極力押さえて、純正率に近い音階を作り出すために編み出された音律だと思ってください。いろんな方がいろんな音律を提唱していますが、これはヤングさんが提唱したものです。詳しくはギター製作家の田中清人さんのHPに説明がありますので興味のある方はこちらをご覧下さい。(http://www6.ocn.ne.jp/~kiyond/fret-work2.html)

当日の演奏にはそのヤング音律を適応した1830年のコッフ製作のギター(写真左)と、150年前のベヒシュタイン・ピアノの響板を使って製作された平山さんと言う古楽器製作家のギター(写真右)に、また別の音律のフレッチングを施したギターの2本を使われました。古い木材の音がお好きなんだそうです。楽器へのこだわりも生半可なものではありません。

プログラムは19世紀ギターを使いながらも19世紀の曲は少なく、バロックと近代の曲が中心になっていましたが、音の出し方、トリルの仕方、響かせ方、歌い方など西垣ワールドをたっぷりと聴かせて頂きました。これにも西垣先生のこだわりを強く感じましたし、とても新鮮にも感じ、とても楽しませて頂きました。チャンスがあればあなたも是非西垣先生の演奏を聴いてみてください。

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