昨日は大萩さんのコンサートに行ってきました。名古屋のしらかわホールと言う700名ほど入る、響きの良いホールです。1階席はほぼ満席状態で、いい演奏会でした。
今年30歳になる彼の演奏は益々円熟をまして、既にヴィルトゥオーゾの風格を感じさせるものでした。元々音楽性は高い評価のある人でしたが、既に彼自身の音楽を確立しており、他の演奏家にはない音楽で人を惹きつける魅力ある演奏を聴かせてくれました。特に1部で演奏した武満徹の12の歌のサマータイムは神がかっていたと言っても過言ではないくらい素晴らしい演奏で会場全体が呑み込まれていました。
また、ブローウェルの舞踏礼賛も今までに聴いたものとは全く異なった音楽を作り上げていて絶品でした。強弱の配分、音色の変化、リズム、テンポ設定など彼の音楽が見事に開花している印象を受けました。
そして、プログラム最後のヒナステラのソナタNo.47は右手も左手も縦横無尽に動き回り、掻き鳴らし、弦を擦り、引っかきしての難易度の高い曲ですが、聴衆を圧倒する見事な演奏で、会場が割れんばかりの大喝采を浴びていました。
大萩さんはお話もトツトツと自然体でされ、ステージ上でもとても好感の持てる人なのですが、彼が楽器の事を説明したときに言った言葉「何故この楽器を選んだかと言うと、僕が出したい音や、やりたいことが沢山できる楽器だからです。」がとても印象に残りました。私もお客さんにいつもそれを基本に楽器選定のアドバイスをしています。人にはそれぞれ出したい音や歌いたい歌い方、作りたい音楽があります。それを一番楽に出来る楽器、即ち、一番気持ちよく弾ける楽器を選びましょうと・・。
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