2009年2月のブログ記事一覧-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 村治佳織&荘村清志ジョイント・コンサート
 2月8日(日)、岐阜のサラマンカ・ホールにおいて行われた村治さんと荘村さんのジョイント・コンサートに行けたのはラッキーだった。当日お昼前、久しぶりにミューズへ顔を出して山下さんとお話をしていたときに、村治さんの事務所の社長さんから私の携帯へ連絡が入った。それは「今会場に着いたが、招待席がちょうど二人分だけ空いてしまった。よろしければ奥さんと一緒に来ませんか?」という連絡。前日の7日(土)、同じ愛知県の豊田市において村治さんのリサイタルがあり、そのお手伝いをしてきたところだったのだが、岐阜のコンサートはデュオでもあり、会場の響がとても良いのでPAは使わない上、席もまったく空いていないと聞いていたので、聴きに行きたくても行けず、折角の地元での公演なのにとあきらめていたところへの嬉しいお誘い。結局かみさんは行けなかったが私一人で行かせてもたうこととなった。会場に着いてみると、案の定用意されていた私の席の隣1席のみが空席でその他は全席売り切れ。いつもながらの人気の高さにはただただあきれるばかり。
ここ3年ほど村治さんの演奏は数多く聴いているが、荘村さんの演奏は、彼がスペインから帰国した時岐阜で行われた記念リサイタルと、その後たしか名古屋でのリサイタルを聴いただけで以来何十年も聴いていない。それ以外はテレビのギター教室を1・2度見たことがある程度で、現在の荘村清志というギタリストの演奏をまったく知らない。村治さんが二重奏をやるということのほかに、私にとっては何十年ぶりかで荘村さんの演奏が聴けるという思いがあり、期待といくばくかの不安を胸に席に着いた。
荘村さんの帰国記念リサイタルでの演奏は、私が今までに聴いたギターの演奏会としては最上級のものとして今でも私の記憶にはっきりと残っている。とにかく日本人として世界レベルのギタリストが初めて登場した!と思った。それどころかそれまで聴いた世界のギタリストの誰よりも上手いと思った。その時の演奏には鬼気迫るものがあった。私はそのとき本当の天才というものを初めて目の当たりにしたような気がしたものだった。それほどその時の荘村さんの演奏は素晴しいものだった。その時のプログラムの中でもっとも鮮明に覚えている曲はポンセ作曲による「主題と変奏と終曲」だ。素晴しいテクニックと音色、そしてなによりも荘村さんのセンスが光っていた。第1級の芸術作品として私たちに迫ってきた。(そのことを当日のコンサートの後、荘村さんに話したら、彼は嬉しそうに、また懐かしそうに「あの時はできるだけ世間であまり取り上げられていない作品を演奏したいと思ってあの曲を演奏したんですよ」といって話してくれた)しかしその後何年かのちの名古屋でのリサイタルでは何故か期待を裏切られた感じがして、その後は一度も荘村さんの演奏を聴くことはなくなってしまった。正直言ってCDすらも1枚も持っていない。
あの荘村さんが今どんなギタリストになっているんだろう。それは彼と1歳しか違わず、同じ時代、ギターを心の拠りどころとして生きてきた私にとってはとても楽しみであると共に、少なからず残っていた不安な気持ちを拭い去ってほしいという願望を抱きつつコンサートに臨んだが、結果はとても幸せな気分でコンサート会場をあとにすることができた。
最初に演奏されたジョンとブリームも録音を残しているテレマンのポーランド風パルティ(パルティータ)変ロ長調は、軽やかでしかも優雅なバロック風な雰囲気を醸しだしていた。次のソル作曲の「ロシアの思い出」はこの曲の演奏としては私が今まで聴いた中では最上級といってよいできばえ。初めてこの曲の魅力を味わうことができたといってもよかった。そして第1ステージ最後はあの有名なプレスティ&ラゴヤも演奏していたヘンデルのシャコンヌ ト長調 HWV.435。ギターで演奏するには長大な曲であるが、主題の単純さに反して時間の経過とともに聴衆をどんどん感動に導いていき、最後まで飽きさせることのない名演となっていた。これこそギター二重奏の醍醐味といってもよいだろう。
次のゴイェスカス間奏曲とファリャのスペイン舞曲(ともにプホール編曲)では二人の息の合った掛け合いや心に届く歌が聴くものをとらえて離さない。そして次は村治さんがアルハンブラ、荘村さんが禁じられた遊びの「ロマンス」をそれぞれ独奏。村治さんのアルハンブラはいつ聴いても聴くものの心に迫ってくる。続く荘村さんのロマンスは、これ以上ないほど思いを込めた情感たっぷりな歌わせ方で、おそらく当日来ておられたご婦人方なんぞはもう心からメロメロにさせられたのではないだろうか。それほど気持ちの込められた演奏であった。本家本元のイエペスは、映画のサウンドトラックでは意外と思えるほどぶっきらぼうに弾いているが、映像を伴った音楽としてはかえってその方がより素朴な感動を呼んでいたように思う。しかし今回のように映像なしのコンサートでの演奏となると、この日の荘村さんの演奏の方が正解なのであろう。そして最後はアサド兄弟も演奏しているピアソラの「タンゴ組曲」。この日の二人の演奏はそんなに何回も練習をしたはずはないのだが驚くほど息もピッタリで、むしろアサド兄弟のちょっと無機質な演奏に比較してより温かみのある内容であったように思う。
この日の二重奏は1st.を受け持った村治さんのシャープな、それでいて歌心ゆたかな演奏と、それを支える荘村さんの素晴しい音楽性に基づく決してでしゃばらない適切なサポートとフレータの渋い音色が素晴しく光っていた。特にその控えめな低音弦がとてもふくよかに音楽を支え美しく感じられた。
不安を抱きつつ聴いた荘村さんの演奏だが、彼が今どんなギタリストに成長したのか、そしてこれからどんな芸術家を目指しているのかのほんの一端を垣間見させてもらったような気がした。今は遅ればせながらではあるが、これから荘村さんのCDをすべて集めて聴いてみたいという気になっている。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)


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先日の日曜日(2/15)は『製作家とギタリストの集い』を行いました。
これは東京のギタリスト・伊東福雄さんが昨年、1昨年に関東で実施されたと言うことをお聞きし、それは面白い企画だと言うことで実施した次第です。
初めての事なのでどんな内容になるか不安もありましたが、お陰様で何とか無事終えることができました。

ご参加いただいた製作家とギタリストの皆さんは下記の通りです。
<製作家の皆さん>
 一柳 邦彦   江崎 秀行   
 大西 達朗   大西 潤    
 茶位 幸秀   加納 木魂   
 寺町 誠
<ギタリストの皆さん>
 伊東 福雄   酒井 康雄
 佐々木響士朗  大矢 修三
 山田 陽介

先ずは製作家の皆さんが持ち寄って頂いたギターについて、製作家ご本人から紹介をしてもらい、次に各ギタリストの皆さんに1本ずつ、全楽器で同じフレーズを演奏してもらいました。ギタリストにはそれぞれ簡単に感想をコメントいただきながら進めました。このプロ同士の集いの時間を3時間用意していたのですが、あっと言う間に時間が過ぎ、5時からの一般の愛好家も含めた懇親会に突入。
5時からは10人ほどの愛好家の皆さんも入って、もう一度ギタリストの皆さんに試奏の形で短いフレーズを全楽器で演奏していただきました。

それぞれの楽器の価格帯が30万円から180万円までまちまちでしたので、同じ土俵での比較をする事は出来ませんが、各製作家の個性がそれぞれに出ていてとても興味深い弾き比べになりました。愛好家の皆さんも「今日は楽しかった」「今日は勉強になった」と、とても満足気に仰ってくださいました。

製作家の皆さん、ギタリストの皆さん、特に東京から来て頂いた伊東福雄さん、ありがとうございました。次回は今回の経験を生かして、もう少し内容を練り直して実施したいと思いますので、またよろしくお願い致します。
    

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終わった直後はこのカエルが「テラ」の単位で私を取り囲み、「穴があったら入ります。そのまま埋めてください」 状態でした。
 チューナー付いてる意味ないじゃん! 楽譜あるなら見りゃいいじゃん!
そうですよね~。まさかの調弦ミス
1曲目弾き終えて、狂ってるから直さなきゃと思い、チューナーに頼ればよかったのに、いつものとおり合わせられると思ったのが間違い。いっぱいいっぱいの状態で合わせられるわけはなく、弾き始めて・・・と思ったら、音が抜け、はずれ、エーでもここで目を楽譜に持っていったら、またはずしそう、と思い、頭8章節「どんなメロディ?」でした。
とりあえず、最後まで弾くことができたのを良しとするか・・・
社長が、めいっぱいフォローしてくださって、なんだかとっても「いたい子」になっている気がします。(子じゃない。子じゃない)

でもね、このホール、ステージから自分の音がホール全体に響いてるのが感じられて、気持ちいいんです。わたしの安いギターの音も、大きく素敵に聞こえたりして・・・。当日そんな余裕は、なかったですけどね(ハハハ)
皆さんも、是非、このホールのステージを体感してみてくださいね。  冨田でした。




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今日は2ヶ月に1回実施しているワンコイン・コンサートでした。
今回はお一人がインフルエンザに掛かられて欠席となり、11名の方に演奏していただきました。
そして今回の特徴は初めてエントリーされた方が5名いらしたと言うことと、滋賀、恵那、三重県多気郡からとあちらこちらの遠方から参加された方が3名もいらしたことです。
また、ミューズのスタッフである冨田眞理がデビューを果たしたと言うことも私にとっては特筆すべきことでした。彼女は昔、ヤマハでエレクトーンの講師をしていただけあって、音楽的基礎はしっかりしている上、鍵盤で鍛えた各指の独立性が備わっているため進歩の早いこと。昨年の9月から私がレッスンをしているのですが、その進歩には目を見張るものがあります。今日も相当緊張していたとは思いますが、カルリのアンダンティーノト長調をいい感じのテンポと曲想で弾いてくれました。また彼女が大好きなアンドレ・ギャニオンの明日を止まることなく無事弾き終えました。調弦が上手くできていなかったのが心残りでしたが・・・。この曲はピアノ譜から彼女が適当にギターに置き換えたものを、ミューズの講師の谷村先生が楽譜にしてくれたものです。ピアノ譜から適当にギターで弾けるということも、やはりヤマハのエレクトーン講師としてアレンジなども勉強した成果でしょうね。

冨田の事ばかり書いていてもいけませんね。
全体のプログラムをご紹介しますと、
<第1部>
1、中島 京子 ハイポジションの練習曲/コスト 
         25のエチュードより№.7/カルカッシ
2、冨田 眞理 アンダンティーノ/カルリ
         明日/アンドレギャニオン
3、八田 玄二 マリア・ルイサ/J.サグレラス
         禁じられた遊び
4、西村 直樹 エチュードNo.3 プレリュード/コスト  
         ラ・ロマネスカ/メルツ 
5、各務 昭子 アラールの華麗なる練習曲/タルレガ 
         星の世界/コンバース(武満 徹 編曲)
6、草場 徹也 インカ王女の子守唄/中林淳真
<第2部>
1、野村 宏生 主よ人の望みの喜びよ/バッハ
2、西川 義則 アリアと変奏/フレスコバルディ
3、豊嶋 真司 前奏曲5番/ヴィラ・ロボス
4、寺本 智  ファンタシア/A. ムダーラ
         涙のパヴァーヌ/J. ダウランド
5、大木省吾  さくら

以上、11名でしたが、西村さん、写真をとり忘れてしまいました。ごめんなさい!

中島さんは70ウン歳のご高齢ですが、ゆっくりと丁寧に演奏されました。初めてエントリーされたときは右腕の振るえが止まらずに最後まで弾けませんでしたが、今では落ち着いた演奏が出来る様になりました。
八田さんは先回のワンコインで不本意な演奏で終わったので今回はそのリベンジでご参加されました。1曲目のマリア・ルイサは調子よく弾かれていましたが、禁じられた遊びが薬指の力が入らず、又もや不本意な演奏だったようです。しかし、もう一度同じ曲で挑戦されると言ううれしいお言葉でした。
西村さんは2曲ともきれいな音で落ち着いて演奏されていました。加納木魂さんの100号630mmで、購入されてから弾き込んで来ているのでいい音がしていました。
各務さんは難しい曲を軽やかに演奏してくださいました。欲を言えばメロディーとそれ以外の区別がもっとあるとよかったかなと思います。
草場さんも落ち着いて、しっかりしたタッチで演奏されました。次回はクラシック、つまり古典の曲を聴いてみたいです。
野村さんは、エレキギターをやっている方で、クラシックギターは昨年の7月からと言う方で、左手も右手もエレキのクセがそのまま残っていました。直されるといいですね。
西川さんは30年以上も弾き込まれた曲で参加していただき、その年季を感じさせる演奏でした。途中でもつれそうになりましたが、流石に経験が物を言ったんでしょうね。音楽の流れを止めることなく完奏されました。
豊島さんは人前で演奏するのが20数年ぶりと言うことで、緊張されていたとの事ですが、しっかりしたタッチで大きく、美しい音で演奏されました。ホセ・ヤコピが光って見えました。
寺本さんはいつもきれいな音で音楽的にもすばらしい演奏をされる方です。今日も売りに出しているケヴィン・アラムとのお別れの演奏と言う事で、きれいな音色を聴かせてくれました。
大木さんはいつもの様に感情をたっぷり移入した熱演を聴かせてくれました。
とお一人ずつショーとコメントを書くと長くなってしまいますね。失礼致しました。

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今日は吉川二郎さんと野口久子共演のコンサート・フラメンコ・ギターの演奏会でした。吉川さんは巨匠マヌエル・カーノに師事されて、演奏活動30年と言う方で、創作活動も演奏活動も盛んに行われている数少ないコンサート・フラメンコ・ギターの奏者です。コンサート・フラメンコとは、踊りの伴奏のギターではなく、ギターだけの演奏をすると言うことを意味しています。普通フラメンコギターは踊り、歌の伴奏を主体とする事が多いので、ギターだけの演奏を聞かせる事は少ないのですが、吉川さんは30年に亘ってコンサート主体に活動を行ってきています。
そして、1998年にスペインで発刊された『フラメンコ大百科事典』に、日本を代表するフラメンコギタリストとして紹介されています。CDも今までに9枚をリリースされていて、自作品も多く紹介されています。しかも、日本人であることから、日本人としての自分の音楽造りを志し、日本の文学や詩にまつわる作品を多く書かれています。最近は作曲の依頼も増え、昨年10月に大阪の大槻能楽堂で催された花柳興桂氏による「源氏物語千年記念公演」の日本舞踊「末摘花」のためにも作品を書いています。今日のプログラムにもその「末摘花の想い」が演奏されました。

兎に角、一度聴いていただくとよく分かりますが、モダンフラメンコギターとは違って、古典的なフラメンコギターは勿論ですが、クラシック・ギター音楽をフラメンコ風に編曲したり、オリジナルも全く吉川スタイルのとても聴き易く、楽しい音楽を聴かせてくれます。

そんな吉川さんですから、ファンの方もあちこちに多く、今日も満席状態でした。何人かのご予約をお断りした次第です。そして、プログラムは第一部が吉川さんのソロ、第二部が野口さんとの二重奏で、マヌエル・カーノの古典フラメンコから自作品の日本的なテーマを冠した作品、ラウロやバリオスのクラシックギター、アルベニスのセビーリャ、最後に日本の歌メドレーなど楽しませて頂きました。お客様も大満足でCDが16枚も出るほどの売れ行きでした。年に1回は来て頂けると思いますので、まだ聴いたことのない方は是非次回はお越し下さい。

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