2007年10月のブログ記事一覧-ミューズの日記
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モモさんとMURAKAMIさんのご質問にお答えいたします。

1.ハカランダにもいろんなグレードがあります。同じグレードならハカランダの方がローズウッドより高いのですが、グレードによってはハカランダよりローズの方が高い場合があります。尤も現在は通常のルートでハカランダを入手する事は不可能ですが・・・。生産数量も多く、長年製作を続けているブランドギターですと昔入手したハカランダで備蓄されている中からグレードの落ちるものを低価格のギターに使用しています。しかし、昔は使わなかった様なグレードのものも現在は使わざるを得ない状況になってきています。
ただし、グレードは違っても木の特性はありますのでローズよりハカランダのほうが一般的にはクリアな音がします。私が先日言った「ハカランダ神話」にやや誤解があるかも知れませんが、私の意味するハカランダ神話とは、ある意味「間違ったハカランダ神話」と言う意味です。「高級ギターはハカランダ」「ローズよりハカランダのほうが良い」と言う勘違いです。銘器でもローズを使っているものは沢山あります。
また木の価格は製作家が決めているのではなく木材市場で決定されます。従って同程度のグレードの材でも購入する時期、年度によって変わります。現在は年々高くなっています。だからモモさんも言われるように価格だけで良し悪しは決まりませんし、自分に合ったものを決める事が出来ないんですね。

2.オーダーメイドについては迷いがありますよね。MURAKAMIさんが言われる様に現品を確認して購入するのが一番安全です。しかし、特注品を頼みたいときもありますね。ネックの形状やら、弦長やら、名前を彫って欲しいやら・・・。それ以外には現品確認して購入するのが確実です。よく聞く話に「注文して作ってもらったらちょっと思っていたのと違って・・・。」と言うのがあります。
ご質問にある『同じ製作家のもと、同じ価格で作られたギターには音質の差はどれぐらいあるのでしょうか?出荷の際は、音質の点で何か基準を作っているのでしょうか?』と言うのにはいろんなケースがあります。製作家もいろいろ試行錯誤していますので、ある人のギターを見て気に入ったのでその製作家に注文したら違うタイプのギターが来たと言う話もあります。また常に改良を加えている事が多いので昨年のギターと今年のギターでは鳴りが違ったりもします。注文する時には正確にタイプや製作番号などを指定して注文する必要があります。同じタイプで同じ設計で作られた場合は、習熟した製作家ならそれ程の差は生じない筈です。しかし、年数が経過しているものと新作とでは同じ作りでも違ってきます。違いの原因は材料の違い、塗料の違い、製作時期の気候の違い、経年変化などが上げられます。同じグレードの材でも全く同じ材は存在しませんし、気候的には湿気が少ない時期の方がベターです。
また音質の点で出荷の際の基準と言うものはありません。音質と言うものは数値化できないものですし、基準を設定するのは不可能ですね。余程出来具合が悪く、製作家が出荷したくないものが出来た場合は作り直しするかも知れませんが、それは安定した品質の楽器を作る力がない事を意味します。


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今日はサロン講座『ソルフェージュ基礎の基礎~ソルフェージュってなに?』を行いました。講師はリュート奏者の中川祥治先生。
予想以上に多くの方に参加いただきました。用意した五線用紙が足らなくなり慌ててコピーする場面も。皆さん、予約はちゃんとしましょうね。

ソルフェージュと言う言葉は知ってるが、実際どんなことをやり、何の為にやるものなのかよく分からないですよね。又は、楽譜を読むのが苦手だし、初見演奏なんかなかなか出来ない、音を聞いても何の音かもよく分からないなどを実感していて、漠然ともう少し基礎的な勉強をしたいなと思っている方々も多いと思います。今日はそんな方を対象にソルフェージュの基礎の基礎を体験していただこうと言う企画でした。音楽の基礎力をつけたいと思っている方が沢山いらっしゃるんですね。本当に沢山の方にお出で頂きました。

体験した内容は次の二つです。
1.楽譜を見ながら声に出して歌う(視唱)
2.音を聞いて五線に音符を書く(聴音)

最初はドとレの二つの音から始めて、次にド、レ、ミの3音、そしてファを加えて4つの音で視唱と聴音を体験して頂きました。

最後に参加者の皆さんに今日の内容の難しさ(レベル)について質問をしてみました。すると比較的簡単だったという人が約1/3、丁度よいレベルだったと答えた方が約2/3、難しかったと言う方はほんの2-3名でした。そして定期的に受講したいと言う方がほぼ全員と言う結果でした。そこで中川先生と相談の結果、来年2月から3ヶ月に亘って月2回のペースでワンサイクルやってみることになりました。詳細が決まり次第HPでご案内いたしますので勉強してみようという方はご参加をお待ちしています。乞うご期待!







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今回は次のような質問を頂きましたのでそれにお答えします。

質問『ギターにはいろいろな種類の木が使われていて、塗装もいろいろあるようですが、ギターを見て、これは何の木かとか、どんな塗装がされているかとかどうしたら自分で判断できますか?』

見た目に判断する話を文章でお伝えするのは難しいですが、代表的な種類と大まかな見分け方をお話します。

表板の場合は松か杉どちらかですね。松は全体に色が白っぽいと言う事と木目が杉ほどはっきりしていません。杉は赤っぽく木目が真直ぐでハッキリしています。

裏側は代表的な材料がローズかハカランダですね。中にはマホガニーやメイプルというのもありますが・・・。ローズとハカランダの見分けは結構分かりにくい場合があります。板目のハカランダは濃淡がハッキリしていて美しいハカランダらしい模様があるので判り易いのですが、柾目のハカランダを使ってあるとローズと迷う場合があります。ただハカランダの方が全体に濃い色でやはり濃淡がハッキリしているのとそれらしい顔をしていると言う事でしょうか。これは専門家でないと判断が難しいです。

次に塗装ですが、大きく分けると次の様な種類に分けられます。
1.セラック
これは東南アジアに生息するラックと言う虫の分泌物から作られます。アルコール以外には溶けなく、仕上がりが深みのある光沢があります。ただし、耐水性が弱く耐熱性にも劣ると言う弱みがあるため管理には注意が必要です。これはタンポ塗りと言う手法で手で薄い塗膜を何回も塗り重ねて仕上げますのでとても薄い塗装が可能です。因みにヤマハの最高級モデルは300回塗っては乾かし、塗っては乾かしの作業を約2ヶ月掛けて行われます。
2.ラッカー
これはニトロセルローズ、樹脂、可塑材の混合で作られていてその使われる樹脂によって性質は異なりますが、乾きが早いため作業性が良く仕上がり感もセラックほどの深みはないものの落ち着いた光沢感があります。これも耐水性、耐熱性は悪く、ニトロセルトーズが使われているために燃え易いと言う欠点があり、最近は使用が敬遠されています。
3.ポリエステル又はポリウレタン
これらは特徴・性質が異なりますが、塗膜が硬く、肉付きが良い上に耐水性、耐熱性など耐久性が良いと言う共通点があり、メーカー品には殆どこれらが使われています。見た目には厚めの塗膜がピカピカになっています。テカテカする光沢ですね。

以上、文章では分かり難いと思いますがご参考になさってください。



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今日はお客様から村治佳織さんのコンサートレポートを頂きましたのでご紹介させて頂きます。小さな会場でもイクリプスを使って演奏されたようです。使用楽器で第2部のブラジルの製作家と言うのはセルジオ・アブリューのことです。先回アンヘル・ロメロと一緒に演奏したときにも使用した楽器で、佳織さんがアンヘルから購入されたものです。現在ミューズにも1本ありますよ。

10月13日(土)尾鷲市にある熊野古道センターで開催された村治佳織のコンサートに行ってきました。このセンターは、本年の2月に開館したものです。ヒノキを6500本使ってつくってあり、中へ入るとヒノキの香りが快く鼻をくすぐります。また、小高いところにありますので、前の庭から尾鷲湾や対岸の山々など心癒される風景が一望できます。久しぶりに至福のひとときを過ごしてきました。

プログラム
 第1部 
 リュート組曲だ1番ホ短調(J・S・バッハ)
 無伴奏バイオリンパルティータ第2番に短調よりシャコンヌ(J・S・バッハ)
「ギターのための12の歌」よりロンドンデリーの歌(武満徹編曲)
 サンバースト(ヨーク)
 第2部
 暁の鐘(デ・ラ・マーサ)
 ラ・マンチャの歌 Ⅰヘリンゴンザ Ⅱもう冬がやってくる Ⅲ小唄 Ⅳ牧人
          Ⅴラ・セギディージャ(モレーノ・トロバ)
 アルハンブラの思い出(タレガ)
 ヘネラリーフェのほとり(ロドリーゴ)
 粉屋の踊り(ファリャ)
  アンコール
  オーバーザレインボウ 他1曲 

 会場は、17席が17列、プラスαで約300席がほぼ満席でした。会場の床がフラットなので、前から10列目に座っていた私には、村治佳織のあごから上しか見えませんでした。ギターを弾く左右の指裁きが見えないことが残念でなりませんでした。しかし、イクリプスという最新の音響設備が威力を発揮し、ギター本来の音質を損なうことなく、ほどよく増幅されるので会場の隅々まで美しい音色が響き渡りました。ちなみに第1部で使用していた楽器は、ロマニリョスでした。後で値段を調べたら、税込みで378万円でした。(「弘法は筆を選ぶ」、「村治佳織はギターを選ぶ」)4年前にオーダーで作ってもらったそうです。第2部で使用した楽器は、名前は忘れましたが、確かブラジルの製作家だったと思います。

 なんといっても「アルハンブラの思い出」「暁の鐘」のトレモロの美しさに魅了されました。最初の一音から粒のそろったトレモロが何のよどみもなく流れていきました。今まで聴いた中で一番美しいトレモロと言ってもいいでしょう。それからシャコンヌ。これがまたすごかった。緩急、自由自在に弾きまくりました。後のトークで「シャコンヌ」は人生をイメージしながら弾いているとのことでした。なるほど。トークは、立ってもらえたので、やっと上半身が見えました。
 リュート組曲のアルマンドは、恥ずかしながら私のレパートリーでもあります。きわめてゆっくりした丁寧な演奏でした。それがまたいい。私もこれからこのテンポで弾こうと思います。

 至福のひとときは、あっという間に過ぎてしまいました。CDを買った人のため
に、演奏会終了後、サイン会がありました。これがまた長蛇の列。CDを買った私も辛抱強く並びました。黒いCDの板にゴールドのサインペンでサインしてもらいました。これで村治佳織のサイン入りCDは2枚目です。せっかくなので、顔をじっと見て「ありがとうございました」と言ったら、ほほ笑みながら私の目を見て「ありがとうございました」と返してくれました。60歳前なのにへんに照れてしまう自分でした。ギターの音色同様、容姿容貌も輝くばかりの美しい人でした。
 
明和町   西川義則 


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『楽器の選び方 その6』のコメントで次の質問を頂きましたのでそれにお答えいたします。
質問『少し前に、レッスンを受けている先生に、弦高を下げるともっと弾き易くなるといわれました。自分では、恐くてできなかったので、先生にお願いしたのですが、正直、弾き易くなったという実感があまりありません。弦高を下げるとは、どういうことなのか、実際どう弾き易くなるのか、詳しく教えていただけますか?』

弦高と言うのは通常フレットの上から弦の下までの距離を言います。標準としては12フレットで6弦が4.0mm、1弦が3.5mmです。弦高は出来るだけ低い方が弾き易いものです。何故なら左の指が弦に触れてからフレットにたどり着くまでの距離が長いと大きな動きになるからです。そして張力が強く感じます。僅かな弦のしなりより大きなしなりの方が弦の反発力は強くなるからです。しかし、低すぎると今度はビリが発生する可能性が高くなります。メーカーや製作家は『このギターはビリが出る』と言われるのが恐いものですから、ある程度の弦高を保ちます。その標準が上述した高さです。

しかし、購入したときは標準の弦高であったものがいつしか高くなっているということがあります。それにはいくつかの原因があります。その一つがネックの反りです。ネックが順反り(凹状態)すると弦高が高くなります。もう一つの原因はボディーの下駒辺りから下の部分が膨らんで、下駒が持ち上がった状態になると弦高が高くなります。これは湿気を含んで表板が左右に伸びようとする事で起こる現象です。左右に伸びようとしても側板に阻まれて伸びることが出来ないので膨らんでしまうんです。この現象はどんなギターでも多かれ少なかれ起きています。従って湿度の高い季節は若干弦高が高くなる傾向になります。

基本的な弦高の調整は下駒のブリッジを低くして調整します。12フレットで0.5mm弦高を下げるにはブリッジを1.0mm下げます。12フレットが弦長の丁度中央なのでブリッジの下げ幅の半分が12フレットで下がる計算になります。しかし、ブリッジの削り面を平らに削らないと溝底との設置面がぴたっと収まらなく、振動を伝える面積が少なくなると音に影響が出ます。従って調整には慣れが必要です。

質問にあります『正直、弾き易くなったという実感があまりありません』と言うのは現物を見ていないので何とも言えませんが、弦高調整が少なかったのかも知れません。本来なら高すぎる弦高を適正な高さにすると左手は押さえ易くなり演奏しやすくなるものです。

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