2007年8月のブログ記事一覧-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 2つのテデスコのギター協奏曲

ジョン・ウィリアムスの弾くテデスコのギター協奏曲ニ長調作品99は、過去に2度の録音があって、一回目のユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィラ管弦楽団と共演した録音(写真左)が、その後私の知る限り1回も再発されないで、ジョンの弾くテデスコの協奏曲といえばチャールス・グローブスの指揮でイギリス室内管弦楽団と共演した1977年の2回目の録音(写真右)が繰り返し再発されていることは以前ここでも紹介した。もし皆さんがジョンのこの曲のCDをお持ちなら、それはほとんどがこの2回目の録音のものではないかと想像される。1回目の録音は1965年、ジョンがまだ24歳のころ、アメリカデビューを果たした時の録音であり、2回目のそれは1977年、ジョンが36歳の時のもので、最初の録音から12年後ということになる。

 では内容はどうかというと、今はどこにも出ていない1回目の録音の方が圧倒的に優れている。何が違うかと言うと、オーケストラの演奏がユージン・オーマンディの指揮するフィラデルフィア管弦楽団の方が終始高い緊張感をもって、理想的と言えるほどの素晴しい演奏を行っていることだ。私の趣味で言わせてもらえば、数あるこの曲の演奏の中でも圧倒的な名演と言えるのではないだろうか。

ユージン・オーマンディという指揮者は特に私の好みというわけではなく、ある種の管弦楽曲には聴くべきものも残してはいるが、ベートーベンやブラームスなどといった重厚さをもった作品となると何とも軽く、ただフィラデルフィアトーンと云われたきれいな音だけが売り物で、まったく中身が感じられないといった、むしろ印象の薄い指揮者だった。しかし、そのオーマンディも何故かソリストを招いてのコンチェルトにはいつも抜群の冴えを見せており、さぞかし共演したあらゆる楽器のソリスト達も気持ちよく乗って演奏できたのではないかと想像される。とにかく今回のテデスコの協奏曲にしてもオーマンディは抜群のサポートを見せている。いやいやサポートどころかこの曲の理想的な形を示しており、充分な感動をもって聴くものの心に迫ってくる。その表現力は、一度この演奏を聴いてしまうと他の奏者の演奏がどうしても物足らなくなってしまうほどだ。あまり意味は無いかも知れないが、2種類のレコードの演奏時間を比較してみると、1回目の録音が1楽章から3楽章までのトータルで19分と28秒。2回目が20分と38秒。2回目の方が1分と10秒も長い。勿論演奏が遅いからいけないなどといっているのではない。1回目のユージン・オーマンディの方は抜群のリズム感と歌いまわし、そして素晴しいアクセント、全ての楽章を比類ない豊かな表現力でもって演奏をしており、テデスコの魅力を充分に発揮しつくしている。従って24歳のジョンもこれ以上ないほどの素晴しい演奏を繰り広げており、結果、先ほどもいったように数あるテデスコのコンチェルトの中でも最高の名演となっている。それに比べて2回目の録音のときの指揮者、チャールス・グローブスの演奏のなんと覇気のないことか。めりはりのないこと夥しい。リズムは弾まず、ただ中途半端にだらだらと音を出しているだけ。途中で時々入る管楽器や打楽器も、なんだか突然入ってきたようで、とてもその音に必然性が感じられない。しかもそんな内容で1分以上も長い時間をかけているため、その緊張感のないことといったら聴いていて腹立たしいくらいだ。おかげでジョンの演奏もテクニックはいつもながら素晴しいのだが、なんとも覇気がなくて起伏も乏しい。そりゃあバックでこんなにだらだらとした演奏をされた日にゃあ、さすがのジョンも・・・、といったところだろう。特に3楽章の生気のなさといったら「おめぇら、ええかげんにせんかいや!」と言いたくなってしまうほど盛り上りに欠け、申し訳程度に一番最後だけ、「あっ!もう終わりだ、ここで少し盛り上げとかなくちゃ!」といった感じでなんともわざとらしく速度を落とし、あとは音量だけ上げておしまい。チャールス・グローブスという指揮者は百選練磨、大英帝国からサーの称号ももらっており、それなりに重要な実績も残している指揮者だ。にも関わらずなんとも歯がゆい、しかも恥ずかしい実績を残してしまったことだろう。おそらく想像するにチャールス・グローブスはテデスコの音楽世界を理解しないまま録音に臨んでしまったのではないだろうか。理解不能なまま録音の話がまとまり、仕方無しに楽譜に書いてあるまま棒を振ったのではないだろうか。なぜならチャールス・グローブスはそれまでにも幾度となくジョンと共演をしており、それなりに名演奏を残している。(勿論他の管弦楽曲でも多くの素晴しい演奏を残している)ドッジソンのギター協奏曲の1番とロドリーゴの「ある貴神のための幻想曲」、そして今回のテデスコの裏面に入れている同じくドッジソンのギター協奏曲第2番など、どれをとってもなかなか良い演奏をしている。なのにである。なんでこのテデスコのコンチェルトだけがこんなにも駄演なのか。私には明らかに「チャールス・グローブスという指揮者の性に合わなかった」としか思えない。そうでなければ、これほど緊張感のない駄演がそのままレコードとして世に出ることを彼が許すはずがない。きっとその演奏がテデスコの音楽世界をとても表現していないということにすら彼は気付いていないのではないだろうか。
それにしても皮肉なもので、グローブスにとっては生涯の駄演がいつまでも残って、何度もジョンのテデスコとして再発されている。おかげでジョンはその演奏の12年前、世紀の名演を残しているのにもかかわらず、凡庸な演奏のみが残り、いつまで経ってもジョンのテデスコは話題に上らないでいる。どうしてそんなおかしなことが起るのか。勝手に想像するに、マスターテープに何らかの事故があったか、あるいは政治的問題か、はたまたレコード会社の連中の見る目、いや聴く耳がなかったのか。24歳のジョン・ウィリアムスの名演、そしてユージン・オーマンディの名サポートによるテデスコのギター協奏曲の理想形を皆さんにぜひ聴いていただきたいと切に望むものである。


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こんにちは、渡辺なつ実です。

こんにちは、由起です。

今日はラ・リュースギター二重奏団のコンサートがありました。
私と由起ちゃんで、前半と後半を交代で聴く事ができました。

(な)第1部を聴きました。最初はダニエルさんのソロ、それから敏資さんのソロと続きます。ダニエルさんのフランス語の解説を、敏資さんが通訳して下さいました。ダニエルさんのソロの中で、ブローウェルの舞踏の礼賛が特に素晴らしかったです。この曲の中で特に特徴的ななモチーフが激しくかき鳴らされる部分が印象的でした。敏資さんの演奏では、フランス人の作曲家、ローラン・ブトロスのコーカサス組曲、20分くらいの大曲ですが、最後まで全く飽きずに聴くことができました。ダイナミックな音と繊細な音の混在が素敵で、曲も演奏も素晴らしかったです。

(ゆ)私は第二部を聴きました。プログラムは
  アマジマ/ローラン・ブトロス、春の海/宮城道雄、
  ラルゴとロンド/F.カルリ の3曲でした
  
  一番印象的だったのは春の海!いつもお正月に耳にするあの曲が
  なんとギターで・・・とても雰囲気がありました
  フランスで演奏してもみなさん喜ばれるそうですよ。

  石井さんとダニエルさんが演奏中に目を合せてニコッとされるのが
  とっても素敵でしたうらやましいなぁなんて(笑)

(な)うん、あったかい感じで素敵なご夫婦でした。いいなぁ。

石井敏資さんのCDはミューズでも売っています。今日演奏した曲も入っていておすすめです。
暑い暑いと思っていたけど、今朝は涼しかった~。なんだかんだ言ってももう秋ですね。

それでは皆さん、さようなら。

  


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ムジカキアラと言う名前を知っていますか?
あの村治佳織さんの音楽事務所の名前なんですが、そのムジカキアラのホームページでイクリプスのPRが始まりました。これは村治佳織さんが今では大きなホールでのコンサートやコンチェルトの時には必ず使うようになっていますが、彼女自身が大変気に入っている商品をムジカキアラのHPで販売しようと言う事になったそうなんです。そこで先ずは富士通テンスピーカーシステム『ECRIPSE(イクリプス)』、及びMOLESKIN(モレスキン)の手帳が取り上げられたと言う訳です。まだショップそのものは近日オープンだそうですが・・・。

よろしければ下記URLから覗いて見て下さい。
http://www.musicachiara.com/index.php

今月はミューズもイクリプススピーカーを使ったPAシステムを2セット販売させていただきました。お一人は医療関係にお勤めの方で医療センターなどでのギターアンサンブル演奏をPAするため、もうお一人は大ベテランのギターの先生で、発表会や他の楽器との演奏会にお使いいただくと言う事です。少しずつですが、着実にギターの世界でイクリプスのPAシステムが広がっています。



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皆さんはご家庭の地震対策などをやってますか?
最近異常気象と共にあちこちで震度5や震度6の大きな地震が勃発していますよね。ここ10年程のスパンで見てみると、私の記憶ではこれ程頻繁に日本のあちこちで大きな地震が発生した記憶はありませんが、如何でしょうか?

ミューズにお越し頂いたことのある方はご存知だと思いますが、店に入って右側には高級ギターの大きなショーケースありそこに14本のギターが正面向いて展示してありました。この14本で定価で言うと3300万円を越す金額になります。もしこの状態で大きな地震が来たら恐らく全滅でしょうね。そうなったらミューズも終わりです。それを思うと心配で心配で・・・。
そこで昨日の定休日にこのショーケースの改装工事を行い写真の様な展示に変更いたしました。

一番上は5本正面向いた状態で吊るしてありますが、9~10フレット辺りにストッパーを付けて前後左右への揺れを防ぐ対策を採り、高級ギターは全てケースに収納して下段に並べました。しかも飛び出しを防ぐために鎖も取り付けました。
最初は今までの高級感が大きく損なわれるかと心配もしましたが、工事が終わって展示してみるとこれが意外と悪くないんですね。寧ろ壮観な感じになりました。そして写真を撮った時には付いていませんでしたが、真ん中の横板にプライスカードを貼り付けて、どのケースに何が入っているか、価格は幾らかが一目で分かるようにしました。全て裸で展示してあるより寧ろケースから出して見たくなる「見えない物見たさ」をそそるかも知れません。
一度是非見に来てください。そしてケースから出して試奏してみてくださいね。

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ミューズも今月は13日(月)~17日(金)までの5日間お休みをいただきましたが、あっと言う間に終わってしまいました。休みが終わるのは速いですね。
皆さんの中には明日までお休みと言う方もいらっしゃるんでしょうね?どこかへ旅行でも行かれましたでしょうか?
私はと言うと一日四日市に墓参りに行っただけで後はずっとちょこちょこと仕事をしていました。こう言う商売をしていると普段出来ない仕事が溜まるんですよね。残務処理で休みは終わってしまいました。

しかしこの暑さは何でしょうね?やはり異常気象ですね。温暖化対策は早急に手を打たないと10年後が恐ろしい。政府や国際機関の対策も重要ですが、結局は個人一人一人の心がけが大事なんだろうと思います。皆さん、少しでも、小さなことでも始めましょう。

仕事再開初日の今日はミューズサロンで酒井康雄ギター教室発表会がありました。13人の生徒さんが演奏されました。中にはギターとアコーデオンの二つを演奏した人もいました。社会人ギタリストとして活躍されていながらも、指の故障で暫く演奏を中止していた加藤丈晴さんも今日は演奏され、回復振りを窺わせました。来年にはミューズサロンでコンサートを約束されましたよ。期待したいです。
また12月15日にミューズサロンでコンサートをする4人の若手の内、長縄広紀さん、山田陽介さんも今日は演奏されました。こちらも楽しみです。
そして最後には酒井先生が自ら買出しをしてきたビール、ワイン、シャンパンとおつまみ、ピザで打上げパーティー。お弟子さんに手伝ってもらえばいいのにご自分ひとりで用意されるんですよ。いい先生ですね。お弟子さん達もいいお弟子さんにならなくてはね・・・。

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