2009年1月のブログ記事一覧-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 千葉県市川市で村治 昇先生のお話とギター
  1月24日(土)千葉県市川市の文化会館のホールにおいて、文化芸術市民案内人養成講座<音楽コース>と題された講演会が開かれ、村治先生がお話とギターの演奏のために出演されました。題して「ギターは楽し!」。
どんな趣旨の講演会だったかというと、やはり皆さんお聴きになりたいことは同じで、佳織さんと奏一君、すばらしい二人のお子さんをどのようにお育てになったのか、お子さん達との間に毎日どんな交流があったのか、どんな会話をされたのか、どのように一流の音楽家に導くことができたのか。そして先生が長い間打ち込んでこられた「ギター」がどんなに素敵な楽器なのか、ギターを通じてどんな楽しみ方ができるのか。そんなことを先生自らのお話と演奏で見せて、そして聴かせていただこうという会でした。
 最初は市川市文化振興財団のプロデューサーの方との対談から始まり、佳織さんや奏一君の生まれた時からのさまざまなエピソードが紹介されました。佳織さんが先生の膝に乗りちっちゃな右手の指で弦を弾き、先生が左手を担当して、一緒にメロディを奏でるといった、あたかも寄席で見られる二人羽織のようにして遊んだことなど、つい聴いているこちらの頬もゆるんでしまうようなほほえましい光景が、先生のやさしい口調で紹介されましたが、次には当日会場に来られていたお客様にも声を掛けられ、3名の方がステージに上がってこのギターによる連弾を経験されました。皆さん大人の方ばかりなので、佳織さんにしたように膝の上にだっこしてというわけにはいきませんが、それでも初めてギターを持ったという方は、先生の指導により子供の頃から聞き馴染んだメロデーを自分で奏でることができてとても感動されたことでしょう。そして次には親子によるギターの曲によるお話作りが紹介されました。まず先生が簡単なギターの曲を通して演奏されます。そのあと親子で作ったという童話を、女性の方がギターのワンフレーズごとに朗読していきます。それは短調の曲なのですが、お城の王子さまとお姫様のかわいいお話でした。こんなことを毎日のようにしてもらっていた佳織さんや奏一君は、なんて幸せな子供時代を過ごしたことだろうかと、ほほえましい情景が目に浮かぶようでしたね。しかしそんな家庭に育った佳織さんや奏一君が、今並外れて自立した人間に成長していることがまたまた素晴しく、しかも不思議な感じがしてしまいます。
 次には5名ほどの方がステージに上がり、歌や詩の朗読とともに先生がギターを使っていろいろな面白い効果音を出してみせます。これには物心のつき始めた子供達は、目を丸くして驚いたのではないでしょうか。ギターのボディをあちこちたたいてお祭りの太鼓の音。こわーい声を出して真夜中のドアがきしむ音。ハーモニックスを巧みに使って鐘の音や時を告げるチャイムの音など。またまた夜の墓場で飛び交うひとだま、そして忍者の学校での生徒が競い合う手裏剣シュシュシュなど、さまざまな擬音をやってみせて、会場からは大拍手。さぞかし佳織さんや奏一君もその時は目を見張って大喜びしたことでしょう。
 そして次には、村治先生が昨年現代ギター社から出された「オーケストラと弾く世界の美しいメロディー」を先生自らがギターの演奏で披露されました。ここからが私の出番なのですが、イクリプスのスピーカーを使ってCDに入っているバーチャルオーケストラの演奏で先生のバックを勤めます。「グリーンスリーブス」から始まってウェルナーの「野ばら」、有名な「ローレライ」、バッハの「メヌエット」、「星の世界」、フォスターの「夢見る人」、「希望のささやき」、そして滝廉太郎の「花」と続けて8曲。先生の優しい演奏が会場に来られたお父さん、お母さん、そしておじいちゃん、おばあちゃんの心を癒していきました。その中、「のばら」と「ローレライ」は元になる詩を朗読したあと演奏されたので、いっそう美しいメロデーが引き立って楽しめました。
 最後は近く全音から出版される予定の協奏曲スタイルによるギター・ピースとして第1弾のジュリアーニ作曲によるアレグロ・ヴィヴァーチェが演奏されました。ギターを弾く人ならだれでも一度は弾いたことのある旋律ですが、巧みな編曲と構成によって超一流のギター協奏曲のようにひびきました。コンピュータで製作されたオーケストラですが、まさに本物のオーケストラが演奏しているのかと勘違いしてしまうほどの素晴しいバックになっていました。これには私もびっくり。ちょっとした感動を味合わされることとなりました。(これはお世辞抜きで絶対のお勧め!)好評であれば今後第2弾、第3弾と続いていくそうなので、皆さんもぜひ一度経験してみてください。ギターを練習中の初心者の方であれば、楽しくてやる気の出ること受けあいです。
 休みなしの1時間45分間が終わり、お客様や関係者の方々から大感謝されたのち、村治先生ご夫妻と全音の担当の方、そしてアレグロ・ヴィヴァーチェを協奏曲風に作曲し直された方と、オーケストラパートを製作された女性(このお二人はご夫婦とのこと)の5人の方達と一緒にお茶を飲みながらちょっとした打ち上げ。終始村治先生と奥様のおだやかな優しいお人柄に満たされた幸せな一日でした。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)


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ミューズ携帯サイトが完成しました。
パソコンの普及でメールやインターネットをパソコンでやられる方も増えましたが、携帯の普及で逆にパソコンでのメールやインターネットを使わないで携帯で済ませている方も多いですね。そこで主に新着情報とコンサート情報を携帯でもご覧いただけるようにサイトを作りました。

今までは携帯しか使わない方のために、メールで新着やコンサート情報をお送りするのにも、文章が長くなっては迷惑だろうなと気を遣いながらも、ついつい長くなっていました。今後はお知らせする内容は出来るだけシンプルにして、興味のある新着情報、コンサート情報を携帯サイトでチェックして頂ければと思います。

また、コンサート予約、商品注文、会員登録も出来る様にしましたので携帯派の方はご活用下さい。
アドレスは次の通りですが、HPのトップページにもQRコードを貼り付けましたので貴方の携帯にも是非ご登録下さい。
http://www.muse-ongakukan.com/m/

尚、会員の皆様にはお願いがあります。
ご入会時に登録いただいたメールアドレスを変更された方は是非お知らせ下さい。

また、携帯のメール設定をアドレス指定設定やパソコンからのメール拒否設定などしてある方は是非ミューズからのメールは受信できるようにお願いします。
この携帯サイトが完成したことにより短いメールでご案内できます。

是非携帯サイトもよろしくご活用下さい。

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<あれも聴きたい、これも聴きたい> パールマン&ウィリアムス デュオ

 随分長いあいだ聴くことのなかった、というよりも聴く気になれなかったレコードを出してきて聴いてみた。そのレコード(LP)は、テーマに掲げたようにヴァイオリンのイツァーク・パールマンとギターのジョン・ウィリアムスが1975年に録音したパガニーニとジュリアーニのヴァイオリンとギターのための作品が収録されたもの。一応演奏されている曲目を紹介しておくと、パガニーニは①チェントーネ・ディ・ソナタ第1番、②ソナタ第6番ホ短調 作品3、③ソナタ・コンチェルタータ イ長調、④カンタービレ、以上の4曲に加え、ジュリアーニ作曲ヴァイオリンとギターのためのソナタの計5曲。このレコードを夕食後出してきてお茶を飲みながらプレーヤーに乗せ、「聴く」というより「聞く」といった方がよい聴き方をしたわけだ。

 いつも思うのだが、この種の音楽は聴き方がとっても難しい。第一我らギター愛好家としては、これらの曲はヴァイオリン曲の範疇に入るのか、それともギター曲のジャンルに入れた方がよいのかと考えさせられてつい悶々としてしまう。しかしギターは一部を除いて終始単純な伴奏に甘んじており、あきらかにヴァイオリン主体の音楽といわざるをえないのだが、かといってヴァイオリンの奏でる音楽に深みというか芸術性は乏しく、ただ美しい旋律が次から次へと流れるだけの、いわば大そう退屈な音楽に終始している。当然ヴァイオリンをやっておられる方達が、こぞって演奏したがるようなレパートリーとも思えない。時代的にもう少しさかのぼったモーツァルトやベートーベンのヴァイオリンソナタのように、主役がヴァイオリンなのかピアノなのか、まだ決めかねているような作品ですらもっと深遠な芸術性をたたえていることを思うと、このパガニーニとジュリアーニの作品は、はるかに安易な娯楽性に傾き、その音楽の成り立ちから考えて、「演奏している自分達が楽しければそれでいいじゃん」といった傾向の音楽となっている。従って芸術作品を鑑賞させていただいて、できれば「なんとか深い感動の嵐につつまれたい!」。「感動にむせび、溢れんばかりの涙を流したい!」というようなむきには当然ながら耐えられるようにはなっていない。暫く集中して聴いていると、演奏している本人達の楽しさ(おそらく)とは裏腹に、なんとも居心地が悪く、一種の「イライラ感」がつのってきてしまうのはどうしようもない。もちろん今回紹介するこのレコードで、パールマンとジョンの演奏に非の打ちどころなどどこにもないばかりか、それぞれのテクニックは当然有り余っているであろうし、アンサンブルも完璧だ。しかし細部に渡ってケチなど付けようがないほど立派な演奏である反面遊びもなさ過ぎることもまた事実。従ってそのような立派な名演奏であるにも関わらず、リクルートファッションできっちり身を固めた新米サラリーマンを見るがごとくなんとも面白みに欠ける。おそらくこれは作曲家そのものの才能によるところが最も大きいのであろうが、少しだけ二人の作曲家の味方をして言わせてもらえば、ギターは大見得の切れるヴァイオリンの表現力の前には思う存分その魅力を発揮することができず、ひたすら単純な伴奏に徹するほかなく、反対にヴァイオリンもギターに遠慮して小さくまとまってしまい、かえって大見得を切ることもできずイジイジするしかなくなってしまったのではないだろうか。つまりお互い個性の潰し合いになってしまったということだ。たしかにギターは和音を爪弾いて伴奏することには向いているとは思うが、はたしてギターの性能はそんなものかというと決してそうではなく、もっと違った面で大きな表現力をもっている。ギターは「伴奏もできる」楽器ではあるが「伴奏しか出来ない」楽器ではない。またヴァイオリンはその表現能力をいかんなく発揮しようとすれば、組む相手としては、少なくともピアノや場合によってはオーケストラのような楽器が必要になってくるのかもしれない。つまりヴァイオリンとギターではその表現の向っている方向性がまったく異なるため、今回取り上げたレコードに収録されているような音楽は、お互いの個性を打ち消しあって、言い換えれば遠慮し合って小さくまとまらざるを得なくなってしまったのではないだろうか。だからこちらとしてはレコードをかけている間、じっと「聴く」という姿勢でいることに少なからず耐え難きものを感じてしまい、どうしても「お茶でも飲みながら」、あるいは「本でも読みながら」ということにならざるを得ないんだろう。「風呂にでも入りながら」なんていうことができれば最も適しているような気がする。
 しかしながらである。今回取り上げたパールマンとジョン・ウィリアムスが何かの拍子に皆さんの前に現れて、あるいは彼らが混じったパーティかなんかで、どちらかが「おい、一緒に演奏してみーひん?」というようなことにでもなって、ありあわせのヴァイオリンとギターを取り上げて、おもむろにパガニーニの曲を演奏し始めたらどうゆうことになるであろうか。おそらくその場に居合せた人たちの拍手と喝采に包まれて「大盛り上がり」になることは必至である。それほど今聞き返してみても彼らの演奏は一点の乱れもなく見事だし、ブラームスやフランクのヴァイオリンソナタのように、その場の雰囲気を高貴且つ重厚なものに変えてしまうような心配をする必要もない。
 これらの曲はこの二人ほどの実力が無くても充分弾きこなせるが、反対に当代随一の名手が時と場所を心得て弾いてこそ初めて生きる曲なのかもしれない。パールマンとジョンといえども姿かたちの見えないレコード(あるいはCD)というものなってしまうと、なかなかその魅力は伝わりがたく、32年ほど前に購入したレコードなんだけども、今日やっと30年ぶりくらいに聞いてみようかという気になったくらいで、この次また聞こうという気になるのは果して何年後のことであろうか。


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今日はギター製作家・田中清人さんによる『製作家が語るギターの歴史と音楽&楽器弾き比べ』でした。
田中さんは兵庫県丹波に工房を持ち、ルネッサンス・ギター、バロック・ギター、19世紀ギター、現代ギターの他、ビウエラ、クィンテルナ、フィーデルなど古楽器も製作する製作家。自作のギター4本と1830年のパノルモを持参いただき、ギターの起源からルネッサンスギター、バロックギター、19世紀ギターの歴史(楽器の変遷)を構造の違い、弦、調律、音色、材料などに触れながらお話と演奏をしていただきました。
ゲストにマリア味記子(みきこ)さんを招いて美しい歌声とギターの演奏を聞かせて頂きました。マリアさんはシンガー・ソング・ライター、モデル、音楽プロデューサー、アートセラピスト、フリーランス・アナウンサーと多彩な活動をされている方で、田中さん製作のテルツギターの様な590mmの小型の美しいギターを持ち、田中さんとのデュオを披露してくれ、皆さんうっとり。田中さんの本職は製作家で、演奏家ではないのでサロン講座と言うことで実施しましたが、レクチャーコンサートと言う呼び方の方が良かったかなと思いながら聴いていました。

参加された方の中にはプロのギター製作家やリュート製作家、またミューズの講師陣もいらっしゃいました。最後には質問コーナーと楽器を実際試奏する時間を持ち、皆さんに楽しんでいただきました。
今後もコンサートだけではなく、暫くお休みしていた講座も企画していきたいと思っています。

既に3月は二つの講座が決まっています。『爪の削り方とタッチ』と『ラスゲアード~基本から応用まで』です。詳細はHPのコンサートの予定ページでご覧いただけますので、是非チェックしてみてください。






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今日はニュー・イヤー・コンサート『ラテンアメリカのギター音楽』で酒井康雄さんに演奏していただきました。
午後3時開演のコンサートなので、酒井さんが2時には入る予定でしたが、なかなか現れません。心配しだしたのが14:30頃、もう開場の時間ですがまだ現れません。結局到着されたのが14:45で開演15分前。しかも、ギターとリュートの2本の楽器を店に置いて、また直ぐ出て行くではないですか。5分後、つまり開演10分前に大きな手提げ袋を両手に持ってご到着です。見ると中には沢山のシュークリームと飲み物で、『終演後には皆さんで食べて頂きましょう。』と演奏者自らの差し入れだったんです。車に取りに行っていたんです。

遅くなった理由を聞きますと、予約してあったシュークリームが、何かの手違いで出来ていなかったので待っていたそうなんです。このシュークリームは皆さんにお約束していた物ではないので、時間に間に合わなければキャンセルも出来るものだと思うんです。それなのに、皆さんへの心遣いを大事にされるところが酒井さんらしいところで、その人柄を感じます。

そして、殆ど指慣らしもない状態で本番です。寒い外から到着して間もないので私なら指も冷たいままなのにと思って聴いていました。最初の1、2曲は若干指の固さを感じましたが、徐々に調子も上がってきて、ラテンアメリカの名曲を、解説を交えて聴かせてくれました。

2部の前半はルネッサンス・リュートに持ち替えて、リュートの名曲を演奏するのですが、器用ですよね。普通はギターとリュートを同じステージで持ち替えて演奏はしませんと言うか、出来ません。それを難なくやってのけるのですから・・・。
それと解説の話がとても面白い。作者の事、時代背景など本当によく勉強されているのが分かります。ギタリストで、ギターやリュートに限らず、歴史やクラシック音楽全般についてこれだけ知識のある人は少ないです。まだ酒井さんのコンサートを聴いたことのない人は、是非一度聴いてみてください。

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