2006年5月のブログ記事一覧-ミューズの日記
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 このブログをご覧になっている皆さんは、ほとんどの方がご自分でギターを弾いておられる方でしょうから、楽器として見たギターのことについては、少なからず興味がおありなのではないかと思います。
ギターとの長い関わりあいの中で、多くのプロギタリストの方や製作家の方々からうかがった貴重なお話、その楽器を弾かせていただいた体験、それにプロ用の計測機器を扱うという私の仕事柄、最近何種類かの楽器の音を解析してみて確認できたことに、私自身の経験や考えをおりまぜて、今日から何回かに分け、「楽器を選ぶ上で注意しなくてはならないことは何か」、「優れたギターとはどのようなもののことをいうのか」といったことについて、お話していきたいと考えています。

しかし、お話させていただく上で、特にその音そのものに関しては、極力、具体的記述を避けるようにしました。お話が難解になるだけでなく、人の好みの問題も含んでいるため、いたずらに混乱を招くおそれがあると考えたからです。
そのあたりについては、いつかしっかりしたデータを基にお話させていただく機会もあろうかと思いますので、今回はちょっとした経験談くらいの気持ちでお読みいただければ幸いです。

<あれも聴きたい、これも聴きたい> 良い楽器とは。第1回

 今までに、いろいろな方の楽器を見せていただく機会には恵まれた方だと思うが、その度にいつも気になっていることがある。
それは、それぞれの楽器の奏でる美しい音色に比べて、本当の意味での弾き易い楽器が意外と少ないということだ。

最近の楽器は大変良くできていて、粗悪な作りのものなどめったに見られなくなったが、しかし、それは、外観が美しいとか、ネックや表面板が歪んでいないとか、耐久性が良くなったなど、主に木工製品としての加工品質が良くなったに過ぎず、音楽を奏でる道具として、本当の意味で弾き易い楽器には、なかなかお目にかかることがないというのが、私の偽らざる感想だ。
 やけに弦高が高く弦の張りも強くて、押さえるのにもかなりの力が必要だったり、弦長や弦幅が広く、指が届き難かったり、欲しい音量を出すのに、思いのほかパワーが必要だったりと、理由は様々だが、みな一様に弾き難いと感じるものが多いのは何故だろうか。

弦高は低ければ低いほど良いし、音量はいくら出ても出過ぎということはない。
問題は、いかに弦高が低くてもびびり難いか、そして、どれだけ大きな音が楽に出せるかということであって、びびらないけれども弦高も高いとか、力まかせに弾けば大きな音が出るというようなものは問題外なのである。
体力的にも音楽的にも、演奏者の負わなければならない負担が少ないほど良い楽器であって、弾き難い楽器を、わざわざ弾きこなそうとする必要はない。
しかも、弾き難い楽器では、左右の指や手、肘、肩などの、基本的な正しいフォームを、見付けることも、身に付けることも難しい。

また、時として良い楽器は、思いもよらない音色や表現方法を教えてくれることがある。優れた楽器は、良い教師でもあるのだ。
従って、弾き難い楽器で毎日練習するよりも、弾き易い楽器で練習した方が、遥かに上達は早い。

内生蔵 幹(うちうぞう みき)


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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 初めて聴いた19世紀ギター編

なんだか怪しげなジャケットが出てきた。
当時、と言っても20年以上前のことになる思うが、オスカー・カセレスが、武満徹の「世界の12の歌」を入れたものを出したりなんかしちゃったりしていたパヴァーヌ・レコードという会社の出したものである。しかも輸入・発売元が、「アポロン音楽工業」ときた日にゃあ、色っぽいミュージックの入ったカラオケとちゃう?と思いたくなってしまってもなーんもおかしかない。(もっとも最近アポロン音楽工業はインターネットで見ると、教育用とか学習用とかいった類のビデオや音楽を専門にされているみたいで、あんまり失礼なことを言っては怒られちまうかも知れん)

それにしても、このジャケット写真、なんなんだべ?と疑っちまうほど怪しい雰囲気が漂っておる。おいちゃんもレコード屋さんで、お金をはらう時に、「これ、クラシックギターだべか?」って訊いたら、店員さんが「んだ」と言ったので買うことにしたけども、「あんた、こんなレコード、ホントに買う気かや?」って思われとるみたいな気がして、ちょっぴり恥ずかしかった覚えがある。
クラシックにゃあクラシックの品位っちゅうもんがねえと困るずら?
レコードを買うのに、悪いこともしてないのに、なんで伏目がちにならんとあかんの?第一これ、れっきとしたクラシックギター二重奏のレコードだっせ。
しかもなんと正真正銘19世紀ギターで弾いたレコードなんでごぜーますですよ。
一本は1830年のルドロフ。もう一本はかの有名なラコート、1820年製。
演ずるは、ともにブリュッセル王立音楽院でギターを勉強したドミニク・マカとフランソワーズ=エマニュエル・ドニっちゅう、お美しいおねえさん方お二人。

このジャケットの写真は、ただのモデルさんかと思ったら、ギターを構えた腕や指の形が、しっかり「ちゃんとギターを弾ける人」になっておるので、恐らく当のお二人さんだと思うけども、なにもまあこんなお美しい方が、わざわざクラシックギターなんか弾かんでも、もっと他にやることがあんべな、という気がするようなしないような。それじゃあお美しいお方は、ギターをやっちゃあいけねえのかっちゅうと、ムムムッ・・・。やっぱりお美しくない方がおやりになるよりは、お美しい方にやってもらった方がええわねぇ。
それにしてもこのジャケット、なんでこんな一見「アリババと40人の盗賊」みてぇな衣装を着けてギターを構えとるのか、教えてもらいてぇもんだ。

演奏曲目はいっちゃん有名な曲が、ソルの「アンクラージュマン」。
その他は、フェデリコ・モレッティっちゅうのが聞いたことあるくらいで、ルイジ・カステラッチたら、ブリュダン・オーベリー・デュ・ブ-イェーたら、フェレール・イ・エステーベたら、モーリス・ラウーたら、もう知らん人ばっかし。
リュートの中川君に訊いたら、きっと詳しく教えてくれるだんべぇと思うので、今度あったらいっぺん訊いてみようと思っとるだに。
かけてみるとこれが結構面白くて、どっちがどっちを弾いているのか分かりませぬが、ソルの作品からいって、とにかく1stギターを受け持っとる方が、断然きれいで、大きな音がしておる。
このころは、まだまだ19世紀ギターなんぞ、聴いたことなかったもんで、貴重といやあ貴重でげすが、演奏はまあなんと言いますか、えー、そのー。まー、なんだあ、そのー、はやいはなしがー、えー、そのー・・・・・ムムム。
おねげえですだ、それ以上訊かねえでくだっせぇ。おらあ、なーんにもわりいことはしておりませんだに、おねげえしますだー、おだいかんさまーっちゅうくれえのもんだ。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)


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<あれも聴きたい、これも聴きたい> チャーリー・バードのヴィラ=ローボス 編

チャーリー・バードというギタリストをご存知でしょうか。
クラシックの方には、ちょっと馴染みが薄いかもしれませんが、1925年、ヴァージニア州で生まれ、1999年に亡くなった、とっても有名なジャズギタリストであり、ボサノバギタリストでありました。
なんでも、1954年には、イタリアで、セゴヴィアにもついてクラシックギターを勉強されたそうで、その後、あっちこっちでコンサートを開いておりましたが、1960年代の始め、ブラジルへ行って出会ったボサノバにしびれっちまって、アメリカに帰ってからサックスのスタン・ゲッツと入れた「ジャズサンバ」というレコードが大ヒット。(これはものすごおええレコードだっせ。なんせグラミー賞を獲得しとりまして、名盤中の名盤。私なんかレコード持っとるくせに、CDも買ってしまった)

それからというものは、ローリンド・アルメイダとともにジャズ風ボサノバっちゅうか、ボサノバ風ジャズっちゅうか、とにかく一流中の一流で大活躍。
 彼がブラジルへ行って、どんな人達のボサノバを実際に聞いてきたのか分からんけども、当時南米で活躍していた人はというと、まずアントニオ・カルロス・ジョビン。だれでも知っっとる「イパネマの娘っこ」で有名。
次に「黒いオルフェ」のルイス・ボンファ。(この人のギターはええねえ。大好き!)それから大御所、ジョアン・ジルベルト。
この人のギターを爪弾きながら、語りかけるような、ささやくような、耳うちするような、念仏を唱えるような、そんなボソボソ・・・・とした歌がしびれるー!といった方達でござりました。

私も、そんなボサノバの大ファンで、若いころは、少ない楽譜を探してきては、BOSSA BOSSA、じゃない、ぼそぼそ弾いていたものでございました。
それにしても「ボサノバ」と言う名前は「新しいフィーリング」っちゅうことなんやってねぇ。知らんかった。(NOVAというのは英語のNEWと一緒なんかな?)
今も、ボサノバのレコードやらCDやら、結構棚のなかには沢山入っておりまするが、今回取り上げたこのジャケットのものは、なんとジャズギタリストのチャーリー・バードが、裏も表も、始めから終わりまで、頭からおしりまで、すべて、ぜーんぶ、みーんな、あらいざらいクラシックというレコード。
しかも、なんとヴィラ=ローボスばっかし。
若い頃、セゴヴィアに教わったことがあるというだけに、一念発起してレコーディングしたんやろか? それにしても、結構大胆なことをなさるもんで、演奏曲目は前奏曲の1番から5番までと、練習曲の1,5,7,8,11番の、合計10曲。それだけ。ぽっきり。ほかにはなーんもありません。

演奏の方はどないでっか?っちゅうと、なんともはや「素朴でええなあ」と言って良いのか、それとも、「もうちょっと練習せなあかんよ」と言った方が良いのか、そんな感じ。
ボサノバ弾いとる時のチャーリーさんとは大違い!
楽譜に書かれたことを、その通りにきちんと弾くということになると、さすがのバードさんも・・・・ということかしらねぇ。
それとも、ヴィラ=ローボスはこういう風に弾くもんじゃあ!っちゅうことなんか、ちょっと迷ってしまってようわかりまへんが、いずれにしてもびっくりするくらい、普段聴き慣れた演奏とは表現が違っております。
特に練習曲の7番や11番なんて、「こんなんもありかなあ」とは思うけれども、やっぱりチャーリー・バードさんは、ボサノバやジャズを弾いている時の方が、魚に水、ポパイにほうれん草、タモリにユンケル・・・やねぇ。
この次は、チャーリー・バードおじさんにもユンケルを飲んでもらって、ついでに上戸 彩ちゃんに元気溌剌オロナミンC!も飲ませてもらって、えーい!丸山茂樹を連れてきて、アリナミンVも一緒に飲ませちまうかあ!
それから景気良くボサノバ弾いてもらって紹介すっかな?

内生蔵 幹(うちうぞう みき)


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 こんにちは、吉岡恵です

 今日はわたしが今練習している曲について書きたいと思います

 今わたしは、アンドレス・セゴビアの「光のない練習曲」練習しています!!この曲は以前から曲名は聞いていたのですが、演奏されたものを一度も聴いたことがなくて、とても興味を持っていました!興味をもった理由はこの曲が作曲されたときの話でした。

 わたしのおぼろげな記憶では、セゴビアが目の手術をしたとき目の見えない状態で書いた曲だということでした今日ミューズにいらっしゃった内生蔵さん(ミューズのブログでもおなじみの)にお話をお聞きすると、この手術は逆まつ毛の手術だったのだそうです!セゴビアは逆まつ毛で目を傷めてしまって手術することになったのだそうです!その手術の前に目をつぶってギターを弾いて、これなら目が見えなくなってもギターは弾ける!と確信したのだそうです。そのときに作った曲だそうです。

 医学の進歩した現代とは違い、この頃は失明の覚悟で手術に望んでいたのですね。失明の覚悟をしてギターと向き合ったときの曲だと思うと、この曲への今までとは違った思いが出てきますね!

 これからギターには少し憂鬱な梅雨の季節がやってきますが、大音楽家達の生きた古き良き時代に思いを馳せて、練習に励みたいと思います

 


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昨日、今日と久しぶりに東京へ行ってきました。
昨日の夕方からJGA(日本ギターアソシエーション:メーカー、製作家、専門店で組織する普及団体)の総会があったのでそれに併せて問屋と専門店を回ってきました。今年は「JGA音楽祭」と中部日本ギター協会の「アンサンブルの集い」が合体して名古屋で開催されるんですよ。

さて、今回往復の新幹線の中で表題にある本を読みました。これは村治佳織さんや奏一君のお父様である村治昇先生の書かれた本なんですが、村治先生は小さなお子さんをとても上手に指導される早期才能教育の第一人者なんです。最初、このタイトルからはギターの先生たちに向けたメッセージなのかな?と思ったのですがそうではなくて、世の中のパパやママ達に子供たちの才能を引き出す育児のポイントとは何か?それをギターのレッスンを通じて村治先生の体験からお話されているんですね。

これを読んで『流石だな~!こう言う考え方で、こう言う教え方で子供達を指導してるからこそ、立派な生徒さん達が育っているんだな。佳織さんや奏一君の様な一流の人間であり、演奏家を育てられたのも納得出来るな。』と素直に思いました。
『何事も親の愛情が出発点』から始まり『レッスンを通して如何に子供達にしつけをしていくか、集中力、忍耐力、努力、考える力を身に付けて行くか』などなど、一人の人間を如何に正しく導き、大きく育てていくかを易しく解説されています。
村治さん曰く『子供は磨けば磨くほど驚くほど輝く原石。その磨き方を誤るといびつになってしまう危うい原石でもあります。』その通りですね。

現在、村治先生にミューズサロンでこの辺りのお話や、又は小さいお子さんにレッスンをしながらお話いただくか、何か出来ないかご検討をお願いしているところです。実現できる事を願っています。皆さんも一緒に祈ってください。

山下 高博

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