2008年8月のブログ記事一覧-ミューズの日記
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先日ミューズ会員の皆さんにはミューズ便りで「楽器の選び方ABC」をDMで送らせて頂きましたが、いろんな反響を頂きましたのでブログでもご紹介させていただきます。もともとこのブログに何回かに分けて掲載したものをコンパクトに纏めたものなんですけど・・・。

1.弾き易い楽器を選びましょう
音がしっかり出て、ネック形状も弾き易く、弦高も適正な楽器を選びましょう。つまり①鳴らし易く、②押さえ易い楽器と言う事です。逆に押さえ難く、鳴らし難い楽器ではかなか上達も難しいですし、初心者の場合は挫折もしやすくなります。
また表板は松か杉かと言いますと、一般的には10~15万円クラスまでは杉をお薦めします。松は杉に比べて硬いためこのクラスでは鳴らしにくい(鳴る楽器を作り難い)からです。弦高は低い方が弾き易いですが、標準的には12フレットに於ける6弦側で4mm、1弦側で3.5mmです(フレット上面から弦下までの距離)。ネックが反ったり、ボディー(表板)が膨らんでいると弦高が高くなり弾き難くなります。

2.出したい音が出し易く、歌い易い楽器を選びましょう!
人にはそれぞれ出したい音のイメージがあります。また歌い方もこう歌いたいというイメージがあります。その音が出し易い楽器、自分が歌い易い楽器がその人にとっては良い楽器といえます。つまり気持ちよく弾ける楽器です。
諺に「弘法筆を選ばず」と言うのがありますが、極めた人はその持ってる技術を駆使して大概の楽器で良い音を出し、上手く歌うことが出来ますが、まだ弘法の域に達していない人にはそれは出来ません。従って、自分が出したい音が出し易く歌い易い楽器を選ぶことです。
初心者でまだ曲が弾けない人も、単音をポンポンポンと弾いたり、和音をポロンポロンと鳴らして感じるものに耳を傾けてください。2つのギターを比べると、必ず何か感じるものが異なるものです。

3.自分の体に合った楽器を選びましょう!
手の大きさ、身体の大きさで弦長とボディーサイズを選ぶことが大事です。ショートスケールは鳴りが悪いと言うイメージがありますが、上手に作ってあるショートスケールギターは標準サイズと比べて遜色ないものです。
そしてショートスケールによる押さえ易さ、弾弦のし易さ(テンションが柔らかくなります)のメリットはとても大きいものです。またボディーの大きさもギターを構える姿勢に大きな影響があります。
2008年2月8日のブログにも書きましたが、身体に合ったギターの方が、しっかりした音が出て、演奏も自信のある、音楽的にも良い演奏になるんです。詳しくはブログをご覧下さい。

以上ですが、自分ひとりでは選ぶ自信がない人は、自分より上手な人や先生に一緒に行って貰うといいですね。楽器屋さんもギターについて適切なアドバイスが出来る人が居る店を選んでください。勿論、ギター専門店が一番いいですよ。ミューズの様な・・・。(笑)

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ご存知の方も多いと思いますが、DOREMIから「セゴビアとその時代の人々」(Segovia & His Contemporaries Series)がVol.1~Vol.10まで出ています。今までは一部しか揃えていませんでしたが、今回全シリーズを揃えました。
録音は1927年から1948年までのいろんなレーベルのものを集めており、資料的にも価値のあるものですね。

各シリーズにどんな人が登場しているかといいますと。
Vol.1: Segovia & Oyanguren
Vol.2: Segovia & Guillermo Gomez
Vol.3: Segovia & Walker
Vol.4: Segovia & Maria Luisa Anido
Vol.5: Segovia & Vicente Gomez
Vol.6: Segovia & Llobet & Anido
Vol.7: Segovia & Francisco Salinas
Vol.8: Segovia & Oyanguren Part II
Vol.9: Segovia & Sainz de la Maza
Vol. 10: Segovia & Jose Rey de la Torre(2CDs+DVD)

あまり馴染みの無い名前もあるかも知れませんが、セゴビアも入っているなら買って聴いてみようかという気になりますよね。やはり若い頃のセゴビアの演奏は晩年のものと違って凄いテクニックです。

Vol.6にはリョベートとアニードの二重奏も入っています。Vol.9にはデ・ラ・マーサが1948年にアルヘンタ指揮のスペイン国立オケと演奏したアランフェスも入っています。Vol.1は2枚のCDとDVDまで付いています。DVDは1957年と1962年のアメリカのTV番組「Camera three」の収録フィルムでRey de la Torresの他にフラメンコのカルロス・モントーヤまで出ています。なかなか興味深いですよ。

詳細は明日辺りにでもHPの新着情報にアップしますのでご覧下さい。全プログラムをご紹介します。




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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 音源偽装

 これも最近あるブログで取り上げられておったので改めてここでも紹介しよう。
このところ日本中あちらこちらで食品の偽装ということが話題になっておるのはみなさんよくご存知のことと思う。大阪の高級料亭「吉兆」が販売しているお菓子が、原材料の産地を偽っておったことあたりから始まって、岐阜県の食肉卸業者が、これまたレベルの低い牛肉を高級な飛騨牛と偽っていたり、神戸の業者だったか、海外から輸入した鰻を「愛知一色産」とだまして販売していたり、はたまた北海道の有名なお土産用お菓子や伊勢の赤福からはじまって、あっちでもこっちでも賞味期限や消費期限を改ざんしたり、挙句の果てにゃあ一度お客さんに出したものを次のお客さんに使いまわしておったりと、食品業界じゃあなんでもかんでもやりたい放題のメチャクチャな状況になっておるらしい。「嘘」もこれくらい当たり前のように白日の下にさらされてくると、ずっと正直にやってきた業者やお店の経営者は、きっと「うちもやらなきゃ損をしちまう」というような気持ちになっちまうんじゃねえべが。おかげで今じゃレストランで料理が出てきても、この刻んだキャベツも使いまわしとるんじやなかろうかと疑心暗鬼になってしまうってもんだ。

 こんなことをいったら皆さんびっくりするかもしれないが、昔会社で部下の中にバイクが趣味の青年がいた。とても人のいい好青年だったのだが、彼が学生だった頃のアルバイトの話を聞いて驚いた。なんでも散々バイクを分解したりして清掃した後、アルバイトで通っていた回転寿司の店へ出勤し、言われるままに寿司を握っていたそうだが、帰るときには爪や指紋の中に残っていた黒いグリスや油が取れてきれいになっておったそうだ。(これ意味分かる?)彼曰く、手をきれいにしようと思ったら寿司を握るに限るといって笑っておりました。

 ところが偽装はどうも食品業界ばかりではなさそうで、音楽の世界でもあるようだ。現に今回の中国オリンピックでも、開会式に歌を歌っていたかわいい女の子が、実は別な女の子の声に合わせて口パクをしていたということが早速報道されていた。これなども立派な「音源の偽装」といえなくないだろうか。しかも全世界に向けて堂々とライブでやる偽装なので、大胆不敵とはこのことだ。そしてさらに悪いことは、2人の女の子に対し、これは「国のためになる正しいことなんだ」と教えているのではないかと思えることだ。民主主義の国に住んでいる我々にとって、こっちは少しばかり罪が重いように感じてしまうがどうだろう。共産主義国の教育とはこういうものなんだろうか。女の子本人にとっても、「そうだこれはお国のためになることなんだ」と考える方が、変に悔しい思いをしないで済むだけ気が楽なのかもしれない。

 さて今回の本題だけれども、大変な偽装があるもんだ。10年ほど前に発売になったルイゼ・ワルカーの業績を讃えるために出された4枚組のCD、“ルイゼ・ワルカー ギター大全集”「エッセンス」という中で、こともあろうにアランフェス協奏曲とテデスコのギター協奏曲が2曲ともジョン・ウィリアムスが24歳の時にアメリカで録音したものと入れ替わってしまっているのだ。オーケストラはご存知フィラデルフィア管弦楽団、指揮はユージン・オーマンディ。それがギターはルイゼ・ワルカー。オーケストラは東京交響楽団。指揮は堤俊作となってしまっている。とにかくこの録音を聴いたら結構なお年の女性の演奏とはとても思えないし、それどころか、多少ギターについて詳しい方なら、誰だってジョン・ウィリアムスのものだということは、たちどころに判ってしまうはずだ。しかも聴いてみると、確信があるわけではないが、どうもマスターテープからではなく、LPから引っ張ってきたもののように聴き取れるから性質が悪い。これはいったいどうしたことか。とにかくこのワルカーのCDは発売が日本クラウン株式会社となっているが、ジョンの録音はアメリカのCBSコロンビアのものだから、そう簡単には音源を流用するわけにはいかないはず。しかも念のいったことに解説者はその文章の中で、「演奏は全てライブ録音、特にアランフェスが圧巻!」とまで言い切っておる。そりゃそうだろう。世界ナンバーワンといわれるテクニックを誇るジョン・ウィリアムスの演奏だ。しかも24歳!バリバリだわね。

 どう考えても故意とは考え難いが、その割には音量の変化など、わざと別な演奏と思わせようとした痕跡も見られる。上等な原材料であることをいいことに「そんなもん、わかりゃしねえ」とばかりに強引に利用してしまったのか、まことにもって奇奇怪怪。特にジョンのオーマンディとやったテデスコは、以前ここでも書いたようにまだCD化されたことがないはずなので、こんなところで「ワルカーさんのテデスコ」として登場しておったとは・・・。まことにもって魑魅魍魎の世界でおじゃるなあ。
それともこれは主催者の一種の謎かけであったのか。だとしたらこりゃあ結構面白れえ冗談だ。
(この件について、既に解決済みであったなら、私の不勉強としてご勘弁をお願いする)
内生蔵 幹(うちうぞう みき)


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先日の日曜日(8/17)は11回目のワンコイン・コンサートでした。
最近は益々盛況の度合いを増しているワンコイン・コンサートで嬉しい限りです。今回も大阪や滋賀からのエントリーも含めて、当初16名がエントリーされ、お一人急遽ご葬儀が入り欠席された結果、15人の方が演奏されました。

今回は久しぶりにソロばかり。初心者の方からベテランの方まで、最初から最後まで緊張しっぱなしの方もいれば、途中から緊張してきましたと言う方、気持ちよく弾けましたという方といろいろでした。
しかし、先生にチャント習っている方とそうでない方とは、技術的なことから音楽的な面まで差が出てきますね。コンサートが終わってから少しだけ右手の奏法についてアドバイスして上げた方は「そんな話は初めて聞いた、いい勉強になった」と感激して頂きました。好きでやっている方々ですから、上手くなりたいと言う気持ちは持っています。そんな方々に少しでもお役に立てればと思っています。

今回はいいお話もありました。高校の同級生で卒業してから41年ぶりにこのワンコイン・コンサートで会ったと言うお話です。お二人は宮崎のご出身。現在お一人は四日市在住、もうお一人は豊橋だったと思います。四日市の方(児玉さん)がエントリーされ、演奏されました。児玉さんが41年ぶりに会わないかと言う事でもうお一人の方と一緒にお誘いしたそうです。豊橋の方はギターをやっていなくて、児玉さんがギターをやっている事すら知らなかったそうです。そして児玉さんはその同級生の為に急遽、1曲追加して、ギターの名曲中の名曲「アルハンブラの想い出」を弾かれました。きっとギターを好きになって欲しかったんでしょうね。
ただ、私は児玉さんに謝らなくてはなりません。ロマニロスの音色に気が取られて写真を撮るのを忘れてしまいました。児玉さん、申し訳ありません。従って上記写真には14名しか写っていません。

でも今回もいい会でした。終演後早速次回の10月12日の第12回ワンコインにエントリーされた方がいました。皆さんも、エントリーしてはギターをやっていないご友人も誘ってみてください。ギターを好きになってくれるかも知れません。

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<あれも聴きたい、これも聴きたい> F.ソル作曲 20の練習曲

 あるブログで、若い頃のジョンの弾くF.ソルの「20の練習曲」を取り上げていたので、私も久しぶりにレコード棚から取り出し、さきほど全曲通して聴いてみた。すると自分の若い頃のこともいろいろとよみがえってきて、しばしなつかしい思いに浸ることができた。
考えてみれば、もっと前のギター愛好家の方々がセゴヴィアに抱いたような気持ちを、私はジョンに抱いていて、ジョンがいたからこそ今日までギターに関わってこられたような気がする。私より7歳年長であるジョンは、その日本へのデビュー当時から私のあこがれのギタリストで、その気持ちはいまだに変ってはいない。これはそのジョンがまだ20代の前半と思われる頃に録音した貴重なレコードだ。
そういえば何ヶ月か前だったか、昔長く二重奏を一緒にやっていた酒井康雄君に会ったとき、「そういえば、あのころ演奏がジョンにすごく似ていたねえ」とものすごいことを言われた。たしかに当時私は「ジョンのように弾きたい、ジョンのように上手くなりたい!」といつも願っており、1から10までジョンのことを研究していた覚えがある。ジョンがテレビに出れば食い入るように見たし、演奏会があれば必ず出かけ、ジョンの指使いを徹底的に分析しようと試みていた。しかし、当時いくらがんばってもジョンのように弾けるわけもなく、いつもはがゆい思いをしていたものだった。しかし一緒にやっていた酒井君がそういうということは、やはり知らず知らずに、いつもジョンの「真似」をしていたんだろう。そう思うと少し恥ずかしい気がしたのと、昔のことを思い出して、ついでに少し甘酸っぱい気持ちにもさせられた。

ジョンのデビューレコードは、彼が17歳のときに録音したデュアルテ(デュアート?)編曲のバッハのチェロ組曲1番と3番が裏表のものと、朱色の塔や魔笛、クリオール風ワルツ、ヴィラ=ロボスの練習曲1番などが入ったものとの合計2枚で、それらは両方ともモノラル録音だった。ジョンの来日後しばらく経って荒井貿易に輸入盤として入荷していたが、当時学生だった私にはとても高価で手が出せなかった。(確か当時1枚3000円以上していた記憶がある)その後今回のソルの20の練習曲の入ったレコードが国内で発売されたんだが、そのころ私はソルという作曲家にほとんど興味がなかったので、いかにジョンの演奏といえども購入しようという気になれず、そのままにきてしまった。しかしその後このウエストミンスター録音のソルの練習曲と、ジョンの来日記念盤だったトローバとポンセだけのLP(以前ここにご紹介したことがある)が2枚組みで発売されたので、その時はトローバとポンセのLPを予備として欲しという思いで購入しておいたんだが、迷ったらなんでも買っておくもんだと思った。そのLPが今殆んど針を落とすことなく新品同様の姿で今ここにある。(そんなLPがけっこう沢山あるので、そのうちゆっくり順に聴いていこうと思っているが)殆んど反響音は入っておらず、レコードとしてはなんとも味気ない録音ではあるが、それでもデビューレコードとは違ってステレオ録音になっており、若いころのジョンの溌剌とした演奏が、素晴しい音で、しかもスクラッチノイズもまったく無いという贅沢な状況で鑑賞することができる。

当然、セゴヴィアの選んだ練習曲20曲を、愛弟子のジョンが演奏するということなので、教育的効果は抜群だ。しかもどこをどう聴いてもジョンの演奏ということは丸わかり。つまり今ジョンに弾いてもらっても、ほとんど同じように弾くのではと思えるくらい現在のジョンの特徴がそのまま出ていて、むしろこのとき既にジョンは完成の域に達していたんだなあと感心させられる。全ての音が発弦の素早さを感じさせ、力強く出し切っていてあいまいな表現はまったくない。しかもこれ以上はないと思えるような適切なテンポ感とリズム感、そしてスピード感。そしてところどころに配された適切なアクセント。しかも取って付けた様な余計な表現はいつものように一切していないため、20のどの曲をとってもこれ以上に教育的な演奏はないと断言してよいほどの完成度になっている。この演奏を目の前で弾いてくれたら、ギターを学ぶ者にとってどれほど刺激になることかと思うと、今もってこの素晴しい演奏がなぜCDで発売されないのか不思議で仕方が無い。

曲としてはソルが連曲として書いたものではなく、セゴヴィアがあちこちから集めてきたものだけに、ショパンやリスト、それにドヴュッシーなどが書いたピアノのためのそれとは異なり、それぞれの曲のつながりというか関連性は希薄で、全曲を通して聴き終えた時の芸術的な満足感というものには残念ながら乏しいと言わざるをえない。しかし全てではないが、ギターとして必要な技巧や表現方法はふんだんに盛り込まれており、絶対とはいわないが、ギターを勉強されている方達は、一度は取り組んでみる価値のある曲集だろう。
ただ残念なことに、同じ英国のギタリストであるブリームとは違って、ジョン・ウィリアムスはこの20の練習曲の他には魔笛による変奏曲をただ2回録音しているのみで、その他のソルの作品はほとんど演奏会でもCDでも演奏していないようだ。(唯一ブリームと録音した二重奏が存在するのみ)
たしかにソルはギター界でこそ「ギターのベートーベン」と呼ばれて、最高の作曲家として古くから尊敬を集めてはいるが、それはまさかベートーベンと同じくらい偉大な作品を残すことが出来た作曲家という意味ではなかろう。この20の練習曲も、たしかに教育的には優れているが、では大ホールでのリサイタルでこれらの曲を聴いてみたいかというと、やはり「練習曲」の域を出るものではない。きっと「その曲はご自宅でお弾きになったら?」という気持ちになってしまうだろう。(だからさきほどもいったように演奏会ではなく、小さい部屋で、我々のすぐ目の前で弾いてくれたらとても嬉しいのだけれど)そこらあたりがショパンの練習曲なんぞとは大いに違って、ギターに関わるものとしては、ほんに少なからず妬ける話ではある。
こんなえらそうなことを言ってしまって、ギター愛好家の方達から非難の声が聞えてきそうな気もするが、そこはほれ、なんだがね。かんべんしてね。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)


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