愛しのクリスティナ・オルティス - ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 愛しのクリスティナ・オルティス

 ご存知の方も多いかも知れませぬが、ご存知でない方も多いかも知れませぬ。クリスティナ・オルティスという1950年ブラジル生まれのピアニストがおりましてな、クリスティナっちゅうくれぇだもんで女性なんじゃが。そのクリスティナ・オルティスさんに、おいちゃんはずっと昔から少なからず注目をしておったと思ってくんねぇ。どれっくれぇ昔かというと、そうさなぁ、ざっと34年くれぇ前かなぁ。レコードの解説から拾ってみると、彼女はそもそも2歳くらいからピアノを触り始めて、15歳でパリに]留学。かの有名なマグダ・タリアフェロというピアニストについて勉強。(タリアフェロはクリスティナと同郷の先輩ピアニスト)その後1969年、第3回ヴァン・クライバーンコンクールに出て首席。そして偉大なピアニスト「ルドルフ・ゼルキン」のところへ行って2年間みっちりしごいてもらったそうな。そして1973年、イギリスに移って本格的な演奏家としてスタートを切ったらしい。

それから1974年、写真のレコード「ブラジルの魂」を出して日本にも紹介された。これをおいちゃんも手に入れて聴いたんじゃが、これがまぁ、なかなかええ演奏なんやわ。当時この手のレコードはまだまだ極端に少なくて、おいちゃんなんかはこのレコードかその前に発売されたネルソン・フレイレのレコードで、かろうじてビラ=ローボスのピアノ曲がどんな曲なのか伺い知ることができたくれぇだった。
当然ヴィラ=ローボスなんざぁ、ギターでこそ有名だけんど、当時日本ではまだまだギター以外の曲なんぞ、だーれも演奏しとるもんなんかおれせんかった時代だでよ。おそらく楽譜も手に入り難かったやろうし、たとえ手に入れて弾いたとしても、きっと「おめぇ、なに弾いとるだぁ?そんなもん弾く前にやらなあかんことがなんかあらせんか!」とみんなから言われちまって、肩身の狭い思いをするのが関の山。(関の山ったって関取の名前じゃねえぞ)今から34年前っていやぁ、少なくとも名古屋じゃまだまだそんなもんだったずらねぇ。

そんな時、真ん中のジャケットにあるような、ちょっと田舎のねぇちゃんみたいなばたくさい、でもなんかどっか可愛げのあるオルティスさんの「ブラジルの魂」っちゅうレコードが出たんだわねぇ。おいちゃんなんか嬉しかったねぇ。さっそく帰って聴いてみるってぇと、ネルソン・フレイレのレコードと同じ名曲「赤ちゃんの一族 第1番」が入っておるが、その他は同じくヴィラ=ローボスの小品が4曲。そしてヴィアンナ、ミゲス、グァルニエリ、フェルナンデスなんかのこれも小品が6曲。みんなメロディックでしゃれていて、いっぺんに好きになってしまった。ヴィラ=ローボスもギターの曲なんかよりずっといい曲なような気がして嬉しいような悲しいような・・・。

その後オルティスさんは1976年、なんと今をときめくウラディーミル・アシュケナージさんの指揮でヴィラ=ローボスの「ブラジル風バッハ第3番」と、もうひとつピアノと管弦楽のための曲で「カーニバルの道化師」っちゅう曲を録音し、ついで1986年にはヴィラ=ローボスばっかしのCDを録音、1990年には同じくヴィラ=ローボスのピアノ協奏曲を全曲(5曲)CDで出しちまった。その間にもショスタコーヴィッチの協奏曲やらベートーベンの協奏曲全曲も出しちまうっちゅう本格的なピアニストとして活躍。中でもベートーベンのピアノ協奏曲なんざ、おいちゃんの一番のお気に入りだわさ。ちなみに、アシュケージの指揮したブラジル風バッハのレコードの帯には、「華麗なる変身!指揮者アシュケナージ、ここにデビュー!! 」と書いてある。そうしてみるとこのレコード、ソリストのオルティスさんの名前はえらく小さくしか書いてなくて、どうもアシュケナージの指揮者としてのレコードになっておるところがちょこっと気に入らんが、ジャケットに写っておるアシュケナージさんと並んだ当のオルティスさんは、とっても可愛くて美人で、ちょっとおいちゃん好みの立派な女性にご成長あそばしておりました。

先ほど紹介したオルティスさんのレコード・CDも、気が向いたらいつかひとつひとつ紹介すっかなぁとは思っとるけども、今日のところはそのオルティスさんが、ちょこっとばっかし久しぶりに新しいCDを出したんでご紹介つかまつりたく申し上げ奉り候。
「郷愁のブラジル」と題したブラジルの近代ピアノ曲集で、どれを聴いても、なーんか懐かしい郷愁をそそられるようなええ曲が満載。オルティスさんもいつまでも自分の生まれた国の音楽をずっと愛し続けとるんやねぇ。えらい!
全部で76分以上も入っておりまして、ちょっとお得感がただよう。それに装丁が水彩風というかクレヨン風というか、なかなか洒落ていてgood。
作曲者だけご紹介しておくと、「アルベルト・ネポムセノ」っちゅうなんだか舌を噛みそうな名前の作曲家の作品が2曲。先ほども出てきた「グァルニエリ」の作品が2曲。「フェルナンデス」のブラジル組曲の1番から3番までと練習曲が3曲。そして「ヴィラ=ローボス」の小品が2曲に「ヴィアンナ」の小品が9曲。中にはギターで弾いてもえぇんでねぇのっちゅうような曲もいっぱいあって、これからおいちゃんの愛聴盤になりそう。

クリスティナ・オルティスさんも今年57歳。考えてみりゃあ芸術家としちゃぁまだまだこれからこれから。もっともっとブラジルやメキシコ、アルゼンチンやパラグァイなんかの素敵な曲をどんどん演奏していって欲しいやんか。そしたら南米の「アリシア・デ・ラローチャ」になるかもね。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)


コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
オルテス (ryu)
2013-09-05 16:03:38
こんにちは。
ハジメマシテ。
クリスティナ オルテスのフアンでしたか (^^)
私も彼女が、いつだったか忘れましたが、N響とベートーベンの第1ピアノ協奏曲が放映されました。
第一楽章の中頃か、、彼女が腰をクネラセて演奏してました。
色気ありました (^^)j
TVでは少し上から真後ろを映してました。
何かベートーベンの曲にはこんな側面もあるのかと、、ベートベンを見直しました。
後年、私もオケでこの曲、Vaで参加しましたが、、
練習の合い間にピアニストの女性とこの話で盛り上がりました。
 
 
 
同感です! (宮林淳)
2016-03-06 19:02:50
初めまして。私もオルティズは好きなピアニストで、ご紹介のあったCDのうち何枚かは持っています。ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ第4番」の演奏を聴いてショックを受け、一発で好きになりました。もう20年以上前になると思いますが、彼女の来日公演に行って楽屋でそのCDにサインをもらいました。「トゥリビオ=サントスのことはよく知っているわ」と言っていましたね。
 
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