観劇記その4、The Music Man後編です。(写真は、となりの公園から撮ったガスリー劇場です。右端がちょっと切れちゃっているんですが、ビルから突き出している部分が、展望台のEndless Bridgeで、この写真で切れちゃっているところのもう少し先まで延びています。)
オーバーチュアー同様、観客を迎える美しいエントランスミュージックの演奏と共に始まった第二幕の最初のシーンは、学校の体育館で行われる、アイスクリーム社交会のリハーサルでした。
4人の婦人達と町長夫人が、ちょうちんブルマー姿でバレエもどきのダンスを練習していて、それだけでも思わず笑っちゃったんですが、なかなかうまく踊れません。一番ふくよかな婦人の役をやっているのは、テレース・ウォルスさんという女優さんで、2011年にチャンハッセン・ディナー・シアターズで「Hairspray」を上演した時に、ヒロインのトレイシーを演じていました。婦人達は、学校役員のコーラス(It’s You)に合わせて踊りますが、そのコミカルな仕草に、客席からは大きな笑いが起きていましたよ。
町長夫人達のリハーサルが終わるのを待ちきれずに、若者達が体育館に入ってきてしまいます。そして、ヒルがみんなに教えた新しいステップを練習するのでした。(Shipoopi)ほとんどが若い俳優さん達の中、小柄なトニーさんは、若手に混じって見事なダンスを披露していて、まさにダンスキャプテンの面目躍如といった感じでした! 若者達の中には、Josephを見た時にお友達になったアダム君やウェス君の姿もありました♪
そこにヒルも加わり、マリアンと一緒に踊ります。ヒルを見直したマリアンは、普段の堅物ぶりはすっかり影を潜めて、楽しそうに踊るのでした。トミーとゼニータも仲良くダンスを楽しんでいましたが、2人の交際を快く思わない町長に罵倒され、トミーは、たまりかねて走り去ってしまいました。本当なら町長の機嫌を取って取り入らなければならないはずのヒルは、逆に町長に盾突いてトミーをかばいましたが、そんなことより、証明書を早く出せと言われてしまいました。
だいぶうち解けたヒルとマリアンでしたが、マリアンが「弟がちっとも練習しないので、どうしたのかと尋ねたら、『プロフェッサーからThink Systemという方法だから、練習しなくていいと言われた』と言うのだが、どういうことか」とヒルに質問します。ここでは人目もあるし、あらためて説明したいから、今度家を訪ねてもいいかとヒルに聞かれ、マリアンは、今週の夜だったらいつでもいいと答えるのでした。
ヒルとマリアンの楽しげなダンスを見ていた社交会の婦人達が、今まで嫌っていたマリアンに話しかけ、ぜひとも自分達の会に参加してほしいと親しげに誘われ、今まで友達のいなかったマリアンは、思わず、嬉しくなって微笑むのでした。
翌晩、再び、学校役員達に証明書を出せと迫られたヒルは、またもや彼らを歌に誘い込んでごまかしてしまいます。(Lida Rose)一方その頃、マリアンは、自分のヒルに対する思いを、彼にどう伝えるべきか思い悩んでいました。(Will I Ever Tell You?)2つの歌が、きれいなハーモニーになって、とても聞き応えのあるステキなナンバーでした。
そこに、ヒルと釣りをしていたというウィンスロップが楽しそうに帰ってきました。ヒルに、彼の故郷のインディアナのことを教えてもらったと、あんなに無口だったのがウソのように、母と姉に楽しく話してくれました。(Gary, Indiana)
家の外に1人立つマリアンの横を、ヒルにひどい目に遭わされたセールスマンのチャーリーが通りかかります。ヒルがこの町で列車を降りたので、町長にヒルのことを知らせようとやってきたのですが、マリアンから町長の家は町の反対側だと教えられて、次の列車で町を出なくてはならず、証拠の手紙を出すべきところに出すと言って、列車に戻ろうとします。ヒルを守りたい一心のマリアンは、好きでもないチャーリーに口づけまでして、時間を稼ぎ、とうとうチャーリーは、列車に乗り遅れてしまいました。
このシーン、かなり長い間キスが続いて、しかも、その後ろを、アカペラ4人組が歌いながら、ステージを歩き回るというユーモラスなシーンなんです。そして、列車の発車する音を聞いたとたん、チャーリーを突き放したマリアンが、「ペッ、ぺっ!」といかにも嫌そうに、つばを吐く仕草をするので、観客は、大笑いでした。
カンカンに怒るチャーリーに、ヒルが素性をごまかしていることを言っているんだろうと思ったマリアンは、指揮者が自分を儀礼的にプロフェッサーと呼ぶことは、よくあることだから問題ないとなだめます。しかし、チャーリーから、ヒルは、素性をごまかすだけでなく、商品を売りたいために、あちこちの町で子供達までだましている詐欺師だと聞かされて、ショックを受けるのでした。
そんなこととは知らないヒルが、マリアンの家を訪ねてきました。気を利かせた母は、台所に引っ込み、チャーリーに聞かされた話に動揺しているマリアンは、ホントは詐欺のことについて聞きたいのに、Think Systemについて、とんちんかんな質問ばかりしてしまいます。様子がおかしいと気づいたヒルに問いただされ、「例えば、他のセールスマンが、あなたについてよからぬ話を吹聴するとしたら、それは、どうしてかしら。」と、マリアンが訪ねました。すると、ヒルは、「自分は、優秀なセールスマンで、それを妬んで、あることないこと言いふらされることがある。」と答えました。それを聞いたマリアンは、チャーリーの言っていたことは、ヒルを妬んでの作り話だったんだと思いこみ、すっかり明るい表情に戻るのでした。
立ち話も何だからと、座って話そうとしますが、どうせなら、若者達が恋を語り合うフットブリッジという橋に行こうと、15分後に待ち合わせをするのでした。
「ママ、私、プロフェッサーとフットブリッジで会う約束をしちゃったわ!」と叫ぶマリアン。家から飛び出してきた母は、天を仰いで神に感謝し、観客を笑わせてくれました(笑)
先に橋にやってきたヒル、町の若いカップルが2組いましたが、ヒルが来たのを見て、そそくさと立ち去って行きました。マリアンを待ちながら、落ちていた棒きれを拾い上げ、指揮のまねごとをしてみるヒルでしたが、音楽の素養のない彼にできるのは、まねごとに過ぎず、棒をへし折って、投げ捨てるのでした。
そこに、いつもはきつく結い上げている髪をゆるやかに下ろして、ピンクの若々しいドレスに着替えたマリアンがやってきます。(ちなみに、この作品、衣装替えが本当に多いんですよ。ヒルも、何度か着替えますし、町長夫人もけっこう衣装持ちですし、マリアンも、何だかんだで5~6回くらい衣装を替えているのではないでしょうか。作品によっては、どうしても着替えないと筋が通らないシーン以外は、ほとんど着たまんまという場合も少なくないんですけどね。)
「ああ、君の来るのが遅かったよ!」とヒル。約束通り、15分後に来たのに・・・と、とまどうマリアンに、「いや、そうじゃなくて、もっと早く出会いたかったって意味だよ。」と、ヒル。
生まれて初めて、恋人達の集うフットブリッジにやってきたマリアンでしたが、ヒルと共に橋の上に立って語らううちにムードは盛り上がり、2人は、口づけを交わします。(Till There Was You)ヒルのことを、ハロルドと呼ぶようになったマリアンは、自分が、彼の身分詐称に気づいていたことを明かします。彼が卒業したと言った年には、まだインディアナの大学は創立されていなかったのです。「いつから知っていたの!?」と、びっくりして尋ねるヒルに、「建国記念日のちょっと後には、もう気づいていたわ。でも、そんなことは、もうどうでもいいのよ。」と優しく答えて、家路につくマリアンでした。
マリアンの優しさ、誠実さに触れて、ヒルは、いつの間にか彼女を本当に愛いていた自分の本心に初めて気づくのでした。ステージ裏でマリアンの歌うGoodnight, My Someoneと、ヒルの歌う穏やかなバージョンのSeventy-Six Trombonesが、美しく響き合い、その後、互いが相手の歌を優しく歌う、とてもロマンチックなシーンでした。
マリアンを見送って1人たたずむヒルの元へ、息せき切ってマーセラスが駆けつけてきました。腹を立てたチャーリーが、町の人々にヒルのことをばらしてしまったので、ヒルを捕まえようと、町中の人が探し回っているというのです!
「制服も届いて、その分の金も回収したから、急いで逃げよう!」というマーセラスに、「あとで、会おう!」と答えるヒルでしたが、マリアンへの愛に気づいてしまった今、いつものようにこっそりと町を逃げ出すことはできません。彼女にもう一度会おうと、ヒルは、マーセラスとは、逆の方向へ走り去るのでした。
このシーンは、花道や客席の間の階段などをフルに使って、町の住人、ヒル、マーセラスが本当に走り回り、今、そこを通ったかと思うと、今度は反対の通路から出てくるという感じで、また追いかけている住人の数人(Michael君〔マイケル・グルーバー〕もその1人でした。)が、本物の炎のついたトーチを手にしていて、とても臨場感がありました。
マリアンの家にようやくたどり着いたヒル、マリアンが早く逃げるようにと勧めます。信頼していたヒルに裏切られたと走り去ろうとするウィンスロップを抱き留めたヒルは、「君にウソはつかないよ」と言い、「本当は、音楽を教えたり、できないの?」と尋ねるウィンスロップに、「そう、できないんだよ」と、正直に答えました。悲しむウィンスロップに、「でも、これは、本当のことだから信じてほしい。君には、音楽の才能がある!だから、僕は、君に、どうしても少年バンドに参加してほしかったんだよ。」と訴えました。彼の言葉を信じるという姉の言葉に、不思議そうな顔をするウィンスロップでしたが、そこに、町の住人達がやってきます。
口々に「早く逃げて!」と叫ぶ、マリアンとウィンスロップ。2人をじっと見つめるヒル・・・。
ここからいよいよ大詰めになるわけです。ヒルは、つかまってしまうのか?彼とマリアンの恋の行方は?ウィンスロップや町の子供達が夢見ていたバンドは、幻と消えてしまうのか?
ラストシーンを語りたい気持ちはいっぱいなのですが、やはり、ネタバレはよくないですので、このあとの物語は、明かさないことに致しますね。
アメリカでは、ミュージカル全盛期の名作映画として、今でも多くの人に親しまれている作品ですが、日本では、現在ソフトが発売されていないようで、映画版を見る機会はほとんどないので、ステージ版をごらんになる機会がございましたら、ぜひご自分の目で、耳で、じっくりと楽しんで下さいね~!
ラストシーンのあと、キャストの皆さんが、代わる代わる登場して、観客の喝采を受けました。もちろん、ナズも叫びまくりです! いつの間にか、指揮者のアンドリューさんが、バンドの制服の赤い帽子をかぶっていて、彼にも、観客からの大歓声が贈られました。
いつもだと、終演後は、楽屋口でMichael君達に会うのですが、何せ、ホテルのチェックインが終わってません。Michael君達には、「チェクインがあるから、イブニングの後に会おうね」とメールで知らせてあったので、そのままホテルに戻りました。
フロントで預けていた荷物を受け取って、3階の部屋へと向かいましたが、もうそろそろ夕方だというのに、廊下には、まだハウスキーピングのワゴンがあちこちにありました。基本的に、フレンドリーで、過ごしやすいホテルなんですが、部屋の掃除が遅いのが欠点なんです。連日、この調子で、「○○時までに済ませてほしい」とお願いしておいたのに、終わってなかった日もありました。
また、どの部屋もそうなんですが、スタイリッシュさを重視して、部屋を超シンプルにしていて、洋服を収納するスペースがとても少ないんです。ハンガーが6~7本下がった小さなクローゼットと、扉も何もない戸棚が4つ(うち2つは、背丈より高い位置にあるので、ほぼ使えない)あるだけで、引き出しは、全くありませんでした。まあ、若者向けということで、それほど衣類を持ってこないだろうというコンセプトなのかも知れませんが、観劇が目的の女性としては、ワンピースなど何枚か持ってきてたので、もうちょっと収納がほしいな~と思いました。幸い、スーツケースの中で荷物がばらけないように、ファスナー付のケースに詰めてきていたので、そのまま棚に置くことができて重宝しました~♪
でも、この2点以外は、部屋に金庫もあるし、ちょっと小さめだけど冷蔵庫もあるし、シングルの部屋のベッドはキングサイズで寝心地よかったし、WiFiも無料で使えるし、ちゃんと泳ぐには小さいけどプールもあるし、ジムもあるし、中庭ではちょっとしたコンサートのようなイベントをやることもあるし、となかなか便利なホテルなので、将来、ガスリー劇場のショーを見る機会があれば、きっとまたAloftに泊まると思います~。
シャワーを浴びて、荷物を片づけたナズ、ホテルの売店で買ってきたコーラやクッキーで腹ごしらえをしました。そして、身支度を済ませると、6時15分頃、劇場へと向かいました。ホントに劇場が近くて便利です♪
他の日は、イブニングは、7時半からなのですが、日曜日は、7時からで、劇場に着くとまもなく開場時間になりました。イブニングの席は、Aisle 3 Row A Seat 205と、ステージのほぼ正面の最前列 !近すぎて、ショー全体が見づらいことは見づらいですが、間近で見て、声援を送りまくりたいナズ的には、絶好の席でした♪
いつもだと、よく知らないショーの時は、見に来る前にDVD等で予習してから見に来るようにしているので、初めての時でも、だいたいどんな感じかわかるのですが、今回は、DVDが日本では手に入らず、また日本のステージ版も見たことがありませんでした。そのため、マチネの時は、どういう展開になるのか、ストーリーを追うのに忙しく、あまり叫べなかったんですが(笑)、イブニングの時には、すでに一度見ていたので、盛り上がりどころがわかり、声援を送りやすかったです♪
また、マチネよりもイブニングの方が盛り上がるので、ナズの声援につられるように、客席のあちこちからも声援が上がり、とても楽しい雰囲気のショーになりました♪ 大きな声援や拍手喝采を受けた時の俳優さんは、ステージの上で、誇らしげな笑顔で、本当に輝いて見えるんです!ナズの大好きな瞬間です♪ 演技も熱を帯びて、ますます素晴らしくなりますし、やはり、いいパフォーマンスを見た時には、ちゃんと反応を返さないとダメですよね~。
ショーが終わったあと、Michael君達と待ち合わせていた、楽屋口のある1階ロビーへ向かいました。Aloftのある側のドアの横にステージドアと書かれたガラスの扉があるんですが、ロビー中央の壁のところにエレベーターがあって、そっちを使って下りてくる俳優さんも多かったです。
ほとんど待つこともなく、Michael君とトニーさんが現れて、「ナズ~!久しぶりだね~♪」とハグしてくれました。2年ぶりの2人は、とても元気そうでしたよ。ダンスキャプテンで大忙しのトニーさんは、もともと筋肉のかたまりのような全身が、ますます引き締まってシャープになった感じでした。
「君が、歓声を上げて応援してくれることを忘れてて、マチネで声を聞いて、『あ、ナズが来てくれてる!』って、思ったよ!応援、ありがとう!」とトニーさん。
2人と話すうちに、アダム君やウェス君も下りてきました。2人は、ナズよりずっと若くて、まだ20代前半。2年前には、まだ華奢で少年のようだった2人が、今は、背も高くなり、筋肉もついて、立派な青年という感じでした。特に、ウェス君は日系なので、いつかツアーカンパニーに入って、日本で公演したいという夢があると話していました。
他にも、Jesusの時に知り合ったカソーノさんや住人の1人を演じているマサイアスさん、トミー役のブランドンさんなどともお話できました。
今回は、怪我をする人が多くて、すでに3人も骨折してしまって、代役の人に振付を教えるのに、トニーさんは、大忙しだそうで、トミー役のブランドンさんもナズが帰ったあとの週から別な役をやることになっていて、火曜日には、そのリハーサルをするのだと話してくれました。
「今日は、一緒に食事ができなかったから、劇場の1階のレストラン・バーで、ちょっとおしゃべりしないかい?」とMichael君に誘われて、トニーさんと3人で、バーに行きました。ちょっとおなかが空いていたナズ(叫ぶと、おなか、空くんですよ~〔笑〕)、ハンバーガーが美味しいと言われたんですが、ちょっとボリュームがありすぎるかな~と迷っていると、Michael君が「僕は、パン無しにしてもらうけど、君もそうする?」と言ってくれたので、パン無しバーガーを食べることにしました。普通のハンバーガーのパンだけ無しにしてもらうなんて、日本では、あまり聞きませんよね。ちょっとびっくり(笑)レタスやトマト、オニオンと一緒にハンバーグが出てくるわけですが、焼き加減も選べて、なかなか美味しかったですよ♪
東京からのフライトのことや、Mary Poppinsはどうだったか、最初の晩の雷雨のこと、ボックスオフィスにいたのがステーシーさんだったこと等いろいろおしゃべりしました。
そして、「明日、予定がないなら、一緒にスティルウォーターって、きれいな川の畔の町があるんだけど、そこに行こうよ。」と誘ってくれたので、翌日、ショーのない月曜日は、午後1時に待ち合わせて、2人と一緒にスティルウォーターに行くことになりました♪
「もし、午前中、ひまだったら、劇場のとなりの公園の向う側に『Izzy's』って美味しいアイスクリーム屋さんがあるから、行ってごらん!1つ、頼むと、もう1つ、小さいのをおまけに乗せてくれるんだよ。」と、Michael君が勧めてくれました。それは、いいことを聞いた♪ おまけのつくアイスなんて、すてきです~♪
2人とお別れしたあと、部屋に戻ったナズ、楽しくなること間違いなしの翌日に備えて、早めにベッドに入りました! 観劇記その5に続きます~!よろしくお願い致します。
オーバーチュアー同様、観客を迎える美しいエントランスミュージックの演奏と共に始まった第二幕の最初のシーンは、学校の体育館で行われる、アイスクリーム社交会のリハーサルでした。
4人の婦人達と町長夫人が、ちょうちんブルマー姿でバレエもどきのダンスを練習していて、それだけでも思わず笑っちゃったんですが、なかなかうまく踊れません。一番ふくよかな婦人の役をやっているのは、テレース・ウォルスさんという女優さんで、2011年にチャンハッセン・ディナー・シアターズで「Hairspray」を上演した時に、ヒロインのトレイシーを演じていました。婦人達は、学校役員のコーラス(It’s You)に合わせて踊りますが、そのコミカルな仕草に、客席からは大きな笑いが起きていましたよ。
町長夫人達のリハーサルが終わるのを待ちきれずに、若者達が体育館に入ってきてしまいます。そして、ヒルがみんなに教えた新しいステップを練習するのでした。(Shipoopi)ほとんどが若い俳優さん達の中、小柄なトニーさんは、若手に混じって見事なダンスを披露していて、まさにダンスキャプテンの面目躍如といった感じでした! 若者達の中には、Josephを見た時にお友達になったアダム君やウェス君の姿もありました♪
そこにヒルも加わり、マリアンと一緒に踊ります。ヒルを見直したマリアンは、普段の堅物ぶりはすっかり影を潜めて、楽しそうに踊るのでした。トミーとゼニータも仲良くダンスを楽しんでいましたが、2人の交際を快く思わない町長に罵倒され、トミーは、たまりかねて走り去ってしまいました。本当なら町長の機嫌を取って取り入らなければならないはずのヒルは、逆に町長に盾突いてトミーをかばいましたが、そんなことより、証明書を早く出せと言われてしまいました。
だいぶうち解けたヒルとマリアンでしたが、マリアンが「弟がちっとも練習しないので、どうしたのかと尋ねたら、『プロフェッサーからThink Systemという方法だから、練習しなくていいと言われた』と言うのだが、どういうことか」とヒルに質問します。ここでは人目もあるし、あらためて説明したいから、今度家を訪ねてもいいかとヒルに聞かれ、マリアンは、今週の夜だったらいつでもいいと答えるのでした。
ヒルとマリアンの楽しげなダンスを見ていた社交会の婦人達が、今まで嫌っていたマリアンに話しかけ、ぜひとも自分達の会に参加してほしいと親しげに誘われ、今まで友達のいなかったマリアンは、思わず、嬉しくなって微笑むのでした。
翌晩、再び、学校役員達に証明書を出せと迫られたヒルは、またもや彼らを歌に誘い込んでごまかしてしまいます。(Lida Rose)一方その頃、マリアンは、自分のヒルに対する思いを、彼にどう伝えるべきか思い悩んでいました。(Will I Ever Tell You?)2つの歌が、きれいなハーモニーになって、とても聞き応えのあるステキなナンバーでした。
そこに、ヒルと釣りをしていたというウィンスロップが楽しそうに帰ってきました。ヒルに、彼の故郷のインディアナのことを教えてもらったと、あんなに無口だったのがウソのように、母と姉に楽しく話してくれました。(Gary, Indiana)
家の外に1人立つマリアンの横を、ヒルにひどい目に遭わされたセールスマンのチャーリーが通りかかります。ヒルがこの町で列車を降りたので、町長にヒルのことを知らせようとやってきたのですが、マリアンから町長の家は町の反対側だと教えられて、次の列車で町を出なくてはならず、証拠の手紙を出すべきところに出すと言って、列車に戻ろうとします。ヒルを守りたい一心のマリアンは、好きでもないチャーリーに口づけまでして、時間を稼ぎ、とうとうチャーリーは、列車に乗り遅れてしまいました。
このシーン、かなり長い間キスが続いて、しかも、その後ろを、アカペラ4人組が歌いながら、ステージを歩き回るというユーモラスなシーンなんです。そして、列車の発車する音を聞いたとたん、チャーリーを突き放したマリアンが、「ペッ、ぺっ!」といかにも嫌そうに、つばを吐く仕草をするので、観客は、大笑いでした。
カンカンに怒るチャーリーに、ヒルが素性をごまかしていることを言っているんだろうと思ったマリアンは、指揮者が自分を儀礼的にプロフェッサーと呼ぶことは、よくあることだから問題ないとなだめます。しかし、チャーリーから、ヒルは、素性をごまかすだけでなく、商品を売りたいために、あちこちの町で子供達までだましている詐欺師だと聞かされて、ショックを受けるのでした。
そんなこととは知らないヒルが、マリアンの家を訪ねてきました。気を利かせた母は、台所に引っ込み、チャーリーに聞かされた話に動揺しているマリアンは、ホントは詐欺のことについて聞きたいのに、Think Systemについて、とんちんかんな質問ばかりしてしまいます。様子がおかしいと気づいたヒルに問いただされ、「例えば、他のセールスマンが、あなたについてよからぬ話を吹聴するとしたら、それは、どうしてかしら。」と、マリアンが訪ねました。すると、ヒルは、「自分は、優秀なセールスマンで、それを妬んで、あることないこと言いふらされることがある。」と答えました。それを聞いたマリアンは、チャーリーの言っていたことは、ヒルを妬んでの作り話だったんだと思いこみ、すっかり明るい表情に戻るのでした。
立ち話も何だからと、座って話そうとしますが、どうせなら、若者達が恋を語り合うフットブリッジという橋に行こうと、15分後に待ち合わせをするのでした。
「ママ、私、プロフェッサーとフットブリッジで会う約束をしちゃったわ!」と叫ぶマリアン。家から飛び出してきた母は、天を仰いで神に感謝し、観客を笑わせてくれました(笑)
先に橋にやってきたヒル、町の若いカップルが2組いましたが、ヒルが来たのを見て、そそくさと立ち去って行きました。マリアンを待ちながら、落ちていた棒きれを拾い上げ、指揮のまねごとをしてみるヒルでしたが、音楽の素養のない彼にできるのは、まねごとに過ぎず、棒をへし折って、投げ捨てるのでした。
そこに、いつもはきつく結い上げている髪をゆるやかに下ろして、ピンクの若々しいドレスに着替えたマリアンがやってきます。(ちなみに、この作品、衣装替えが本当に多いんですよ。ヒルも、何度か着替えますし、町長夫人もけっこう衣装持ちですし、マリアンも、何だかんだで5~6回くらい衣装を替えているのではないでしょうか。作品によっては、どうしても着替えないと筋が通らないシーン以外は、ほとんど着たまんまという場合も少なくないんですけどね。)
「ああ、君の来るのが遅かったよ!」とヒル。約束通り、15分後に来たのに・・・と、とまどうマリアンに、「いや、そうじゃなくて、もっと早く出会いたかったって意味だよ。」と、ヒル。
生まれて初めて、恋人達の集うフットブリッジにやってきたマリアンでしたが、ヒルと共に橋の上に立って語らううちにムードは盛り上がり、2人は、口づけを交わします。(Till There Was You)ヒルのことを、ハロルドと呼ぶようになったマリアンは、自分が、彼の身分詐称に気づいていたことを明かします。彼が卒業したと言った年には、まだインディアナの大学は創立されていなかったのです。「いつから知っていたの!?」と、びっくりして尋ねるヒルに、「建国記念日のちょっと後には、もう気づいていたわ。でも、そんなことは、もうどうでもいいのよ。」と優しく答えて、家路につくマリアンでした。
マリアンの優しさ、誠実さに触れて、ヒルは、いつの間にか彼女を本当に愛いていた自分の本心に初めて気づくのでした。ステージ裏でマリアンの歌うGoodnight, My Someoneと、ヒルの歌う穏やかなバージョンのSeventy-Six Trombonesが、美しく響き合い、その後、互いが相手の歌を優しく歌う、とてもロマンチックなシーンでした。
マリアンを見送って1人たたずむヒルの元へ、息せき切ってマーセラスが駆けつけてきました。腹を立てたチャーリーが、町の人々にヒルのことをばらしてしまったので、ヒルを捕まえようと、町中の人が探し回っているというのです!
「制服も届いて、その分の金も回収したから、急いで逃げよう!」というマーセラスに、「あとで、会おう!」と答えるヒルでしたが、マリアンへの愛に気づいてしまった今、いつものようにこっそりと町を逃げ出すことはできません。彼女にもう一度会おうと、ヒルは、マーセラスとは、逆の方向へ走り去るのでした。
このシーンは、花道や客席の間の階段などをフルに使って、町の住人、ヒル、マーセラスが本当に走り回り、今、そこを通ったかと思うと、今度は反対の通路から出てくるという感じで、また追いかけている住人の数人(Michael君〔マイケル・グルーバー〕もその1人でした。)が、本物の炎のついたトーチを手にしていて、とても臨場感がありました。
マリアンの家にようやくたどり着いたヒル、マリアンが早く逃げるようにと勧めます。信頼していたヒルに裏切られたと走り去ろうとするウィンスロップを抱き留めたヒルは、「君にウソはつかないよ」と言い、「本当は、音楽を教えたり、できないの?」と尋ねるウィンスロップに、「そう、できないんだよ」と、正直に答えました。悲しむウィンスロップに、「でも、これは、本当のことだから信じてほしい。君には、音楽の才能がある!だから、僕は、君に、どうしても少年バンドに参加してほしかったんだよ。」と訴えました。彼の言葉を信じるという姉の言葉に、不思議そうな顔をするウィンスロップでしたが、そこに、町の住人達がやってきます。
口々に「早く逃げて!」と叫ぶ、マリアンとウィンスロップ。2人をじっと見つめるヒル・・・。
ここからいよいよ大詰めになるわけです。ヒルは、つかまってしまうのか?彼とマリアンの恋の行方は?ウィンスロップや町の子供達が夢見ていたバンドは、幻と消えてしまうのか?
ラストシーンを語りたい気持ちはいっぱいなのですが、やはり、ネタバレはよくないですので、このあとの物語は、明かさないことに致しますね。
アメリカでは、ミュージカル全盛期の名作映画として、今でも多くの人に親しまれている作品ですが、日本では、現在ソフトが発売されていないようで、映画版を見る機会はほとんどないので、ステージ版をごらんになる機会がございましたら、ぜひご自分の目で、耳で、じっくりと楽しんで下さいね~!
ラストシーンのあと、キャストの皆さんが、代わる代わる登場して、観客の喝采を受けました。もちろん、ナズも叫びまくりです! いつの間にか、指揮者のアンドリューさんが、バンドの制服の赤い帽子をかぶっていて、彼にも、観客からの大歓声が贈られました。
いつもだと、終演後は、楽屋口でMichael君達に会うのですが、何せ、ホテルのチェックインが終わってません。Michael君達には、「チェクインがあるから、イブニングの後に会おうね」とメールで知らせてあったので、そのままホテルに戻りました。
フロントで預けていた荷物を受け取って、3階の部屋へと向かいましたが、もうそろそろ夕方だというのに、廊下には、まだハウスキーピングのワゴンがあちこちにありました。基本的に、フレンドリーで、過ごしやすいホテルなんですが、部屋の掃除が遅いのが欠点なんです。連日、この調子で、「○○時までに済ませてほしい」とお願いしておいたのに、終わってなかった日もありました。
また、どの部屋もそうなんですが、スタイリッシュさを重視して、部屋を超シンプルにしていて、洋服を収納するスペースがとても少ないんです。ハンガーが6~7本下がった小さなクローゼットと、扉も何もない戸棚が4つ(うち2つは、背丈より高い位置にあるので、ほぼ使えない)あるだけで、引き出しは、全くありませんでした。まあ、若者向けということで、それほど衣類を持ってこないだろうというコンセプトなのかも知れませんが、観劇が目的の女性としては、ワンピースなど何枚か持ってきてたので、もうちょっと収納がほしいな~と思いました。幸い、スーツケースの中で荷物がばらけないように、ファスナー付のケースに詰めてきていたので、そのまま棚に置くことができて重宝しました~♪
でも、この2点以外は、部屋に金庫もあるし、ちょっと小さめだけど冷蔵庫もあるし、シングルの部屋のベッドはキングサイズで寝心地よかったし、WiFiも無料で使えるし、ちゃんと泳ぐには小さいけどプールもあるし、ジムもあるし、中庭ではちょっとしたコンサートのようなイベントをやることもあるし、となかなか便利なホテルなので、将来、ガスリー劇場のショーを見る機会があれば、きっとまたAloftに泊まると思います~。
シャワーを浴びて、荷物を片づけたナズ、ホテルの売店で買ってきたコーラやクッキーで腹ごしらえをしました。そして、身支度を済ませると、6時15分頃、劇場へと向かいました。ホントに劇場が近くて便利です♪
他の日は、イブニングは、7時半からなのですが、日曜日は、7時からで、劇場に着くとまもなく開場時間になりました。イブニングの席は、Aisle 3 Row A Seat 205と、ステージのほぼ正面の最前列 !近すぎて、ショー全体が見づらいことは見づらいですが、間近で見て、声援を送りまくりたいナズ的には、絶好の席でした♪
いつもだと、よく知らないショーの時は、見に来る前にDVD等で予習してから見に来るようにしているので、初めての時でも、だいたいどんな感じかわかるのですが、今回は、DVDが日本では手に入らず、また日本のステージ版も見たことがありませんでした。そのため、マチネの時は、どういう展開になるのか、ストーリーを追うのに忙しく、あまり叫べなかったんですが(笑)、イブニングの時には、すでに一度見ていたので、盛り上がりどころがわかり、声援を送りやすかったです♪
また、マチネよりもイブニングの方が盛り上がるので、ナズの声援につられるように、客席のあちこちからも声援が上がり、とても楽しい雰囲気のショーになりました♪ 大きな声援や拍手喝采を受けた時の俳優さんは、ステージの上で、誇らしげな笑顔で、本当に輝いて見えるんです!ナズの大好きな瞬間です♪ 演技も熱を帯びて、ますます素晴らしくなりますし、やはり、いいパフォーマンスを見た時には、ちゃんと反応を返さないとダメですよね~。
ショーが終わったあと、Michael君達と待ち合わせていた、楽屋口のある1階ロビーへ向かいました。Aloftのある側のドアの横にステージドアと書かれたガラスの扉があるんですが、ロビー中央の壁のところにエレベーターがあって、そっちを使って下りてくる俳優さんも多かったです。
ほとんど待つこともなく、Michael君とトニーさんが現れて、「ナズ~!久しぶりだね~♪」とハグしてくれました。2年ぶりの2人は、とても元気そうでしたよ。ダンスキャプテンで大忙しのトニーさんは、もともと筋肉のかたまりのような全身が、ますます引き締まってシャープになった感じでした。
「君が、歓声を上げて応援してくれることを忘れてて、マチネで声を聞いて、『あ、ナズが来てくれてる!』って、思ったよ!応援、ありがとう!」とトニーさん。
2人と話すうちに、アダム君やウェス君も下りてきました。2人は、ナズよりずっと若くて、まだ20代前半。2年前には、まだ華奢で少年のようだった2人が、今は、背も高くなり、筋肉もついて、立派な青年という感じでした。特に、ウェス君は日系なので、いつかツアーカンパニーに入って、日本で公演したいという夢があると話していました。
他にも、Jesusの時に知り合ったカソーノさんや住人の1人を演じているマサイアスさん、トミー役のブランドンさんなどともお話できました。
今回は、怪我をする人が多くて、すでに3人も骨折してしまって、代役の人に振付を教えるのに、トニーさんは、大忙しだそうで、トミー役のブランドンさんもナズが帰ったあとの週から別な役をやることになっていて、火曜日には、そのリハーサルをするのだと話してくれました。
「今日は、一緒に食事ができなかったから、劇場の1階のレストラン・バーで、ちょっとおしゃべりしないかい?」とMichael君に誘われて、トニーさんと3人で、バーに行きました。ちょっとおなかが空いていたナズ(叫ぶと、おなか、空くんですよ~〔笑〕)、ハンバーガーが美味しいと言われたんですが、ちょっとボリュームがありすぎるかな~と迷っていると、Michael君が「僕は、パン無しにしてもらうけど、君もそうする?」と言ってくれたので、パン無しバーガーを食べることにしました。普通のハンバーガーのパンだけ無しにしてもらうなんて、日本では、あまり聞きませんよね。ちょっとびっくり(笑)レタスやトマト、オニオンと一緒にハンバーグが出てくるわけですが、焼き加減も選べて、なかなか美味しかったですよ♪
東京からのフライトのことや、Mary Poppinsはどうだったか、最初の晩の雷雨のこと、ボックスオフィスにいたのがステーシーさんだったこと等いろいろおしゃべりしました。
そして、「明日、予定がないなら、一緒にスティルウォーターって、きれいな川の畔の町があるんだけど、そこに行こうよ。」と誘ってくれたので、翌日、ショーのない月曜日は、午後1時に待ち合わせて、2人と一緒にスティルウォーターに行くことになりました♪
「もし、午前中、ひまだったら、劇場のとなりの公園の向う側に『Izzy's』って美味しいアイスクリーム屋さんがあるから、行ってごらん!1つ、頼むと、もう1つ、小さいのをおまけに乗せてくれるんだよ。」と、Michael君が勧めてくれました。それは、いいことを聞いた♪ おまけのつくアイスなんて、すてきです~♪
2人とお別れしたあと、部屋に戻ったナズ、楽しくなること間違いなしの翌日に備えて、早めにベッドに入りました! 観劇記その5に続きます~!よろしくお願い致します。