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Chanhassenの「Easter Parade」ができるまで - その2

2007-02-24 00:20:10 | Michael 07 Easter/Stairway
お待たせ致しました。「『Easter Parade』ができるまで」、後半です。 (写真は、「When the Midnight Choo-choo Leaves for Alabam'」を演じているMichael君とAnn Michelsさんです♪)


-書いて、書き直してを繰り返す-

「みんなの熱中ぶりは、とても素晴らしかったよ。私は、夢の中でまで曲を聴いていたくらいだ。たいしたことのないのも含めてね。みんなの気持ちが1つになっているって、いつも感じていたよ。それぞれが、このショーをどんな風にしていくか、どう完成させていくかの決定について、しっかりとかかわっていたからね。これは自分たちのショーなんだって実感があったんだよ。」

と、ミュージカル・ディレクターのTom Mustachioさんは、何度となく書き直しを繰り返した数ヶ月と、数週間に渡ったリハーサルの毎日について、語ってくれた。

古いミュージカルに新しい命を吹き込むと言う作業は、関係者にとって、今まで経験したことのないものだった。完成している台本や楽譜をただ手渡されるだけではない、新しい制作過程をたどったのだ。

かつて、「State Fair」の舞台化に尽力したBriggsさんは、制作チームの中で、唯一地元出身ではないスタッフだった。彼とBrindisiさんは、Brindisiさんのオフィスで、4日間に渡って、映画版の台本の検討を行った。

「ストーリーの重要な骨組みを見つけたよ。でも、筋書きそのものは、重要じゃなかったんだ。現実味が薄いしね。登場人物を生き生きと動かせるような、もう少し活気のあるストーリーが必要だったんだ」

台本には、無数の手直しと推敲が繰り返され、結局、6回も書き直された。登場人物同士の関係や、誰が誰とどうなるか等について、いくつか変更が加えられた。

映画版のオーケストラ用の譜面についても、手直しが必要だった。10人しかいないChanhassenのオーケストラ向きに変更しなくてはならなかったのだ。
Mustachioさんは、ピアノ用に書かれた楽譜をオーケストラ向けに書き直し、ダンス・シーンの音楽や会話のシーンのBGM等を完成させた。

Mustachioさんは、いまだかつて、たった1人でこれだけの作業を行ったことはなかった。Broadwayの新作ミュージカルの場合、通常、3~4人でやる仕事を、彼1人でやったのだ。この経験について、彼は、次のように語った。

「我々が、全てを作り上げていくんだということに、とてもわくわくしたよ。創造の自由を満喫できたよ。キャストのことを知っていて、誰がどの曲を歌うかもわかっていたから、彼らがステージで歌っているところを思い浮かべることができたんだんで、そこから、自然にイメージがわきあがってきたんだよ。」


-いよいよリハーサル-

「自分がどのキーで歌うかとか、せりふをどう変えるかについて発言できて、嬉しかったわ。ほとんどの場合は、そんなチャンスはないから。」

映画版でジュディ・ガーランドが演じていた役を演じるAnn Michelsは、通常よりゆとりを持って行われた「Easter Parade」のリハーサルについて、そう語った。

通常、Chanhassen Dinner Theatresで大作のミュージカルを制作する場合、リハーサルに3週間、俳優が演じている状態で、音響や照明、シーンの入れ替えを確認するテクニカル・リハーサルに3日間、批評家に見せる前のプレビュー公演に1週間というスケジュールで行っている。

今回のワールド・プレミア公演では、リハーサルにもう1週間、またプレビュー公演も、1週間多く行われることになった。キャストのほとんどは地元出身だが、映画ではフレッド・アステアが演じた主役のドン・ヒューズを演じるMichael Gruberだけは、ニューヨークの俳優である。グルーバーは、Broadwayはもちろん、地方劇場での公演も含め、数多くの出演経験を持つベテランだ。彼が出演してきた新作ミュージカルは、1ヶ月にも及ぶ試験公演や6週間にも渡るリハーサル、1ヶ月ものプレビュー公演を行うような規模のものばかりだ。

Chanhassenの制作期間は、彼の経験してきた大作とは比べ物にならないくらい短いが、グルーバーは、郊外のディナー・シアターのやり方を、以下のように賞賛してくれた。

「僕らは、この恵まれた環境の中で集中することができたし、互いに協力しあって作り上げていくこともできたよ。Michael(アート・ディレクターのBrindisiさん)もTom(ミュージック・ディレクターのMustachioさん)もTam(振付師のKangasさん)も、それぞれの考えと進め方を持っていたけど、僕らの考えも、ちゃんと受け入れてくれたんだ。そんなことって、めったにないんだよ。俳優がどう考えているかなんて全く気にも留めないような監督が、いっぱいいるからね。」

初めのうちは、俳優は、朝の10時から夕方の6時までと、比較的ゆとりのあるスケジュールでリハーサルを行う。全ての俳優が、全部のリハーサルに出るわけではない。リハーサルは、次第に長くなり、厳しさを増していく。テクニカル・リハーサルが始まると、彼らは、12時間、拘束されることになる。リハーサルに10時間、それに1回1時間の食事休憩が2回だ。

この作品にかかった費用は、通常Chanhassenが1作の制作費として使う25万ドルを上回っているが、Broadwayが新作に費やす数百万ドルという制作費の足元にも及ばない。

「持っているものが少なければ、失うものも少ないさ。」

グルーバーは、哲学的なコメントをしてくれた。

「Broadwayの作品と比べたら見劣りするかも知れないけど、代わりに、型にはまらない柔軟性があるよ。衣装係から用意した衣装を着ない者がいるなんて苦情が来ることもないし、『3百万ドルもかけた作品なんだぞ!』って、プロデューサーにわめき散らされることもない。 見に来てくれる観客がいて、安心して演技に集中できる環境もある。いきなり大ヒットってことになれば最高だけど、そうならなかったとしても、今度は違うアプローチを試してみればいいのさ。」


-今日はChanhassen、明日は・・・?-

「次の段階として、特に取り決めがあるわけではありませんが、興味を持って下さっている方は大勢おられます。Chanhassen周辺やその他の地域の劇場関係者が、当然興味を持つでしょう。いろいろな話が検討されています。」

R&Hの広報部門の上席副社長をつとめるBert Finkさんは、Chanhassenでの公演が終わった後の「Easter Parade」の展望について、上記のように語った。

今回の公演は、今後、プロ・アマを問わず、「Easter Parade」が上演される際の雛形となるだろう。またR&Hの作品リストに加えられ、アーヴィング・バーリンがその才能で築きあげた財産に、さらなる利益をもたらすことになるだろう。

「我々は、Chanhassenの芸術的に優れた作品を作る点を信頼して、この作品を彼らにゆだねました。」

と語ったのは、R&Hの小道具手配の責任者であるScatamacchiaさんである。Chanhassenの上演スケジュールも、R&HがChanhassenを選んだ要因のひとつだった。

「Chanhassenは、それぞれの作品を長期間に渡って上演するので、全国の劇場関係者を招いて、実際に作品を見てもらうだけの時間があるのです。これらの条件が重なった結果、Chanhassenは、『Easter Parade』を上演する最良の場所となったのです。」

関係者の誰1人として、「B」で始まる言葉-Broadway-を口にしない。確かに遠い道のりだが、可能性が皆無というわけではない。成果はどうあれ、「State Fair」も、長いツアーの後にBroadwayでの公演を果たしたのだ。それについて、Briggsさんは、以下のように語ってくれた。

「別にそれが目的で、このショーを作ったわけじゃないし、我々は、誰もそんなことを期待してはいないんだ。そうならなくたって、我々は、自分達の作り上げた作品に満足しているよ。新しいミュージカルを創り上げて、世に出したんだからね。バーリン氏のお譲さん達やR&Hの人達が、この作品を気に入ってくれて、国中の高校やサマーストック劇場が、この作品を上演したいと思ってくれたら、嬉しいね。」

また、Brindisiさんは、こう語った。

「私には、2つ、望んでいることがあるんだ。1つは、この作品を見た観客が、『人生を無駄にしてはいけない、自分らしく生きよう』という、この作品のテーマを感じ取ってくれること。
そして、もう1つは、もう一度、新しいミュージカルを作る機会がほしいってことだよ。ストーリーを発展させられるような、わくわくする素晴らしい企画が、いくつかあるんだ。今回のようなプロジェクトを、もっとやってみたいね。でも、1つめの願いがかなえば、それだけで、十分満足だよ。」


アーヴィング・バーリンの名曲をふんだんに使った、このステージ版「Easter Parade」、いよいよグランド・オープンを迎えて、より一層の注目を集めることになるでしょう。Broadwayで上演されるようになるかどうかは、まだ定かではありませんが、ステージ版「White Christmas」が、2004年の初演以来、アメリカのクリスマス時期の定番として上演されるようになったように、この「Easter Parade」も、イースターの時期の定番として、あちこちの劇場で上演されるようになることでしょう。そして、
いつか、Michael君主演で、Broadwayで上演されたら、素晴らしいですよね! その時は、絶対、絶対、見に行くぞ~!

本日グランド・オープンの「Easter Parade」のビデオ・クリップ!

2007-02-23 07:55:23 | Michael 07 Easter/Stairway
ミネソタのChanhassenでプレビュー公演中のMichael君(マイケル・グルーバー)主演の「Easter Parade」が、アメリカのセントラル時間の本日(2月23日)、グランド・オープニングを迎えますが、そのビデオ・クリップが紹介されていました。(写真は、「A Couple of Swells」を演じるMichael君とAnn Michelsさんです。)

アメリカのセントラル時間の2月23日、午後8時、Michael君の「Easter Parade」がグランド・オープンします。そのリハーサル風景やステージでのパフォーマンス、インタビューのビデオ・クリップが、Star Tribune.comで見られます。こちらからどうぞ~♪

ビデオ・クリップの初めの方では、アート・ディレクターのMichael Brindisiさんのインタビューに続いて、ジーンズ姿でリハーサル中のMichael君が見られますよ~ また実際のパフォーマンスシーンに加え、ハナ・ブラウン役のAnn Michelsさん、ネイディーン役のMichelle Barberさん、ジョニー役のKeith Riceさん、そして、もちろん主役のドン・ヒューズを演じているMichael君のインタビューが見られるんです♪

Michael君、とってもステキ♪ もしかすると、Michael君の普通の話し声(インタビュー)を聞かれるのは初めて・・・という方もいらっしゃるのではないでしょうか? 歌声同様、ステキな声でしょう? ナズは、彼の声、本当に大好きなんです~
どうぞ、ごゆっくり、お楽しみ下さい♪


Chanhassenの「Easter Parade」ができるまで - その1

2007-02-21 02:50:30 | Michael 07 Easter/Stairway
Michael君(マイケル・グルーバー)のサイトに、St. Paul Pioneer Pressに掲載された記事が紹介されています。(写真は、Michael君のサイトのロゴです。)

原文は、こちらからどうぞ。Dominic P. Papatolaさんが書かれた記事で、タイトルは「Stepping up to the plot Or: the stages one must follow when turning a classic movie (ストーリーへの接近 または、名作映画の舞台化)」です。
とっても長い記事なので、2回に分けてお届けしますね~。


ステージで上演するための優れた新作が必要な時に、「これは!」と思う名作映画に出会ったら、あなたなら、どうするか? Chanhassen Dinner Theatresと1948年の映画「Easter Parade」の出会いの場合、それは、ハードワークと幸運、人間関係と技術、昔風のミュージカルと現代的な感性をめぐる長い道のりの始まりだった。*40年近くの歴史を持つこの劇場にとって、地元の才能を結集して、新しいミュージカルを一から作り上げるのは、初めてのことだった。以下は、その過程である。


-素晴らしいけれど、完璧でないものを選ぶ-

「『Easter Parade』の素晴らしいところは、よく知られているけれど、必ずしも人気作品ってわけじゃないところだね。」 と、Chanhassen版の脚本のせりふの部分を担当したTom Briggsさんは語った。 彼が教えてくれたところによれば、ミュージカル映画を優れた舞台作品にする秘訣は、タイトルがよく知られた作品でありながら、ステージ版として手を加える余地のある作品を選ぶことだそうだ。
「みんな、作品に登場する歌を知っているし、ジュディ・ガーランドとフレッド・アステアが主演したってことも知っている。でも、ストーリーを詳しく覚えている人は、けっこう少ないんだ。」

「Easter Parade」を選択したことによって、Chanhassenの制作チームは、昨年の夏に「Singin' in the Rain」を舞台化した時のように、人気映画の影響に悩まされることがなかった。
アーティスト・ディレクターのMichael Brindisiさんは、「Singin'」の舞台化について、下記のように語った。
「『'Singin' in the Rain』のような作品をステージ化する場合の問題は、映画版がとても完成された作品だってことなんだよ。手を加える余地のある作品を見つけて、それを改良することがキーなんだ。」

「Easter Parade」は、自分が育てたパートナー(アン・ミラー)に見捨てられた男(アステア)が、誰でも彼女と同じくらいうまく踊れるように教えられることを証明するために、大勢の中から1人の女性(ガーランド)を選ぶという物語で、有名なタイトル・ソングをはじめ、「I Love a Piano」、「Steppin' Out With My Baby」、「A Couple of Swells」等のナンバーが含まれている。

馴染みのあるタイトルと、作曲者であるアーヴィング・バーリンのビッグ・ネームは、この作品を舞台化したいという人々の欲望を駆り立てる。バーリンの曲の権利は、 the Rodgers and Hammerstein Organization (R&H)が管理しており、彼らが初めて行ったミュージカル映画の舞台化作品が、Chanhassenで収めた成果に十分満足していた。

「State Fair」は、1945年に作られた、あまり有名ではないRodgers & Hammerstein作の映画で、1996年に初舞台化、Broadwayで上演されたが、失敗に終わり、わずか3ヶ月で幕を下ろすこととなってしまった。
翌年、いち早くChanhassenが「State Fair」の舞台化を手がけた。脚本を書いたBriggsさんが、 R&Hから派遣された一行の1人として、この作品を見るためにミネソタにやって来た。 その時のことを、Briggsさんは、次のように語った。

「もしMichaelのバージョンの『State Fair』がBroadwayで上演されていたら、きっと、今でもロングランしていただろうね。」

Chanhassen版は、その後、1年に渡って公演が続いた。この成功は、人々の胸に、あるアイディアの種を蒔いた。それが芽吹くまでに、10年の歳月を必要としたが。

同じ頃、もっと華やかな場所でも「Easter Parade」の舞台化が計画され、消えていった。1997年に、サンディ・ダンカンとトミー・テューンを迎えて、Broadwayでの舞台化が進んでいたのだ。NYでの2回のリーディングの後、オーストラリアで試験的な上演が行われたが、その後、計画は頓挫し、「Easter Parade」の舞台化の計画は、忘れ去られていった。

2006年になって、R&Hから、Brindisiさんに「『Easter Parade』のワールド・プレミア公演をやってみる気はないか」との申し出が来た。


-全員が「OK」と言うのが肝心-

「去年、親戚をたずねて、Allentownに行ってたんだ。で、いくつか芝居を見ようと、NYに向かっていたバスの中で、僕の携帯が鳴ったんだ。R&Hからで、『どこにいる?』って聞くから、『市内に向かってる』って答えたんだ。そしたら、『ホテルに寄らずに、直接、うちの事務所に来い』って言うんだよ。で、行ってみたら、関係者が全員で待ち構えていて、この契約にサインしろって言われたよ。」

と、Michael Brindisiさんは、その後、数ヶ月に渡って劇場側と交渉することになったきっかけについて語ってくれた。劇場やエージェンシーの了解を取り付けた後も、越えなくてはならないハードルがいくつも残されていた。

バーリンは、多くの曲を書いた作曲家であると共に、優れたビジネスマンだった。1989年に101才で亡くなった時、彼は、自分の遺産を、3人の娘たちに残した。R&Hの副社長であるCharlie Scatamacchiaさん曰く、「3人とも、とても頭のよい女性で、父から残されたものを守ることを、とても真剣に考えている」そうである。

舞台化には、彼女達の了承が必要だった。もちろん、ワーナー・ブラザーズの演劇部門の承認も必要だった。「Easter Parade」をはじめ、かつてのMGM映画に関する権利は、全て、ここが管理しているのだ。そして、バーリンの曲の使用権については、R&Hの許可が必要だった。R&Hが、脚本を確認して、最終許可を出すのだ。

ナンバーの数の問題もあった。映画版には、わずか13曲しか使われていなかった。ステージ版を作るのには、ぜんぜん足りないのだ。しかも、最も有名な曲のうちの1つ「I Love a Piano」は、昨年の冬にthe Ordway Centerで上演された「White Christmas」で使われてしまったので、こちらに使うわけにはいかなかった。

しかし、幸いなことに、その生涯に実に多くの曲を書いたバーリンのおかげで、まだまだたくさんのナンバーが残されていた。彼は、1000以上もの曲を書き、そのうちの800曲を発表したのだ。Briggsさんは、その中から6曲を選び出した。それらには、映画版のために書かれたのに、映画からカットされてしまった「Let's Take an Old-Fashioned Walk」という曲も含まれていた。


「『Easter Parade』ができるまで」、前半は、ここまでです~! 後半には、Michael君のインタビューも含まれていますので、どうぞ、お楽しみに~♪