お待たせ致しました。「『Easter Parade』ができるまで」、後半です。 (写真は、「When the Midnight Choo-choo Leaves for Alabam'」を演じているMichael君とAnn Michelsさんです♪)
-書いて、書き直してを繰り返す-
「みんなの熱中ぶりは、とても素晴らしかったよ。私は、夢の中でまで曲を聴いていたくらいだ。たいしたことのないのも含めてね。みんなの気持ちが1つになっているって、いつも感じていたよ。それぞれが、このショーをどんな風にしていくか、どう完成させていくかの決定について、しっかりとかかわっていたからね。これは自分たちのショーなんだって実感があったんだよ。」
と、ミュージカル・ディレクターのTom Mustachioさんは、何度となく書き直しを繰り返した数ヶ月と、数週間に渡ったリハーサルの毎日について、語ってくれた。
古いミュージカルに新しい命を吹き込むと言う作業は、関係者にとって、今まで経験したことのないものだった。完成している台本や楽譜をただ手渡されるだけではない、新しい制作過程をたどったのだ。
かつて、「State Fair」の舞台化に尽力したBriggsさんは、制作チームの中で、唯一地元出身ではないスタッフだった。彼とBrindisiさんは、Brindisiさんのオフィスで、4日間に渡って、映画版の台本の検討を行った。
「ストーリーの重要な骨組みを見つけたよ。でも、筋書きそのものは、重要じゃなかったんだ。現実味が薄いしね。登場人物を生き生きと動かせるような、もう少し活気のあるストーリーが必要だったんだ」
台本には、無数の手直しと推敲が繰り返され、結局、6回も書き直された。登場人物同士の関係や、誰が誰とどうなるか等について、いくつか変更が加えられた。
映画版のオーケストラ用の譜面についても、手直しが必要だった。10人しかいないChanhassenのオーケストラ向きに変更しなくてはならなかったのだ。
Mustachioさんは、ピアノ用に書かれた楽譜をオーケストラ向けに書き直し、ダンス・シーンの音楽や会話のシーンのBGM等を完成させた。
Mustachioさんは、いまだかつて、たった1人でこれだけの作業を行ったことはなかった。Broadwayの新作ミュージカルの場合、通常、3~4人でやる仕事を、彼1人でやったのだ。この経験について、彼は、次のように語った。
「我々が、全てを作り上げていくんだということに、とてもわくわくしたよ。創造の自由を満喫できたよ。キャストのことを知っていて、誰がどの曲を歌うかもわかっていたから、彼らがステージで歌っているところを思い浮かべることができたんだんで、そこから、自然にイメージがわきあがってきたんだよ。」
-いよいよリハーサル-
「自分がどのキーで歌うかとか、せりふをどう変えるかについて発言できて、嬉しかったわ。ほとんどの場合は、そんなチャンスはないから。」
映画版でジュディ・ガーランドが演じていた役を演じるAnn Michelsは、通常よりゆとりを持って行われた「Easter Parade」のリハーサルについて、そう語った。
通常、Chanhassen Dinner Theatresで大作のミュージカルを制作する場合、リハーサルに3週間、俳優が演じている状態で、音響や照明、シーンの入れ替えを確認するテクニカル・リハーサルに3日間、批評家に見せる前のプレビュー公演に1週間というスケジュールで行っている。
今回のワールド・プレミア公演では、リハーサルにもう1週間、またプレビュー公演も、1週間多く行われることになった。キャストのほとんどは地元出身だが、映画ではフレッド・アステアが演じた主役のドン・ヒューズを演じるMichael Gruberだけは、ニューヨークの俳優である。グルーバーは、Broadwayはもちろん、地方劇場での公演も含め、数多くの出演経験を持つベテランだ。彼が出演してきた新作ミュージカルは、1ヶ月にも及ぶ試験公演や6週間にも渡るリハーサル、1ヶ月ものプレビュー公演を行うような規模のものばかりだ。
Chanhassenの制作期間は、彼の経験してきた大作とは比べ物にならないくらい短いが、グルーバーは、郊外のディナー・シアターのやり方を、以下のように賞賛してくれた。
「僕らは、この恵まれた環境の中で集中することができたし、互いに協力しあって作り上げていくこともできたよ。Michael(アート・ディレクターのBrindisiさん)もTom(ミュージック・ディレクターのMustachioさん)もTam(振付師のKangasさん)も、それぞれの考えと進め方を持っていたけど、僕らの考えも、ちゃんと受け入れてくれたんだ。そんなことって、めったにないんだよ。俳優がどう考えているかなんて全く気にも留めないような監督が、いっぱいいるからね。」
初めのうちは、俳優は、朝の10時から夕方の6時までと、比較的ゆとりのあるスケジュールでリハーサルを行う。全ての俳優が、全部のリハーサルに出るわけではない。リハーサルは、次第に長くなり、厳しさを増していく。テクニカル・リハーサルが始まると、彼らは、12時間、拘束されることになる。リハーサルに10時間、それに1回1時間の食事休憩が2回だ。
この作品にかかった費用は、通常Chanhassenが1作の制作費として使う25万ドルを上回っているが、Broadwayが新作に費やす数百万ドルという制作費の足元にも及ばない。
「持っているものが少なければ、失うものも少ないさ。」
グルーバーは、哲学的なコメントをしてくれた。
「Broadwayの作品と比べたら見劣りするかも知れないけど、代わりに、型にはまらない柔軟性があるよ。衣装係から用意した衣装を着ない者がいるなんて苦情が来ることもないし、『3百万ドルもかけた作品なんだぞ!』って、プロデューサーにわめき散らされることもない。 見に来てくれる観客がいて、安心して演技に集中できる環境もある。いきなり大ヒットってことになれば最高だけど、そうならなかったとしても、今度は違うアプローチを試してみればいいのさ。」
-今日はChanhassen、明日は・・・?-
「次の段階として、特に取り決めがあるわけではありませんが、興味を持って下さっている方は大勢おられます。Chanhassen周辺やその他の地域の劇場関係者が、当然興味を持つでしょう。いろいろな話が検討されています。」
R&Hの広報部門の上席副社長をつとめるBert Finkさんは、Chanhassenでの公演が終わった後の「Easter Parade」の展望について、上記のように語った。
今回の公演は、今後、プロ・アマを問わず、「Easter Parade」が上演される際の雛形となるだろう。またR&Hの作品リストに加えられ、アーヴィング・バーリンがその才能で築きあげた財産に、さらなる利益をもたらすことになるだろう。
「我々は、Chanhassenの芸術的に優れた作品を作る点を信頼して、この作品を彼らにゆだねました。」
と語ったのは、R&Hの小道具手配の責任者であるScatamacchiaさんである。Chanhassenの上演スケジュールも、R&HがChanhassenを選んだ要因のひとつだった。
「Chanhassenは、それぞれの作品を長期間に渡って上演するので、全国の劇場関係者を招いて、実際に作品を見てもらうだけの時間があるのです。これらの条件が重なった結果、Chanhassenは、『Easter Parade』を上演する最良の場所となったのです。」
関係者の誰1人として、「B」で始まる言葉-Broadway-を口にしない。確かに遠い道のりだが、可能性が皆無というわけではない。成果はどうあれ、「State Fair」も、長いツアーの後にBroadwayでの公演を果たしたのだ。それについて、Briggsさんは、以下のように語ってくれた。
「別にそれが目的で、このショーを作ったわけじゃないし、我々は、誰もそんなことを期待してはいないんだ。そうならなくたって、我々は、自分達の作り上げた作品に満足しているよ。新しいミュージカルを創り上げて、世に出したんだからね。バーリン氏のお譲さん達やR&Hの人達が、この作品を気に入ってくれて、国中の高校やサマーストック劇場が、この作品を上演したいと思ってくれたら、嬉しいね。」
また、Brindisiさんは、こう語った。
「私には、2つ、望んでいることがあるんだ。1つは、この作品を見た観客が、『人生を無駄にしてはいけない、自分らしく生きよう』という、この作品のテーマを感じ取ってくれること。
そして、もう1つは、もう一度、新しいミュージカルを作る機会がほしいってことだよ。ストーリーを発展させられるような、わくわくする素晴らしい企画が、いくつかあるんだ。今回のようなプロジェクトを、もっとやってみたいね。でも、1つめの願いがかなえば、それだけで、十分満足だよ。」
アーヴィング・バーリンの名曲をふんだんに使った、このステージ版「Easter Parade」、いよいよグランド・オープンを迎えて、より一層の注目を集めることになるでしょう。Broadwayで上演されるようになるかどうかは、まだ定かではありませんが、ステージ版「White Christmas」が、2004年の初演以来、アメリカのクリスマス時期の定番として上演されるようになったように、この「Easter Parade」も、イースターの時期の定番として、あちこちの劇場で上演されるようになることでしょう。そして、
いつか、Michael君主演で、Broadwayで上演されたら、素晴らしいですよね! その時は、絶対、絶対、見に行くぞ~!
-書いて、書き直してを繰り返す-
「みんなの熱中ぶりは、とても素晴らしかったよ。私は、夢の中でまで曲を聴いていたくらいだ。たいしたことのないのも含めてね。みんなの気持ちが1つになっているって、いつも感じていたよ。それぞれが、このショーをどんな風にしていくか、どう完成させていくかの決定について、しっかりとかかわっていたからね。これは自分たちのショーなんだって実感があったんだよ。」
と、ミュージカル・ディレクターのTom Mustachioさんは、何度となく書き直しを繰り返した数ヶ月と、数週間に渡ったリハーサルの毎日について、語ってくれた。
古いミュージカルに新しい命を吹き込むと言う作業は、関係者にとって、今まで経験したことのないものだった。完成している台本や楽譜をただ手渡されるだけではない、新しい制作過程をたどったのだ。
かつて、「State Fair」の舞台化に尽力したBriggsさんは、制作チームの中で、唯一地元出身ではないスタッフだった。彼とBrindisiさんは、Brindisiさんのオフィスで、4日間に渡って、映画版の台本の検討を行った。
「ストーリーの重要な骨組みを見つけたよ。でも、筋書きそのものは、重要じゃなかったんだ。現実味が薄いしね。登場人物を生き生きと動かせるような、もう少し活気のあるストーリーが必要だったんだ」
台本には、無数の手直しと推敲が繰り返され、結局、6回も書き直された。登場人物同士の関係や、誰が誰とどうなるか等について、いくつか変更が加えられた。
映画版のオーケストラ用の譜面についても、手直しが必要だった。10人しかいないChanhassenのオーケストラ向きに変更しなくてはならなかったのだ。
Mustachioさんは、ピアノ用に書かれた楽譜をオーケストラ向けに書き直し、ダンス・シーンの音楽や会話のシーンのBGM等を完成させた。
Mustachioさんは、いまだかつて、たった1人でこれだけの作業を行ったことはなかった。Broadwayの新作ミュージカルの場合、通常、3~4人でやる仕事を、彼1人でやったのだ。この経験について、彼は、次のように語った。
「我々が、全てを作り上げていくんだということに、とてもわくわくしたよ。創造の自由を満喫できたよ。キャストのことを知っていて、誰がどの曲を歌うかもわかっていたから、彼らがステージで歌っているところを思い浮かべることができたんだんで、そこから、自然にイメージがわきあがってきたんだよ。」
-いよいよリハーサル-
「自分がどのキーで歌うかとか、せりふをどう変えるかについて発言できて、嬉しかったわ。ほとんどの場合は、そんなチャンスはないから。」
映画版でジュディ・ガーランドが演じていた役を演じるAnn Michelsは、通常よりゆとりを持って行われた「Easter Parade」のリハーサルについて、そう語った。
通常、Chanhassen Dinner Theatresで大作のミュージカルを制作する場合、リハーサルに3週間、俳優が演じている状態で、音響や照明、シーンの入れ替えを確認するテクニカル・リハーサルに3日間、批評家に見せる前のプレビュー公演に1週間というスケジュールで行っている。
今回のワールド・プレミア公演では、リハーサルにもう1週間、またプレビュー公演も、1週間多く行われることになった。キャストのほとんどは地元出身だが、映画ではフレッド・アステアが演じた主役のドン・ヒューズを演じるMichael Gruberだけは、ニューヨークの俳優である。グルーバーは、Broadwayはもちろん、地方劇場での公演も含め、数多くの出演経験を持つベテランだ。彼が出演してきた新作ミュージカルは、1ヶ月にも及ぶ試験公演や6週間にも渡るリハーサル、1ヶ月ものプレビュー公演を行うような規模のものばかりだ。
Chanhassenの制作期間は、彼の経験してきた大作とは比べ物にならないくらい短いが、グルーバーは、郊外のディナー・シアターのやり方を、以下のように賞賛してくれた。
「僕らは、この恵まれた環境の中で集中することができたし、互いに協力しあって作り上げていくこともできたよ。Michael(アート・ディレクターのBrindisiさん)もTom(ミュージック・ディレクターのMustachioさん)もTam(振付師のKangasさん)も、それぞれの考えと進め方を持っていたけど、僕らの考えも、ちゃんと受け入れてくれたんだ。そんなことって、めったにないんだよ。俳優がどう考えているかなんて全く気にも留めないような監督が、いっぱいいるからね。」
初めのうちは、俳優は、朝の10時から夕方の6時までと、比較的ゆとりのあるスケジュールでリハーサルを行う。全ての俳優が、全部のリハーサルに出るわけではない。リハーサルは、次第に長くなり、厳しさを増していく。テクニカル・リハーサルが始まると、彼らは、12時間、拘束されることになる。リハーサルに10時間、それに1回1時間の食事休憩が2回だ。
この作品にかかった費用は、通常Chanhassenが1作の制作費として使う25万ドルを上回っているが、Broadwayが新作に費やす数百万ドルという制作費の足元にも及ばない。
「持っているものが少なければ、失うものも少ないさ。」
グルーバーは、哲学的なコメントをしてくれた。
「Broadwayの作品と比べたら見劣りするかも知れないけど、代わりに、型にはまらない柔軟性があるよ。衣装係から用意した衣装を着ない者がいるなんて苦情が来ることもないし、『3百万ドルもかけた作品なんだぞ!』って、プロデューサーにわめき散らされることもない。 見に来てくれる観客がいて、安心して演技に集中できる環境もある。いきなり大ヒットってことになれば最高だけど、そうならなかったとしても、今度は違うアプローチを試してみればいいのさ。」
-今日はChanhassen、明日は・・・?-
「次の段階として、特に取り決めがあるわけではありませんが、興味を持って下さっている方は大勢おられます。Chanhassen周辺やその他の地域の劇場関係者が、当然興味を持つでしょう。いろいろな話が検討されています。」
R&Hの広報部門の上席副社長をつとめるBert Finkさんは、Chanhassenでの公演が終わった後の「Easter Parade」の展望について、上記のように語った。
今回の公演は、今後、プロ・アマを問わず、「Easter Parade」が上演される際の雛形となるだろう。またR&Hの作品リストに加えられ、アーヴィング・バーリンがその才能で築きあげた財産に、さらなる利益をもたらすことになるだろう。
「我々は、Chanhassenの芸術的に優れた作品を作る点を信頼して、この作品を彼らにゆだねました。」
と語ったのは、R&Hの小道具手配の責任者であるScatamacchiaさんである。Chanhassenの上演スケジュールも、R&HがChanhassenを選んだ要因のひとつだった。
「Chanhassenは、それぞれの作品を長期間に渡って上演するので、全国の劇場関係者を招いて、実際に作品を見てもらうだけの時間があるのです。これらの条件が重なった結果、Chanhassenは、『Easter Parade』を上演する最良の場所となったのです。」
関係者の誰1人として、「B」で始まる言葉-Broadway-を口にしない。確かに遠い道のりだが、可能性が皆無というわけではない。成果はどうあれ、「State Fair」も、長いツアーの後にBroadwayでの公演を果たしたのだ。それについて、Briggsさんは、以下のように語ってくれた。
「別にそれが目的で、このショーを作ったわけじゃないし、我々は、誰もそんなことを期待してはいないんだ。そうならなくたって、我々は、自分達の作り上げた作品に満足しているよ。新しいミュージカルを創り上げて、世に出したんだからね。バーリン氏のお譲さん達やR&Hの人達が、この作品を気に入ってくれて、国中の高校やサマーストック劇場が、この作品を上演したいと思ってくれたら、嬉しいね。」
また、Brindisiさんは、こう語った。
「私には、2つ、望んでいることがあるんだ。1つは、この作品を見た観客が、『人生を無駄にしてはいけない、自分らしく生きよう』という、この作品のテーマを感じ取ってくれること。
そして、もう1つは、もう一度、新しいミュージカルを作る機会がほしいってことだよ。ストーリーを発展させられるような、わくわくする素晴らしい企画が、いくつかあるんだ。今回のようなプロジェクトを、もっとやってみたいね。でも、1つめの願いがかなえば、それだけで、十分満足だよ。」
アーヴィング・バーリンの名曲をふんだんに使った、このステージ版「Easter Parade」、いよいよグランド・オープンを迎えて、より一層の注目を集めることになるでしょう。Broadwayで上演されるようになるかどうかは、まだ定かではありませんが、ステージ版「White Christmas」が、2004年の初演以来、アメリカのクリスマス時期の定番として上演されるようになったように、この「Easter Parade」も、イースターの時期の定番として、あちこちの劇場で上演されるようになることでしょう。そして、
いつか、Michael君主演で、Broadwayで上演されたら、素晴らしいですよね! その時は、絶対、絶対、見に行くぞ~!