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M for Michael Gruber♪- Mは、マイケル・グルーバーのM~♪

キャッツDVDのマンカストラップ、アメリカの舞台俳優、Michael君のことや、ブロードウェイニュースをお伝えします。

Michael君 こぼれ話 A Chorus Line編 - The Longest Line

2005-03-31 12:58:32 | Michael ACL/コーラスライン
Gary StevensさんとAlan Georgeさんは、ミュージカル「A Chorus Line」の長年に渡る熱心なファンで、「The Longest Line」という本まで出版してしまいました。(この本にご興味のある方は、amazonから購入可能です。)
この本を書く際に、彼らは、何人かの出演者にインタビューをしたのですが、その中には、1989年1月にこの「A Chorus Line」でBroadway デビューを飾り、またファイナル・カンパニーの一員でもあったMichael君(マイケル・グルーバー)も含まれていたんです。今回は、その本の中のMichael君のコメントをご紹介しましょう。(写真は、Broadwayミュージカル「A Chorus Line」のPlaybillに掲載されていたステージ・フォトです。ちょっと写真が小さくて見えにくいのですが、Michael君は、正面のほぼ中央で踊っています。)

出演が決まったいきさつ:
「アラスカで「Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat」(1988年12月8日~20日、アラスカのAlaska Light Opera Theatre)に出演することになっていたんで、出発する前に「A Chorus Line」を上演中のThe Schubert Theatreの楽屋口に、僕の写真と履歴書を預けていったんだよ。そうしたら、クリスマスの直前に、その件で、アラスカに電話がかかってきたんだ。アラスカでの出演が終わったんで、休暇を故郷のシンシナティで過ごすつもりだったんだけど、その代わりに、オーディションを受けるためにニューヨークに向かったってわけさ。ものすごく興奮しながらね。
僕が初めてこのミュージカルを見たのは、高校2年の時だったんだ。その時シンシナティに来たカンパニーには、Sachi Shimizu、Ron Kurowski、Laurie Gamacheの3人が出演していたんだけど、僕がニューヨークで加わったカンパニーのメンバーにも、何とその3人がいたんだよ!」

出演の際の心構え:
「ステージの上で僕に求められたことは、常に『自分自身であること』だったんだ。これはとても重要なことで、常に実在感のある存在であることを要求されたよ。出演していた間の、あの感覚が懐かしいよ。本当に素晴らしい経験だったんだ。」

衣装担当のAlyce Gilbertさんについて:
「彼女は、最高だよ。全てが完璧なんだ。例えば、僕らの靴がそろそろくたびれてきたとするだろう? すると、何も言わなくても、新品の靴が届くって感じなんだよ。」

怪我について:
「当時は、まだあんなに動きの激しい役についていけなくてね。あんなにたくさん宙返りをしたことなんて初めてだったし、1列に並んでずっと立っているのも楽ではなかったしね。実際のところ、ショーが終わった後は、毎晩、両膝を氷で冷やしていたんだよ。僕のソロナンバーの「I Can Do That」は、まるで大砲で打ち出されたみたいに、舞台の上を前に後ろに走り回らなくちゃいけないし、しかも、歌いながら宙返りもしなきゃならない。僕の身体は、そんな動きには慣れていなかったから、出演し始めて2週間後に上腹部の筋肉が裂けてしまって、1週間程は、椅子から立ち上がれないくらいだったよ。今までで、一番大きな怪我だったと思うな。もちろん、とても悔しかったよ。初めてのBroadwayでのショーなのに、始まってわずか2週間で怪我をしてしまうなんてね。でも、その後、6ヶ月半の間、一度もショーを休まずに出演したんだよ。だから、自分としては、名誉挽回出来たように感じたんだ。」

最後のステージについて:
「このショーが、人々にどんな影響を及ぼしたかについては、君達も気づいているだろう。最後の日のマチネが、本当の意味でのラスト・パフォーマンスだったんだよ。夜のショーは、別なものに変えられてしまっていたんだ。でも、「Gala」の時とは違って、どうにか普通のショーとして上演出来たことを嬉しく思ったね。あの時は、ショーのラストで、オリジナル・カンパニーをステージに登場させたんだよ。別なことに気を取られることなく、ちゃんとショーをやれたことが、本当に嬉しかった。過去の歴史が重要じゃないって言ってるわけじゃないんだよ。でも、ラスト・ショーを演じるという機会は、僕達ファイナル・カンパニーにこそ与えられた大切な贈り物だったわけだからね。
残念なことに、オリジナル・カンパニーは、僕達ファイナル・カンパニーにあまりいい感情を持ってくれていなかったね。ぜんぜん、興味がないって感じだった。彼らと僕らの間には、個人的な交流はまったくなかったんだ。どうしてだか分からないけど、Mamma Leoneの一室でも、部屋のこっち側に僕らがいて、彼らは反対側にいるって具合で、まるで水と油って感じだったよ。彼らは、ぜんぜん別の場所から来た、まったく違う世代だったね。彼らには、開演の日の素晴らしい思い出があり、僕らには、閉演の日の素晴らしい思い出があるってことかな。」
    

偉大なシンガー ビング・クロスビー - Bing Crosby

2005-03-26 14:14:20 | Musical 往年の名優
ミュージカルの黄金期を代表する偉大なダンサー、フレッド・アステアとジーン・ケリーをご紹介しましたが、今回は、その甘い歌声で人々を魅了した偉大なシンガー、ビング・クロスビーをご紹介いたします。

ビングの本名は、Harry Lillis Crosby といい、1903年5月3日に、アメリカのワシントン州タコマに、7人兄弟の4番目として生まれました。本名とはぜんぜん関係のない「Bing」という芸名は、もともとは彼の子供時代のニック・ネームでした。子供の頃、彼は、「The Bingville Bungle」というマンガ雑誌がお気に入りで、その中に登場するメイン・キャラクターの名前である「Bingo」が彼のニック・ネームになったのですが、いつしか最後の「O」の文字がなくなって、「Bing ビング」と呼ばれるようになったのだそうです。

1920年、ビングは、法律を学ぶために、スポーケン(Spokane)にあるゴンザガ大学(Gonzaga University)に入学しました。通販でドラムセットを購入した彼は、地元の「The Musicaladers」というバンドに入り、学業そっちのけでドラマー兼ボーカリストとして活動していました。 このバンドが1925年に解散した後、ビングは、バンド仲間のAl Rinkerと一緒にロスアンジェルスに行き、ボードビルの一座に加わりました。翌1926年、パール・ホワイトマン(Paul Whiteman)の率いる楽団に雇われ、1927年、ビングとアルにもう一人の仲間、Harry Barrisを加えた3人で「The Rhythm Boys」を結成、ホワイトマン楽団の呼び物となりました。1930年には、楽団の一員として「キング・オブ・ジャズ The King of Jazz」に出演、映画デビューを飾りました。

1931年に、ビングは、彼の初のソロヒットとなった「I Surrender Dear」を録音しました。この曲のヒットで、1932年には、彼のNYでのライヴパフォーマンスが、ラジオネットワークで連続20週も放送され、この大成功がきっかけとなり、彼の人気がブレイクしました。

1940年には、ボブ・ホープ、ドロシー・ラムーアとの共演で大ヒットとなった「珍道中」シリーズの第1作目に出演、1944年の「我が道を往く Going My Way」でのオマリー神父役では、見事、アカデミー主演男優賞を獲得。1942年にフレッド・アステアと共演した「スイング・ホテル Holiday Inn」の中で披露した名曲「ホワイト・クリスマス White Christmas」がヒットしたため、1954年には、この不朽のクリスマス・ソングをタイトルソングに、映画「ホワイト・クリスマス White Christmas」が製作されました。(実は、この「ホワイト・クリスマス」の中でダニー・ケイが演じている役は、本来は、「雨に唄えば」のコズモ役でおなじみのドナルド・オコーナーが演じるはずでした。しかし、折悪しくオコーナーが病気で入院してしまい、ダニー・ケイが演じることとなったのです。)
その他、1946年には再度アステアと共演した「ブルー・スカイ Blue Skies」、1955年にグレース・ケリー、フランク・シナトラと共演した「上流社会 High Society」をはじめ、多くの映画に出演しています。
また歌手としてのビングは、何と1,700曲以上もの歌をレコーディングしています。膨大な彼の歌の大部分は、1934年から1955年まで彼が契約を結んでいた Decca label から発売されています。

1960年代の終わりから1970年代初めにかけて、ビングは、体調を悪くして、音楽活動や映画への出演を休止していました。1973年に、彼は、肺にできた良性の腫瘍の摘出手術を受けました。その後、キャリアを再開した彼は、1977年に亡くなるまでの間に、10枚のアルバムをレコーディングしました。

自他共に認める大のゴルフ好きだったビングは、1977年10月14日に、スペインのマドリード郊外のゴルフ場で、74歳で亡くなりました。18番ホールでのプレイを終えた直後に、心臓発作を起こしたのです。英国でのツアーを終えたばかりで、果たせないままに終わってしまった待望の来日公演を控えての突然の死でした。

彼独特の甘く穏やかな低音の歌声は、いまだに多くのファンを魅了し続けています。世界中でたくさんの歌手がカバーしており、誰もが一度は耳にしたことがある「ホワイト・クリスマス」も、やはり、本家であるビングのバージョンが一番ではないでしょうか。
時代が移り変わっても決して色褪せることのない彼の素晴らしい歌声・・・。まさしく、ミュージカルの黄金期を代表する偉大な歌い手ですね♪



Singin' - 映画版と舞台版 - On screen & On stage

2005-03-19 03:45:23 | Michael 04-05 Anyting/Singin
Michael君(マイケル・グルーバー)がドンを演じる舞台版と、ジーン・ケリーがドンを演じたオリジナルの映画版。基本的なストーリーはどちらも同じなのですが、違うところがけっこうあるんです。今回は、その違いについて、お話しますね。(写真は、シアトルでのステージ・フォトです。「Fit as a Fiddle」で熱演を見せるMichael君(向かって右)とマイケル・アーノルドさんです。)

注: 「Singin' in the Rain 雨に唄えば」を見たことのない方で、ストーリーを知りたくないという方は、この記事を読まないようにお願い致します。ストーリーのクライマックスは伏せてありますが、個々のエピソードはわかってしまいますので。


全体的に共通した違いとしては、映画版の方が、歌やダンスのないシーン(普通のお芝居のシーン)が多いということです。その方がストーリー的にはわかりやすいと言えるかも知れませんが、舞台の方が、歌やダンスが多い分、よりミュージカルらしい楽しさを味わえます。
また、映画だと同じ人物が続けざまに出ているところでも、舞台は、衣装換え等があって続けて出られないために、他の人物に変わっているところがあります。
それと、ダンスの振付ですが、映画の方が危険度の高い見栄えのする振付が多いです。これは、映画の場合、失敗しても撮り直しがききますが、舞台は、毎日の公演で毎回成功させなくてはなりませんので、どうしても失敗の可能性が低い振付になってしまいます。例えば、コズモの「Make'em Laugh」を、もし映画と全く同じにやったとしたら、ドナルド・オコーナーが撮影終了後入院してしまったように、舞台のコズモ役の俳優さんも毎回入院するはめになってしまいますよね~・・・。それに、映画だと、真上から撮影したり俳優さんをアップにしたりできますが、舞台ではそれはできません。また、撮影所のスタジオに作られた広々としたセットで踊るのと、広さに限りのある舞台で踊るのでは、自ずと振付も変わってくるわけです。

それでは、それぞれのシーンの違いを見ていきましょう~!


オープニング
映画:雨の中を、ドン、コズモ、キャシーの3人がレインコートを着て傘を差し、歩きながらタイトル・ソングを歌っているところから始まり、タイトルロールに変わる。

舞台:カーテンが下りた状態で、オーバーチュアーが流れる。


チャイニーズシアター前
映画:ドンの芸人時代の回想シーンのナンバー「Fit as a Fiddle」の後、撮影所でのドンの下積み時代のエピソードが入る。

舞台:「Fit as a Fiddle」の後、ドンとリーナの新作映画のプレミア上映になる。


プレミア終了後
映画:ドンとコズモは、車でパーティ会場に向かうが、途中でパンク。ドンは、ファンにもみくちゃにされ、キャシーの運転する車に飛び乗る。ズタボロになった燕尾服を着替えるためにサンセットまで送ってもらうが、車の中で仲違いをし、降りる時に燕尾服のすそがドアにはさまり、燕尾服が破れてしまう。

舞台:ドンは、一人で歩いてパーティ会場に向かう。途中でファンの女性に追いかけられ、ベンチで本を読んでいたキャシーと出会う。仲違いをして立ち去ろうとしたドンにファンが気がつき、燕尾服の袖を引っ張って破いてしまう。


パーティ
映画:ドンは、タキシードで登場。再会したキャシーが立ち去った後、彼女を追って、ダンサー達の控え室に駆け込む。キャシーが出て行ったと知り、外まで追うが、キャシーは車で走り去ってしまう。

舞台:ドンは、片袖のない燕尾服で登場、上着を脱いでしまう。再会したキャシーが立ち去った後、彼女を思いながら、「You Stepped Out of a Dream」を歌う。
(この曲は、映画にはありません。舞台版だけです。とてもロマンティックでメロディアスな美しい曲で、Michael君の歌声の素晴らしさを心ゆくまで堪能できます♪)


パーティからしばらく経った撮影所
映画:ドンとコズモが、さまざまな撮影中のシーンを通りぬけながら、キャシーのことを話す。

舞台:ピアノのところで、ドンとコズモがキャシーのことを話す。


「ビューティフル・ガール」の撮影シーン
映画:いろいろなトーキー映画の映像が映し出された後、「ビューティフル・ガール」の撮影シーンが始まり、撮影を見ていたコズモが出演しているキャシーに気がつき、ドンを呼びに行く。

舞台:撮影が終わった後、キャシーの歌のオーディションをすることになり、伴奏のためにコズモが呼ばれる。そこで、キャシーに気付いたコズモが、スタッフにドンを呼びに行かせる。キャシーが、「You Are My Lucky Star」を歌う。


トーキーの撮影風景
映画:リーナだけでなく、ドンもいる。リーナの声がうまくマイクに拾われずスタッフが苦労するシーンは、普通にマイクを使って撮影している。

舞台:ドンはいなくて、リーナだけ。リーナの声がうまくマイクに拾われないシーンは、リーナ役の女優さんが、マイクの方を向いた時は大声を出し、反対を向いた時は小さな声を出す・・・というように演技している。


雨がいつ降り出すか
映画:映画の試写会が失敗に終わった後、ドン、コズモ、キャシーがドンの家で話している時、すでに外はどしゃ降り。

舞台:ドンの家のシーンが終わった後、雨が降り始める。


ドンが雨の中で歌って踊るタイトル・ソングのシーン
映画:キャシーの家の前まで運転手付の車(タクシー・・・?)で送ってきたドン、キャシーが家に入った後、車を帰してしまう。そして、雨の中で歌って踊った後、傘を通行人に渡して、そのまま歩いて去っていく。

舞台:歩いてキャシーを家まで送り届けたドン、雨の中で歌って踊る。最後は、街燈のポールに飛び乗って、ポーズを決める。そのまま幕が下り、幕間の休憩になる。


後半(基本的なエピソードはだいたい一緒なのですが、順序がだいぶ違います。)
映画:新作をミュージカルにしようと、ドンとコズモが社長を説得。映画のタイトルを決め、モダンなシーンを入れようという話をする。続いてキャシーが歌を吹き込むシーンになり、その歌にあわせてリーナが演技をする。演技をするリーナのアップがそのまま試写の映像になり、試写を見終わった社長に、ドンがモダンなシーンの説明を始め、ここで、「Broadway Rhythm/The Broadway Ballet」になる。「Broadway Rhythm」もドンが歌う。その後、リーナの声をキャシーが吹き替えるシーンになり、そこにリーナが現れて、キャシーが吹き替えることも、ドンとキャシーが愛し合っていることも、全てリーナにばれてしまう。

舞台:リーナの歌をキャシーが吹き替えるシーンから始まる。リーナが歌っているシーンを見ながら、それにあわせてキャシーが歌う。そこにリーナが来て、キャシーが吹き替えることも、ドンとキャシーが愛し合っていることもばれてしまう。怒って立ち去るリーナ。コズモは、リーナにばれてしまったことを社長に報告に行く。不安がるキャシーに、ドンが「You Stepped Out of a Dream」を歌ってやる。場面はリーナの部屋に変わり、リーナが「What's Wrong With Me」を歌う。(これも、舞台だけのナンバーです。リーナ役のリサさんが、会場を爆笑させてくれました♪)社長に報告に行ったコズモ、社長と一緒に新作のタイトルを考える(ドンは、いない。)。そして、モダンシーンを入れようと提案し、コズモが、「Broadway Rhythm」を歌い、続いてドンの「The Broadway Ballet」になる。


クライマックス(詳細は書きませんが、1カ所違いが・・・)
映画:クライマックスで歌われる歌が、「Singin' in the Rain」。

舞台:クライマックスで歌われる歌が、「Would You」。


フィナーレ
映画:ドンとキャシーが「You Are My Lucky Star」を歌い、ドンの横顔が「Sigin' in the Rain」の看板に描かれた絵に変わり、その看板の前でドンとキャシーがキスをするシーンで終わる。

舞台:ドンとキャシーの影絵がスクリーンに映し出され、暗転。フィナーレは、キャストメンバーがおそろいの黄色いレインコートと赤い傘で、雨の中を歌って踊る。最後にメインキャストが登場し、挨拶した後、ドンとキャシーのキスシーンで幕となる。


以上が主だった違いですが、それ以外にも、同じシーンでも映画と舞台でぜんぜん印象が違ったり、衣装が全く違ったり・・・と、違うところがけっこうあります。映画は映画の良さを、舞台は舞台の良さを生かした形になっていますから、どちらがいいということではなく、それぞれの違いを楽しむことが出来ると思います。
映画版は、すでにDVDとして国内でも発売されていますから、気軽に楽しむことができますが、舞台は、なかなか見る機会がないのが残念です・・・。もし、機会がありましたら、舞台の「雨に唄えば」、ぜひご覧になって下さい。できれば、Michael君のドンで・・・♪

雨に唄えば 映画版 こぼれ話 - Singin' Movie Trivia

2005-03-17 02:06:20 | Musicals トリビア
今回は、Michael君(マイケル・グルーバー)がドンを演じた舞台版「Singin' in the Rain 雨に唄えば」のオリジナルである映画版のこぼれ話をお届けしましょう♪ (写真は、映画版のオープニングシーンです♪)

タイトルソングの「Singin' in the Rain」をはじめ、ミュージカル史上に残る名曲がたくさん使われているこの作品、実は、この映画のために書かれた曲は、[Make'em Laugh」と「Moses Supposes」の2曲のみで、それ以外の曲はすでにいろいろな作品の中で使われていた曲だったんです。

先に曲が存在していて、後から脚本が書かれたため、脚本家は、どの曲をどんな風に使うかを考えながら各場面を創作しなくてはならなかったそうです。

雨の中をジーン・ケリーが歌って踊る有名なシーンでは、雨がきれいに撮影できるように水の中に牛乳が混ぜてあったのですが、そのせいで、ケリーが着ていたウールのスーツが縮んでしまいました。

牛乳の混ざった雨でびしょぬれになりながらタイトルソングを歌って踊ったケリー。そのせいで、何と華氏103度(摂氏だと、39度4分)もの高熱を出してしまったそうです。

撮影当時、キャシー役のデビー・レイノルズは、19才という若さで、歌やダンスは全くの素人だったため、ダンス教師をしていたこともあるジーン・ケリーの綿密な指導のもとで、数週間に渡る猛レッスンを受けて、このヒロイン役を演じました。

ある日、何回やってもうまく踊れず、ケリーに叱られたレイノルズは、ピアノの下に隠れて泣いていました。そこに偶然通りかかったのは、何と、ダンスの神様、フレッド・アステアでした! アステアは、泣きじゃくる彼女をピアノの下から引っ張り出し、事情を尋ね、彼女がうまく踊れるようにダンスのレッスンを手伝ってくれたそうです。

映画の中では、歌がヘタクソなリーナの声をキャシーが吹き替えるという設定になっていますが、皮肉なことに、キャシーを演じるレイノルズが歌った「Would You」と「You Are My Lucky Star」は、別の歌手によって吹き替えられてしまいました。

映画の中で、リーナが胸元にマイクをつけたために彼女の心臓の鼓動がマイクに入ってしまう・・・というエピソードがありますが、撮影中、レイノルズは、ブラウスの胸のところにマイクをつけていたので、実際にダンスシーンの一部で、本当にレイノルズの心臓の鼓動が録音されてしまうという事態が発生したそうです。

「Good Mornin'」というダンスナンバーの撮影では、レイノルズは、ダンスの名手であるケリーとドナルド・オコーナーの2人と一緒に踊らねばならず、そのハードな撮影が終わった時には、彼女の足は血まみれになっており、倒れこんだ彼女はそのまま病院に担ぎ込まれて、3日間の入院を余儀なくされました。そこまでがんばった彼女でしたが、プロのダンサーではない悲しさ・・・タップの音がちゃんと出ていなかったため、ケリーが自ら彼女のタップを吹き替えたのでした。

「Make'em Laugh」というナンバーを演じたドナルド・オコーナーですが、若い頃やっていた壁を駆け上がって宙返りを決めるという技をやってくれとケリーから頼まれ、あまりに肉体的負担が多い振付にとてもナーバスになったオコーナーは、このシーンの撮影中は、1日に4箱ものタバコを吸っていたそうです。ようやく撮影が終わった時には、オコーナーの全身は、打撲やカーペットで擦れてできた火傷だらけになっており、過労と傷の手当てのために数日間も入院しなくてはなりませんでした。
ところが、手違いから撮影したフィルムがダメになってしまい、休養から復帰したオコーナーは、プロ魂を発揮し、この難しいナンバーを撮り直すことに同意したのだそうです。

ケリーは、「Fit As a Fiddle」や「Moses Supposes」でオコーナーとの見事なダンスを見せていますが、映画の後半にも、彼とのダンスシーンを入れようと計画していたそうです。しかし、本編の撮影が長引いたために、別の映画会社から借り出されて撮影に参加していたオコーナーの契約期間が終了してしまい、オコーナーは次の映画の撮影に入ってしまいました。そこで、ケリーが考え出したのが、今までに自分が出演してきた映画のシーンを取り入れた「The Broadway Ballet」でした。

「The Broadway Ballet」の中で、ケリーと一緒に素晴らしいダンスを見せてくれるのは、シド・チャリーズです。グリーンのセクシーなドレスに身を包んでの妖艶なダンスシーンでは、タバコを吸う場面があるのですが、実は彼女、タバコが吸えず、この撮影のためにタバコが吸えるように特訓したのだそうです。しかし、撮影が終了した後、チャリーズは、二度とタバコを吸わなかったとか・・・。

ケリーとチャリーズのダンスシーン、実は、チャリーズの方がケリーより明らかに背が高いため、それをごまかせるような振付が考えられたそうです。

映画版「Singin' in the Rain 雨に唄えば」のこぼれ話、いかがでしたでしょうか? 撮影技術も発達して、コンピューターによる画像処理を駆使すれば不可能はないと言っても過言ではない現在と違って、当時は、何でも俳優さん達が本当にやらなければならず、その苦労は、想像をはるかに超えるものだったのではないでしょうか。だからこそ、これほどの素晴らしい映画が作られたことが尊く、また現在に至るまで最高のミュージカル映画のひとつとして、多くの人から愛され続けているのだと思います。まだご覧になったことのない方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、ご覧になってみて下さい。本当に楽しい、素晴らしい映画ですよ~♪


サクラメントのリビュー -Review of Sacramento Bee

2005-03-15 01:34:25 | Michael 04-05 Anyting/Singin
先日は、Michael君(マイケル・グルーバー)のサクラメントでの「Singin' in the Rain」のプレビューをご紹介しましたが、今度はプレミア公演(3月9日)のリビューが、KathyさんのMichael君のサイトで紹介されています。リビューの中で、主要キャストの演技について触れていますので、それをご紹介いたしますね~♪ (写真は、Michael君の「Singin' in the Rain」のCDのブックレットからです。タイトル・ソングを演じているMichael君。びしょぬれです・・・笑)

Michael君について:
主役を演じるのは、もちろんジーン・ケリーではないが、マイケル・グルーバーのドン・ロックウッドに不満を感じる人はいないはずだ。ケリーの演技と比較してどうのこうの言うのは、不公平というものだ。ケリー以上の演技が出来る者など、どこにもいないのだから。
グルーバーは、深みのある素晴らしいテナー・ボイスを持った、優れたダンサーである。控えめで謙虚な人柄と天性のカリスマ性を持ち合わせているグルーバーにとっては、自分自身をそのまま投影するだけで、ボードビルの芸人から一躍大スターになったロックウッドに簡単になりきることができただろう。
グルーバーの歌声の素晴らしさは、特に「You Stepped Out of a Dream」というナンバーで顕著に発揮されていた。そして、タイトルソングのソロシーンでは、実に優雅に水溜りの中を飛び跳ねて見せてくれた。

マイケル・アーノルド(Michael Arnold)さんについて:
主役に負けず劣らず素晴らしいのは、ロックウッドの親友のコズモ・ブラウンを演じるマイケル・アーノルドである。並外れたダンサーであるアーノルドは、ドンのボードビル時代の回想シーンである「Fit as a Fiddle」と、発音レッスンのシーンでの「Moses Supposes」の2曲で、グルーバーと一緒に生き生きとした最高のタップダンスを披露してくれた。

クリスティーナ・サフラン・アッシュフォード(Christina Saffran Ashford)さんについて:
キャシー・セルデンを演じるアッシュフォードの澄んだアルトの素晴らしさは特に際立っており、「You Are My Lucky Star」や「Would You」といったバラードを歌う彼女の姿は、まさに光り輝いていた。

リサ・エストリッジ(Lisa Estridge)さんについて:
やかましいリーナを愉快に演じたのは、エストリッジである。歌声の素晴らしさを披露する機会はなかったが、期待以上の素晴らしい演技力を発揮してくれた。


封切ったばかりのサクラメント公演も、あと残すところ1週間を切りました! 最終日の3月20日(日)はマチネのみですが、17日の木曜日と19日の土曜日の2日間は、1日2回公演です。主役のMichael君は、昨年12月から(1月は公演がありませんでしたが)の長丁場! 他のキャストの方達も、先月のシアトルから引き続きですので、疲労も溜まっているのではないかと思います。くれぐれも事故や怪我のないよう、最後まで、素晴らしい公演が続きますように、心よりお祈りいたします!がんばれ、Michael君~~~!
Hi, Michael! One more week! Good luck and please take good care of yourself!!

クリスティーナさんのCD -Christina's CD

2005-03-12 12:05:24 | Musical News Michael君のお友達
Michael君(マイケル・グルーバー)の「Singin' in the Rain 雨に唄えば」で、4回も相手役のキャシーを演じてきたクリスティーナ・サフラン・アッシュフォード(Christina Saffran Ashford)さん。
(写真は、彼女の初めてのソロ・アルバムのジャケットです。)

すでに他の記事でも紹介いたしましたように、Michael君のスタジオ・キャストレコーディングCDでも、キャシー役として、その素晴らしい歌声を披露されています。彼女のその澄んだ優雅で美しい歌声は、Michael君の優しいよく響く歌声とよく合って、素晴らしいハーモニーを奏でてくれます。ばっちりと息の合った2人の名演は、まさにステージ上のベスト・カップルと言えるでしょう♪

素晴らしい歌声の持ち主であるとともに優れたミュージカル女優さんでもあるクリスティーナさんは、Broadwayをはじめ、各地の劇場でさまざまな作品に出演しています。「オペラ座の怪人」のヒロイン、クリスティーヌを演じたこともあるんですよ~!その他、「A Chorus Line」、「My Fair Lady」、「The Sound of Music」等多くのミュージカルのヒロイン役をつとめています。
また、ディズニーアニメでは、「アラディン」、「ムーラン」、「シンデレラ」、「ポカホンタス Ⅱ」等の作品で、声優さんとしても活躍しています♪
詳しくは、このブログのブックマークで紹介している彼女のサイトをおたずね下さい♪ こちらからもご覧になれます。

この記事の写真の彼女のソロ・アルバム、ミュージカル女優としての彼女とはまた違った、歌手としての彼女の歌声が楽しめます。ご興味のある方は、こちらのサイトをご覧下さい。購入もできますし、12曲の収録曲中、♪マークがついている3曲は、試聴することもできますよ♪

サクラメント公演プレビュー -Preview on Michael's site!

2005-03-10 01:33:00 | Michael 04-05 Anyting/Singin
Kathyさんの Michael君(マイケル・グルーバー)のサイトに、サクラメント公演のページが作られました。こちらからご覧になれます。そちらのページに、「The Sacramento Bee」に掲載されたプレビューが紹介されており、出演者やスタッフが、自らこのミュージカルについて語ってくれていますので、それをご紹介いたしましょう~♪ (写真は、おそらくシアトル公演からのステージフォトだと思います。雨のシーンに出演中のMichael君です♪)


この「雨に唄えば」の主役は、もちろんドン・ロックウッドなんですが、映画ではドナルド・オコーナーが演じていた親友のコズモ・ブラウンの「Make'em Laugh」というナンバーでの大熱演は、見逃すことのできない素晴らしいシーンです。オコーナーは、熱演のあまりの過労と、カーペットで擦れてできた火傷や打ち身の手当てをするために、入院しなくてはならなかったそうです。
今回の公演でコズモを演じている38才のマイケル・アーノルド(Michael Arnold)さんも、やはり、あちこち擦れて、火傷をしてしまったそうです。彼は、かつては体操の選手だったんですって。

「火傷だけじゃなくて、失敗も、たくさんあるよ。とてもカバーしきれないくらいにね。 子供の頃、映画の『雨に唄えば』を見て以来、 ずっとあの振付で踊ってみたかったんだ。僕のダンスのかなりの部分は、ドナルド・オコーナーと同じ振付だよ。壁を駆け上がって宙返りするところも、スタッフが特注のセットを作ってくれたおかげで、うまくやれてるんだ。」

圧縮空気の入ったキャスターに乗せた、厚さ2インチ(約5.8センチ)、高さ12フィート(約3.65メートル)のスチール板を、 毎晩、彼は駆け上がっては宙返りをするんです。


監督で振付を担当しているジェイミー・ロッコ氏にとっては、今回の公演は、7回目の「雨に唄えば」になります。

「まさに最高の映画だよ。演じることへの情熱を感じたね。だから、我々の作品からも、同じものを感じ取ってもらえたら嬉しいね。まるで、描き終わることのない絵のような感じなのさ。筆を取り上げては、繰り返し描き足さずにはいられない。出演者の何人かは、ずっと私と一緒に描き続けてくれているおなじみの連中なんだよ。」

キャシー役のクリスティーナ(Christina Saffran Ashford)さんは、このブログの「シアトルのMichael君♪ その2」でも紹介しましたが、1993年、1994年、そしてこの間のシアトルと今回のサクラメント、合計4回、ロッコ氏の監督・振り付けのもとで出演してきました。そしてMichael君は、ロッコ氏のすべての「雨に唄えば」で、ドン役を演じてきました。

「彼らは、それぞれがたいへん素晴らしいパフォーマーだし、息が合っていて、互いをとてもよく引き立て合うんだよ。毎回、登場人物を素晴らしく表現してくれるのを見られて、本当に嬉しいよ。」


映画版の「Singin' in the Rain」は、The American Film Instituteが選んだ歴代の映画ベスト10の中に選ばれており、ミュージカル部門では、トップにランクされているそうです。また、この映画の中のナンバーから、「Good Mornin'」、「Singin' in the Rain」、「Make'em Laugh」の3曲は、映画音楽トップ100に選ばれています。


そして、ドンの見せ場のひとつである雨の中で歌って踊るタイトルソングのシーンについて、Michael君は、こう話しています。

「問題は、靴なんだよ。このシーンで僕が履く靴は、週に8回もびしょぬれになるから、ダンスシューズは履けないんだ。ダンスシューズは濡れるのに弱くって、すぐダメになってしまうんでね。ビニールの靴を試したこともあるんだ。今回は、ゴム底のフローシャイム・ウィングチップを履いているんだよ。すぐ乾くし、型崩れもしないし、柔らかさも失われないんだ。それに、滑りにくいのが助かるよ。濡れたステージは、少し滑りやすくなってるからね。」


同じく雨のシーンについて、プロダクション・マネージャーのアンディ・ルフトさんは、こう語ってくれました。

「何が面白いって、雨のシーンのフロアには、ドン役のマイケル・グルーバーが飛び込んでバシャバシャ水しぶきを上げられるように、水を溜めるためのへこみが作ってあるんだよ。彼は、水しぶきを上げるのが、大好きなんだ! まるで、アヒルだね(笑)」

映画の中では、雨がはっきりと撮影出来るように、ミルクを混ぜてあったのですが・・・

「さすがに、それはできないね。水の中に細菌が発生してしまうからね。水は、華氏140度(摂氏60度)まで温めてあるけど、細菌が死ぬほど高温じゃないから、タンクの中で増えてしまうだろう。」

(それ以前に雨にミルクなんか混ぜたら、劇場中が臭くなって、観客も出演者もたまらないですよね~・・・と、ナズは思うのですが・・・〔苦笑〕)

毎週、雨用のタンクは消毒され、水も塩素で殺菌されるそうです。週に4回、装置のすべてのフィルターが清掃され、毎回の公演の前には、雨用のパイプのフィルターを清掃するのだそうです。

「このショーのメンテナンスは、そりゃ信じられないほど厳しいんだよ。」


Michael君が初めてドン役を演じた時、彼はまだ20代後半でした。40才になった今、彼は、相変わらず週に8回、歌って、踊って、街燈の柱に飛び乗っています。

「何の問題もなく、完璧に演じられているよ。若かった頃よりも長めにウォーミングアップをしなくちゃならないし、出演してない時には、しっかり休んでおかなきゃいけないけどね。でも、年を重ねた分、技術的には上達しているから、ずっとうまくやれるんだよ。
確かにいろいろと大変な役だけど、出来る限り長く演じていきたいと思ってるんだ。もっと年を取って身体が言うことを聞かなくなって、この役にさよならを言わなきゃならない時が来たら、きっと、悲しい気持ちになると思うよ。」

Michael君 こぼれ話 母校編 その2 -母校で振付をする!

2005-03-08 00:09:02 | Michael About him
以前、Michael君(マイケル・グルーバー)が、出身高校のスポーツの殿堂入りを果たしたというお話をご紹介しましたが、 今回はスポーツではなく、同じその高校の演劇活動に協力したというお話をご紹介いたしましょう~♪ (写真は、Michael君のスタジオ・キャストレコーディングCD「Singin' in the Rain」のブックレットから。 素晴らしいダンスナンバー「The Broadway Ballet」を演じるMichael君です♪)

それは、1993年のことでした。オハイオ州シンシナティにあるMichael君の母校 Indian Hill High Schoolの講堂で、3月3日から6日までの日程で「Singin'in the Rain」が公演されました。 これは学校が主催するもので、50名以上の学生が参加するプロジェクトでした。
この公演で、映画でジーン・ケリーが演じた主役のドン・ロックウッドを演じたのは、ジム・ウィリッツ(Jim Willits)君という学生でした。 そして、そのジム君の振付を担当してくれたのは、彼の先輩で、Broadwayの「A Chorus Line」や「Miss Saigon」に出演し、前年の1992年には、カンザス州ウィチタで「Singin' in the Rain」に同じドン役で主演したMichael君だったのです♪ ジム君に協力してくれたMichael君は、いくつかオリジナルの振付もしてくれたのだそうですよ!

気さくで優しいMichael君、きっと母校で後輩達に囲まれて、楽しい時を過ごしたのでしょうね♪ちなみに、チケット代は、1枚5ドルだったそうです。 Michael君がどんな振付をしたのか、見てみたかったな~~!