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失業中のBroadway俳優達の余暇の過ごし方

2007-11-17 00:19:44 | Musicals トリビア
2007年11月10日からのストライキの影響で、出演作品が休演になってしまい、たくさんのBroadway俳優が失業状態になってしまいました。思わぬ「余暇」を、彼らは、どうやって過ごしているのでしょうか? (写真は、ストライキのポスターです。)

失業中の俳優のほとんどは、Actors' Equityのストライキ基金をもらう資格を得るために、開演時間の30分前までにそれぞれの劇場に行き、出勤簿に署名をし、通常の開演時間まで劇場前にとどまり、働く意思があり、働ける状態にあることを証明します。
通常は、週に1回の休演日以外は舞台の上で夜を過ごす彼らにとって、ストライキがもたらした仕事のない1週間は、収入の心配をする時間でもあり、たまった本を読んだり、DVDを見たり、友人や家族、共演者達と過ごす時間でもあったようです。

New York Postは、新作コメディ「Is He Dead?」 に出演中のMichael McGrathさんが、余暇を利用して、家族のために料理を作っているところの写真を掲載しました。彼は、 New York Postに「家族と一緒に過ごす時間ができるのは大歓迎だけど、収入が減るのは、かなり苦しいよ。」と語りました。

「Jersey Boys」のキャストで、Tony賞受賞者のJohn Lloyd Youngさんは、自分のブログに、「自由な夜を利用して、友人と一緒に、Birdlandで、John Pizzarelli Quartetのショーを見た」と書いています。
「僕ら俳優の組合の代表が劇場前に来てるから、キャストはみんな、毎晩劇場に、出勤のサインをして、仕事をしたい、仕事ができる状態だってデモンストレーションするために集まるんだ。そして、ここ数年の間で、初めて、夜を自分の好きなように過ごせるんだってことに、ふと気づいたんだ。」

「Dr. Seuss' How the Grinch Stole Christmas」でOld Maxを演じているEd Dixonさんは、ストライキがくれた余暇を利用して、新たにリリースされた Aaron Sorkinの「Studio 60」のDVDを見ているそうです。

「Rock'n Roll」に出演中のStephen Kunkenさんは、ストライキのおかげで、コミュニティの親密さが増したと感じているそうです。
「普段、劇場の中で働いている時は、まるでフル稼働の機械のように、それぞれが自分の仕事で忙しくて、単にキャストとクルーとして、必要なことを話すだけって感じなんだよ。でも、今度のことで、劇場前の通りに一緒に立つという経験が、僕達に、思わぬ連帯感をもたらしてくれたんだ。
キャストもクルーも、家族や愛犬を連れてきてたり、カメラを持ってきてたり、寒い中、みんながそれぞれに手袋をして帽子をかぶって、誰かが持ってきた手作りのパイとかを分け合ったりしたんだよ。 コーヒーが回ってきたり、みんなで『Broadwayが好きなら、クラクションを鳴らして下さい』っていうのをやってたんだけど、誰がタクシーに一番たくさんクラクションを鳴らさせられるかを競ったりとかね。
1人の人間同士として、素顔の付き合いができたんだ。共に、不当な契約と戦う仲間なんだって思えたんだよ。」

何人かの俳優達は、ストライキ期間中に自分が体験したことについてコメントを控えるという契約をしているそうです。Tony賞を受賞したこともある、ある女優は、マスコミとは、ストライキの件について何も話さないようにと言われたと話していました。

名前を明かしたくないと言うある俳優は、「The LeagueとLocal Oneの双方に対して、激しい怒りを感じている」と語ったそうです。「連中は、きちんと対話することを怠ったんだ。演劇の世界で何よりも大切なことは、コミュニケーションなのにね。」

また別のある俳優は、「彼らに、2001年に起きた『911』のテロ攻撃の後、Broadwayが壊滅的な状態になった際に、Broadwayコミュニティが一体になってその危機に立ち向かった時のことを思い出してほしい。あれは、遠い昔のことじゃないんだから。」と話してくれました。

将来を心配する人もいます。「Wicked」に出演しているある女優は、「せっかく、チケットが売り切れるほどのヒット作に出演してたのにって思うわ。ストライキが1週間続いても、あるいは1ヶ月続いても、やがては仕事に戻れるんだっていうのはわかってるんだけどね。自分が休演になってしまったショーに出演してたんじゃなければ、この事態をもっと違うふうに受け止められたかも知れないけど。」
普段もらっている給料と比べて、週あたり405ドルのストライキ手当は、あまりにも安過ぎると、彼女は言います。「少しは貯金があったのが、不幸中の幸いよね。でも、ストのせいで失業している他の俳優仲間の中には、もっと大変な思いをしている人達もいるのよ。」

仲間とぶらついたり、ストライキのピケットの列に参加したりする代わりに、もっと日常的な余暇の過ごし方をしている俳優もいます。彼らは、アパートの掃除や屋根の塗り替えをしたり、映画を見たり、家族と一緒に過ごしたりしています。

「Wicked」に出演していたある俳優は、「何だか、妙な感じがするんだよ。今だって、毎日劇場に行ってるんだから、『Broadway』や仕事、俳優仲間達と縁が切れたわけじゃないのに、虚しい感じなんだ。自分の世界じゃないみたいでね。」と話していました。

まだストライキ発生から1週間、すでに17日に組合とThe Leagueの話し合いが再開されることになり、19日から始まるThanksgiving ウィークのスタートに間に合うように、27作品の公演が再開される可能性が多少なりとも出てきた今、先行きに不安を感じている失業中の俳優の皆さんも、少しは気持ちを楽に持てるようになったのではないでしょうか。
もともと演じることが好きで、またミュージカルに出演している皆さんは、歌ったり踊ったりすることも大好きで、毎日、生のステージに上がっている皆さんですから、ショーができないことは、何よりも辛いはずです。1日も早く、休演中のショーが再開されることを、心から祈ります。